お労しい兄上になったんだが…ここどこ?   作:gnovel

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オリジナル展開があります。ご了承ください。

それではどうぞ


第拾弐話

「う……うぅん……」

 

また私は夢を見ている。この感じ前にもあったような……

 

『では、もう一度言おう。鬼になれ』

 

ふと声がした方に意識を向けるとそこには月明かりに照らされた男の人がいた。だけどその人の周りには今まで見たことが無いような程の量の何かが憑いていた。

 

……その人の爪や歯がやけにとがっていて、目はまるで血のように真っ赤だった。まるで人間じゃないような感じがした。

 

『はぁ、はぁ、……断ると……言っても聞き入れないだろう……?』

 

その男の人に話しかけられていたのは、生前の黒死牟さんだろうか……顔や体中に傷があってたくさん血が流れている。息も荒く今にも死にそうになっていた。

 

『貴様のような奴は今までで初めてだ。その腕っぷしの強さもさることながら、鬼殺隊どもに与えたその呼吸法、貴様は殺すのが惜しい程の人材……』

 

『よって、貴様は鬼になるべきだ』

 

『ほざけ……!私は鬼にならんぞ!!』

 

……黒死牟さんが瀕死の状態でありながら刀を構えて斬り掛ろうとしていた。

 

『月の呼吸 壱の……ガハッ!!!』

 

(黒死牟さん!!)

 

だけどその男の人の方が速く、黒死牟さんは胸を貫かれてしまった。貫いたその腕は、およそ人間の腕とは呼べない形をしていた。

 

『気に入ったぞ。その力私の為に使え』

 

『ガッ………………縁壱、済ま……』

 

そういうとその男は……今度は黒死牟の頭を手で貫いた。そして何かを注ぎ込んでいた。

黒死牟さんの体が、ピクピクと痙攣したかと思うとすぐに体の動きが止まってしまった……

 

『貴様の名は今宵より【黒死牟】、黒死牟よ私の手足となれ』

 

『……』

 

(ひ……酷い、こんなの、人間がすることじゃない……)

 

黒死牟さんの体が崩れ落ちたかと思うと、どういう訳か信じられない速度で傷がふさがっていくのが見えた。そして私は、黒死牟という名前の由来を図らずも知ってしまった……こんな経緯でつけられた名前だったなんて……

 

そして場面が変わったかと思うと今度はあの男と黒死牟さんの弟の縁壱さんが向かい合っていた。縁壱さんの顔は修羅と表現するのに相応しい形相をしていた。

 

『……無惨、お前は存在してはいけない生き物だ……』

 

……その口からでた言葉は余りにも憤怒に満ちていた

 

なぜ命を踏みつけにする、何が楽しい、何が面白い、命をなんだと思っているんだ

 

お前は兄上の仇だ無惨

 

お前はもう、生きていることこそが罪だ

 

瞬間、無惨と呼ばれていた男の体は突然バラバラにされた。縁壱さんが恐らくやったんだろう……速すぎる

しかし、突然無惨の体が爆散したかと思うと縁壱さんが

 

ふざけるな!!お前は生かして帰さん!!!!

 

咄嗟に縁壱さんが散っていった肉片を焼き切っていくけど……そこへ思いもよらぬ存在がいた

 

『……』

 

『なっ……!兄……上……?』

 

(黒死牟さん!?なんでここに!?)

 

その顔には片方に目が3つ、もう片方には1つだけという不完全な状態だった

しかしどこかその表情は虚ろでまるで何かに操られているようだった。……恐らく操っているのは無惨

 

『……まさか!!兄上の体に寄生して!!』

 

そういってよくよく見てみると黒死牟さんの体にはあの無惨の肉片が纏わりついていた。黒死牟さんはこの為だけに呼ばれてきたんだ……!

そして黒死牟さんがどこか不自然な動きをしながら竹林を駆けていく……

 

……ふざけるな、ふざけるな!!無惨!!待て!!!!

 

咄嗟に追いつこうとする縁壱さんだったけど……無惨が黒死牟さんの体を操って崖から飛び降りてしまった……そんなことって……

 

『あ、あああああああああああぁあああ!!!!』

 

……辺りに縁壱さんの慟哭が響く

 

許さんぞ!許さんぞ!!無惨!!!!兄上を鬼にするだけに飽き足らず!!!あまつさえその体を盾にするとは!!!!

 

私は貴様を追い続ける!例え私が貴様を討ち果たせなかったとしても!!後世の者たちが必ずや貴様に裁きを下すだろう!!!!

 

……

 

 

そして場面が変わり、またあの暗い空間に私はいた

 

『……を吹け』

 

どこからともなく声が聞こえてくる……でも意識が浮上して何て言っているのか分からない……

 

『……を吹け、そしたら……が……けにくる』

 

私の意識は、消えていった……

 

 

 

『あの笛を吹け……そしたら兄上が助けにくるだろう』

 

既に誰もいない暗闇の中で縁壱はそう呟いた

 

 

 

 

「……また何か見たような気が……?」

 

今日もまた夢で何か聞いた気がするような……?たしか、「何かを吹け」だっけ?

 

「……心当たりがないなぁ」

 

本当は私が見落としているだけで何かあるのかもしれないけど……

 

「とりあえず朝の準備しなきゃ」

 

私は学校の準備をして朝食を食べることにした。

昨日から担任の先生が変わって、あの人になったけど特に何もなければいいなぁ……

 

 


 

 

『なぜだろうね……全盛期よりもパワーを感じるよ』

 

ゴッドマザー、ミツエは先程とある老人の願い事を叶えていたところだった。……その老人は死んでいた。

そしてふとかつて自分が力を蓄えるために訪れていた裏山に立ち寄ったのだ。

 

『……あの娘たちもそうだけど、やっぱりあいつが一番の原因だろうね……』

 

ミツエの脳裏には、最後に自分が数珠を渡すことになった2人の少女の姿が浮かんだが、なによりも脳裏に残っているのはあの六つ目の侍だった。

 

『あいつのあの力に触れたせいか……それともワシがあの世に近づいたせいか……まぁどっちも同じか。』

 

ミツエは自身の力の高まりとその原因について考えをしばし巡らせた後家に帰った

 

 

「母さん、手紙が届いてるよ」

 

「手紙?誰から……」

 

ミツエの元に一通の手紙が届いたが、心当たりがない為不審に思ったが、その手紙の文字をみて誰からの手紙か判断が出来た。

 

『なにがみえる?……じゃと?』

 

どうやら手紙には2通の写真が入っており、その内の1枚に先程の文章が刻まれていた。ミツエは写真を裏返してみることにした。……そこに写っていたものにミツエは息がとまった。

 

『……ばかな!、こ、この神社は!?それにこっちに映っているのはまさか!?』

 

1枚目にはSNSの写真のようなもので顔を隠された2人の女の子が写っている写真だった。一見すると何も映ってないように思えるがミツエにはそれが何かわかっていたのだ。だからこそ驚愕したのだ。

 

2枚目は、1枚目とは関係が無い様な写真でこちらもSNSからの物であった。そこには公園のような所で取った写真だろうか、そこに写っていたのも1枚目の写真の女の子たちと同じ娘たちであることはミツエには判別できた。だが問題はその背後にいるあの六つ目の侍とそこにいる2体の霊らしきものが相対しているというものだった。

 

 

おそらくこの写真を送ってきた人物には何らかの意図があることなのは疑いもなかった。故にミツエは急いで準備を済ませ家を出ることにした。

 

『早く……戻らねば……!!』

 

ミツエは急いで裏山に行き自身の力を蓄えることに専念した。その様子に焦りを見せながら……

 

 


 

~数日前~

 

私はハナに連れられて限定スイーツを買いに遠出していた。なんでも新作のケーキが出るらしくそれを買いに行こうとして私も誘ったとのこと。

 

ここまでの道中で様々な何かとも遭遇したけど、何事もなくこれてほんとによかった……!

 

「おまたせー!みこ!!」

 

ハナの買い物が済んで近くの公園で食べようという話になった。

 

「良い天気だね!みこ!!」

 

「本当にそうだよね」

 

今日は雲がなく青い空が広がっている天気だった。ここに来てよかったかもしれない……あちらこちらに見える何かがいなければもっと良かったんだろうなぁ……

 

「平和だね」

 

「そうだね(見えなければね)」

 

(うわっ、あの人憑かれかけてる……)

 

『……まこと……平穏なり……』

 

黒死牟さんもどこか疲れが取れたような声色で呟く。

 

(うーん、やっぱり何か忘れてるような……?というか前にもあったような……?)

 

ふと目の前に子供を連れた女の人がいてその子供がこっちを見てたので手を振り返した。……それがいけなかったんだろう

 

「え?」

 

突然その子供の表情が変わり、私に襲い掛かってきた!あれも何かだったの!?やばい!!

 

『……姑息な』

 

月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦

 

すぐさま黒死牟さんが祓ってくれたけど、こわかったぁ……

 

『……!こ奴……複数で一体か……!!』

 

黒死牟さんが私の方を見るや否やまたあの感覚がして、後ろにあの2体が現れたことを感じた。

 

(噓……後ろに!?というかこれで2回目!?)

 

すでに祓い終わったのだろうか私の方を向いて指を二本立ててきた。しかし黒死牟さんが

 

『今度は逃がさん……!』

 

月の呼吸 玖ノ型 降り月・連面

 

何かをめがけて上空から降り注いだ斬撃が落ちてくる。私にもあたるのかと思ったけど、黒死牟さんが位置を調整してくれていたみたい。

……こっちもひやひやしたけどね

 

『……貴様らの正体……教えさせてもらうぞ……!』

 

いつの間にか刀を鞘に納めていた黒死牟さんが同じく私たちの上を通り過ぎて構える。そして

 

『……参る……!』

 

月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮

 

黒死牟さんの技が繰り出される寸前ハナから突然

 

「はいチーズ!」

 

「えっハナ!?」

 

ハナが写真を撮ってきた。……これ後ろの光景映ってないよね?

 

 

「せっかくいい天気だし、写真撮ろうかなって!」

 

「あ、うん、いきなりでビックリしちゃったよ……」

 

ハナと話しているとどうやら事が終わったみたいだけど……黒死牟さんしかその場にいなかった。

 

『……済まぬ……またしても逃げられた……』

 

『……だが……ここに……あ奴らの血が……ある……これで……少しは奴らについて……知れる』

 

どうやら少し近づいてきたみたい……

 

『……しかし……これで……2回……あと……1回か……』

 

(……あと1回、どうしよう……)

 

近づいてくる不穏な気配に精神的に追い詰められていく感じがした。この3回が終わったら私、どうなるの?

 

『……仮に……3回を終えて……みこが……被害を被るのだとしたら……私が……身代わりとなろう……』

 

(えっ!?)

 

『……死にぞこなった私には……この世は……眩しすぎる……みこには……感謝してもしきれぬ……』

 

(……そんな)

 

『……とはいえ……まだ……全貌が明らかになっていない……これは……あくまで……有り得る先の話……みこは……気にすることはない……』

 

(……)

 

私はふと黒死牟さんが居なくなった先の事を考える……それは黒死牟さんと出会う前と同じく見えてしまっている何かに怯えながら日々を暮らすこと。今の私には、考えたくもないことだった。

 

(……私にできる事は何だろう)

 

何も出来ずに黒死牟さんを犠牲にしたくない!でもどうすればいいんだろう……?

 

……結局答えは出ないまま一日が終わり、次の日寝坊してしまったのは忘れたい……




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