お労しい兄上になったんだが…ここどこ?   作:gnovel

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閲覧ありがとうございます

アンケートのご協力ありがとうございました。

現在ストーリーをもう一度見直しています。それ故に時間がかかりますがなんとか執筆致します。

それではどうぞ


第拾伍話

『……みこよ……どうやら……護符の効果が……切れたようだ……よって新しく……作り直した……』

 

あれから私は黒死牟さんからまた新しくお守りを貰ったけど、あれは本当に一体何だったんだろうか……

 

そして私は今日の事を黒死牟さんに話したところ

 

『……成程……確かに……効果はあったか…………あの場に私が……いなくても……ある程度は……守れるか……』

 

どこか納得したように頷く黒死牟さんだけど、そもそもあの時どこに行っていたのかを尋ねた

すると

 

『……さて……そろそろ話すとしよう……』

 

何やら厳格な雰囲気を醸し出したかと思うと、黒死牟さんが話し始めた。

 

『……実のところ……私自身でさえも……気づかない程……全盛よりも……幾ばくか衰えていたようだ……』

 

そうして語られたのは、黒死牟さんが生きていた頃よりも力が衰えていたという事実……あれ程の力でまだ全力じゃなかったの!?

 

そしてそれに気づけたのは神社にいたあの2体の血を飲んでからみたい

 

 

『……私は……少し……試していたのだ……己の力を更に……高めるにはどうすればよいか……』

 

そしてその口から放たれた内容に私は耳を疑った。

 

『……そこで……私は……物の怪を……喰らうことにした……』

 

(物の怪…を……え……?)

 

話によると如何にも黒死牟さんはこれまで本調子ではなかったそうで、その為に力を取り戻すためにこれまで何かを祓うだけから何かを食べ始めたそう……

そしてそれは今日私に話すまでよりもずっと前から続けてきたそう……

 

……正直怖い

 

頭の中に嫌な考えがいくつも過る。

例えば何かを食べ過ぎてしまい、黒死牟さんとしての意識が乗っ取られるのではないかと、或いは自我を保てなくなってしまうんじゃないかと……次々と嫌なことが頭をよぎった

 

「黒死牟さんは大丈夫なんですか……?」

 

私は恐る恐る聞いてみた。それは単に心配の為か或いは自分の信頼している存在が突然消えてしまうことに対する恐怖か、それとも両方かわからない……

 

『……もとより……私は……混ざり物……かつての私が……そうだったからな……』

 

「……」

 

『……心配をかけたな……私は大丈夫だ……私はいつでもみこの……味方であるとも……』

 

そういって黒死牟さんは跪きながら私に言った。

 

『……この黒死牟……改めて誓おう……わが主よ……私は……みこと共に……あり続けることを……』

 

……そこまで言われると私は、少し恥ずかしい思いになったけどどこか安心感のようなものも同時に感じた。

 

私は黒死牟さんに頭を上げるように言って顔を上げさせる……その顔が一瞬だけどいつもの顔じゃなくていつか見せてくれたあの顔に見えた気がしたけど、私には些細なことだった。

 

「これからもよろしくお願いします。黒死牟さん」

 

『……御意』

 

 


 

それは突然訪れた。俺が奴らの血を飲んでから少し動きが良くなった気がした。そしてその時に俺はやっと気づけた。

 

『……まさか……ここまで衰弱していたとはな……自分でも気づけなかったとは……』

 

思えば確かに鬼として生きてきたころよりも体の再生が幾らか遅かったのだ。護符を作成した時も目はすぐ再生したが、視界が戻るのに幾ばくかの時間を必要としたのだ。

 

更に自分の写し身と相対した時に出来た傷も治りが遅かった。そうしてふと思いつく。

 

『……そう言えば……物の怪どもは……どうやって……力を得ているのだ……?』

 

思い当たる可能性を全て考える。記憶を頼りに奴らの明確な栄養源を探る……

そうしてある一つの可能性に行きついた

 

『……もしや……奴らは共食いを……しているのではないか……?』

 

確かにその通りだと思った。俺が今まで遭遇してきた奴らの中には自分より低級の物の怪を喰らう奴らは大勢いた。

 

とはいえ奴らの全てが共食いをしているわけではないのだろう……現に俺はみことの契約で生前よりも衰弱しながらも力をある程度持てるようになったのだ。

……あの神社の奴も写し身の所も恐らく信仰を糧としている。

 

だが俺には信仰というものを感じることは出来ない。よって俺がとるべき方法は

 

『……奴らを……殺して喰らうか……』

 

どこかその有様がかつての愚かな自分を思い出させる。嘲りながら俺は

 

『……ふっ……これでは……まるで変わらないな……かつての鬼としての……俺と……』

 

『……結局のところ……俺は逃れられぬ訳か…………地獄に落ちろ……私なんぞ……』

 

結局己が強くなるには他者の犠牲無くしては成し得られない事実に絶望しかけるもその声にはどこか諦めが混じっていた。

 

かつての忌まわしき記憶が脳裏によぎる

 

自分の意思とは無関係に俺の前に立ちはだかった者たちを一人残らず切り殺し、食ってきたことを

 

数多の死体の血肉を啜り、意味のない殺戮を繰り返してきたあの時を 

 

最後の最期でようやく思い出したことを 

 

自分の始末を自分でつけれなかったことを

 

……自らの弟に顔向けが出来ぬこの有様に俺はどうしようもない怒りと絶望、諦めが胸中に渦巻く

 

『……ははっ……侍の姿か?……この有様が?……』

 

『……笑えもしない』

 

結局どこまで行っても俺は半端者なんだろう。そんな俺が縁壱の隣に立つだと?

 

何とおこがましい。反吐が出る

 

『……神とやらが……いるのなら……問いたい……なぜ……私をみこのような……か弱き少女に……仕えさせた?』

 

『……なぜ縁壱でないのだ……なぜ俺なんだ……俺に……贖罪の機会を……与えているつもりか?』

 

当然答えは返ってこない。やがて『黒死牟』は

 

『……良いだろう……貴様の手の上で……踊る……道化にでも……成ってやろう……』

 

『……俺に……ここまでの価値が……あるのか知らんが……貴様が与えたこの機会……存分に使わせてもらうぞ……』

 

 

 

それから『黒死牟』は、いつものように物の怪を狩りに行った。そして…………奴らを喰らった

 

『……ははは……力が戻っていく感覚がするか……まさに化け物だな……』

 

黒死牟の足元には無数の物の怪の死体で積み重なっており、それらの肉を手で持ち喰らい、また死体の山に突き刺した神去から血を啜る……まさに地獄絵図であった。

 

本来このようなことをしているといかに前世の記憶が残っている存在でも正気を失うのだが、黒死牟の自我を保たせているのは……みこへの義理立てと彼が知る由もない別の要因であった。

 

『……行くか』

 

そうして『黒死牟』はその場を後にした。

 

空に浮かぶ月には雲がかかっていた……まるで彼の心境を表すように存在していたのだ




幾らこの世の者でない奴らとはいえ、そいつらを斬って喰らう自分の姿に絶望しSAN値直葬不可避な兄上

因みにみこちゃんの世界に転生した時に記憶が薄れていたこともあって衰えていた自覚が無かった模様


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