それではどうぞ
第壱話
「見事だ……鬼殺隊よ……」
そういって私……いや俺の意識は落ちていく
鬼滅の刃の世界に『継国巌勝』として転生したと知った時は驚いたものだ
……生憎鬼滅の刃についてあまり深い知識は持たなかったが、少なくともこの『継国巌勝』がどんな道を歩んだのかはある程度知っていた
しかし、弟である『継国縁壱』の剣技を目の当たりにしたときはどうしようもないほど嫉妬したものだ……今思うだけでも長男であるにも関わらず情けないものだな
…………分かっていたつもりだった
弟がまさに神の寵愛を一身に受けたと言っても過言ではないほどの存在であったことを、一人の人間がどれだけの鍛錬を積んでもあの領域には到達することはできないと思い知らされたとも
だが、俺は鬼となり罪もない人たちの命を貪り食ってでも生き長らえようとは思わなかった
しかし、『原作』の修正力が働いていたのか解らないが、結果として俺は鬼となった。いや、させられた
あの日、俺の前に『鬼舞辻無惨』が現れたのだ……
そこまでは良い『鬼滅の刃』での己の所業を知っていた俺は当然断った。しかし奴は俺を無理やり鬼にしたのだ
そこからは、殆ど原作通りの展開だった。違うとすれば同じく上弦の鬼である『猗窩座』と同じく女性や子供には手を出さないようにしていたつもりだった
そうして長きに渡って続いたこの地獄は今終わりを告げた
そして今俺は頚を落とされた訳だ……やれやれ全く、悪夢のような日々だった
願わくばあの世に行って縁壱や俺の妻子に謝りに行ければ良いが、
などと考えているが、結局俺が本物の『継国巌勝』ではなく、ただの成り代わりであることは誰にも言えなかったな……
とすれば…俺はこのまま一人で地獄に逝き、裁かれるとするか……
あぁ……全くどうしようも無い奴だな……俺は……あいつに顔向けが出来ないな
兄上
(やばい!やばい!!誰か助けて!!なんでまだこっちについてくるの!?)
人通りの少ない神社の帰り道に少女、四谷みこは、恐ろしくて震えあがっていた
ある日を境に突然明らかにこの世の物ではない何かが見えるようになってしまったのだ。
今日はみこの友達の百合川ハナと抽選販売のグッズの当選祈願のために神社に訪れていたのだがその神社にはとんでもないものがいたのだ
…全身が大きく黒い瘴気に塗れていて、ところどころに剝き出しの歯が見えてとても不気味なそれに対してみこは、無視を決め込んでいたが…
(どうして!?お願い!!はやくどっかいって!?)
ハナと別れた後でもついてきていることに内心ビクビクしているのである…
その目には若干涙が浮かんでいる…もうじき限界が訪れるようだ…
『ネェ、ミエテルンデショ?コッチヲミロヨ』
顔を覗き込んでくるがこれにも無視を決め込むみこであったが、
『…ミエテンダロ?ナアナアナアナア?』
(ひいっ!?)
様子の可笑しいその何かは、今にもみこに襲い掛かろうとしてきた…
(だ、だれか…たすけて…)
みこの目から涙が零れ落ちようとしていた…その時後方から声が聞こえた…
『…女子に憑くとは…卑しきものめ…』
(えっ?)
『オマエ!ミエテル!オレミエテル!』
ホオオオ
月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮
特徴的な呼吸音が聞こえたかと思えば、後ろにいた何かの気配が消えた…
みこは誰かが祓ってくれたのかと思い、後ろを振り返るが…そこにいたのは
(ひいっ!?め、目が6つ……!?)
見た目は今までの何かよりも人間らしさがあった…服装も今どき珍しい袴であったが何よりも目に留まったのはその顔だった…
その顔には目が左右それぞれに3つずつ、つまり6つの目がついていたのだ。刀らしきものもあってか侍のそれに近い感じがした
しかし、恐怖もあるがどこか恐れ多いような感じがみこにはしたのである。
(なんなの、あれ……)
みこは目の前の光景に唖然としていたが、ふと自分が目の前の侍らしきものを直視し続けていたことに気づく…
(しまった!わたし!あいつを…)
『………なるほど…私が見えているのか……』
侍がこちらにゆっくりと近づいてきた
(と、とりあえずごまかさなきゃ…!?)
みこは咄嗟に目の前の脅威から逃げようと策を練るが、
『……案ずるな取って食ったりはしない……』
「え?」
それはみこにとって今までにはない新たな出会いだった
今まで自分に絡んできた何かは、みこを見るやいなや『ミエテンダロ?』と聞いてきたり、顔を覗き込んでくるといった嫌がらせをしてきたのだ
しかし今目の前にいる何かはこれまでのとはどこか違っていたのだ
『……恐れさせてしまったか……』
(姿が他の奴と違って割とはっきり見えるし…それに声も他の奴よりかは…さっきよりも聞き取れる…?)
「あ、あの……」
『……どうした』
「あ、ありがとうございました……?」
『……そうか』
(やけに口数が少ないように見えるけど……もしかしたらこの人何か知ってるかも?)
みこはその可能性に賭けて話してみることにした
「あ、あの!」
『……どうした……少女よ……』
「あの……あなたは一体……?」
『……私か……私は…………ただの鬼だ……』
「お、鬼!?」
まさかの返答が返ってきた、まだ幽霊や亡霊とかなら納得はできるが、まさかの鬼と来たものだ
みこはかなり動揺した
『……いや、元々だったか……』
(もともと鬼ってそれはそれでどういうことなの!?)
『…………迷惑をかけたな……ではこれで……』
そういって侍(仮)は去っていこうとするが、みこは
「あの、あれはいったい何ですか……?」
みこは今までの経緯を説明した。自分がある日を境にみえるようになってしまったこととそれらに絡まれていたことを…
『……分からん……だが、少なくともまともなものではない……』
「そ、そうですか……」
みこはあまりいい収穫を得れず、少し落胆した、
しかし目の前の侍はこう告げる
『……見えるのが怖いのであれば……私がそばにいてやろうか……』
「え」
『……私も……つい最近目覚めたばかりなのだ……いうなればこれは……ある種の契約だ…』
「け、契約」
『……そうだ……私は契約に基づき奴らを討つ……』
「で、でも私あなたが欲しいものなんて用意できない……」
『……案ずるな……私が求める物は…………書物……』
「書物……本ですか……?」
『……そうだ』
「え、それでいいんですか……?」
みこは改めて契約の条件を確認する…自分ではどうすることも出来なかった何かを祓ってくれる存在がいてくれることの心強さとどうやっても釣り合う気がしなかったからだ
『……私は……このような姿でも元は侍……弱き者を守るために……戦い抜いてきた時もあった……』
「!」
『……対価が釣り合わないと思っているようだが……私は今は書物が読めればそれで良い……』
「ほ、本当にいいんですか!?」
みこは目の前が明けた気がした。これまでの自分の誰にも打ち明けられない悩みを一気に晴らしてくれる存在に出会えたこと、そんな存在と破格の条件で契約を結べそうになることでみこは心の底から安心したのだ
「あ、ありがとうございます!!え~っと……」
みこはお礼を言おうとして名前を聞いていなかったことを思い出した
『……黒死牟』
「え?」
『……私の名前だ……』
「こくしぼう……?」
(変わった名前……昔はみんなそうだったのかな……?)
『……少女よ……汝の名は……』
名前を問われるとみこは
「四谷、四谷みこ。です」
『……みこ、巫女……か』
「え?」
『……気にするな……ただの独り言だ……』
「そ、そうですか」
そしてみこは改めて口にする
「こ、こくしぼう?さん、これからよろしくお願いします……」
『……よろしく仕る……』
こうして私、四谷みこの新しい日々が始まろうとしていた…
需要があったらもうちょっと続けてみます
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