今回は捏造要素があるのでご了承ください。
それではどうぞ
~或る日~
「兄上 私たちはそれ程大そうなものではない」
「長い長い、人の歴史のほんの一欠片」
「私達の才覚を凌ぐ者が今この瞬間にも産声を上げている」
「彼らがまた同じ場所まで辿り着くだろう」
俺が呼吸術の継承について話していると縁壱が語ってきた。
……「原作」の継国巌勝ならばここで縁壱に対する憎悪がさらに出てくるだろう
しかし縁壱の言葉には色々と省かれている部分があることを知った……
……色々と言いたいことがあるが、まずは一番言いたいことを言うことにした
「兄上?いかがなさいましたか?」
「……お前は自分の強さを改めて認識した方が良い」
思わず縁壱の肩を割と強めに叩きながらそう言ったが、本当にこいつは、分かっているんだろうか
何となく言いたいことは分かる。だがそのままの意味では、ただの嫌味にしか聞こえないだろう
「はい?」
「お前、もしかして無自覚か!?」
思わず声を荒げる。薄々感じていたが、やはりその言葉足らずは無自覚だったか……周りの奴は何も言わなかったのか?
頭が痛くなってくる……
「私なんかより兄上の方がお強いではありませんか」
「嫌味か!?俺に対する嫌味か!?縁壱ィ!!」
……だめだこれ以上は、俺の胃がもたん
少し深呼吸をして落ち着かせる
「……縁壱、よく聞け」
「はい、兄上」
「まず、俺はお前より弱「そんなことはありません兄上」……話を遮るな」
「……縁壱、お前は自分が与えている影響を鑑みろ。鬼殺隊に呼吸術を教え、更には痣を齎し、鬼殺隊の剣士の戦闘力向上に努めたのを忘れたか?」
「それは兄上もでしょう」
「……そうだった」
というのも元々転生した身であるため、未来についてあらかた知っていた俺は、何かできる事は無いかと考えた結果
縁壱が主体だったとは言え俺も呼吸術の開発等に一役買っていたのだ
その事実を縁壱から突き付けられ俺は言葉に詰まる
「しかし……俺はあくまでお前の裏方としてだな……」
「確かにそうですが、兄上がいたことで呼吸術をより多くの者により早く伝えることが出来たではありませんか」
「……」
ぐぅの音も出ない。俺は完璧に打ち負かされた。こうしている間にも縁壱からの圧が高まってくる
……もっと色々と言いたかったが最期にこれだけ言っておくか
「……縁壱、まずは周りと会話してその言葉足らずを直せ」
「承知致しました。兄上」
それから縁壱は周囲の鬼殺隊の隊士たちと今までより多く会話するようになったが……
「縁壱!?どういうことだ!?なぜ俺の過去の話が皆に知られているのだ!!?」
「兄上の偉大さを話しておりました」
「そういうところだぞ!!縁壱ィ!!」
なぜだ……なぜなのだ縁壱、なぜ話の種が無いからといってなぜ俺の事しか話さないのだ……
もっと他にあったはずだが……
(なんだい……あれは……!)
とある商店街にて占い師として店を開いている老婆、タケダミツエ、通称「ゴッドマザー」は驚愕していた。
というものいつもの通り胡散臭い商売をしていた時、ふと2人の女子高生が数珠を求めてきたのだが、その内の黒髪の子の背後にいる存在に恐怖していた
(これほどの存在……!あたしの全盛期の時にでも見たことがない……!なんで、この黒髪の子は平然としていられるんだい!?)
そこにいたのは、まさに『鬼』を体現した存在で、立ち振る舞いは人間のそれだが、なによりもその異質さを際立たせるのが顔についた六つの目であった。しかしその姿はどこか神がかっていた
更にその危険さを醸し出しているのは、黒髪の子の隣にいる少女の放つ生命エネルギーが霞んで見えるほどのエネルギーであった
(……まずいねぇ……!これほどの存在、あたし一人では絶対に祓えない……!)
ゴッドマザーは、全身が凍り付いた気がした。
更に追い打ちをかけるかの如くある事実に打ちのめされる
(確かに全盛とは程遠くなったあたしだけど……ここまではっきり見えるとは……!)
そして観察をしているとあることに気が付いた
(!?あいつ……!黒髪の子と強い縁で結ばれている!?)
ゴッドマザーにある一つの考えがよぎった
(まさか……あの子と契約しているのかい!?)
本来であれば見ることも感じ取ることも出来ないはずのそれらに対して契約という形で、存在を強固なものにすることはできる……が
それを考慮したとしても感じ取れるその存在感にゴッドマザーは戦慄していた
(なんてこったい、まさかこの年になってあんなものと遭遇することになるとはねぇ……!)
「あのー?おばあさん?」
「ッ!?あ、ああ、ごめんねぇ……えっと、それで……」
「あっ、強い数珠を探しているんです」
「あ、ああ、そうだったね、もう年でねぇ……(今のところは、ただ見ているだけ……危害は加えてこないと捉えても良いのか……?)」
そう言ってゴッドマザーは本来渡そうと思ってた数珠よりよっぽど強い数珠を渡して少女たちを見送った
(……待て、あいつはどこにいった!?)
ふと少女の周りを見渡してもさっきまでいたあいつの姿がいないことに気づき、ふと横に視線を合わせた。
そこには
『……ほう、……私が見えているのか……
(!?)
『……案ずるな……取って喰ったりは……しない……』
「あぁ、そうかい……あんた、あの子と契約してるね?……対価は何だい?」
『……書物……』
「馬鹿なことを言うんじゃないよ!!あんたみたいな奴が、それだけの物でそこまでの存在を強固にできるはずがないよ!!」
『……嘘は……言ってない……私が物の怪を……狩り……少女が……書物を……用意する……ただそれだけのこと……』
「……(嘘は言ってないみたいだけど……)」
ゴッドマザーは、ふと考え付いたことを質問してみることにした
「……あんた名は?覚えているかい?」
『……黒死牟』
「そうかい(おそらくあの名前は、本名とは違う別の名前……あの名前を付けた奴がその大本になっている可能性があるね……)」
ゴッドマザーは、知る由も無いが、その考えは当たっていたのだ。
黒死牟は『鬼』としてとある人物から与えられた名前で本名は『継国巌勝』であるのだ。
これは黒死牟にも知る由がないが、黒死牟としての自我が濃いのは、その名前と名前が付けられた経緯にあるのだ。
名は体を表すとは良く言ったものであり、それは彼の経歴を表し、彼にとって良くも悪くも忘れがたい物であったのだ……
故に死して尚『黒死牟』としての側面が強まったのは、彼が『鬼』であった期間があまりにも長すぎたことに起因し、結果として魂までも『黒死牟』としての側面を持つに至ったのだ
『……では……これで失礼する……』
「……最後に言っておくがね」
『……なんだ……』
「あの子に手を出すんじゃないよ」
『……無論……主に……歯向かうなど……愚の骨頂……』
そう言って黒死牟は、去っていった。
「はぁ、足を洗うとするかね……」
ゴッドマザーは、今日の出来事で自らの限界を悟った。だが一つ気掛かりなことがあった
「あの黒死牟とかいう奴……負のエネルギーを出しているのは分かる。だけどなんで真逆の生命エネルギーも持ち合わせていたんだい……?」
黒死牟はどこかおかしかった。ぱっと見ではまるで夜のようなオーラを出しているが、その中に僅かではあるが、どこか太陽のように輝くようなオーラも持ち合わせていたのだ
「……まぁ、あたしが気にすることではないか……」
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