どうぞ!
◎side響◎
『生きるのを諦めるな!』
あの日、あのとき、間違いなく私はあの人に救われた。
私を救ってくれたあの人は、とても優しくて力強い歌を口ずさんでいた。
「死んじゃうの」
私とノイズから逃げていた女の子は私に向けて不安そうに尋ねてくる。だからは私は優しく微笑み首を横に振る。だがノイズは容赦なく私たちに迫ってくる。
『私にできることを!出来ることがきっとあるはずだ!!』
「生きるのを諦めないで!!」
女の子に、そして私自身に言い聞かせる。そのとき胸の奥が熱くなる。歌があふれ出る。私はこの歌を知らない、でも私の心が歌え!と叫んでる!!だから...
「Balwlsyall Nescell gungnir tron」
私の胸から光りがあふれてくる。その光が私を包み込み...収まった時、私の姿は鎧に包まれていた。
BGM〖激槍・ガングニール〗
「え.え!なんで、私どうなっちゃてるの?」
「お姉ちゃん、かっこいい」
女の子はきらきらした目で私を見てくる。
『そうだ、なんだかわからないけど、確かなのは私がこの子を助けなきゃいけないってことだよね』
そう思い一歩を踏み出した。その一歩は私が出したとは思えないほどの跳躍となる。女の子を抱えながら高層からの着地をものともしない。
上を見ればノイズも私を追いかけるように落ちてくる。それを避けると落ちてきたノイズは高速で突進してくる。私はジャンプして避けようとしたが勢いが付きすぎて壁に激突してしまう。そのすぐそばには大型ノイズがその腕を振下ろそうとしておりとっさに壁を蹴り回避する。着地したがすでにノイズが突進しており思わず腕を突き出す。すると私の腕に触れたノイズのみが炭化したのだ。
『え!私がやっつけたの?』
自分の拳がノイズを倒した事に驚きを隠せない。だが、大型ノイズが迫ってきていた。
そこにおそらくバイクだろうエンジン音が聞こえてくる。そのバイクはノイズの群れを避けながら大型に突撃し爆発四散した。
「Imyuteus amenohabakiri tron」
「呆けない!死ぬわよ」
「貴方はそこでその子を守ってなさい」
「翼さん?」
爆発の後に聞こえた歌!そして降りてきた女性はあの”風鳴翼”だった。
翼は走り出すと私と似た鎧を纏い剣を手にしており、剣を巨大化させながら前方に斬撃を飛ばしノイズの群れを一掃したかと思えばすでに上におり幾本もの剣を出現させ投下していた。
「すごい...やっぱり翼さんは」
翼はそれ以降もノイズを一掃していく。
「え」
女の子が声を漏らす。女の子の見ている方を向くと大型のノイズがすでに真後ろにまで迫っていた。
「
だが、そのノイズは一瞬にして炭化した。漆黒の鎧を纏った少女の純白閃光によって
「大丈夫だったかい?響ちゃん」
「朔弥さん!?」
その少女は私の学校の先輩”風鳴朔弥”だった。
◎side end◎
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ノイズの殲滅から少し時間がたち、一課と協力して後始末を行っていた。
「あの...温かいものどうぞ」
「あ、温かいものどうも」
あおいから温かいものをもらっている響を遠巻きに見ながら翼と話す。
「まさか学園であった変な子がシンフォギアを纏うとはね...」
「たぶんだけど、響ちゃんが纏ってるのはガングニールだよ」
「そう、貴方が手紙を送った子がガングニールを纏う...2年前に守れなかっただけでなく重いものを背負わせる事になってしまったのね」
「翼、わかってると思うけど」
「大丈夫よ、朔弥に合う前ならいざ知らず今の私はガングニールを纏っているだけで目の敵にするほど荒れていないわ。ただ、奏に何て言えば良いのかしらね」
そう言いながらかつての親友のことを思い、そして響を見つめる瞳には迷いが見られた。
そんな話をしていると響のギアが解除され、後ろに倒れそうになる。すると翼がとっさに駆け寄り受け止めていた。
「あ~、ありがとうございます」
響がとっさにお辞儀し顔を上げる。それが翼だとわかるとさらに深くお辞儀した。
「ありがとうございます。実は翼さんに助けられたのはこれで二回目なんです」
「いいえ、助けたのは奏よ?あの時私は何も出来なかったわ」
「それでもです!あの時お二人が戦ってくれたから私は今ここにいるんです。だから、ありがとうございます」
『響ちゃん...』
まっすぐ変わらない響にうれしくなった。
「まま!」
響と一緒だった女の子の声を聞き母親が来たのだと一安心する。
「良かった...あの子お母さんに会えて」
「だな、それで響ちゃん?」
「どうしました朔弥さ...もしかして怒ってます?」
「そうだね。それもある...けど、響ちゃんが生きててくれて良かった」
「あ、わた...私」
僕は響に近づきそっと抱きしめる。すると不安だったのだろう響は涙を流し始める。
「私、怖くて...でもあの子を守らなきゃって...」
「うん、頑張ったね。もう大丈夫だよ」
「う...うっく、うあーーーーん」
「よしよし」
限界だったであろう響、僕は泣き止むまで抱きしめ背中をなで続けた。
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「朔弥さんありがとうございました」
「ううん、僕の胸で良ければいつでも使うと良いよ」
「は、はい」
僕が笑顔を向けると顔を赤くする響...何かしただろうか?
「じゃあ、私はそろそろ」
そういって立ち去ろうとする響だが突然現れた黒服たちに囲まれる。
「貴方をこのまま帰す訳にはいきません」
翼が黒服たちの前に立ち響の告げる。
「何でですか?」
響は思わずなぜか聞くが...
「ごめんね響ちゃん」
「特異災害対策機動二課まで同行していただきます」
響は僕に肩を掴まれ、翼にそう告げられると、緒川さんに素早く手錠をされる。
「すみません。貴方の身柄を拘束させていただきます」
「え!え...あの!?な、なんでーーーーーーー!!」
そうして響も一緒に二課本部へと向かった。
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「なぜ学院に?」
響の疑問に今は答えれない。
そうして降りたのはリディアンの教職員が務める中央棟、響は疑問に思うだろうが付いてきてもらうしかないので無言になる。
そうしてエレベーターに乗り込み、緖川さんが電子キーをかざす。するとエレベーター内部が変形し頑丈そうなシャッターや手すりが現れる。
「あの~これは~?」
「さ、危ないから捕まってください」
すかさず緖川が響を手すりに誘導する。そして僕や翼も手すりに捕まる。
「え?危ないって、どあーーーーーーーーー!!」
響がなにが危険か聞こうとした瞬間、エレベーターは絶叫マシーンが如く急降下しだし響は絶叫した。
しばらくすると沈黙に耐えかね愛想笑いをする響
「愛想は無用よ、これから向かう場所は貴方にとって大変な選択を迫る場所だから」
翼は響にそう告げた。そう、今から向かうは特異災害対策機動二課...良くも悪くも現実とはかけ離れた場所なのだから...そう僕も気を張り詰めていた。
「ようこそ!人類最後の砦、特異災害対策機動二課へ!!」
部屋に入った瞬間になるクラッカーの音と、司令”風鳴弦十郎”によってそんな気持ちは吹き飛んだ。翼は右手で頭を押さえ、緖川は苦笑いを浮かべる。僕は...
「何やってるんですか!父さん!!」
思わず絶叫した。
「さあさあ笑って笑って、お近づきの印にツーショット写真!」
「嫌ですよ!手錠をしたまま写真なんてきっと悲しい思い出として残っちゃいます!」
向こうでは了子さんが悲しいツーショット写真を撮ろうとしていた。
見かねた翼が緖川に頼み場を沈めてもらった。
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場も落ち着き、手錠を外してもらった響は弦十郎と了子に自己紹介され協力要請を受けていた。
「教えてください。あれはいったい何なんですか?」
響はシンフォギアについて疑問に思ったのだろう質問し弦十郎と了子がうなずき合い了子が響の前に出る。
「貴方の質問に答えるためにも、二つばかりお願いがあるの。最初の一つは今日のことは誰にも内緒、そしてもう一つは...」
そう言いながら了子が響の腰に手を回す。
「とりあえず脱いで貰いましょうか?」
「え?だから、なんでーーーーーーー!!」
響の声が響き渡った。
後書きです。
久しぶりに投稿出来ました。
実はパソコンが寿命を迎えまして購入使用としたらゴールデンウィークが開けるまで届かないと!!
そうしてやっと投稿出来ました。
今回は原作で言うところの一話ラストの響の変身シーンから二話の前半にかけてでした。
原作部分は一つの話の前後編を分けて一つの話として投稿予定です。調子が良ければ丸々一話をすべて入れるかもですが...
翼さんは原作よりも早く、態度を軟化させてます。これも朔弥くんとの練習?試合のおかげですかね?
そんなわけで今後はもう少し早く投稿出来ればと思いつつ不定期なので許してくださいね。
次回をお楽しみに!!