多分1話完結。
冥界某所にある広大な御屋敷、白玉楼では白髪の剣士が3人、今日も自己研鑽に励んでいる。1人は老年の剣士、魂魄妖忌。1人は少女の剣士であり、彼の孫娘、魂魄妖夢。1人は妖忌の曾孫で、妖夢の息子である魂魄妖舞。
現在では妖夢のお役目だが、白玉楼のお嬢様こと西行寺幽々子に仕える「庭師兼剣術指南役」として彼らは強く在らねばならない。
だから、前庭師兼剣術指南役だった妖忌は、ふと数年前に冥界に帰還してから、現指南役の妖夢に、そして未来の指南役である妖舞にも、厳しい稽古をつけていた。
妖舞は白玉楼の面々の中では最年少であり最弱。彼はまだ子供だ。だから最弱なのが当たり前であり普通である。
しかし妖舞はそんな現状に納得がいかず、もっと強くなろうという、ある種の野望を抱いていた。
「なぁ爺ちゃん」
「なんじゃ」
「昔、爺ちゃんは妖怪の山に討ち入りしたんだろ?当時の天狗達は強かったの?」
「弱くはなかった、かもしれんな。儂だって適当に討ち入りしたのではない。腕試しとして挑んだ以上それなりの相手として捉えていたはずじゃよ」
「ふーん……」
「なんじゃ妖舞。もしや、今の妖怪の山に討ち入りでも考えておるのか?」
「いーや。実は数年前、天魔と父上の計らいでさ、天狗数100人と俺ら上8人だけで合戦ごっこした事があるんだけどさ、フツーに俺らが勝ったよ」
「エスカルゴの子供達が8人じゃろ。そりゃあ天狗なんかじゃ歯が立たぬわ。そもそもの地力が違う。何やかんや言っても、元の強さがモノを言うもの。数しか取り柄のない天狗になど、勝てて当たり前。そう心得よ」
「はい」
縁側にて休憩していた2人はそんな会話をする。するとそこに、茶を淹れてきた妖夢が2人のそばに茶を用意する。妖忌は喉を潤しにかかるが、妖舞は何事か考え込んでいるようだった。
「もー、お爺ちゃんってば、まだ子供の妖舞に変なこと吹き込むのやめてよ」
「変なこととはなんじゃ、変なこととは。天狗には勝てて当たり前だと言っているだけじゃ」
「それで妖舞が『勝てて当たり前なら俺は負けないはずだ』なんて考えて山に攻めたらどうなるのよ」
「そこまで愚かでもあるまい。のう?妖舞?」
「へっ!?あ、ああ勿論!あは、あははは!」
((図星だったか……))
やはり母には敵わない。妖舞は内心、刃のように鋭い妖夢の読みに舌を巻いた。
そう、妖舞は山への討ち入りを考えていた。普段大人数の相手をする事が無く、彼としても面白そうだったからだ。
「爺ちゃん、俺、どっかで戦ってきたい」
「こら妖舞、何を言っ……」
「いいのではないか?行ってきなさい」
「え」
「お爺ちゃん!?」
「じゃが山だけはやめておきなさい。それ以外の、己が認める実力者達に挑みなさい。妖舞よ。圧倒的多数を相手にするのは、お前には早い。それだけは心得よ」
「はいっ……!」
「宜しい。では行ってきなさい。明日の朝までに、10戦以上こなせ。よいな」
「えっ!?」
「よいな?」
「……はい……」
◆
こうして、半ば追い出されるようにして冥界を、白玉楼を出発した。手っ取り早く、白玉楼の3人と戦おうと考えていた妖舞だったが、妖忌はこれを、
「冥界の外で戦わなくては意味が無いだろ」と叱り妖舞を冥界の外に追い出したのだ。確かにこれは、彼が横着しすぎだった。妖夢は渋々といった面持ちだったがこれに協力。かくして妖舞は24時間以内に10戦以上をこなさなくてはならなくなった。
1戦目。宴会で見た事のあった、風見幽香に挑むことに決めた妖舞は、太陽の畑へと向かう。強いと噂される幽香と戦えば、姉達からの自分の評価すら変わるだろう。妖舞はそう簡単に考えていた。
「ごめんくださ……」
「あらあら、可愛い坊や」
「ダメよ幽香、これエスカルゴの子供よ?」
「アイツの?じゃあダメね」
扉を叩こうとすると、花畑の方から2人の幽香が歩いてきた。髪の長い幽香と、短い幽香。どちらも凄まじい妖気で、どちらもとんでもない実力者だと肌で感じられた。
髪の長い幽香は妖舞を見ると目付きが変わった。しかし短い方の幽香に窘められて、態度をコロッと普段通りに戻した。
「え……え……なんで2人ッ……!?そっちの長い方は誰なんだ!?」
「あぁ、このロングヘアーの幽香は幽香よ。そして私は風見幽香。……まぁ私の友達って解釈でいいわ」
数年前まで夢幻館に居た幽香は、現在は幻想郷の風見幽香と共同生活を送っている。一応、全く赤の他人ではあるが、多くの姉妹、弟を持っている彼は実に人間的で、簡単な感想を漏らした。
「双子とか姉妹なんじゃねーの……?」
「そうかもね。でもそんなのはどうでもいいのよ。他人でも血縁でも一緒に暮らせばどちらも同じよ。話は戻すけど、妖舞くん。急に私の家に来るなんてどうしたのかしら」
「あー……えっと、幽香……さん、と、戦いたくて」
「えぇ?あなた正気なの?私、あなたのお父さんを何回も殺してるけれど、それでもいいの?あなたもうっかり殺しちゃうかも……?」
「っ……だとしても、自分で挑んだ以上、仕方ない。そう思う事にするよ」
「あら。いつまでも子供だと思っていたら、案外、肝が据わってるじゃない。気に入ったわ」
「何……?」
「私、あなたが赤ちゃんの頃から知っているのよ?成長を感じられるのってイイわね〜、子供を持つとこんな感じなのかしら」
「……」
「じゃ幽香、あなたは花畑の管理の続きをお願い。私はこの子と遊んでくるわ♪」
「はいはい、わかったわよ。せいぜい、痛い思いはさせないであげなさいよー?」
「ふふ、どうかしら」
傘を手に取り、優雅に歩み寄る。ジワジワとその強大な妖気を漏れさせ、妖舞を震え上がらせるも、妖気での脅しをやめはしない。
「すぐ逃げ出すと思ってたけど、案外耐えるのね」
「と……トーゼンだぜっ……父上の方が怖ぇし……」
「ふぅん?まぁ確かにエスカルゴの方が怖いわね。でもねぇ妖舞くん……私だって、エスカルゴを殺せるくらいには強いし、怖いのよ?」
「っ……」
「『よーいドン』で始めましょ。子供だもの、それくらいのハンデをあげる。溜め攻撃でもなんでも、今のうちに用意しておきなさい。……よーい、ドン」
「ッッッ」
渾身の居合を仕掛ける。けれども幽香は、閉じた日傘にてそれを受け止めてしまった。瞬間的にならあの射命丸文でさえ超えるその速度に襲われたにも関わらず、しかも全く押されすらしない。
「へぇ。手から刀を出すの?特異な能力なのね」
「!?」
茜の結界の生成速度と遜色ない幽香の防御速度。妖舞ではその光景がまるで理解不能で思わず思考が停止する。
目の前のこの妖怪は何なんだ、コイツが何なのか全く分からない、と。
当然だがそんな妖舞を幽香が見逃すはずもなく、閉じたままの日傘をバットのように振り、彼方へと妖舞を吹き飛ばしてしまった。
◆
「イテテテテ……。あの怪力女、俺んこと遊び感覚でブッ飛ばしやがった……アレは無理だ、勝てねーな。父上はよくあんなのに勝てるなー……」
腹に強烈な打撃を喰らった妖舞は、太陽の畑から遠く離れているはずの霧の湖まで飛ばされていた。
ここまで吹っ飛ばされてもなお、彼が五体満足でこうして行動できているのは、偏に、彼が吸血鬼の血を引いて丈夫だからである。
そしてそんな妖舞の次なる目的は────。
「おいそこの妖精。お前、チルノってヤツか?」
「えぇっ!?わ、私は名無しですぅっ!!」
薄緑色の髪をサイドテールにした妖精は、心から怯えるように答えた。妖舞は、そんな怯える妖精を見て、高圧的でも良さそうだと感じた。
きっと彼の父、エスカルゴがこんな場面を見たら本気でキレるだろう。しかしそんな事とは露知らず妖舞は怯える幼女を相手に脅すように言う。
「にしては妖精の割に強い力を感じるけど?チルノとかいう妖精はバカ強いんだろ?」
「あ、あのっ、私は大妖精です!チルノちゃんは、私のお友達の方でっ……」
「大妖精?……あー、母上から聞いたことがあるな。妖精の中でも特に強い力を持つのが大妖精だって。てか、チルノの友達って言ったな?そいつんこと、ここに連れてこれる?待ってっから」
「えっ……だ、ダメです!」
「あー?何でだよ?」
「悪い事する気でしょっ!そんなの、お友達として見過ごせません!」
「……あっそ、なら無理矢理にでも言う事聞かすし。お前もそれでいいよな?」
「わわ、私に手出ししたらエスカルゴさんが黙っていませんよっ!こう見えても私、エスカルゴさんの彼女なんですからっ!!」
「は?妖精が?父上の?」
「そ……そーです!」
(オイオイ流石に嘘だろ?父上、妖精にまで手出ししてんのか?有り得そうだけど、フツーに考えたら嘘だよな。……でももし本当なら…………いや。やっぱやめとくか。余計な事で怒られたくねーし……)
「あ……あの……?」
「……わーったよ。チルノにもお前にも特に手出しはしねーよ。その代わり、ここで俺らが会ったのは、父上には内緒な」
「は、はい、分かりました!」
嘘である。大妖精は、恨むまではいかないにせよ心から彼に恐怖した。だから、告げ口ではないが、ただ「怖かったこと」だけをエスカルゴに話そうと考えている。
それだけ、高圧的な態度の妖舞が、彼女の目には脅威に映ったのだった。
そして、大妖精と別れた彼が向かったのは、湖の向こうの紅い館────紅魔館であった。
「こんにちは妖舞くん!」
「こんにちは。ちょっといい?」
「あ、はい!どうぞ通ってください!」
「いやそうじゃなくて。俺と戦ってほしい」
「え!?そ、それはまたどうして……?」
いつもなら、妖舞が戦うのは彼の姉の弦月姫だ。十六夜弦月姫、紅魔館の副メイド長にして、十六夜咲夜の娘。妖舞から見れば異母姉弟。刃物を使う者同士、頻繁にその刃を交えていた。そしてなんと、最近になってやっと、妖舞が弦月姫に勝てるようになってきたところだった。
そこに来てのこの戦闘依頼。美鈴が驚いたのは、言うまでもない。
「戦いたいから。父上と美鈴さんだと、美鈴さんの方が強いらしいじゃん。だから。いい?」
「いやぁ、それは弾幕戦じゃないからなんですよ。弾幕戦だと私が全敗です。格闘戦でしたら今の所は私が全勝中ですがね」
「じゃあ、美鈴さんは格闘で。俺はいつも通りで。それでいい?」
「ほうほう、異種格闘技戦みたいで面白いですね!イイですよ!暇していたところですし!」
(門番が『暇してた』って……それでいいのか?)
「それではこの花弁が地面に着いたのを戦闘開始の合図としましょう。いいですね?」
「え?あ、あぁ、分かったよ」
風に吹かれて飛んできた花弁を指で掴み、それを見せ付けるようにして言う。妖舞は気圧されつつもそれを了承し、美鈴は空高くそれを投げ上げた。
当然ながら花弁は軽すぎて殆ど手の高さ以上には舞い上がらなかったが、ヒラヒラ……と舞い落ちる。妖舞は刀を手から出す一方、美鈴は太極拳のような構えを見せる。
「────ッッ」
「ほあたッ!」
「!?」
美鈴の胴体を真っ二つにせんばかりの勢いで刃を振るう妖舞、しかし美鈴は刃が胴体に届くより前に彼の刃を拳で叩き折ってしまい、妖舞の腕の振りは殆ど意味が無くなってしまう。
「刃物は横からの衝撃に弱いのです」
「それ……マジなんだ……」
「さて降参しますか?しないのなら、容赦なく攻撃させて頂きますが」
「降参しな────」
◆
「うぇぇ……これ完全に顔腫れてる……熱いし痛ェし最悪だ……」
今度は迷いの竹林方面に飛ばされた妖舞は、既に傷だらけで、しかも今度は顔が腫れていると感じ、仕方なくそのまま迷いの竹林へと突入した。
道なんて分からない。そもそも来た事さえない。妖舞は巫月や緋月に会いに来ることなど無いので、自然と永遠亭に来る用事も生まれない。だから彼は巫月の弟として生まれながらもこの約7、8年間で赤子の頃の定期検診以外で来たことがなかった。
「……迷った」
当然、迷う。てゐや妹紅など、竹林に長年住んだ者ならばいざ知らず、初見の妖舞でどうにかなる事はずもない。
「助けてあげよっか?」
「え?」
「迷ってるんでしょ?道案内したげるよ♪」
そんな彼の前に現れたのは因幡の白兎。因幡てゐだった。彼女に出会った者は小さな幸せが得られるなどとまことしやかに囁かれている。しかし、ただ出会うだけでは、竹林から脱出するくらいで幸運を使い切ってしまうのだとか。
とはいえ今の妖舞は、それで良かった。ここから帰る時の事なんて一切考えていない。その無鉄砲な性格だけは、父親の性格に似てしまっているのかもしれない。
「────はい、到着ぅ」
「って、外に出てるじゃねーかよーーーーっ!!」
「『道案内する』とは言ったけど、『何処に』とは言ってないよ〜?」
「クッッッソ……まんまとやられた……!!」
「ウッシッシ……さぁさ帰りなされ、子供はおうちでままごとしてるのがお似合いだよ」
「いーやぜってぇヤダ!こうなりゃヤケだ、自力で永遠亭まで行ってやる!行くぜェ!!」
「あっ待ちな……あー、行っちゃった。知ーらない、私は何も知ーらないっと」
妖舞の背中を目だけで追う。すると、次の瞬間、竹林の竹が凡そ幼子の目線あたりの高さより上が、一瞬で切り飛ばされてしまった。
竹林に飛び込んだ彼は能力を使用。これでもかと刀を伸ばして、その場で射程範囲内の竹を全て薙ぎ払ったのだ。
「嘘……やりやがったウサ……あのバカガキ……」
それを何度か繰り返し妖舞は永遠亭を発見した。しかしその前には竹林の異変を感知した輝夜が自ら表に出てきていた。
彼女はボロボロな姿の妖舞を見るなり驚いた顔を覗かせる。
「あらまぁ妖舞くん、どうしたの?」
「……幻想郷の強ぇ奴らと戦ってきた!!ちょっと、手当してほしい!!」
「そうだったのね。でも竹林を切り飛ばすのは少し頂けないわねぇ?」
「ゔっ……」
「まっ、竹はいいわ。永琳なら竹の成長薬でもまた作ってくれるでしょ。さ、お入りなさい。診療所、今日はおやすみなのよ」
「おじゃましまーす。……姉上は?」
「寺子屋が終わって、魔界に直行したらしいわよ。巫月ちゃんに用でもあった?それなら、私の方からあの子に伝えておくけれど?」
「大丈夫」
「そう、それならいいのだけど。えーりーん、少し手を貸して欲しいんだけどー?」
返事は無い。輝夜は「何してるのかしら」と呟き玄関に上がる。妖舞も彼女に続いて永遠亭に上がり診療所側でなく家屋側から診療所に入り、傷を洗浄してもらい、途中から合流した永琳に軽く診察してもらう。
「あらあら、酷い打撲ね。妖舞くんもそれなりには吸血鬼の血が強いからすぐ治りそうなものだけど。でもこれ……そうねぇ、見た目以上に酷い傷ね。一体誰と戦ってきたの?」
「風見幽香さん……紅美鈴さん……」
「幽香と戦ってここまでにはならなさそうだから、美鈴かしら?全く、やりすぎなのよ」
「降参しなかった俺が悪いから。……だから大丈夫」
「……そう。とりあえず消毒はしたわ。妖怪用だし、かなり強い薬も塗ったから、すぐに治るはずよ」
「っ!すげ……もう顔の腫れが引いた……」
「消毒するのと同時に傷周辺の細胞を活性化させる塗り薬を塗ったの。人間に使うと、子供以外はすぐ死ぬけどね」
「え!?」
「人間っていうのはね、細胞分裂できる回数が殆ど決まってるのよ。だからあまり過剰に細胞分裂とかさせると、寿命をゴリゴリ削ってしまう。あなたは半人半霊より吸血鬼の血が強い。だから耐えられるだけなのよね」
「って、ことは……もし沢山使えば俺も老ける?」
「そうね。少しくらい成長するかもね。半人半霊の寿命ってとても長いって聞くし、老化とかしないと思うわよ。背が数ミリ伸びるだけかもね」
「なーんだ」
「……あなたはまず、見た目よりも中身の成長が大事なんじゃないかしら。強さも含めてね」
「っ……父上も、師匠も言ってたんだ。強くなる為の近道なんて無いって」
「そりゃそうね」
「もしあるとするなら、それは、格上と戦うこと。負けて負けて負けて負けて、とにかく負けまくって己の血の味を覚え、そうしてやっと強くなるって。ははっ……何か変だよな、父上なんて師匠にまともに師事してないはずなのに……技を1つ教わったくらいなのに、2人が言ってること、殆ど同じなんだよ。口裏を合わせたみてーにさ……」
「……それだけ、エスカルゴも妖忌さんも、過去にはとにかく負けまくったからって事なんでしょう」
「……!」
「きっとあなたの目には、エスカルゴも妖忌さんも絶対的な強さを持っているように映ってるわよね。でも違うのよ。エスカルゴは『幻想郷で2番目』をずっと目指して己を磨いてる。それでも、目標には全く届かない。近付いているかどうかさえも不明。妖忌さんだって、幻想郷と冥界の実力者を合わせて数えたとしてもトップ10にすら入ってないはずよ。彼らより強い者なんて、案外、身近なのよ」
「……どうすれば、強くなれんのかな。俺にはもう分かんねー。負けてばっかで強くなれんのかよ……」
「同じ事を繰り返す。それだけよ」
「……。ありがとう。頑張ってみる」
「そうね。何ならこの後、うちの姫があなたの相手するわよ?」
「え!いいのかっ!?」
「勿論。どうせ陰で聞いているんでしょう、輝夜」
「なーんだ、バレてたのね♪」
「うわマジで居た!」
「さぁ妖舞くん、表に出なさい!弾幕とは違う私の戦い方……その身に教えてあ・げ・るっ♡」
「……!宜しくお願いします!!」
程なくして、妖舞の肉体は輝夜によって彼方へと吹っ飛ばされた。パッと見は筋肉質ではない輝夜、しかしその実、彼女はかなりの力持ちである。
もう吹っ飛ばされないだろうとタカを括っていた妖舞だったが、そんな甘い考えは輝夜には手に取るように分かってしまった。
だからこそ敢えて先程まで妖舞が味わったようなやり方で吹っ飛ばしてあげたのだ。
こうして妖舞は改めて己の弱さを知った。そして師匠のように、母のように、そして父のような強い力を得る為、白玉楼にて真面目に鍛錬をするようになったのであった。
輝夜……金閣寺……うっ頭が……。