博麗霊夢の日記──
〇月β日
昨日はほとんど日記が書けなかった。
と言うか昨日はほとんど意識がなかったから、何が起こったのか全く覚えていない。
紫からいろいろと話を聞かされたから、なんとなく事の展開は理解することができた。
紫から聞くには、私は昨日の朝、何度声をかけても起きなかったらしい。
心臓は動いてはいたが、紫の術を用いても何の返答もなかったみたいだ。
私が知らないところで、いろいろとドタバタしていたらしく、昨日は魔理沙や萃香も来ていたようだ。
……いや、今日もいるらしい。
どうやら、私が永遠亭に来てから、ずっとここにいるらしく、今は別の部屋で待っているらしい。
つまるところ、昨日私が意識が朦朧としている中見ていたのは現実だったわけだ。
明らかに目がぼやけていたから、夢だと思っていた。
まあ、そんなことよりも、今は紫から言われたことが気になる。
私の身体に明らかな異常が見られたことから、紫からいろいろと言われてしまった。
紫が言うには、昨日私が寝ているうちに、いろいろと私に術をかけたらしい。
確かに体にそのような術がかけられた違和感はあるけれど、そこまで気になるかと言われるとそうではない。
まあ、これでちょっとは調子が良くなればいいんだけど。
追記
もちろん、魔理沙や萃香とも会った。
私が永遠亭で起きた時には、二人とも私の布団の側で寝ていた。
少女と幼女?が寝ている姿は、たいへん微笑ましく、それだけで一枚の絵になりえる価値があると思った。
おそらく、私が意識を失っている間も、寝ることをせずに私が起きるのを待っていたのだろうか?
まあ、さすがに私も鈍感ではないので、それぐらいは分かる。
起こすのも悪いので、そのまま放っておいたが、私がくしゃみをしてしまったせいで魔理沙が起きてしまった。
起きた後、数秒間は魔理沙も寝ぼけていたのか、なんの反応もなかった。
ただ一度目をこすると、思い出したかのように私の肩を思い切り掴み、私のことを押し倒してきた。
私の弱った体では、魔理沙の行動に反応することもできず、抵抗することもできなかった。
そしてさらに、私の倒れた音で萃香も起きたらしい。
萃香は寝ぼけることはなかったから、その音に反応してすぐにこちらに向いてきた。
つまり、私が魔理沙に押し倒されているところを見られた。
その時の魔理沙の顔も、寝ぼけていて、とろんとしていた分、中々に扇情的だった。
まあ、私は女だから全く問題はないけれどね。
ただ、萃香にそれを見られた後「ま、まりさ……まさか、そういう……」と言われた。
だから私は女でしょ。
何を勘違いしているのだろうか?
あと「そういう」ってなによ。
魔理沙も魔理沙で、萃香がそう言った後、頭が回ってきたのか状況を理解したようだった。
すぐに「あわわっ、ごめんだぜっ!!」と言って大急ぎで離れていった。
顔も真っ赤だったし、萃香も大笑いだったし、私だけが取り残された。
解せない。
○月#日
入院2日目。
結局、暇は続くようだ。
私自身はそこまで体調が悪いわけではないが、永琳たちからも絶対に永遠亭から出ないでと釘を刺されてしまったから、さすがに聞かないわけにはいかない。
それと、これからも魔理沙や萃香は永遠亭に居座るようだ。
まあ……魔理沙は良いけれど、萃香には正直帰ってもらいたい。
ただでさえ鬼という強い種族の長みたいなものなのだから、鈴仙辺りが少し怖がっている。
まあ私には関係ないから別に良いんだけどね。
それと、一番最初に暇は続くと書いてはいたが、案外そこまで暇と言うものは感じない。
基本、私が布団にいるときには両サイドに魔理沙と萃香がいるのだから、寂しさは感じないし、基本話しているから、布団の中に居ることに飽きることはない。
のどが渇いたときやお腹がすいたときには、体を優しく支えてくれるものだから、本当に看護されているみたいで、なかなか落ち着く。
世話をされるというのもなかなか良いものなのかもしれない。
特に今日はそれ以外目ぼしい何かはなかったので、日記はこれぐらいにしておこう。
〇月И日
今日は輝夜が会いに来た。
まあ、永遠亭にいるんだし、いつか来るだろうな―とは思ってはいたけれど。
そういう輝夜も私の余命については当然ではあるが知っていた。
永遠亭に住んでいるんだし、そりゃあね。
輝夜は基本的に永遠亭を出ないし、私は基本永遠亭には行かないしで、輝夜と会うのは本当に久しぶりであった。
いろいろ積もる話があったので、会話は案外盛り上がった。
輝夜とは性格的なことも含めて、そこまで相性は良くないんじゃないかなーとも考えてはいたが、そういうわけではないようだ。
前の宴会でも話は合っていたから、案外良い友達になれるのかもしれない。
そして話の流れのうちに、私の寿命の話になった。
ただ、輝夜は不老不死だということも相まって、やはりほかの人の価値観とは少し離れているようだった。
命とは何なのか?
……みたいな哲学的な話では一切ないんだけれども、私の余命についての輝夜の考えを聞かせてもらった。
やっぱり、久遠の時を生きる者のそのような価値観は前世と何十年しか生きない私にとっては、ホントに教訓になるものだった。
経験が物を言うという言葉があるけれど、やっぱり正しいのかもしれない。
輝夜と話せたおかげなのか、私の奥底にあった不安のようなものは少しだけ弱まったような気がする。
私自身、命がなくなることが怖くないわけではないし、できるのなら、もっと生きていて友達と過ごしていたい。
でも、それはできない。
そんなことは分かり切っているけれど、どうしても割り切れないのが生きる者の摂理なのかもしれない。
……難しいことをつらつらと書いたが、結局のところ、私は輝夜と会ったおかげで踏ん切りがついた。
死ぬことに対して、受け入れなければいけない時がある。
それがあと1年後と言うだけの話なのだ。
あまり深く考えない方が、世のため、身のため、友達のためなのかもしれない。
まあ、世のためなんかは気にしてないんだけどね。
追記
輝夜との会話をきっかけに、かの有名な永遠亭の姫様は今度私が元気になったら、博麗神社に行ってもよろしいとのことだった。
引きこもりがちな輝夜が外に出ようとすること自体が珍しかったので、結構驚いてしまった。
来ること自体は普通にうれしいので、早く体を整えていこう。
そのためには……ちゃんと寝るしかないのか……。
暇だけれども仕方がない。
さっさと元気になりたいものだ。
〇月γ日
とうとう、体の調子が良くなってきた。
ホントに待ちに待っていた。
本音を言えば、もっと早く博麗神社に戻りたい……もとい、布団から抜け出したいという気持ちが大きいが、背に腹は代えられない。
まあ、魔理沙と萃香が基本的に私の近くに居るもんだから、そこまで布団にいることが苦になっているのかと問われれば、否と言うしかないんだけどね。
まあ、そんな調子だから、明日にはここから脱出ができそうだ。
最近、私の体調は良くなって悪くなってを繰り返してるから、またここに来るような気もするけれど。
後、明日博麗神社に帰れると確定したからなのか、紫が来た。
体調管理と言われて素直に従ったら、結構な時間をそれに費やしたので、なかなかに暇だった。
ホントに最近は暇と言う言葉を多く使う。
今日は特に何ともなかったので、日記はここで終わらせてもらう。
追記
永琳と輝夜が来た。
退院祝いと言われ、ある薬をもらった。
永琳が言うには、体調を一時的に普通の状態に戻す薬だそうだ。
そして、この普通の状態に戻すというのが、キーワードらしい。
どんなに苦痛を感じようと、これを飲めば一時的にそれがなくなるのはもちろん、気分が高まったりする躁病や、一箇所だけ感じる違和感とかもかき消せるらしい。
一時的っていうのがネックだと、永琳は言っていたが、十分凄いと思う。
天才の考える「最高」って一体どういうものなのだろうか?
次元の違いを見せつけられた。
まあ、この薬はめちゃくちゃありがたかったので、物凄い感謝をした。
永琳は「これくらいで感謝しないで」と言っていたが、間違いなく「これくらい」ではない。
次に体調が悪くなったら、ぜひこの薬の効果を実感したい。
明日は博麗神社に戻る。
永遠亭の人たちにお礼を言わないとね。
指摘をいただき、少しあらすじの内容を変更させていただきました。
これからも何か、不快に思ったことがあれば、感想にお書きにくだされば幸いです。
これからもこの作品を楽しんでいただければ嬉しいです!