博麗霊夢に転生したが、あと余命1年らしい   作:鳩羽しろ

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『霧雨魔理沙』の日記 〇月 二頁目

霧雨魔理沙の日記──

 

 

 

 

〇月◇日

 

もう、最近はいろんな不幸なことが起きている。

私の精神はかなり摩耗していることだろう。

 

実際に、昨日、霊夢に会ったその時から、私はずっと引きこもっている。

あの時の霊夢の苦しそうで、すぐに命を散らしてしまうような儚い顔を思い出すだけで、涙が止まらなくなってしまうのだ。

 

〝死にたい〟と、また思ってしまった。

 

昔、私が体調を悪くして寝込んで、霊夢がお見舞いに来てくれた日。

その時に、私は死にたいと思ってしまった。

 

だけれども、私はその日から、霊夢と仲良くなるようになっていき、今では親友だ。

そしてその私と霊夢が親友になれたきっかけの日から、私は一度も〝死にたい〟なんて思ったことがない。

 

本当に一度もだ。

私の心がそうさせなかった。

どれだけ酷い目にあっても、霊夢がいるから、と言って希望を持ち続けていたのだ。

それが功をなしたのかは分からないけれど、今私は生きている。

 

……そして、今日、私は再び死にたいと思ってしまった。

霊夢がいない世界に希望はあるのか?

 

……いや、私にとってはないだろう。

 

霊夢がいたから私は強くなれた。

霊夢がいたから私は喜べた。

霊夢がいたから私は生きることができた。

霊夢がいたから霊夢を守ることができた。

 

それが一気に崩れる。

そんなの……考えたくもない。

 

だからこそ、私はまた引きこもり、どうしようもない現実から目を背け続けているのだ。

早くこの地獄から抜け出さないといけないと分かってはいるけれど、心はそう上手くいってくれない。

 

もう、力が出ない。

明日もまた私は外に出ることはないのだろう。

 

日記を書くのも、なんだか億劫で、自分の心をさらに追い詰めているような気がする。

もう、日記を書くこともないのかもしれない。

 

 

 

 

〇月▽日

 

今日の朝、紫が私の家にまた訪れていたらしい。

 

『らしい』というのは、単純にその時私は寝ぼけていたのか、あまりにも真剣で、ほかの事が目に見えていなかったかで、その時のことをあまり覚えていないからだ。

 

とにかく、私の家に紫が来たことは事実だ。

そして、またあることを言ってきた。

その時は前のように言いにくそうにしているわけではなく、私が扉が勢いよく開く音で驚いて、ベッドから飛び起きた後にすぐに話された。

 

「霊夢が起きないの! あなたも永遠亭に来て!」

 

確かそんな風に言われた。

寝起きで頭が覚醒してなくとも、私はすぐに状況を理解した。

だが、同時に理解せず、ずっと家に引きこもりたいという、甘い欲望の声も聞こえてきた。

 

ほんの少しだけ迷った。

でも、そんな甘い声は次の紫の声で搔き消された。

 

「お願いッ……! 霊夢を、守ってやって……」

 

鶴の一声だった。

それまで聞こえていたはずの醜い欲望の声が一切聞こえなくなった。

 

そこからは流れるように事が進んだ。

私が決意したのを紫は察知したのか、スキマを用意してくれた。

 

私はすぐにそのスキマに入ると、そこはもう永遠亭で、目の前には霊夢が見えた。

霊夢は前に見た時よりも、はるかに弱々しく見えた。

 

私はそこで泣いてしまった。

そして、同時に勢いよく霊夢に抱き着いた。

 

それでもなお、反応はない。

死んでしまったかのようにも思えたけれど、呼吸の音は聞こえるし、心臓の音もちゃんとしている。

死んでいるわけではなかった。

 

それだけが私の心を救ってくれた。

 

 

追記

 

そして、しばらくすると永遠亭に萃香も来た。

萃香も紫から霊夢の事を伝えられたようで、スキマから急いで出てきた。

 

萃香も私と同じように霊夢を心配していたようで、私と同じように霊夢の側に駆け寄って、うっすらと涙を流していた。

それにしても、萃香も知らされていたのか……

 

だとしたら、なんで私は知らされたのだろう?

別に私は特別な力なんてないし、紫と親しい仲と言うわけでもない。

はっきり言うのであれば、私はただ霊夢と仲が良いだけの一般人なのだ。

 

呼ばれる理由なんてほとんどないはずだ。

だとしたら、どうして?

 

霊夢の状態を知って、冷静になることができた私はそのような疑問が頭の中にずっとあった。

知らせてくれたのは本当にありがたい話なのだが、本当に分からない。

今度紫に聞いてみよう。

 

 

 

 

〇月β日

 

かなり恥ずかしい。

顔が今も真っ赤になってしまう。

 

あぁー、なんであんなことに……

 

いや、いったん思考を整えよう。

かなりの朗報があるのだ。

 

そう、霊夢が起きたのだ。

本当に良かった。

本当に嬉しかった。

 

もう起きないかとも思ってしまっていた私がいたけれど、霊夢はちゃんと起きてくれた。

それだけで私の心は、前のような醜いどろどろとした感情が一気に消えた。

 

簡単に言うならば、希望を取り戻すことができた。

気力を取り戻すことができた。

 

霊夢を助けたいと思えるようになった。

前までは自分の事ばかりだったのだ。

立ち直れないからと言って、自分の心を閉じてしまい、ただ現実から目を背けていただけなのだ。

 

だけれども、今は違う。

しっかりと、現実を見ることができている。

 

これからも心が折れてしまうときがあるかもしれない。

でも、立ち直らないといけないとは、私が一番わかっている。

 

よし!

元気を出そう!

 

霊夢のためにも。

 

 

追記

 

かっこいい感じで日記を締めてみた。

だけれども、やはり書きたくなってしまった。

 

それは今日の朝の事だった。

まず、昨日私は寝落ちと言う形で、萃香と共に眠ってしまったらしい。

だから、朝は少しだけ遅かった。

 

そして、霊夢が起きたのは朝らしい。

私が起きる前の。

 

ここからが本題だ。

まず、霊夢が起きた後、くしゃみなのか、別の物なのかは分からないけれど何かしらの音を立てた。

そして、私はその音で起きたのだ。

 

その時、私は寝起きだったので、一切の頭が回っていなかった。

霊夢が起きたことに、私は最初は気づかなかったのだ。

 

だけれども、数秒後。

私の頭は徐々に覚醒していき、今の状況を理解することができた。

 

霊夢が起きている!

 

私の脳はそのことでいっぱいだったのだ。

 

とっさに私は、霊夢に近づこうとした。

……そう、ここが問題なのだ。

 

何をとち狂ったのか、私は霊夢を押し倒し、霊夢の手を両手で押さえ、霊夢の上に覆いかぶさった。

本当に、この時の私の思考回路は理解できない。

 

これが異性同士であれば、完全にアウトな体勢だ。

まあ、異性にこんなことをすることなんてないけれど。

 

だけれども、霊夢にそういうことをしてしまった。

私の頭は、その時霊夢が起きたという喜びしかなかったから、判断が鈍っていたのは分かるけれど、もう少し……あともう少し考えてほしかった。

 

そして、霊夢を押し倒した音で、萃香が起きた。

萃香は寝ぼけていなかったから、すぐにこちらを見た。

 

……最悪だった。

萃香にこの状況を見られた。

 

その後、萃香は萃香で「ま、まりさ……まさか、そういう……」とか頭がおかしいことを言い始めたので、殺意すら湧いてきた。

面白がって言っている心の姿が目に浮かぶ。

 

ただ、私もその時ようやく状況を理解したのか、反射的に霊夢から離れた。

 

霊夢は何が起こっているか分からないようだったけれど、萃香……お前は違う。

その後、萃香はあろうことか大笑いしてきたのだ。

 

確信犯。

 

本当に殺意が湧いた。

だけれども、その時の私の困惑っぷりから、萃香に何か思うことはなく、ただただ霊夢に謝っていた。

 

今思えば、萃香に一発拳を入れても良かったのかもしれない。

今度茶化したらただじゃ置かないからな、萃香。




ぼちぼちと投稿するんで、気長に待ってくれれば幸いです。

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最近、感想が増えたので、作者はとても喜んでいます。
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