博麗霊夢に転生したが、あと余命1年らしい   作:鳩羽しろ

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『茨木華扇』の日記 〇月&◇月 一頁目

茨木華扇の日記──

 

 

 

 

〇月γ日

 

最近、守矢神社の巫女である東風谷早苗の修行が妖怪の山でも有名になっているらしい。

天狗たちからそういう噂をよく耳にするようになったのは、何週間から前の事だ。

 

なぜ有名になっているのだろうか?

 

当然、私はそのような疑問が湧いた。

私は幾人かの天狗から話を聞いてみると、修行の内容が前よりも見るからに難易度が高い、過酷な修行をしているそうだった。

 

修行が厳しくなること自体は珍しいことでもない。

だが、噂をされるほどの修行であれば、その過酷さは測らずともとんでもないものだと容易に想像できるだろう。

 

もちろん、私は早苗に会おうとは思った。

だけれども、天狗たちに噂をされるほど困難な修行だ。

私が守矢神社に行って、集中力を乱すようなことはあまり私の中でも憚られた。

 

だからこそ、私は守矢神社に行くことはなかったのだ。

早苗が修行が終わったころに行って、団欒を楽しむのもまた一興だろう。

 

今日までそのような考えがあったから、私は守矢神社には向かわなかったけれど、ふと今日の昼頃にある考えが湧いてきた。

 

博麗神社に行って、霊夢の様子を見に行こう。

 

逆に、ここまでこの考えが出てこなかったのが不思議なくらいだ。

早苗が修行しているとなると、霊夢は今何をしているのだろうか?

 

霊夢はそこまで修行に積極的ではない性格だ。

だけれども、怠ることはしない。

そんな霊夢だからこそ、博麗の巫女の肩書を担える存在なのだろう。

 

しかし、だからと言って霊夢にも何週間も修行をしない期間はある。

基本的にそのような時の理由は面倒臭いからなので、その時々に私は喝を入れて霊夢は嫌々修行はしているのだが、最近私は博麗神社に行っていない。

こういう時の霊夢は修行を怠りがちだ。

 

ちゃんと修行をしているのだろうか?

 

私は即刻、博麗神社に行くことにした。

すぐに行動をして、悪いことはない。

 

私が博麗神社についた時にはもうそろそろで夕方になるころだった。

少し久しぶりではあった。

まあ、久しぶりと言っても数週間ではあるけれども。

 

しかし、そんな博麗神社には人っ子一人いなかった。

確か狛犬の……そう、高麗野あうんすらもいなかった。

まあ、あうんに関してはおそらく命蓮寺あたりにでも行っているのだろうけれど、霊夢や魔理沙もいないのは珍しいことだ。

 

と、言ってもいないのは仕方がないので、私は特に何か感じることもなく、家に帰った。

明日にまた博麗神社には行こうと思う。

 

霊夢はちゃんと修行をしているのだろうか?

サボってお茶ばかり飲んでないといいのだけれど、真相はおのずと明日分かるだろう。

 

 

 

 

◇月〇日

 

今日は昨日予定していた通り、博麗神社に向かった。

 

今日は昨日とは違い、誰もいないわけではなく、霊夢がいた。

霊夢はいつも通りと言って許容していいのかは分からないが、縁側に座ってお茶を飲んでいた。

 

相変わらず、暢気な性格をしていると思う。

物凄いゆったりとした表情をしているし、完全な脱力状態と言わんばかりに、足はプラプラと揺らしている。

 

私は霊夢に近づいて行った。

霊夢と会うのも博麗神社に行ったっきりで、そこから会っていない。

そこまで時間は経ってはいないけれど、なぜなのだろうか?

 

どこか前とは印象が違うように感じた。

前よりも少しだけ痩せているように見えたし、どこか覇気がない。

 

まあ、まずは対話だと霊夢に話しかけようとしたけれど、霊夢は私を見た途端さっきまでのゆったりとした表情から、一気に何かしらを探っているような、疑っているかのような表情に変わった。

 

これも遺憾ながらいつも通りだ。

私が博麗神社に来るときは決まって修行について私は聞くので、あの面倒臭がりな霊夢の心情は何となく理解はできる。

だからこそ、霊夢は私が博麗神社に来たと分かったら、この顔をするのである。

 

だけれども、人を見た途端嫌な顔をするのはどうかと思う。

まあ、それがいつも通りの霊夢なのだから仕方はないんだろうけれど。

 

いつも修行に対して口うるさく言っている自覚はしているが、ここまで嫌がられるとどこか悲しい気持ちにもなってくる。

 

まあ「そんな顔を私にするものじゃありませんよ」と言って少し叱っておいたが、霊夢はどこ吹く風と言わんばかりに「はーい」と無機質な声で返事するだけなのだが。

 

その後は霊夢がお茶を用意をしてきた。

そこまでの流れはまさに手馴れているもので、私が何かを言う隙も無かった。

 

流石に出されたお茶を飲まないのも悪いので、飲みながら最近の霊夢について聞いてみた。

 

私は霊夢に対して質問をしようとしたときに、ふと先ほどの違和感が頭をよぎったのだ。

 

どこか前と印象が違う。

 

なんとはない私の勝手な思い込みかもしれないけれど、ここは団欒の間だ。

このような何でもないことを聞いてみるのもありなんじゃないかと、その時の私は考えた。

 

私は霊夢に対しての疑問を口にした。

すると、霊夢は少々悩むような表情を見せた後、次のように話してきた。

 

最近、体調が悪い。

 

私が霊夢に対して感じていた違和感の正体はこれだったのだ。

しかし、霊夢にしては珍しい。

 

霊夢は基本的に何かしらの病気にかかることはないし、体調が悪い時もそんなにないのだ。

ただ、霊夢も博麗の巫女と言っても人間だ。

体調不良ぐらい起こすだろう。

 

どこか霊夢だったら風邪とか引かないんじゃないかと思っていた節もあったがどうやら違うようだ。

 

そして、その後修行についても聞いてみたが、体調不良が続くらしく、やっていないらしい。

まあ、それは分かり切っていたことだったので、体調が早く治ることを祈るばかりだ。

 

その後は単純にお茶を飲んで霊夢と共にまったりとしていたけれど、魔理沙が今日は来なかった。

不思議に思って、霊夢に聞いてみたところ、どうやら用事があるようだった。

 

魔理沙とも最近は会っていないので、明日もここに来るのもありなのかもしれない。

 

 

追記

 

あまり、日記に書くのも憚れるようなことを聞いてしまった。

 

霊夢はあと1年しか生きられない。

 

そんなことを萃香から聞いてしまった。

 

始まりは博麗神社からの帰りだ。

妖怪の山に行こうと足を進めていくと、途端、萃香が現れたのだ。

これに関しては萃香の力もあるので、慣れっこではあるけれど、そこは今は問題ではない。

 

萃香の顔。

どこか悲痛を感じるようで、それでいて真剣な顔だった。

萃香がそんな顔をするなんて珍しい。

 

いつもとは違う萃香を見て、普段であれば逃げるなり、追い払うなり、萃香を退けようとしていたのだろうが、今回はそのような考えはなかった。

萃香から「……話したいことがある」と言われてしまい、あまり気乗りはしなかったけれど、萃香に付いて行くことにしたのだ。

 

すると、どうだろうか。

あろうことか萃香は言い出したのだ。

先程の悪魔のような言葉を。

 

私にとって、それは信じたくもない呪いのような言葉だった。

だけれども、何も聞かずして判断はしたくはない。

 

仕方なく、私は萃香との話に付き合うことにしたのだ。

 

そこからは情報と言う情報が私の頭に入ってきて、どこまでが真実かどうかなんて分かりもしなかった。

……今、日記を書いている私でも考えているように、明日、霊夢に会いに行くべきなのだろう。

 

もとよりそのつもりだった。

だけれども、理由が全く持って違う。

正直、萃香が言っていることが冗談であることを信じたい。

 

明日、私はどんな顔で霊夢に会いに行けばいいのだろうか?

私は今も、そのようなどうでもいいことで頭を悩まされている。




そろそろ物語が進み始めてきていますね。

投稿が少し遅くなると思いますが、ご理解してくださると幸いです。
これからも「博麗霊夢に転生したが、あと余命1年らしい」をよろしくお願いします!

投稿のモチベが最近下がりがちなので、良ければ!
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