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3月26日、午後23時57分46秒。トレセン学園から少し離れた場所に位置する公園にて。
「こんばんは」
エイシンフラッシュがそう声をかけると、ベンチに座る男はゆっくりと振り返った。
それは、彼女のトレーナーだった。正確には、エイシンフラッシュが引退するその時まで彼女のことを担当していた、元トレーナーであった。あれから二年と少しの時が経ったが、しかしあまり懐かしさは感じなかった。
というのも、エイシンフラッシュは引退してから学園の事務に携わっているため、彼と顔を合わせる機会もそこそこあるので、それも当然のことだった。ただ、あの時よりも共に居る時間が減って、そのぶん彼との距離が離れているという実感を、エイシンフラッシュは確かに覚えていた。
少なくとも、こうして二人で待ち合わせをするのに、緊張を覚えるくらいには。
「あいよ、お疲れフラッシュちゃん」
「はい、お疲れさまです。……すみません、待ちましたか?」
「少しだけね。ま、ヒマだったから全然いいよ」
相変わらず軽いというか、砕けたような調子でトレーナーが手を上げる。そんな彼の隣に腰を下ろすと、手に提げたビニール袋が、がさりと小さな音を立てた。
「……もしかして、今から帰りだった?」
「いえ、そういう訳では……どうしてそう思ったんですか?」
「だって、ほら。それって今日の晩飯じゃないの?」
「これは明日の朝食です。食事はもう済ませましたよ」
「にしては多くない? フラッシュちゃん、朝とかけっこう食べれるタイプ?」
「元より、ウマ娘は人間より多く食べるものですから」
「あ、そう」
突き放すような彼の返答には、とっくの昔に慣れ切っていた。
スケジュールを何度も無視された。トレーニングの予定を何度もすっぽかされた。そんな日程などないのに、遊びに行こうと何度も連れられた。彼と過ごす多くは、何の意味も持たない、無益で無駄な時間だったと思う。
ただ、それが嫌だったかと言われると、エイシンフラッシュは何も答えられなかった。
「新しい担当の子とは、どうですか?」
「んー……ま、ぼちぼちって感じ。もうちょい頑張ってくれたら、嬉しいんだけど」
「まだ、デビュー前なんでしょう? 貴方が指導にあたっているんですから、きちんと結果は残してくれるはずです。ですから、無理だけはさせないであげてください」
「てか、アレだ。俺、フラッシュちゃんで目が肥えちゃったかも」
「……褒め言葉として受け取っておきますね」
「そうしといてよ」
他愛もない言葉を交わしながら、退屈に流れる時間を過ごしていく。
「フラッシュちゃんの方はどうなの?」
「特には。いつも話している通りですよ」
「実家に帰る予定とかは? ケーキ屋さん、やりたいって言ってたじゃん」
「はい。ですが、もう少し落ち着いたらになりそうです」
「そっか。もし開くことになったらさ、日本でも支店立ち上げるくらい頑張ってよ。俺、絶対買いに行くから。あ、それか通販とかしてくれる方がいいかもね。できるのか分かんないけど」
「……一緒に来てはくれないんですか?」
「無理。俺、ドイツ語喋れねーし。そもそもパスポートも作ってないもん」
へらへらと肩をすくめる彼に、エイシンフラッシュは呆れたような息を吐いた。
「もう少し、甲斐性というものを見せてほしかったです」
「俺にそんなの期待する方がどうかしてるって」
苦笑しながら彼が言うのと、時計の針が十二時に達したのは、ほとんど同時だった。
腕時計でそのことを確認すると、エイシンフラッシュは今一度、彼の方へと向き直って、
「今日が何の日か、覚えてますか?」
「え、あ、もう日跨いじゃったんだ。んーっと……今日は、3月27日?」
「はい。心当たりは?」
「……フラッシュちゃんって、そういうこと聞くタイプの子だった?」
言いながらも、彼は顎に手を当てながら考える素振りを見せた。即答されないことは分かり切っていたので、エイシンフラッシュはただただ唸り声を上げる彼のことをじっと見つめていた。そこには、少しだけ圧というか、迫るような何かが込められていたのかもしれなかった。それを自覚したとき、彼は出会って間もないころに浮かべていた、困ったような笑みを浮かべていて、まだまだ自分は子供なんだな、とエイシンフラッシュは心の中だけで呟いた。
やがて彼はああ、と何かに気づいたような声を上げてから、
「分かった、高松宮記念でしょ?」
「…………」
「いやー、フラッシュちゃんも今の子も短距離走らないから、すっかり忘れてた。見に行く予定もなかったし、ああそっか、もうそんな時期なんだ。いやー、もう年度終わりって感じで……」
「…………」
「…………」
「…………」
「……もしかして、ミスった?」
「はい」
「うわあ」
口にした言葉は、自分でも驚くほどに冷たい声色だった。
「え、ちょっと待って。3月27日でしょ? あれ、あと何かあったっけ?」
「……私としては、貴方がレースの日程を覚えていることに驚きました」
「いやいや、俺だってトレーナーだもん。それくらい覚えてるって」
「日本ダービー」
「いや……」
「出走登録が期日ギリギリになって危うく出走できなかったこと、今でも覚えてますからね」
「それはホントごめんって……」
がっくりと項垂れる彼に、エイシンフラッシュは何度目か分からない溜息を吐いた。
本当に何も変わっていない。むしろ、前よりもダメになっている気がする。
そのことに少しの安堵を感じているのは、彼に
「……ギブアップしてもいい?」
「構いませんよ」
くすりと小さな笑みを零してから、エイシンフラッシュは改めて口を開いて、
「誕生日です」
「誰の」
「私の」
彼の顔が、さあ、と青ざめていく様子を眺めていた。
「……あ、え? ウソ、今日だったっけ?」
「はい」
「ってことは、今年で
「そうなりますね。正確には、4分38秒前ですが」
「…………」
「……忘れてましたね?」
「マジごめん」
どうしようもないというか、何というか。ここまでくると、怒りも呆れもどこか遠くへ飛んでいた。ただ、失望だけはしなかった。それは決して良いところではないが、彼らしいところと言えばそうだったから。
両手を合わせて頭を下げる彼に、エイシンフラッシュが続ける。
「元より覚えているとは思っていませんでしたから、いいですよ」
「いやあ……すっかり」
「もしかしたら、何か持ってきてくれるのかなと、少しだけ期待はしましたが」
「……今日中ならセーフ?」
「だから、大丈夫です。無理に何かを用意する必要はありません」
答えてから、エイシンフラッシュはコートのポケットへと手を入れると。
「別のものを、強請らせていただきますから」
そこから取り出した煙草とライターを、彼へと見せつけた。
「……え、何それ」
「何、って……貴方が一番、見慣れているものだと思いますが」
「いやいや、それは分かってるって。てかそれ、
「いえ。先日、貴方が私のところに置き忘れていたものを」
「それからずっと持ってたの? ……補導されちゃうんじゃなかったっけ?」
「五分前に時効ですよ」
「悪い子になっちゃったなあ」
くすりと笑うと、彼はすぐにすっと何かに気づいたように顔を上げて、
「……バレてないと思ったんだけどなあ」
「元より、気づいてはいました」
「え、マジ?」
「ウマ娘の嗅覚は、人間のそれよりも鋭いのはご存知のはずですが」
いつも彼から漂う枯れた香りのことを、エイシンフラッシュは知っていた。アスリートである自分に気を使っていることも、たびたび空箱がゴミ箱の中に捨てられていることも、エイシンフラッシュは知っていた。そのせいで彼が一部のウマ娘から距離を置かれていることも知っていた。というか、ほとんどバレバレだった。
ただ、唯一エイシンフラッシュが知らないのは、彼が煙を燻らせている姿だけで。
「もう、私の隣で吸ってもらっても構いませんよ」
告げると、彼は一度きょとんと呆けたような表情を浮かべてから、小さく笑った。
「……イヤじゃなかったの? 自分のトレーナーが煙草吸ってるってさ」
「特には。趣味嗜好の類ですから、止めるつもりもありませんでした」
「ヤニの匂いとかもしてたってことっしょ? それは大丈夫だったの?」
「……私は好きでしたよ、あの香り」
「ふーん」
そこには、少しの憧れがあったのかもしれない。それは今でも、エイシンフラッシュの心の中に、泥のようにこびりついていた。きっとそれは、薄汚れていて、本来ならば忌避するべき穢れたものなのかもしれない。けれど、それを拭うつもりには、どうしてかならなかった。
気恥ずかしそうに頬を掻いてから、彼は改めてエイシンフラッシュと目を合わせて、
「じゃ、フラッシュちゃんのお許しも出たし、遠慮なく――」
「あ、これはダメです」
すか、と彼の伸ばした指が宙を切った。
「……え、なんで?」
「だって、貴方の分はもうあるじゃないですか。ほら、コートの内ポケット」
「なんでそこまで知ってんの……」
「どれだけあなたと付き合ってると思ってるんですか」
「いや、それにしても……てか待って。それって元々俺のだよね?」
「違いますよ?」
首を横に振ると、エイシンフラッシュは煙草の箱を開けて、
「これはもう、私の分です」
そこから取り出した一本を口に咥えた。
「……マジで?」
「はい。……やっぱり、似合いませんか?」
「そういうワケじゃないけど……なんか、すげー罪悪感……」
「貴方が感じる必要はありませんよ。元より、成人したら一度は試してみるつもりでした」
それが彼のせいかと言われると否定できないが、少なくともエイシンフラッシュに後ろめたい気持ちは芽生えていなかった。むしろ、彼とこうして煙を交わらせられることには、少しの好ましさすら感じられた。
でもなあ、俺のせいかもしれないしなあ、なんてぶつぶつと小さな呟きを漏らしながら、彼がコートの内ポケットへと手を潜らせる。そんな彼の様子を横目で眺めながら、エイシンフラッシュはふと。
「そういえば私、今日が誕生日なんです」
「うん。さっき教えてもらったから知ってる」
「……覚えている限りで、私は貴方に何かを強請ったことは無かった気がしますが」
「あー、そういやそうだね。もっとワガママ言ってくれてもよかったんだよ?」
「じゃあ、今言いますね」
首を傾げる彼へ、エイシンフラッシュがライターを差し出して。
「貴方なりの吸い方を、教えてください」
その言葉の意味を、彼はすぐに理解したようだった。
「……まさか、強請らせてもらうってそういうこと?」
「はい。今日この日、ここに貴方を呼んだのもそのつもりです」
「悪い子になっちゃったなあ、フラッシュちゃんも」
「貴方のせいですよ、全て」
違いない、と苦笑を浮かべると、彼は差し出されたライターを受け取ってから、
「とりあえず、コレ使うのはやめよっか」
「……ライターではダメなんですか?」
「うん。火の温度が高いし、オイルの匂いが混じっちゃうからね。まあ、手軽っちゃ手軽なんだけどさ。だから、せっかく買ってきてもらって悪いんだけど、これは没収」
「では、火種は」
「やっぱりコレかな」
言葉と共に、彼がコートから取り出したのは小さなマッチの箱だった。
そこから一本を摘まんで、手の内で遊ばせながら彼が続ける。
「風の強いときは使いにくいし、いちいち擦らなきゃいけないから手間もかかるけどね。だけど、やっぱりこっちで火を点けた方が風味も崩れないし、あとは何より……」
「……何より?」
「
首を傾けながら、恥ずかしそうに彼は笑った。
「火はつけてあげる。だから、俺の言う通りにしてね」
「はい」
「まずは軽ーく深呼吸。んで、最初のひと吸いはちょっと強めに。弱すぎると、上手く火が点かないからね。あ、でも長くは吸っちゃダメ。なんだろ、ストローで吸い上げる感じ……って言って分かるかな?」
「……やってみます」
「そうだね、何事も挑戦だ」
告げてから、彼がマッチを擦る。リンの弾ける匂いと共に、小さな炎が灯された。
「それと、いちばん最初の煙は肺に入れないように。あんまり美味しくないし、体にも悪いから。……ま、こんなモン吸ってる時点で、健康とか気にするのも野暮だけど、一応ね」
「分かりました」
「じゃあ、こっち向いて……」
言われるがまま、エイシンフラッシュは彼の方へと視線を向ける。
ゆっくりと近づいてくる火が、煙草の先端を燃やしていく。息を強く吸うと、いつも彼から感じられた、しかしそれよりも遙かに強い香りの煙が自分の中へと入ってくるのが分かった。
そして、エイシンフラッシュの唇から、白い煙が夜空へと昇っていく。
「うん、上手。やっぱりフラッシュちゃんは飲み込み早いね」
「……ありがとうございます」
マッチの火を消してから、彼が続けて口を開いた。
「二口めからは、肺に入れていいよ。煙を口の中に溜めてから、深呼吸するイメージで。やってみて」
「はい」
答えてからエイシンフラッシュは煙草を咥えて、深く煙を吸い込んだ。煙が喉を通っていって、枯れた香りが肺の中を満たしていくのが分かる。それから細く息を吐き出すと、濁った白い煙が空気に溶け込んで、消えていった。
その様子をぼんやりと見上げるエイシンフラッシュの顔を覗きながら、彼が問いかける。
「どうよ、初めての煙草の味は」
「まだ、よく分かりません」
「そっか」
「……ですが、あなたが好きになる理由は分かった気がします」
「あ、そう?」
首肯の代わりに、エイシンフラッシュは煙を吐き出した。
縋る何かが欲しかったのだと思う。いつも不安を抱えている人だった。そして、それを誰にも伝えようとしない人でもあった。いつもの軽い調子は他人もそうだし、何よりも自分を誤魔化すためのものだとエイシンフラッシュは知っていた。
不器用な人間だった。おそらく、自分よりも遥かに。
ただ、誰よりも人間らしい人間だと思った。
「もう、一人で抱え込む必要はありませんよ」
「……どういうこと?」
「これからは、私がこうして付き合ってあげますから」
「あはは、嬉しいこと言ってくれるじゃん」
「本心です」
「………………」
言葉は返って来なかった。彼の表情にも、変化はなかった。
それから彼は、コートから煙草の箱を取り出してその中の一本を口に咥えてから。
「フラッシュちゃん、ちょっとこっち向いてくれる?」
「? はい――」
じり、と。
彼の咥えた煙草とエイシンフラッシュの咥えた煙草が、触れ合った。
それからしばらく見つめ合ったあと、彼が煙草を離して白い煙を昇らせる。エイシンフラッシュもそれに合わせるように息を深く吸ってから、同じように煙を夜空へと昇らせた。
「……これも、貴方のやり方ですか?」
「いや? でも、付き合ってくれるって言ったからさ。嫌だった?」
「そうとは言ってません」
答えたエイシンフラッシュに、彼は煙を吐き出しながら笑う。
「まんざらでもない、ってこと?」
「貴方のそういう野暮なところも、嫌いです」
「ちょっと、『も』って何さ、『も』って。他になんかあるの?」
「ええ。例えば、私生活がだらしないところもそうですし、前日に伝えた予定を忘れてしまうところも嫌いです。あとは、よく嘘をついて誤魔化そうとする子供みたいなところや、すぐに女性へ手を出そうとするところも見るに堪えません。それに元担当の誕生日を覚えて……」
「わかった。ゴメン。もう許して」
がっくりと項垂れる彼を横目で見ながら、エイシンフラッシュは煙を吐き出した。
「……真逆ですね、私たち」
「だよね、俺もそう思う。ホント、なんでこんなヤツと三年間も付き合ってくれたのさ」
「だからこそ、だと私は思っていますよ」
「そういうものかなあ?」
「そういうものです」
少なくとも、エイシンフラッシュがいなければ、彼は落ちこぼれていただろうし。
彼がいなければ、エイシンフラッシュはこうした時間を過ごすこともなかったのだから。
夜の闇に溶けていく煙を見上げながら、エイシンフラッシュが口を開く。
「最近、また朝食を抜いていると聞きました」
「それは、あー……やっぱ担当してる子がいると、時間もないし面倒になっちゃってさ。ダメだって分かってるんだけどね。……てか、そんなこと誰から聞いたのよ?」
「あなたが担当している子から、直接」
「そうなの? てか、いつの間にそんな……」
「私、言いましたよね。できる限りでいいので、規則正しい生活をしてくださいと」
「……フラッシュちゃんがいないと、どうにも気が抜けちゃってさ」
「そう言うと思いました」
呆れたように息を吐いてから、エイシンフラッシュは隣のビニール袋を軽く叩くと、
「ですので、明日から貴方の朝食は私が作ります」
「……はい?」
「昼食のお弁当も用意しますから、必ず持って行ってくださいね。まあ、忘れたら私が届けに行きますが。夕食は……お互いに帰宅する時間が違う時もあるでしょうし、その都度連絡することにしましょう。あ、飲みに行くときは必ず一声かけてくださいね。でないと……」
「ちょ、ちょっと待って。フラッシュちゃん、一旦ストップ」
「どうしましたか?」
首を傾げるエイシンフラッシュの視線の先には、焦ったように目を泳がせる彼の姿があった。
「えっと……朝メシ作ってくれるって、どういうこと?」
「どういうことも何も、そのままの意味ですよ?」
「いや、だって……あれ? ちょっと待って、フラッシュちゃんって今日この後どうすんの?」
「貴方の家に泊まるつもりですが」
「……マジで?」
「マジです」
即答であった。まっすぐと向けられる眼差しに、彼が眉間を押さえながら天を仰ぐ。
こういう時の彼女に何を言っても無駄だということは、彼が一番知っていた。だからこそ彼は何も言葉を発せず、ただただ夜空を見上げることしかできなかった。視線の先では、こちらの気など知る由もない星がちらほらと輝いている。思えば、こんな時間に彼女と二人で居ることは、何気に初めてのことかもしれなかった。
それからややあって、彼が煙草を吸ってから大きく息を吐く。
「……布団、一枚しかないんだけど」
「枕は二つありますよね?」
「だから、何でそういうこと知ってんのさ」
「貴方の考えそうなことですから。どうせ、まだ誰も使っていないんでしょう?」
「うぐ……それは、そうだけどさ……」
「では、その枕は今後も私が使う予定なので。他の人には使わせないでくださいね」
「あーもう、分かったよ。それで……いや、ちょっと待って? 布団はどうすんの?」
「私、寝相はいい方なんです」
「……あっそ」
諦めたように呟くと、くすり、と小さな笑い声が隣から聞こえてくる。
そうして彼は、今一度ベンチに深く座り込んでから、言った。
「俺、朝はパン派なんだよね」
「知ってます」
「あとさ、たまにでいいからお弁当にエビフライ入れてよ。俺、好きなんだよね」
「貴方は尻尾まで食べますからね」
「……今度、お酒も一緒に飲もっか」
「ええ、そうしましょう」
そして。
「これから、よろしくお願いしますね」
「はいよ」
白い煙がふたつ、夜空へと昇っていった。
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