ウマ娘 潮騒のアレグレット   作:秋月@小説

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前に言ってた番外編です。因みに第二章第一話の進捗は十パーセントくらいです。
今週はウマ娘5thライブ名古屋公演に行ってくるので多分上がりません。ご容赦ください。


番外編
番外編 作者が「潮騒のアレグレット」の制作裏を語ったりする話


 皆様こんにちは。或いはおはようございます若しくはこんばんは、

作者の秋月です。

いつもは前書きでしゃしゃり出ていますが今回は本編で語らせて頂きます。

さて、まずは皆さまここまで「ウマ娘 潮騒のアレグレット」を読んで頂きありがとうございました。

皆様の応援がモチベーション維持になりどうにか一章終了まで書き切ることが出来ました。感謝感激雨あられで御座います。

今は無きレース場、そしてそこまで有名ではない馬を題材にした珍しい小説、しかも作者は小説執筆経験がほぼない為見るに堪えない文章であったのにもかかわらず、ハーメルン、pixiv両媒体で多くのいいね、ブックマーク、感想等頂き本当に励みになりました。

今回は執筆の裏事情等を自分語りさせて頂こうと思います。

「そんなどうでも良い事読みたくねーよハゲ!」という方は読み飛ばして頂き、上がっていれば第二章第一話にお進みください。

 

・製作上の裏話と本作誕生の経緯

 

さて、今作を執筆するにあたって一番大変だったのが、私自身が現役時代の荒尾競馬を知らないという事です。

どういう事かと言いますと、私が競馬に興味を持ったのがそれこそウマ娘からですので10年以上前に廃止になった荒尾競馬場には足を踏み入れた事すら無かったのです。

そもそも荒尾の最晩年ですら、私は幼児か児童かの狭間くらいだったので知りようがない上に、仮に行っていたとしても記憶に残らなかったとは思いますが。

因みに「荒尾に競馬場があった」事は知っていました。

私は父方の家系が荒尾に所縁があるので荒尾市には腐るほど足を踏み入れていますし、親が荒尾競馬が無くなった云々の話をしていたのを朧げに記憶しています。しかしぶっちゃけ場所すら知りませんでした。荒尾競馬場は海沿いなので普通に暮らしていて足を踏み入れる機会はあまり多くないのです。

そのため最初に行ったのは現地調査でした。

ウマ娘にどっぷりはまり荒尾競馬に興味が湧いた私は、荒尾競馬をウィキペディアなどで軽く調べたり、Twitterで検索してみたりするようになりました。そして、「ナイスネイチャ唯一の孫が荒尾で走っていた」という情報に辿り着き、より強烈に興味を持つようになりました。

そしてその高ぶりを抑えられず、遂に高校の一学期中間試験終了後にその足で荒尾の地へと赴きます。

当時高校三年生。試験の見直ししろよ。

因みに私が住んでいた所は詳しくは言いませんが「荒尾競馬場跡にちょっと頑張れば思い付きで行ける距離」、「荒尾やその周辺都市を文章での描写が出来る程度には知ることができる」街です。ご想像にお任せします。

競馬場に未成年が入っていいのかすらよくわかっていなかった私ですが、びくびくしながら単身乗り込みました。

第一印象は「動画で観た通り」そして「タバコ臭い」でした。

廃競馬場とはいえスタンドはそのまま残っていましたのでこれだけ大きかったのかと感動したことを記憶しています。

コースが残っている事を期待して行ったため既に造成が始まって土の下に沈んでいたのを見た時は少々意気消沈しましたが、それでも競馬場の空気を味わうには十分すぎる経験でした。

一通り見て周り満足した私はスタンド入り口に置いてあったアイスの自販機でバニラサンドを購入すると満足して撤退しました。

「もう来ることは無いだろうな~」程度にその頃は考えていました。

 

しかし一か月もたたないうちに私は荒尾競馬に関して更に知識を深め、ケイウンヘイローが思ったよりも面白い遍歴を持った馬だと知り遂にこう思うようになりました。

「これを小説にしよう。」

こうして2021年六月、本作の計画がスタートしたのです。

とはいえ私は受験生の身。今から本格的に書き始めていては受験に差し障ると考え本格的に始めるのは受験終了後のつもりでした。

が、受験の天王山の八月。

私は唐突に執筆に手を出してしまいました。

はい、はっきり言いましょう。勉強したくなかったんです。

とはいえゲームに興じるのは流石に良心の呵責に苛まれたので、小説を書こうと思い立ちました。

そして勢いのまま書きなぐったのが「プロローグ」…の原型になります。

はっきり言ってこの時は構想がはっきり固まっておらず、この時書いた部分はほとんど改変されて名残はありません。

しかし、ここから後の今作が始まったのです。

そして季節は流れ10月。

現在の第一話にあたる部分までが書き上がりつつある頃に、私は別の問題に直面します。題名が決まっていなかったのです。

荒尾に絡めて海関連の用語を入れる、そして個人的な趣味で音楽関連の用語も使いたい、という大まかなイメージは固まっていましたが、両者が上手くまとまらなかったのです。潮風、渚、夕凪…等と色々考えましたがどれもいまいちマッチしない。音楽関係の方もコンチェルト、リタルダンド等が出ましたが海関連と合わせると意味が通らなくなる…などと苦戦しました。

その時出会った単語が、アレグレット。

意味は音楽用語で「やや速く」。

本作の主人公、ケイウンヘイローは圧倒的な力を持った競走馬では無かったため、「やや」という部分がマッチしていると思いこれを使おう、と決めました。

…まあでも意味が「やや速く」なわけでこの時点で和訳して意味が通る文章にするのは絶望的になったので、海関連の言葉はそこまでこだわらなくても良いやという結論に至り、波の音を意味する潮騒に決定しました。

こうして、「潮騒のアレグレット」のタイトルが決まったのです。

さあここでタイトルも決まり、いよいよ執筆も本格化していくのですが、ここで新たな問題が浮上。主人公以外のキャラクターをどうするのか、そして仮名を使うか実馬の名前を使うか…特に名前をどうするかは極限まで悩みぬきました。公式は仮名を使っているためそちらに倣うか、それとも多くの二次創作に倣い実名でもいいか…まあいちいち仮名を考える手間を考えると指摘されたら直せばいいやという中々無責任な結論をつけて実名を使わせて頂いています。

キャラはブルーアラオは最初期の段階からキャスティングする予定でしたが、それ以外の子はケイウンヘイローと対戦機会が多めな子から選抜しました。なおその結果全員牝馬になるという疑似ハーレム状態になっちゃいましたが…

因みにミライエイゴウだけは予後不良という競馬に絶対付随する事故を書きたかった為にキャスティングしています。

演出もかなり考え抜きました。構想段階だと原作準拠で命を落とす展開もあったんですが、いくら何でも暗すぎる上に書く側としても辛すぎたのであの展開になりました。でも展開が結構グダグダになっちゃったので私としては60点です。

 

因みにこんな事してて受験は大丈夫だったのか?といいますと、

大丈夫なわけがありませんでした。

私は得意科目はとことん努力して伸ばせるものの苦手科目に対しては向き合う事すら避けるという終わっている性格でして、得意科目は模試の全国順位でも割と上位の方に居るのに苦手科目は一桁点を叩き出し最下位争いを繰り広げる有様でした。

共通テスト本番では得意科目は八割越えでしたが、最も酷かった数学ではただでさえ低かった平均点をも下回り二割しか取れないという例年なら浪人まっしぐらコースでした。

まあ様々な幸運に恵まれて、入試前日にウマ娘の一周年ガチャを引くという舐めプをしながらも世間的に見てもまあ恥ずかしくはないくらいの大学に合格。そして春休みを使って執筆を重ね、四月一日に遂に第一話投稿…となったわけです。

 

・本作のインスピレーション元

 

さて、ここまでで本作誕生の経緯を語ったわけですが、この作品を作るにあたって何を参考にしたのかというのは語っていません。

勿論モデルとなった作品があります。そうでなければど素人が一から小説を書くのは相当困難でしょう。

ぶっちゃけるとエピソードごとにその直近で読んだ作品の影響を受けているのですが、一番参考にしたのは米澤穂信先生の「古典部」シリーズと森見登美彦先生の作品群です。

あの特有の言い回しと一人称視点で進行するスタイルはかなり大きな影響を与えています。

それを念頭に見返してみると描写に少し合点が行くかもしれません。

その他にも私が好きな小説の因子はわずかながらスパイスとして各所に散りばめられています。どこかで読んだ気がすると思う表現があったら、概ねその感覚は正しいと思います。

 

・タイトルという名の苦悩

 

さて、じつはまだ毎度執筆する中で結構悩んでいる部分があります。

それが各話のタイトルです。本当に毎回悩んでいます。

話を書くときはまず仮のタイトルを付けてから書き始め、校了後に本決定するというスタイルをとっているのですが、仮タイトルをそのまま使ったのは記憶にある限り二回だけだったはずです。

私は執筆中に思いついた要素を即席で入れるので初期プロット通りになることはまずなく、最初の仮タイトルが破綻する事もしばしばです。

よって考え直すのですが私はとにかく要約という物や含みを持たせるという物が苦手でして、凝ったタイトルを付けられず毎回難産なのです。

とはいえプロット段階から絶対にこのタイトルにする!と決めているものもあり、その時はあっさり進みます。

一章では「プロローグ」「潮風のレース場」「メイクデビュー」は最初から決まってました。

そして遥か先の話にはなりますが、最終話のタイトルももう決まっています。その前に五十回近くはタイトルを考えなければならなくなりそうなのでそっちが問題ですけどね。

 

・荒尾が舞台の話なのに近隣都市が良く出てくるのはなぜなのか

 

地理オタクとして説明させて頂きますと、これは荒尾市の立地が関係しています。

小説内でも少し触れましたが、荒尾市は熊本県の最北端に位置し、県境を隔てて福岡県大牟田市に隣接しています。

そしてここからが肝なのですが、荒尾市と大牟田市はただ隣接しているだけではなく、都市圏を大牟田市と共有しています。

通称大牟田都市圏と言い、県境を隔ててなお都市圏が隣接しているのは本当に珍しく、他は海峡を隔て都市圏がある山口県下関市と福岡県北九州市、後はメガロポリスである東京都と神奈川県くらいなものだそうです。

これには歴史的背景が強く関わっており、もともとこの地域は三池と呼ばれ、石炭が豊富にとれる土地でした。

明治維新以降国や三井鉱山によって開発が進められた三池炭鉱は次第に日本最大の炭鉱へと成長し、そこに日本中から人が集まるようになったのです。その結果炭坑中心の街づくりが進められ、大牟田の中心地から同心円状に市街地が発達していった結果、県境をまたいで荒尾市にまで市街地が到達、荒尾市街地と合体して現在の大牟田都市圏となったそうです。

荒尾競馬場があったのもこの大牟田都市圏の娯楽需要を狙っての物で、競馬開催権は大牟田市も持っていたのですが人口が増えすぎて土地が無いため荒尾市の県境にかなり近い海沿いの埋め立て地に建設されたのです。

因みに両市は近代以前から関係が深い土地で、方言は筑後弁と熊本弁が混ざった物を両市共に話しますし、大牟田市内には荒尾市の飛び地が結構あります。過去には越境合併の話すらあったそうです。

即ち荒尾市を語る以上大牟田市を一切関わらなくするなど不可能なのです。

というか例えば祭りネタを扱う時、荒尾市には大きな祭りが無く書くのが難しいのに対し大牟田市の大蛇山祭りを取り上げた方がよっぽど資料もあるし私自身行ったことがあるので詳しく書ける等のメタい事情があります。

 

 

・本作を書くにあたって参考にした資料

 

基本本作はnetkeiba様のレースデータを参考にしてそこから構想を膨らませる形で書いているのですが、本当に数少ない当時の情報を残して下さっていたブログとして、小田切ワオ様の「座布団が行司にクリーンヒット(https://wao-o.hatenadiary.jp/)」を多く参考にして書かせて頂きました。このブログが無ければ書け無かった事、そもそもケイウンヘイロ―が荒尾の顔として走っていたという事実を知ることさえありませんでした。こんな場所で僭越ですが心よりお礼を述べさせて頂きます。

 

・ナイスネイチャと私

 

実はこの番外編を書き始めたのは五月とまだ完結まで三か月以上も前の事だったのですが、その間に競馬、そしてウマ娘界に震撼が走る出来事がありましたね。

五月三十日。ブロンズコレクターとして愛された無冠の名馬ナイスネイチャ号が長い闘病の末に故郷浦河の地で虹の橋を渡りました。

当時私は何の因果か何気なくナイスネイチャのイラストを描きたくなり、丁度それが描き終わったくらいのタイミングで訃報が入って来て愕然としたのを覚えています。連日の渡辺牧場様からの報告で体調は良くなってきているのかな?と思っていたので驚きが隠せませんでした。

当然ながら本作はナイスネイチャ号唯一の孫、ケイウンヘイロー号をモチーフにして書かせて頂いています。ナイスネイチャを知り、ケイウンヘイロー号を知り、荒尾競馬を知り、そして多くの無くなった競馬場とそこを愛した人々の想いを知ったのです。その為ナイスネイチャ号への思い入れもかなりあり、訃報をすぐに受け入れられませんでした。

三十五歳の長寿、晩年にはネームバリューを活かして引退競走馬支援の広告塔としてたくさんの後輩たちの命を繋いだ本当に立派な馬生だったと思います。願わくは向こう側で、先に旅立った多くの戦友たち、そして最愛の馬場さんと幸せに過ごしている事を祈ります。

 

 

 

受験勉強からの逃避という不純な理由から執筆が始まった今作ですが、本当にこれ程反応を頂けるようになったのは奇跡としか言いようがありません。読者の皆様、そして何より題材とさせていただいたケイウンヘイロー号と荒尾競馬場を支えられた方々に重ね重ね感謝申し上げます。

またこの作品の執筆を通じて本当に競馬に詳しくなり、馬産地としての九州の魅力にもたくさん気づかされました。今年は中山グランドジャンプを初めて九州産馬が制し、来年にはJBCが初めて佐賀で開催され、遂に九州にG1がやってきます。九州の競馬はこれからもっともっと面白くなるはずです。そこにもう荒尾競馬の字が無いというのは悲しいですが、一九州人としてこの作品を通じて九州の競馬の魅力発信にほんの少しでも力になれたらと思っています。

そしてこれから始まる第二章では、ケイウンヘイロー、ブルーアラオの二人を中心に運命が大きく動き出します。

クラシック級になった彼女たちを待ち受けるまだ見ぬ相手、新たな舞台、交錯する思惑、時代の宿命、そして別れを通じて彼女たちはどのように変わっていくのか。皆さまにお楽しみ頂けるよう誠心誠意努力して執筆して参ります。

 

さて、まだまだ荒尾競馬場の見学会の開催を荒尾市の方に提案させて頂いた話やウマ娘コラボで初めて佐賀競馬場へ行った話など話のタネは尽きませんが、今作の主人公はあくまでケイウンヘイロー達ウマ娘な訳ですので変人大学生はここで退散致しましょう。

次は第二章が終わったあたりでしゃしゃり出させて頂きますかね。

それでは、今後とも本作を御贔屓に。作者の秋月でした。




小田切ワオ様 「座布団が行司にクリーンヒット」
https://wao-o.hatenadiary.jp
当時の様子を知るため参考にさせて頂いております…
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