え!!1対空中騎士団でドッグファイトを!?出来らぁっ! 作:シーブック マクロスを生涯推す
「おぼえていますか?」
その言葉を投げ掛けると突然、コイツは歌いだした。
そして勝手に歌い始める光景に、俺は違和感を覚えた。歌い方が機械のそれでなく人間そのものなのだ。前世においてVOCALOIDやバーチャルシンガーの曲は聴いてきてはいたが、息継ぎの必要がないからこそ、複雑な歌唱を可能にしていたのにも関わらずコイツは息継ぎを行っていた。
目を閉じて聞いていれば、機械が発しているとは絶対に思えない程の歌声。
俺が前世で聞いていた「愛おぼえていますか」とはまるっきり歌詞が違う。違うのだが、どこか温かい。歌というよりは、一つの物語を語りかけているようだ。歌詞の言葉の意味などは俺にはよく分からない。ただ不思議と心地良かった。
俺が気づいた頃には、もう歌声はすでに止んでいた。そこには静寂を取り戻した19がそこに佇んでいるだけだった。
「一体なんだったんだろうね?急に歌い出すからびっくりしちゃったよ!まさしくゴーストインザマシン!!こうしちゃいれないぞ!!すぐに工具持ってくる!!」
整備長が興奮を隠し切れずにめちゃくちゃ早口でまくしたてながら全速力で走って行った。
目の前で勝手にバルキリーが動いた挙句歌い出すのだから、無理もないだろう。
一方で俺の方も興奮していた。それはこの世界が前世とは違い不思議な存在に満ち溢れているからだ。その存在たちに出会うためにも俺は一つの決心をすることにした。
「神様俺は決めたよ」
「なぁおやっさん(整備長!!)」
「うん、なんだい?」
「俺(僕)にシュミレーターを使わせてくれないか(くれませんか?)」
走って戻ってきた整備長にシュミレーターを使わせて欲しいと言った2日後、その話は整備士連中、アラド隊長にも伝わることになり、悪ノリに悪ノリが重なった結果、経験したことのない地獄のような毎日を送ることになった。
初日は起動シーケンスから、歩行訓練が始まったのだが、よく分からないが4日目からは、手の空いている隊員との模擬戦が始まった。この模擬戦がまた特殊でランダムで選ばれた機体同士で戦うという、めちゃくちゃなルールだった。特にこのシュミレーターは、整備長が趣味で魔改造データをねじ込んでいるそうで、バルキリーならまだしも、デストロイドまで、選択可能になっているのと、機体数が膨大すぎるために、機種ごとの対策など全く当てにできない。バルキリーから、突然のデストロイドになった時は、あまりの操作性の悪さに悪態をつきそうになった、
当たり枠でいるのは格闘戦が出来るスパルタン、圧倒的な破壊力のあるモンスター、豊富な射撃武装のあるトマホーク、ローラー移動でトリッキーに戦えるシャイアンⅡ。
外れ枠はファランクスとディフェンダーの2種だ。こいつら武装が少なすぎる。ファランクスはミサイルを打ち切った瞬間、最大ボリュームのガンマ線照射式レーダーに頼るしかなくなる。俺はあえて被弾することで、ノコノコ接近してきた相手によく喰らわせていた。こいつにのると毎回運ゲー的な戦いと化す。ディフェンダーに至っては近寄られたら瞬間負けになるという、もうはっきり言って勝負にすらならない状態だった。
こうして襲いくる運ゲーシュミレーター漬けの毎日に胃はキリキリと痛みを訴え始めていたある日アラド隊長から会わせたい人がいると言われたのだった。
俺に会わせたい人?と疑問混じりに聞いてみたらところ、まあ楽しみにしていろと濁された。
そしてその日俺は今後の運命を左右する存在に出会うことになるのだった。
気がついたら年も明けて、もう一年の半分が終わるくらいになってしまいました。
どうか長く暖かい目で次話お待ちいただけると嬉しいです