団長ラブ勢のギャルハーヴィンだってそうさ!!必ず存在する!!!!   作:梏 桎

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書き始めた頃はタグの独自設定がここまで仕事をするとは思いませんでした。
つまるところ、この回は独自設定まみれです。

後半が少々下品なので、食事中には見ない方が良いです。


放出はあったろう?

 

 

 あれから更にマスクを調べた結果、興味深い出来事が次々と出てきた。

 

 最初に改めて確認したのだが、この世界では人体構造にも属性元素が含まれているにも関わらず、私が外側を撫でても何も起きなかった。

 何らかの条件で属性元素の吸収が発生しているらしい。

 

 次に属性元素の吸収量上限を調べていた際、突如としてマスクを固定していた木の枝が朽ちた事に始まり、固定する棒を金属製に変えれば腐食させ、後で洗えば良いかと地面に石で固定する形にしてみれば、石は内側から外に向けて砕けた。

 

 更にこのマスク、外側からの属性元素は頑なに通さない仕様をしているのは昨日の実験にて既に示した通りだが、内側からの属性元素は素通りする

 

 更に更に、属性元素を吸収する際の()()()である魔力吸収だが、装着者が居ないと許容量に達するらしい。

 そして許容量に達した際に、外側に向けて純粋な魔力で構成された衝撃波が発生する。

 (ハーヴィン)が直接喰らったものの、庭の端の木からほぼ中央まで吹き飛ばされた程度なので実用性は微妙。

 

 

 情報量が情報量なので順に話そう。

 

 

 先ず最初の、マスクが属性元素を吸収する条件。

 

 

全然わからん!

 

 

 冗談でも何でもなく、これに関しては本当にまるで分からないのだ。

 何か知っている魔法に自信ニキがいるなら教えて欲しいぐらいである。

 

 

 気を取り直して次、マスクを固定した物が壊れていく件だが、これはマスクを着用している存在として、固定した物が認識されていたと推測している。

 

 つまり、マスクが行っていたのは属性元素の還元だ。

 

 ここで注目したいのが、固定した物に還元したのは属性元素()()である事だ。

 

 マスクという薄いフィルターで果たしてどうやって分解しているのか知らないが、あのマスクは吸収した魔法を魔力と属性元素に分解する。

 その内の属性元素は無条件で装着者に還元し、魔力は()()()()()によって装着者に還元する。

 

 だがここで問題となるのが、装着者と認識されたマスクを固定した物達の末路だ。

 皆一様に壊れる結末となってしまった。

 

 これは恐らく還元されていった属性元素が、固定に使用した物のキャパシティを大幅に超えた事で、内側からの破壊が発生してしまったのだと思われる。

 

 また、マスクを固定していた物は共通してマスクの紐部分に接触する形で固定をしていた。

 石で固定した際に内側──つまり本来なら口が接する面は多少地面と接触していたが、結果は石が砕けたのみで地面に変化は無かった。

 

 つまりこのマスクは、紐の部分で装着者を認識し、紐の部分を介して属性元素を還元している事が分かる。

 

 例外として、石で固定した時は地面もまた紐と接していた筈なのだが、こちらに変化は無かった。

 何を基準にして装着者として認識されなかったのかは、吸収の発生条件と同様に不明だ。

 

 

 次に、外側と違って内側からの属性元素を素通りさせる件について。

 

 発見の経緯は単純で、内側と私が判断していた面は果たして魔法を通すのか気になって水魔法をぶっ掛けただけである。

 結果が示している通り水魔法はマスクをきっちりビショビショにし、布が吸収し切れない水分がその先の地面も濡らした。

 

 然してこれの原理だが、非常に残念な事にまたしても全く分からない。

 

 外側も内側も一切の属性元素を通さないのであれば、このマスクは『片側から通過しようとする属性元素を吸収し反対側へ還元する』性質なのだと理解出来る。

 そんな魔法を私は知らないから、再現は結局出来ないけれど。

 

 だが実態は違っていて、このマスクは内側からは非常に無防備だった。

 

 とは言えこれは別に弱点にはなり得ない。

 当たり前だがマスクは基本装着する物だからだ。

 

 マスクを装着する際に、内側の面は必ず装着者と面する事になる。

 装着者は万が一にも自らの属性元素を吸収される恐れが無く、一方的に属性元素を吸収出来る寸法だ。

 

 

 最後に魔力の還元についてだが、こちらは先程の無条件で還元する属性元素との違いが重要である。

 

 魔力に関しては装着者の行動をトリガーにして還元が発生している。

 

 そのトリガーとなるのが呼吸だ。

 正確には、息を吸う動作によって魔力が還元される仕組みになっている。

 

 また、実験が足りない部分ではあるが、()()()()()がトリガーの可能性もある。

 植物だって呼吸するというふざけた理屈でマスクを木に括りつけたが、結果は先程の通り、私は吹っ飛ばされて地面を転がる羽目になった。

 

 動物や星晶獣でも試してみたい所である。

 ツクヨミ様は嫌がりそうだが。

 

 魔力の衝撃波に関しては、書いた通り実用性が低いだろう。

 装着せずに魔力を吸わせ続ける必要がある上に、吸わせ続けて発揮されるのがハーヴィンの子供が少々吹き飛ばされる程度の威力。

 実際、私は吹っ飛ばされたものの怪我すらしていないので、労力に見合わなさすぎる。

 

 

 

 これらの出来事を踏まえ、分かった事を纏めるとこうだ。

 

 このマスクは恐らく紐の部分で装着者を認識する。

 外側から属性元素と一部の魔力を吸収し、紐を介して属性元素を、呼吸をトリガーに魔力を還元する。

 吸収の際、魔法であればそれを属性元素と魔力に分解する能力を持つ。

 吸収には何らかの条件があり、人体が外側を撫でた程度では属性元素を吸収しない。

 属性元素を吸収するのはあくまで外側だけで、内側からは属性元素を通す事が出来る。

 属性元素は紐を介している限り無条件に還元が発生する為、装着者のキャパシティを超えた際に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

 そして何より、このマスクが何を目的に、どのような原理や工程を経て作成されたかは不明である。

 

 

 こんな所だろう。 我ながら本当になんてものを購入したんだ。

 

 

 購入の際、生地屋の店主が『こんな物仕入れたっけ』みたいな顔をしていた時点で返品するべきだったかもしれない。

 然しながらここまで調べてみれば、面白過ぎて購入した事を褒め称える自分もいる。

 

 

 

 それにしても、ここまで複雑な術式を薄いマスク1枚に施す事が出来る作成者にただただ敬服するばかりだ。

 

 この術式が純粋な魔術理論に基づいているのなら是非ともご教授願いたい所だが、魔法の分解や定められた条件下での吸収と還元は、矢張り錬金術の体系に感じる。

 

 

 グラブルにおける錬金術は、非常に大きな括りで言えば魔法ではある。

 魔法ではあるのだが、そもそもの開祖が何せ2000年も前に拓いた分野なので、魔法と違う部分があまりに多い。

 

 魔法はイメージと魔力と術式で凡そ成立するが、錬金術は加えて万物への理解と、それらを分解・再構成するだけの頭脳が必須だ。

 私は自分がバカだとは思わないが、錬金術を行使するだけの理論派にも、感覚で物事をこなす尖った天才にもなれる気がしない。

 

 

(これを解明するには……錬金術師の知り合いでも作るしか無いか)

 

 

 専門外の理論で成り立っていそうなこのマスクを、今はバラしたり出来ない。

 

 早いところ解明して色々作って遊びたかったのに。

 

 

 

  §  §

 

 

 

 突然だが、この世界(グラブル)の住人は体内に魔力を生成する器官を持ち、そして生成した魔力を体外へ放出する事が出来る。

 

 多くの人間が出生の時点で魔力を生成しており、産声と同時に初めての魔力放出を行うとされている。

 その際、一般的に放出が行われる部位は両手であるという。

 

 魔力の生成量は成長と共に増加し、二次性徴の終了と同時にほぼ頭打ちとなる。

 比べて、魔力の放出箇所が成長で増加した事例は極めて稀であり、多くは先天的なものか、放出が行えるように意図的に過度な負荷を掛ける必要があるとされる。

 

 

 これは港町の本屋に置いてあったやや専門寄りの大衆向け魔法医学誌に掲載されていた話で、確度の高い情報だ。

 本当はしっかり買って読み込みたかったのだが、多少の値引き交渉でどうにかなるレベルの値段では無かったので、少しだけ立ち読みをさせて貰った。

 

 

 ここで大事なのは、魔力の放出箇所は努力次第で増やす事が出来るという点だ。

 

 現在、私の魔力放出箇所は両手と、それを介した武器だ。

 武器に関して正確に記すなら『私の魔力が浸透しやすい素材の武器を手で握っている事』を条件に、魔力の放出が行える。

 私にとって今使っている刀は、魔法使いの持つ杖と同等の役割もこなせると解釈してもらっても構わないだろう。

 

 

 そして、魔力放出に関して何故突飛な話を繰り広げたかと言えば、私がとある理由から飛翔術を会得したいからである。

 

 飛翔術は文字通り空中をその身一つで駆ける事が出来る、島が空に浮くこの世界で非常に便利な術の事だ。

 然し、この術はお偉いさん(公式)が『高度な術です』と紹介するぐらいには難しいものとされている。

 

 

 私は今世で知った魔力の放出箇所という人体の仕組みが、飛翔術に大きく関係すると踏んでいる。

 

 例えばメリッサベル。 彼女は飛翔術を扱う訳では無いが、『髪に魔力が宿る』非常に珍しい体質のハーヴィンだ。

 もしかすると魔力放出とは原理が異なる可能性があるものの、彼女の意思である程度の制御が可能な事から、私は彼女が『髪に魔力を浸透させやすく、放出しやすい』性質なのだと考える。

 また、これと同様の性質を何らかの形で獲得しているのがオクトーなのだと思う。 本人に聞いた訳では無いが。

 

 飛翔術で言えばメーテラは、お偉いさん(公式)直々に『魔力で蝶の羽根を練り上げ』なんて文言が紹介に書かれていたりする。

 これもまた、背中から彼女が魔力を放出している可能性を示唆するものでは無かろうか。

 

 そして飛翔術は宙に浮く────即ち足を地から離す為に、この魔力放出を足で行う事で成立すると私は思い至った。

 

 

 

 そうと考えたならば善は急げ。 私は庭に出て検証に移る。

 

 

 腕を組んで立つグランの立ち絵スタイルで、自らの体内を巡る魔力に意識を向ける。

 

 魔力を足元に寄せる感じで……寄せ……寄……

 

 

────全然、足に行ってる感じがしないんですけど。

 

 

 うーむ、順調に進むとは最初から思っていなかったが手応えすら掴めないとは。

 だが絶対に挫けてやるものか。 私は何としても飛翔術を得るのだ。

 

 

 何故ならば────

 

 

(飛翔術があれば好きなタイミングで主人公の胸に飛び込んでいける! 絶対に飛べるようになれ、私!!)

 

 

 動機が不純? いやいや、これは主人公を思うが故に必要なのだ。

 

 

 私の身長は現在80cmにも満たない。

 そして私がここから急成長しようとも、100cmを少し超えればハーヴィン的にはデカ女だ。 それより先の成長は見込めない。

 対して主人公は、アニメ制作時の設定ではあるがグランが170cmでジータが156cmとされている。

 この身長差は主人公の性別がどちらであろうと、余程の短足じゃない限りは足にしか抱きつけない。

 かと言って少しでも上に抱きつこうと毎回ダイブしていたら、主人公の負担になるだろう。

 主人公はそれはもう優しいので文句も言わないだろうが、私が納得行かない。

 それにしないとは思っているが、ダイブを躱されたら泣く自信がある。

 

 だからこそ、飛翔術は必須だ。 優しく胸に飛び込んでいける夢の魔法である。

 ニオもこの為に必死に習得したのだろう*1、想い人がヒューマンであるが故の苦悩という奴だ。

 

 

 それ以外にも、ハーヴィンが飛翔術を得る価値は他種族に比べても高い。

 

 この世界はハッキリ言ってユニバーサルデザインが発達・浸透していない。

 大都市にもなれば話は違うのかもしれないが、少なくとも私が利便性を実感した事があるのは村内だけだ。

 そして私が利便性を実感するという事は、他の種族からするとこの村は暮らしにくいだろう。

 逆に私はこの前の港町に行った際、宿の階段や店の棚の高さなどがヒューマン基準で少し驚いた。

 

 この世界(グラブル)でいう人間は、成人に限定しても我々ハーヴィンと男性のドラフで2倍以上の身長差が発生する。

 それ故に、致し方なく基準を設ける場合はヒューマンやエルーンを基準にする事が殆どだ。

 だがそうなれば当然、ハーヴィンからすると机も椅子も随分と高くなってしまう。

 

 そこで活躍するのが飛翔術である。 身長が足りないなら空を飛べば良いのだ。

 レイなんかは身長が74cmしか無い訳だから、やはり必死になって習得したに違い無い*2

 

 

 色んな意味で実用的な飛翔術を何としても会得する為、私は時間が空いたら体内の魔力を動かそうと必死になっていた。

 

 

 

  §  §

 

 

 

 大きな進展があったのは、最初の検証から3ヶ月が経過した頃。

 

 切っ掛けは、足に魔力が寄っていく感じが()()()()()()によって中断される為、自棄気味に『私も髪を振り回してやろうか』と髪の毛に魔力を集めようとした時の事だ。

 因みに、この自棄を起こして別の箇所に魔力を集めるのも何度目か分からない。

 

 

(集中……集中……頭の方に魔力が行く事をイメージしろ。 頭まで到達したら次は髪に……髪に……)

 

 

「ぅぷっ……あっぶねぇ……危うく吐くところだっ、ぉ゛お゛ぇ!」

 

 

 

 私はこの時、人生で初めて()()()()()()

 

 

 

 私の構想では、体内の魔力を一旦頭に寄せてからそれぞれの髪に魔力を浸透させるつもりだった。

 

 だが急激に私の身体を襲う嘔吐感。

 魔力を寄せるついでに胃の中身まで上に持ってきてくれやがったのかと思って必死になって抑えようとした所、口から魔力を吐くという珍事が発生してしまった訳である。

 

 

 然しこの魔力嘔吐が、結果として最初の『両手以外からの魔力放出』の成功例となった。

 

 

 魔力を寄せ集める際、私は体内の魔力を『血液に似た何か』といったものとイメージして魔力放出を行おうとしていた。

 当初はまるで手応えが無かったが、反復練習だと思ってほぼ毎日続けた所、身体が嘔吐感を訴える程に魔力を『体内の物』であると認識する事に成功したのが今回の成果だろう。

 

 そしてこれに近しい現象に、私は3ヶ月の中で何回か遭遇していたのだ。

 

 それは、足に魔力を集めようとすると尿意を催すという、嘔吐感に続いて最悪の現象である。

 先述の()()()()()()そのものであり、私の修行を中断させてくる最近のストレス源だ。

 

 

 だが私は、魔力を吐いた事で理解したのだ。

 

 

────魔力ごと全部漏らすぐらい集中すれば空飛べるんだろうな、と。

 

 

 勿論だが、絶対にそこまではしない。

 何としても会得するとは言ったが、主人公に抱きつこうと飛ぶ度に魔力やら何やらを漏らす女になるぐらいなら、地に足をつけて生きる選択をする。

 

 

 魔力を吐くという最悪の経験をしたが、何はともあれ1歩前進だ。

 

 

 次の私の課題は、身体が魔力を排泄物や胃の内容物と誤認しないようにする事となった。

 

 私の魔力に対するイメージを変える方が辛い思いをしなさそうではあるが、そこを変える事は今まで開発してきた魔法にも影響を及ぼす可能性がある。

 今までのイメージのまま身体に慣らす修行をした方が、漏らす危険性こそあれど、自らの魔力の認識を1から再定義する必要性は無い。

 

 今世ですら10年生きてしまっているのに、前世も含めたら何年生きているか分からぬ身なので絶対に漏らしたくは無いけれど。

 

 いっそ漏らした方が年相応なのかなとか一瞬考えてしまったが、前世を含めてもまだ早い……はず。

 

 

 

 私は頬を軽く叩いて気合いを入れ直し、魔力はスッキリと体外に放出していいものなのだとイメージする。

 

 

(私の身体さんや、魔力は体外に放出してこそだからね……妙な感覚を引き連れないでね……)

 

 

 足に魔力を寄せ集める事を意識しつつ、同時に念じる。

 

 

 

 だが当然そんな直ぐに誤認が解消される訳も無く、私は漏らす直前で中断して厠に駆け込む事となった。

 

 

────絶対に漏らさないでこの修行を成功させるからな!

 

 

 厠で行った誓いは、心做しかフラグとアンモニアの臭いを漂わせていた。

*1
そんな事は無い。

*2
きっとこんな理由では無い。




今更ながら段落字下げを導入しました。
当初の文量では必要性が薄いと感じていたのですが、気が付くと文字が増えに増え始めていたので必要と判断した次第です。

これよりも前の話に関しましては、修正の際にまとめて導入する予定ですのでお待ちいただければと思います。

また、修正に関しましてアンケートを設置させていただきます。
アンケートはあくまで目安として認識させてもらう事をご了承ください。

修正に関して

  • 更新を止めてでも今すぐ行うべき
  • 話を進める事を優先
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