団長ラブ勢のギャルハーヴィンだってそうさ!!必ず存在する!!!! 作:梏 桎
ゼノコロ銃の渾身粘りやらコラボやらをしていました(自白)
クラーバラとの挨拶も済ませ、雑談をして暫く。
ふと、クラーバラが尋ねてきた。
「そういえばロイルミラちゃん、宿はもう決まっちゅーが?」
────ん? 宿?
「あー!!」
「……その様子だと忘れちょったみたいだな」
すっかり失念していた私に、やや呆れ気味な声色のサビルバラ。
いやしかし、本当にどうしよう。
私は朝に島に着き、朝餉と少しの情報収集を済ませて直ぐに山を越えてこの村まで来た。
そしてこの村でも道場まで一直線で寄り道すらしていない。
今にして思えば、幾ら何でも後先考えて無さすぎるだろう。
「……あんちゃん」
「分かっちゅーぜよ。 この村に宿は無いし、道場に通うのに毎度山を越えさせる訳にもいかんきにゃあ」
どうしたものかと頭を悩ませていれば、私を置いて話を進める兄妹。
もしかして、この流れは────
「ロイルミラ、わしらん
「い、良いんですか!?」
「えいえい、なんちゃーない! お弟子さんも今はなんぼしおりゃせんき、負担にもならんぞね」
私は一部方言が分からないながら『問題ない』と言われているのだと思い、お言葉に甘えて『よろしくお願いします!』と挨拶する。
本当にどうしようも無かった問題だったのでありがたい申し出だ。
勿論、ただの居候に留まるつもりは無い。
こんな抜けた私にも優しくしてくれるのだ、出来る事をアピールして『来てくれて良かった』と思わせるぐらいの方がお互い幸せというものだろう。
「こう見えて家事は一通りこなせます! 道場の掃除から料理に魔道具の手入れまでお任せ下さい!」
「魔道具の手入れ……? おんし、剣士やないが?」
そう問うてくるのはサビルバラ。
確かに私がここに来た目的からして、魔道具の手入れというのは意味不明だろう。
そういうのは魔導師か、魔術に明るい技師の役目では無いか、と。
諸賢はご存知の通り、私はただの剣士では無い。
私は未だ成長途中の胸を張って答える。
「ふっふっふ……私はただの剣士じゃありませんよ! 剣士であり魔導士な『魔法戦士』を志す者ですから!!」
「「魔法戦士……?」」
サビルバラとクラーバラが揃って首を傾げる。
聞き馴染みが無い言葉だとは思うが、それもまた当然。
この時代で魔法戦士を名乗っているのなんて、ポート・ブリーズのとある島にいる
主人公が後に選ばれる『四大元素の均衡を保つ者』────それが魔法戦士だ。
私の場合は好きに周囲から属性元素を借りまくっているので、そういう意味では全く魔法戦士では無いのだけれど、戦い方はそのものズバリなのだからガンガン自称していく。
私は取り敢えず見せた方が早いと思い、魔力を練って掌の上に小さな緑色の兎を出す。
これも分類上はれっきとした魔法ではあるが、実用性は特に無い。
小さい子や魔法に疎い人に見せると喜ばれる、手品に近い性質のものだ。
「わぁ! 可愛らしい兎やね!」
「たまぁこがな魔法は初めて見るぜよ!」
「ふふん、こんな風に魔術には心得があります」
それはもう分かりやすいまでのドヤ顔を決めながら、私は掌の兎を風に還元していく。
貨物艇に乗せてもらう際も似たような事をしたのだが、こういう動物などの形を模した魔法はウケが良いので重宝する。
私の魔法は、実用性の次に見栄えの良さを重視しているぐらいには見た目が大事。
実用面に関しても、魔力の要求量と術式の煩雑さが多少増える代わりに魔法としての質向上や役割の明確化に貢献している。
形を持たせるというのは、私の重視する項目をバッチリ満たしてくれるものなのである。
「色々と役に立つと思いますので、どうぞよろしくお願いします!!」
私のこの村での生活は、こうして始まっていくのであった。
§ §
翌日の朝、道場にて。
昨日の挨拶後、早速サビルバラから手合わせの提案があって私もノリノリだったのだが、水を差すように私の腹の虫が鳴いてしまった。
山を越して直接道場まで赴いたせいで、昼餉も忘れて随分話していたのだ。
時間的に夕餉には早かったものの、結局その日は早めの夕餉を頂き、風呂も済ましてさっさと寝る事に。
そして早朝に目覚めた私は、道場の清掃を軽めの運動がてら行って、今は木刀で軽く素振りをしている。
ハーヴィンの私でも振りやすい軽めの木刀だ。
普通なら喜ばれるのかもしれないが、私が普段使っている刀の重さを考えると少々軽すぎるか。
私は別の木刀を手に取ってまた素振りをする。
サビルバラの道場は島の子供が一時的な体力作りに使う程度、などと言われてはいたが立派な道場である。
それ故に他種族も考慮して木刀一つとっても種類がそれなりにある。
今、私が手に取った木刀はドラフの男児が使うようなタイプだろう。
他に比べて長く、また使っている木の関係か先程よりもズッシリとしている。
私は満足気にその木刀でパッパ直伝の剣技をおさらいしていく。
パッパの技は私が扱うような魔術と違って素直で分かりやすいが、それ故に割と容赦ないものが多い。
例えば、以前オクトー戦で空振った
然し、パッパが目標にしたヨダルラーハは海すら割ると──比喩表現かもしれないが──いうのだから、こういう面でも追いつけていないのだと感じてしまう。
……ヨダルラーハが規格外なだけで、別にパッパが弱いとはとても思わないけれど。
「改めておはよう! 朝から精が出るのう、ロイルミラ」
「はい、おはようございます! えっと……師範?」
「堅いがは無しでええぜよ。 それよりも、準備はええか?」
「はい!」
私は元気よく返事をしてサビルバラから距離を取る。
今回の試合は私の
ピンと来ないかもしれないだろうが、これはこの世界で生きていなければ分かり難いルールであると私も思う。
魔法は実の所、明確な定義が存在していない。
多くの人間が魔法と呼称しているものは言霊と詠唱と術式、この3点で行使する術を指している場合が多い。
例外も多々あるガバガバな区分けであるが、大体の人が指す魔法は膨大な魔力と属性元素を練って扱うものである────と認識されている訳だ。
一方で、技と呼ばれるものは魔法と違い詠唱や術式が存在しない場合が殆ど。
技名はあっても言霊とは違うから、そういう面で言えば何も混同しようが無い筈……なのだがそうは問屋が卸さない。
何せ魔法は言霊や詠唱は省略出来る場合があるし、術式すら簡略化するケースもある。
逆に技と呼ばれているものでも発動に特定の所作が必要────つまり、詠唱や術式が必要な場合があるのだ。
それでも空の世界でそこまで技と魔法が混同されない理由は、偏に魔導師達が持つ
私みたいな使えるものは何でも使う精神では基本的に大成しないとされているのだ。
これは魔術の研究は生涯を捧げるつもりであれという伝統的な価値観によるものと、それを裏付けるかのような大魔導師並びに名門の魔導師家系の存在が大きい。
中には『魔法と技は明確に誇りの観点で違う』と主張する学者さんまでいるらしいから、魔導師のプライドが如何程のものかは推して知るべし。
私はあくまで『魔法戦士』になりたいから、剣術を学んだ事を一切後悔していないけれども。
さて要するに、今回のルールは私からすると不利である。
一応パッパ直伝の技以外にも剣技は開発してあったりするが、残念ながら魔法と違って数は大して無い。
その上、魔法戦士として魔術も剣術も扱える前提で組んでいるから、今回に限って言えばパッパの技でほぼ全て乗り切るしか無いだろう。
私はこの剣術に関しての選択肢の狭さを補う為に剣術道場に弟子入りしたと言っても過言では無く、年月的な余裕があればナルメアの方の道場にも赴くつもりでいる。
技術の入手に関して私は貪欲な姿勢を貫くつもりなので、魔術も剣術も出来る限り磨きたいし、呪術も錬金術もそれ以外のありとあらゆる知識だって機会があれば齧るつもり満々だ。
「先ずは構えを見せてもらおうか」
サビルバラと10歩程の距離を開け、私は彼に言われた通りに構える。
普段の刀よりも軽い木刀ではあるが、いつもの担ぎ構えだ。
「ほう、えらい重い刀を佩いちゅーきどんな構えか思うたら……
そうか、担ぐのか」
「ええ、これなら左手が空くので魔法も撃ちやすいんですよ」
「成程。 ……改めて言うちょくが魔法は禁止ぜよ、えいな?」
「勿論です、あくまで構えですから」
再度の確認を終えて、サビルバラも構える。
先程から見えてはいたけれど、木刀が特注なのか物凄く長い。
102cmという私からしたら大柄な人なのも相俟って威圧感も大したものだ。
とはいえ私はサビルバラより背が高く、彼より威圧的な
これしきの威圧感で怯む程、私は軟弱な
「そっちから仕掛けて来てええぜよ!」
「それじゃ、お言葉に甘えて──」
私はサビルバラの発言を受けて、木刀を相手に向けて突きつける形に変える。
遠当てする事が丸分かりの格好になるが、初撃ぐらいは素直でいきたい。
「──
「ッ!」
突きによって繰り出す遠当ては、木刀の属性元素に偏って茶色の光を伴う。
私が自らの属性元素を特に練りもせずに放ったからこその現象で、普通の人なら自らの属性に左右されまくる。
パッパレベルの他属性がまるで扱えない人だと、木刀と普段の刀の属性が違うからという理由だけで遠当てすら出来ないらしい。
サビルバラは私の遠当てに多少驚き、然し余裕を持って刀で迎え撃つ。
それを見て私は追撃をするべく距離を詰める。
「
「大振りすぎるぜよ!」
私は大上段から木刀を振り下ろす。
サビルバラはそれに対して器用な足捌きによって、余りに長い木刀を近距離まで迫った私のお腹目掛けて突き出す。
「──蹴撃!」
「なっ!?」
私は突き出されたサビルバラの長い木刀に左手を添えてそこから軽く魔力放出、放出の反動で跳躍してサビルバラの顔面を蹴り飛ばす。
大上段からの振り下ろしがブラフなのは恐らくサビルバラも気付いていたとは思う。
距離を詰めて振り難くなった長い木刀を、私が対処しづらい突きにする為だけに位置取りを調整したのだから。
この技は私の事を不意打ちで蹴っ飛ばしてくれた
パッパも私も、剣技に求めているのは実用性であって美麗さでは無い。
それ故に割と汚い手だろうが我が家では使って良いとされていた。
パッパ曰く『綺麗な型で命を守れるならそれでも良いが、現実はそうでない場合の方が多い』という理由なんだとか。
私が教えられたパッパの技の中には、相手の目を狙うものや刀の峰で殴るような荒業も含まれているぐらいだ。
その教えの賜物なんて言ったら怒られそうだが、結果として私は生み出した魔法やそれ以外の技まで、どいつもこいつも実用性重視になってしまった。
「やってくれる……! ちょいとばかし、痛い目に遭ってもらおうか!」
私の蹴りによって数歩よろめいたサビルバラが、獰猛な笑みを私に向ける。
────その際に、前世で聞いたボイスを伴って。
(やっば、生の1アビボイスじゃん……!)
いかん、
戦いの最中に意味も無い興奮をしている場合では無い。
サビルバラは属性元素を纏わせた木刀を構え、私に振るう。
「連華刃!!」
「ぐっ……!」
風の刃が私に襲いかかる。
私は魔法で防ぎたくなる気持ちを抑えながら、必死に刀で迎え撃つ。
然し全てを捌く事は出来ず、借りていた道着の一部が切れる。
サビルバラには悪いが道着を借りていて良かった。
殺し合いでも無いのに私服が切れていたら泣いていたか、怒っていたかもしれない。
「お返しですよ! 即席遠当て・風刃!」
「何!?」
私は土属性の遠当てでは無く敢えて風属性の遠当てをする。
ただの意趣返しではあるが、当然のように複数属性使ってきた事に多少の驚きを提供出来たようだ。
風属性の魔法自体は昨日使ってしまっていたので、これで大して驚かれなかったら少しばかり拗ねていたかもしれん。
……我ながらこういう所ばかり外見側に引っ張られている気もする。
驚きからすぐさま立ち直ったサビルバラは、私の遠当てを迎撃して構えを緩める。
「おんしの力量は大体分かったぜよ。
それだけの実力があって、それでも此処で学ぶような事が有るのかはわしには分からんが……
ま、おんしが納得出来たらそれでええぜよ」
どうやらたったこれだけの打ち合いでも私の実力が掴めたようだ。
しかも随分と高く評価して貰えたらしい。
嬉しさでニヤけそうではあるが、試合が終わった訳では無い。
「ほいたら剣士らしく、白黒つけるとするぜよ!」
「望むところです!!」
そこから私達は幾度と無く木刀を打ち合う。
ぶつかる度に重い感触と、それにそぐわない程の軽やかな音が響き、場所も攻守も激しく入れ替わりながら何度も攻めて守ってを繰り返す。
時に木刀が頬や目を掠め、蹴りも拳も飛び交っている。
これは既に『試合』と呼ぶには不相応な────正に『戦闘』だった。
私は笑う。 勝つのは自分だと鼓舞するように。
サビルバラの木刀が右頬を撫でて皮膚が切れる。
私は傷を指で拭いながら右足で彼の脇腹を蹴り、体勢を崩しつつ刀を左手に持ち替えて一閃。
サビルバラも笑う。 私如きの小娘には負けんと言わんばかりに。
蹴りで呻きながら私の一閃を刀で受け止めて、体勢を崩した私にお返しの蹴撃。
私は空いた右手でそれを受け、押し退けながら転がって体勢を戻す。
直後に飛んでくる風の刃に、木刀を右手に持ち替えて迎え撃つ。
「
木刀が風の刃と衝突した直後、属性元素を増幅させて淡い茶色の光が壁のように広がる。
壁はそのまま刀を離れて遠当ての要領でサビルバラへ。
「せいっ! でやっ! せいやっ!」
サビルバラは華麗な連撃で迫る壁を切り崩し、私を見てニヤリと口角を持ち上げる。
「加減はするけんど、危ないと感じたら魔法も使うんがよ?」
そう告げた後、サビルバラの纏う空気が一層威圧的になる。
私はいつでも対処出来るように普段の担ぎ構えに戻す。
「いざ──」
「くっ!?」
閃きが3回。
私の腕を正確に狙ったその剣閃は木刀を弾き上げ、腕に痛打を与えて胴を空ける。
一瞬の溜め。
サビルバラの木刀が緑に煌めいている事から、強い風属性への偏りが見て取れる。
私はこの一瞬を見逃さずに痛む腕を無理矢理動かして木刀を強く握り直す。
加減すると言っていても、この動きは間違い無くサビルバラの奥義。
故に私も自らの魔力に属性元素を練り込み、木刀を光り輝かせていく。
パッパ直伝の技で以て──加減されているが──彼の奥義に立ち向かおうでは無いか。
「──
「圧し潰せ!
サビルバラは風を纏い、怒涛の回転連撃。
私はそれを圧し潰さんと、光の壁と化した木刀を振り下ろして迎え撃つ。
回転が9つを数える頃、双方の属性元素が霧散して衝撃波と化し私とサビルバラを道場の端まで吹き飛ばした。
「げほっげほっ!! ぺっ、髪の毛食った!」
「げほっ! ごっつい衝撃やったぜよ……」
お互い咳き込みながらポロポロと言葉を零していれば、こちらに向かってドタドタと走ってくる音がする。
「あんたら何しゆうがよ!?」
物凄い勢いで駆け込んで来たクラーバラは最初こそ声色や表情に心配が含まれていたものの、私とサビルバラがボロボロになりながらも2人して苦笑いなのを見て何が起きたのか察してしまったらしい。
今はドンドンとその表情が恐ろしいものへと変貌している。
「……あんちゃん」
「ま、待つぜよ! わしもロイルミラも、そのー、魔が差したっちゅう奴で──」
「あんちゃん、正座」
サビルバラの言い訳を許す筈も無く、正座を強要するクラーバラ。
何か言い返したらそれこそ木刀で叩かれそうな怒気を纏う妹に勝ち目が無いと判断したのか、無言で正座に移行するサビルバラ。
そしてクラーバラは当然、私にも────
「ルミちゃん」
「はいすいませんでした本当に許してください!」
私は羅刹女と化しそうなクラーバラを前に、情けなく謝罪しながらサビルバラの隣まで急ぎ、迅速に正座する。
そこから先は、語るには余りに長く恐ろしいお説教がそれはもう昼前まで続き、説教が終わった頃には足が痺れて動けそうにも無かった。
追い打ちを掛けるように、傷の手当てと昼餉を済ませたら道場と屋敷を改めて掃除するよう言い渡される。
これに対し抗議の声を上げたサビルバラは、現在私の隣で痛みに悶えて転げ回る羽目に。
この剣術道場で誰が1番強いのかを改めて心に刻んだ私は、この女丈夫────クラーバラを果たして守る必要があるのか疑問を抱きつつ、大人しく傷の手当から始めるのだった。
という訳でサビルバラとの
次はガンガン飛ばしてコルウェル戦前か、合間に原作キャラと交流したりする……かな?
結局のところ、いつも通り未定って事です、はい。