団長ラブ勢のギャルハーヴィンだってそうさ!!必ず存在する!!!! 作:梏 桎
皆様の感想が暖かすぎて嬉しいと同時に調子乗りそうな筆者です。
別名を承認欲求モンスター、または可愛くない後藤ひ○りです。
私が現世への生還を果たしたのはコルウェルをぶっ倒してから1週間も過ぎた頃だった。
ある種のお約束でもある『知らない天井』はカラクラキルの屋敷で、それはもうご立派ァ!な和室である。
今世の私のサイズ感も相まって、だだっ広いお座敷にポツンと布団が敷かれてそこに寝ている姿は、宛ら前世で観たアニメのワンシーンだ。
私が目覚めた際に側にいた使用人さん──療養中の我が身の世話をしてくれているハーヴィンのお姉さん──は驚愕の余り腰を抜かし、そのまま這いながらお医者様を呼びに行った。
内心ではしっかりと謝罪をしていたが、それとは裏腹に表情は笑っていただろう。
(メッチャ面白かったな、あの時の
どうにか呼ぶ事に成功したらしいお医者様が襖を開いて私を見たときの顔も強烈だった。
────意趣返しとばかりにくっっそ苦い薬を処方されている気もするけど。
現在は絶対安静を言い渡された上に毎食後に薬を飲む事になっているのだがマジで苦い。
そもそも外傷なのに飲み薬って必要なんだろうか。
医学や薬学はさっぱりだし、前世のあやふやな記憶の限りではここまでの大怪我をしていないから、病院や医者の世話になった回数がそもそも健康診断や予防接種を抜いたら無かった気がする。
とはいえ理由を知ったところでこの薬の苦さは減らないし、あのお医者様が私の意見を聞き入れて薬を変えてくれるビジョンも見えない。
それでも愚痴りたくなるぐらいには苦い、というか素直に言うならクソ不味い。
「リフォリさーん! あの薬本っ当に不味いんだけどどうにかなりませんか〜?」
「何度聞かれてもどうにもなりません。 それに言うではありませんか、良薬口に苦しと。
効き目がしっかり有る証左でございましょう。
何よりも、その薬を処方するように命じたのはカラクラキル様です」
「えぇ!? 初耳なんですけど!?
いや……それでも、私の魔法の方が絶対回復早いって!
カラクラキルさんは何を考えてこんなクソ不味い薬を?」
「一介の使用人に聞かれても困ります。
そして『安静中は鍛錬・術の行使を自粛せよ』とお医者様も仰られていますので魔術の行使はお止めください。
それでもその『魔法糸』なるものは見て見ぬ振りをしているのです、それ以上は許可しません」
「うぅ〜〜〜〜!!! リフォリさんのケチ! 腰抜かしハイハイおばs──」
スパァン!!
「
ひぃん、リフォリさんが私を虐めるよ〜!*1
リフォリさんは容赦が無いけれど、私を思っての行動だとは理解しているのであまり強気にでられない。
それはそれとして平気で怪我人だろうと引っ叩くし、自分の手に負えないと判断するや否やカラクラキルかクラーバラを呼ぶ。
クラーバラは言わずもがな、カラクラキルも結構な説教の長さを誇るので軽率に召喚しないでほしい。
さて、好い加減に状況の整理をしよう。 手元の裁縫も区切るには良いタイミングだ。
現在は事件の晩夏から既に過ぎて、秋真っ盛り。
私が生還までに要した1週間の出来事は当然、知る由も無いので聞いた話になる。
先ず、此度の襲撃犯コルウェルはサビルバラが殺害し、妖刀も彼の手に依って──私の刀ごと──破壊された。
そして犠牲となった筈の私はこうして生きていて、サビルバラの右手も順調に治癒が進んでいるらしい。
それでも未だに右手には包帯が巻かれている辺り、回復魔法のサポートが無ければマジで犠牲になっていたのは疑いようも無い。
因みに私の容態は
恐らくツクヨミ様の
────
そもそも貴方の復活付与は召喚効果で加護じゃないだろとか、加護は加護でしょっぱすぎて誰が使うんだとか、というか何時の間に私に加護を与えたんだとか言いたい事は山程ある。
山程あるが、結果として救われているので何も言えない。
なのでまぁこれは良い。 本当は全く良くないが、人は前に進むものなのだ。
完治していない
実は両方とも、ある程度の見当が今は付いている。
最初は妖刀で身体中ズバズバ斬られた挙げ句に左肩と腹で2箇所も穴を空けたのだ、恐らく体内の魔力循環が滅茶苦茶にされたのだろうと思っていた。
但しこれが真ならば私は戦闘中に魔法が使えなくなっても可笑しくないし、そもそも右眼が完治しない理由が説明出来ない。
ここで思い出して欲しいのが例のクソ不味い薬である。
お医者様の意趣返しだと思い込んでいたアレはカラクラキルから処方するように命じられていた。
カラクラキルの家系は妖刀の封印を専門とするが、事実として呪術師の家系でもある。
結論を言おう────今の私は
随分と必死にコルウェルを留めていたし、何ならあの時点で死にかけだったのでうろ覚えなのだが、どうやら私は
多分だけど詠唱の途中で喀血でもしたんだろう、ぶっ刺されてたし。
然し呪術は術者の状態など考慮してくれやしない。
結果として中途半端な術の行使をした私は、勢い余って自分ごと
そして
多分あのクソ不味い薬は解呪と魔力の安定的な発散を齎してくれているんだと思う。
フュンフというヤバい存在を知っている手前、自慢にもならないが私も一般人よりは魔力の生成量が多い。
きちんと発散出来ないと、呪いとは別に体内魔力のせいで体調を崩す可能性が巨レ存なのだ。
────いや巨粒子ってなんだよ。
§ §
相変わらず脱線させてしまったので話を戻そう。
サビルバラはコルウェルを殺害した訳ではあるけれども、コルウェルは何と既に『
どうも
とはいえ、彼自身が人を殺した事実自体は拭えない。
実際、私が寝ている間のサビルバラはボーっと虚空を眺めているか、苦しそうな顔で何かを考えているかでほぼ全てが構成されていたレベルらしいし。
何を考えていたのかは誰にも明かしていないようだけれど、少なくとも私が目覚めてからはそういう顔をしなくなったそうなのでヨシ!
ならば私が目覚めてからのサビルバラは? と聞かれれば。
彼は私に随分甘くなった、と答えさせてもらおう。
そう────薄々察していたが、彼は身内に対して超が付くレベルの過保護だったのである。
確かに元々面倒見が良い人物ではあるのだ。
私もこの島に来てからというもの、サビルバラの気遣いに感謝した回数は両の手では収まらない。
周りにいる人間はまず間違い無く彼の世話焼き──それと照れ隠しやら皮肉やらを含んだ憎まれ口──に文字通り
そんな彼が『普通ならば死んでいる筈の弟子が生き返った』という状況で果たして過保護にならないなんて有り得たのだろうか?
多分どこの世界線でも有り得なかっただろう。
原作でも実はクラーバラが生きていました、なんてオチだったら『今度こそわしが一生クラーバラを守護るぜよ』とか真顔で言いそうだもん。
なお実際の原作は……今はいいか、
と言うわけで今のサビルバラは私に超絶甘く、且つ非常に過保護だ。
団子でも食べたいと呟けば茶屋まですっ飛んで行くし、散歩でもしようと部屋を出れば何処からともなくやってきて色々理由を付けた末に同伴してくる。
クラーバラ曰く『暫くすれば治まる発作みたいなものだから適当にあしらうと良い』らしいが、私としてはキャラ崩壊がエグすぎて受け入れきれないので早く戻ってほしい。
クラーバラもクラーバラで、最近は実家の剣術道場に戻っては鍛え直しているのだとか。
総領息子の嫁さんが新婚であるこの時期に実家に戻って刀を振っている状況は中々ヤバい気もするが、
当たり前ではあるが、無事にクラーバラとカラクラキルは結婚した。
とはいえ花嫁行列の最中に襲撃、更には怪我人まで発生したので式は延期。
実際に式を行ったのは私が目覚めてから3日後で、曰く『恩人を式に招待できないなんて祝いの場なのに悲しすぎる』からだそう。
そんな訳で私も出席させて頂きましたとも。
右眼は──当時は原因不明で──視力が著しく低かったので眼帯を装着して臨む羽目になったのだが、両の眼でしっかりとあの幸せ空間を視れなかった事が今でも悔しい。
因みに視力はもう戻っている。 薬のお陰なんだろうけれど、クソ不味いというデメリットが大きすぎて素直に感謝できない。
そんな新婚夫婦と化したカラクラキルとクラーバラだが、前述の通り奥さんの方が実家で鍛え直し始めちゃうし、旦那さんはそれをニコニコしながら止めもせずに
────折角なんだからもっとイチャイチャしてよ!!
私は別に恩を売りたくて救った訳じゃ無い。
この一連の騒動は元々クラーバラが好きだった(前世の)私が勝手に救えると思って行った傲慢の極みであり、何ならコルウェルの襲撃をあたかも知っていたように動いてしまったから治療もされずに捨てられる覚悟もしていた。
療養に専念できる空間の提供は感謝の念に堪えない。
だが、その結果として新婚夫婦が私の前でイチャイチャしてくれないのは駄目だ。
もっとこう、クラーバラから長々と惚気話を聞かされて表面上はウンザリしながらも内心その話をおかずに白米を食べるオタクになりたかったのに。
但しそれももう暫くの辛抱だ。
無駄に冗長に理論を説いた事で有耶無耶にしてもらっている魔法糸の生成速度で、私は体内魔力の正常性を日々確認している。
序でに寝てばかりの今の生活に丁度良いと思って、シェロちゃんに頼んでいた布地で
まぁ自作なんて言っているが作るのは外套やらの装飾品で、衣服そのものはほぼ全て既製品。
それにやっている事はほんの少しの刺繍で、魔法糸を用いて布に私の魔力を
破れにくくする為の補強だと思ってもらえば問題ない。
そして魔法糸の生成速度がもう既に以前と変わらないぐらいまで戻りつつあるのだ。
そろそろ完全復活────いや、刀が無いから完全じゃないわ。
(刀の方も既に連絡は取れているから時間の問題なんですけどね。
にしてもシェロちゃんに借りを作りすぎたなぁ……どうやって返そうか)
「うぐぐぐ……シェロ畜……無償奉仕……寧ろ身体で……!?」
「ロイルミラさん、変な事を突然口走らないでください。
何を仰っているのか意味不明ですし、13のお子様が性奉仕は大概の島で違法です」
「はぁ!? せ、性奉仕ってそんな直接な表現しなくてもいいじゃないですか!
というか13をお子様って言いますけど、リフォリさんと既に胸はどっこいですけど〜?」
「女の魅力が胸で決まると思っている時点でお子様ですよ、ロイルミラさん」
(んなもん分かってらぁ! こちとら前世ロリコンやぞ!*3)
「それにハーヴィン族である我々が胸の大小で競うのは如何なものかと」
「それを言ったらおしまいです!!」
私の魂の叫びにリフォリさんは眉を顰める。
分かっているさ、分かっているともさ。
それでも夢は見たいじゃないか、女としての生を受けたのだもの。ルミを
§ §
最後に語るべきは私の刀に関してだろう。
罅が入った時点で手入れとかでは済まない状態ではあったのだけれど、最終的にはポッキリ折れてしまった父譲りの刀。
私の魔力に完璧では無くともよく馴染んでくれた刀をみすみす手放すのはどうかと思い、今は取り敢えず錆びたりしないように手入れだけして貰っている。
とある刀鍛冶にシェロちゃん経由で交渉している最中で、あわよくば鋼の一部を再利用してくれないかなぁなんて。
所詮は何も知らない素人の願望なので無理と言われたら大人しく諦める。
ただ、あの刀以上に私の魔力と全ての属性をキッチリ浸透できるモノなんて存在するんだろうか?
最悪の場合、刀を振るより宝珠でも握れと言われそうだが……
(ドランクと宝珠使いで被るのは却下だ。
それなら高くなりそうだけど魔銃*4を探すか、魔導弓*5の方がマシ。
まぁ、こっちもこっちでキャラ被り酷いけど……)
ドランクとキャラが被るのを厭う理由は、単純に『メインで絡む宝珠使いは彼がいれば十分』という個人的なもの。
その点で魔銃や魔導弓なら──この世界の彼らの旅路次第ではあるけれども──キャラ被りは発生しない。
……代わりに今まで積み上げた剣術を横に置いて銃やら弓やらを学ぶ事になるから、結局これもどうしようも無かった際の最終手段。
交渉中の刀鍛冶は原作でもお馴染みバルツ公国のフレイメル島に店を構える職人ユールネール氏。
鍛造、彫り、鞘作りに研ぎまでを1人で熟す名刀工だ。
少しばかり捻くれた御仁のようで、療養中であると最初に明記したのに『手紙なんかチマチマ寄越さずにバルツまで来い』と初っ端から無茶な要件を突きつけられた。
バルツはファータ・グランデ内で言えば間違い無く西側であり、そんな軽い気持ちで行ける距離では無い。
なら彼では無く別の人間に依頼を────とも少し思ったのだが、ユールネール氏はここまで借りを作りまくっているシェロちゃんの推薦で紹介されたのだ。
────シェロちゃんの人物評価は基本的に信用するべき。
私は『完治したらすぐ行くんで待っていてください(意訳)』という手紙だけ送り付けて療養に専念している訳だ。
実際は護身用の刀だけでも貰うなり買うなりしないと空の旅は不安なので、バルツに辿り着くのは早くても1ヶ月は必要だろう。
(こういった時に備えてずっと貯金はしてきたが、全部吹き飛んでいきそうだなぁ……
借りを返す意味でもシェロちゃんから依頼を斡旋してもらおう、タダ働きとか身体で支払うみたいなの以外なら何でもやってやらぁ!)
これにてロイルミラ視点では完全に白詰草関係は締めです。
そう遠く無い内におまけを挟んでバルツに飛びます。
因みにユールネールは書籍のメンバーズフェイトに登場しますので、是非チェックしてください(ハーヴィニスト並感)
シヴァの最終フェイトが思った以上にインドしていたり、古戦場が一日ズレたり年始から話題に事欠かないグラブルですね。