団長ラブ勢のギャルハーヴィンだってそうさ!!必ず存在する!!!!   作:梏 桎

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シャルロッテが団長になります(身も蓋も無い)


聖騎士はあったろう?

 

 

 今日のリュミエール聖国は素晴らしき快晴。

 因みに昨日は曇り、というかこの時期のリュミエールは気流の都合で曇天が普通らしい。

 そう思うと今日が快晴なのは運命なのだろう。 かの聖騎士団に新たな団長が生まれるハレの日な訳だし。

 

 港の方は今日も賑やかだ。 時間を考慮するなら昨日以上と言っても過言ではない。

 表向きは友好国の新団長殿への挨拶として、実態としては敵情視察としてエルステやメネアからも人が来ているのだろう。

 まぁ今日のクレーモン教会は聖騎士団とその関係者以外は立入禁止で礼拝すら許可されていないので、外部の人間がそういった情報を得られるのは早くても昼過ぎ、基本的には夜になる。

 

 

(まぁ私には立入禁止程度じゃ意味無いけどね〜。 にしても千里眼(ヴィルーパークシャ)がここまで大活躍するとは)

 

 

 現在私は朝食として購入したパンを片手に、クレーモン教会の裏手に聳えるロイヤーヌ城から千里眼(ヴィルーパークシャ)を行使。

 港で見事な隊列を組み、それでいて民に威圧を与えないように静かに移動する聖騎士の集団を眺めている。

 先頭が女ハーヴィンといえば所属が何処かは明確だろう。

 彼らこそシャルロッテに直々に鍛えられた──恐らくは今のリュミエール聖騎士団において最も『清く、正しく、高潔に』を体現した──サン=ベルナール砦を管轄とするエクレール騎士館の面々だ。

 

 サン=ベルナール砦はリュミエール聖国領の中でエルステに近い地域の一つであり、もし両国が交戦する事になってしまえば真っ先に戦地となる場所である。

 そこを任されていたのがシャルロッテとその部下であるエクレール騎士館の聖騎士なのだが、その中で原作プレイヤー()的に注目するのはシャルロッテのすぐ近くに付き従うドラフの男────バウタオーダ。

 彼は清廉潔白や品行方正という言葉をそのまま人の姿にしたような男で、シャルロッテを敬愛する同志(ハーヴィニスト)*1

 因みに私はバウタオーダも普通に好き。 まぁそもそもグラブルキャラは大体好きなんだけれども。

 私がバウタオーダで推したいポイントは料理している姿と笑顔の際の優しげな目。

 特に目尻のラインが色っぽいと常々思っている。 普段のキリッとした顔だと余り目立たないのが勿体無い。

 

 

(って違う、彼の推しポイントを並べている場合じゃ無い。

 そろそろ彼らも教会に着くし、私も見やすいポイントに移動しよう)

 

 

 パンの残りを口に突っ込み、千里眼(ヴィルーパークシャ)を解除してロイヤーヌ城を後にする。

 最も楽なのは飛翔術で適度に減速しながら飛び降りる方法だが、流石に人に見られてしまった場合のリスクが大きすぎる。

 特にこのロイヤーヌ城は現在スプランドゥール騎士館が宿舎として利用しているので、不審者として捕まったら面倒極まりない。

 私はゆっくりとリュミエールの空を旋回し、クレーモン教会を改めて見遣る。

 

 私には教会の建築様式なぞサッパリ分からないので、この建物が立派であるとしか表現出来ないのがもどかしい。

 聖域が東なのはこの世界でも変わらないようだが、リュミエールは何を信仰しているんだろう?

 かの聖人、救世主の線も全く無いとは言えまい。 ゲーム的には出せないだけで。

 そうで無ければ矢張り星晶獣だろうか。 ファータ・グランデといえば星晶獣みたいな認識は、まぁ間違っていないだろうし。

 

 

────何にせよ縁遠い話だな。

 

 

 結局色々と考えを巡らせたところで、私は別にリュミエールに何かするつもりなど無い。

 故に信仰が聖人でも星晶獣でも構いやしないし、ぶっちゃけ騎士団長がシャルロッテじゃ無くても構わなかった。

 シャルロッテ・フェニヤという女性がリュミエール聖騎士団の団長になる事を微塵も疑っていないと言い換える事も出来る。

 この島に来てたった2日、更に今までの旅路でリュミエール聖騎士団所属の騎士に出会ったのは──元所属のコルウェルを除けば──この島だけだ。

 だけなのだが、そんな彼らを見ていてリュミエール聖騎士団の掲げる『清く、正しく、高潔に』を感じられるような所作は一度も無かった。

 強いて言えば私が人混みに負けて空へと逃げた港で聖騎士が人助けをしていたようだが、聞けばシャルロッテとそれに感化された一部の聖騎士だったそうで。

 要するに、現状のリュミエール聖騎士団でシャルロッテが団長になれない可能性はほぼ0。

 あるとすれば、シャルロッテが何らかの理由で団長になる事を異常に拒むか、それこそ仕組まれているかぐらいだろう。

 

 

(いくら現状の聖騎士が頼り無いとはいえ、不正まで堂々と行うのは流石にどうかと思う)

 

 

 まぁ小説では普通に不正していたし、それでもシャルロッテは団長になった。

 一時的に捕らえられたり、ほぼ単身でスプランドゥール騎士館とサンティユモン騎士館を相手にしたりする羽目にはなるけれど、シャルロッテはそれも乗り越えている。

 私がこの島に来た、というだけでこれらが致命的にズレでもしたらバタフライエフェクトも良いところだ。

 その時はオロロジャイアを呪う。 効かないだろうけれどね。

 

 

(ステンドグラスで見辛いからどうしようかとも思ったけど、こういう時に視界リンクが良い仕事するね〜!

 あんまり近すぎると不自然すぎて聖騎士に勘付かれそうなのが怖いけども)

 

 

 クレーモン教会から程近い民家の屋根上で千里眼(ヴィルーパークシャ)を行使し、その辺のチラシで折った紙飛行機と()()()

 こうする事で紙飛行機に私の視界を一時的に()()

 発想は相変わらず前世の漫画やアニメから来ているこの術だが、欠点が多くて個人的には名前を付けるレベルまで到達していない。

 まず視界を一時的とはいえ完全に譲渡しているので、私本人が無防備になる。

 更に視界を譲渡した存在を操れるようになったりはしない。

 今回は紙飛行機なので私が魔力を通して遠隔操縦するみたいな手法が取れるが、普通の生物の視界を借りた方が違和感を消せるし優秀だ。

 だが先述の通りこの術は操る工程までを含んでいないから、生物に視界譲渡をすると運ゲーが始まる。

 コルウェルに関する下調べの際は彼が人目を避けてくれたお陰で生物も基本的には自然体で、それでいて侵入者となるコルウェルを警戒して見てくれたりしたから有難かった。

 だがここは大国リュミエールの本領で、人も多いし騒がしい。

 良くて小鳥か鼠ぐらいしか選択肢にならないし、そんな小動物だと視線が低すぎる上に人に対してビビりすぎてしまう。

 だからこうして紙飛行機という無生物に手を出さざるを得なかったのだが……あっ。

 

 

(やっべ、広場から覗けないかと色々やってたらチビっ子に握り潰された)

 

 

 こういう事もある。 今回は私の落ち度なので何も言う事は無い。

 私はどうしようか暫し悩んだ後、『まぁ結果なんざ分かりきってるし良いか』と諦めて歓楽街でのんびり待つ事を選んだ。

 

 

 

  §  §

 

 

 

 クレーモン教会の鐘が鳴り、リュミエール聖騎士団の団長決定選挙が開始される。

 見届けるのはリュミエール聖国の聖王府より派遣された枢機卿、プロスペール。

 団長決定には聖王の承認が必要であるが、聖王も自由に動ける立場では無い。

 故に枢機卿が聖王の代理としてこの選挙を公正に行い、そして結果を聖王に報告する義務がある。

 枢機卿は告げる、『立候補権は全聖騎士にある』と。

 

 

(そう言われても自薦する聖騎士なぞいる訳が無いのであります)

 

 

 エクレール騎士館の面々が集まる聖堂の一角、バウタオーダの隣でシャルロッテはそう思っていた。

 

 

────シャルロッテ・フェニヤは団長という立場に特に魅力を感じていない。

 

 

 彼女は幼い頃、聖騎士に命を救われた事で遠路はるばるリュミエール聖騎士団に入団したハーヴィンの女性である。

 この空において女性が剣を握る事にとやかく言う輩は──余程旧時代的な思考の人間じゃない限りは──いない。

 だがハーヴィンが剣を握るとなれば話は違った。

 ハーヴィンだろうと武勇に優れる者は既に数多いて、その中には剣士だって当然いる。

 それでも矢張り四大種族を一纏めにした『人間』という括りで見れば、武勇に優れたハーヴィンが他種族より少ない存在であるのは空の常識とさえ言えた。

 

 然しシャルロッテには関係無い。

 彼女は自らを救った聖騎士に憧れを抱いてリュミエールまで来たのだから、剣を持てない自分など一切考慮していなかった。

 そうやって憧れを追い、剣を振るって弱者を助けて過ごしていただけ。

 なのに気付けば他国に非常に近いサン=ベルナール砦を、そしてそこを管轄とする騎士館を任される立場にまでなってしまっていた。

 与えられた立場と責務を放棄するような人間では無かったシャルロッテは、立派に今の今まで館長として振る舞ってきてはいたものの、同時に自分の身に余る役職であるとも思っている。

 そんな彼女が団長という立場に自らなりたいと思う訳も無く、正直さっさと新任を決めて砦に戻りたいとさえ思っていた。

 

 

(確率で言えば低くとも、砦を放置したままでは何時エルステに攻められるか分かったものじゃ無いのであります。

 ある程度の評判が伴っている傭兵を雇ったとはいえ、彼らは別に我が国に忠誠を誓っている訳でも無い。

 故に出来る限り早く帰りたいのでありますが……)

 

 

 プロスペール枢機卿の選挙に関する説明とルールが語られた直後、スプランドゥール騎士館が自らの館長──恰幅の良いヒューマンの中年男性──フランソワを推薦している。

 何人かが同様にフランソワを推薦し、それをフランソワ自身は満足気に聞いていた。

 そうしてフランソワが団長候補となった後、次に始まったのがサンティユモン騎士館の演説。

 随分な音量で話しているが矢張り推薦するのは自らの館長──吊り目を抜きにしても苛立っているように見えるヒューマンの女性──マルティーヌであった。

 こちらも続々と立ち上がっては演説し、複数人がマルティーヌを推薦する。

 

 

(矢張りこの2人でありましたか。 まぁどちらであろうとも今までのように『清く、正しく、高潔に』を掲げて日々を過ごすだけでありますが)

 

 

 シャルロッテは他人事のようにそう考えていたが、実際にこの2人のどちらが団長になっても『今までのように』は難しかっただろう。

 フランソワは自らを騎士団長として推して貰う為だけにアルルメイヤをリュミエールに招いただけで無く、シャルロッテにも取引を持ち掛けたりするなど出世欲に目が眩んでいる人物。

 マルティーヌの方も武勇に取り憑かれているのか、リュミエール聖騎士団のある意味では真骨頂な筈の弱者救済を不要と断ずる戦闘狂。

 そして何より、この2人は『何方が団長になっても負けた側を優遇する』という取引を裏で行った上でこの選挙に臨んでいた。

 要するに最初から公正も何も無いスタートだったのだ。

 

 

────彼が声を上げるまでは、だが。

 

 

 フランソワとマルティーヌの推薦以降、他の推薦人が出てくる事は無かった。

 プロスペール枢機卿は粛々と選挙を進め、いざ投票を始めようとしたその時。

 

 

「お待ちください」

 

 

 シャルロッテの隣から声が上がった。 見ずとも分かる、バウタオーダだ。

 彼は別に機が熟すのを待っていたのでは無い。

 単純に自らがこの先やろうとしている事が果たして正しいかを自問し続けていた。

 その結果としてここまでギリギリになってしまっただけであるが、偶然にもそれは人の注目を集めるのに最適であった。

 彼は投票を遮った旨を枢機卿に謝罪した後、一息挟んで言葉を発した。

 

 

「私はここで、エクレール騎士館のシャルロッテ館長を推薦したいと思います」

 

 

 そうして彼は語った。 自らの館長が如何に団長に相応しいかを。

 リュミエール聖騎士団の長き伝統を決して軽んじず、さりとて伝統に縛られすぎた頑固頭でも無い事を。

 武勇に優れる偉大なる騎士であるが、弱者を救う高潔な心の持ち主でもある事を。

 そして、これらを全て持つシャルロッテこそが聖騎士団の頂点であるべきだと。

 

 とある聖騎士はこれを聞き、自然と拍手をしていた。

 見れば周りの聖騎士も同様であった。 誰もが皆、その演説に心を打たれていたのだ。

 バウタオーダに続くようにエクレール騎士館の聖騎士が演説をする。

 矢張りシャルロッテを推薦し、これまた矢張り自然と拍手が起こった。

 

 無論シャルロッテには寝耳に水。 思わずバウタオーダの裾を引っ張った。

 

 

なにを考えているでありますか!

 

 

 騒ぐのは良くないので小声であったが、許されるなら怒鳴っていただろう。

 続けて彼女は『自分は団長に相応しくないと前にも言った』とバウタオーダに──小声ながらに──全力で抗議した。

 

 然し返ってきた言葉は『いえ、シャルロッテ館長以外に考えられません』である。

 シャルロッテは最早バウタオーダの考えが全く分からなかった。

 その後も色々と小声で話したが彼は主張を全く曲げず、それどころか『後でどう処分しても良いから団長になってくれ』とまで言い放ってきたのだ。

 彼が結構頑固なのはシャルロッテも付き合いの中で知っている。

 知っているからこそ心からの発言なのも、本気で自分が団長に相応しいと思っているのだというのも理解出来てしまった。

 

 

「……どうなっても知らないでありますよ」

 

「はい」

 

(バウタオーダ殿……いっそ清々しいまでの返事でありますね)

 

 

 斯くして彼女────シャルロッテ・フェニヤは立ち上がる。

 

 

「遅ればせながら、エクレール騎士館館長シャルロッテ・フェニヤは、ここに団長選挙へ立候補を表明するであります!」

 

 

 この先の結果は語るまでも無いであろう。

 

 

 

  §  §

 

 

 

 リュミエール聖騎士団の新たな団長が決まったのは昼に差し掛かる頃合いである。

 突如『幸多からんことを!』というドでかい合唱がクレーモン教会から響いた事で、外にいる人間も選挙の終わりを理解した。

 矢張りというか当然というか、新団長はシャルロッテらしい。

 私はその時間帯、少し早めの昼食を摂っていて教会から離れていたので聞いたのは夕方手前だったのだけれど。

 

 

「まぁ彼女以外の候補が候補ですよね〜。 アルルさんもそう思ってたりしたんじゃ?」

 

「占い師として、そういった主観は極力排除して臨んだとも」

 

「つまりはそういう事ですか」

 

「こればかりは仕方無いさ」

 

 

 言外に『私もそう思う』と告げつつ、立場上絶対に口にしないと決めているらしい。

 因みに今も昨日と同様、彼女の宿でティータイム中である。

 

 

「私からも良いかい?」

 

「なんなりとー。 あ、私にも答えられない話の1つや2つありますからね?」

 

 

 理解しているさ、とアルルメイヤは前置きして続ける。

 

 

「君から見て、シャルロッテ団長はどうなんだい?」

 

「どう、と言われても……」

 

「思っている事を素直に教えてくれればそれで良いさ」

 

 

 それが困るんですよねー、と返すのも何だかなという感じなので暫し考える。

 正直に言えば、今の彼女なら──ちゃんとした刀を持っている前提ではあるけれど──まだ勝てる、というのが真っ先に浮かんだ事なのだが。

 

 

(流石に思考がちょっと戦闘に寄り過ぎている自覚がある。 コルウェルとの戦闘からずっとこんな感じだなぁ……)

 

 

 今の私の思考回路は随分と戦闘が第一になってしまっている。

 吹っ切れているつもりではあるが、矢張り死にかけている事実を身体や頭がそう簡単に忘れてはくれないらしい。

 或いは生還したが故に、強者を見ると戦う事から考えてしまうのだろうか。

 どちらにせよ迷惑な話だが。

 

 

「彼女、確かまだ20歳なんですよね? 若いのに団長とはご立派だなぁ、と」

 

「……君にしては随分と普通な感想だね?」

 

「出会った頃から思ってますけど、アルルさん私に当たり強くない?」

 

「ふふっ、からかい甲斐のある友が出来てしまったからね」

 

 

 クソっ、友人認定された嬉しさが勝っちゃって文句も言えねぇ……

 年下をからかって飲む紅茶は美味いか!? 美味いだろうなぁ!!

 

 

「にしても、出会って2日で友人認定とは。 アルルさん友達少ないんすか?」

 

 

 私の失礼な発言の直後、真正面から射出される光弾。

 私はそれに対して下げていたマスクを上げる事で対処する。 ここ最近ずっと出番が無かったけれど、まさかこんな場面で役立つとは。

 アルルメイヤは当然、放った筈の光弾が吸収された事に目を丸くした。

 

 

「……何だい、それ?」

 

「私にも全容は分かりません。 どうも錬金術の体系が組み込まれているものっぽいんですけど────」

 

 

 そこからはガールズトークならぬ魔導師トークの始まり。

 アルルメイヤは占いが専門だし、そもそも戦闘は極力避けるタイプの人だろう。

 それでも多少なりとも魔術を齧っていれば、こういう『未知』に心が躍るものなのだ。

 魔導師なんて多少の差はあれど皆研究者だ。 未知を解き明かし、既知を磨き上げ、全知に至る為に研鑽する。

 私の出自が特殊(転生)であろうと、この因果からは逃れられないらしい。

 

 

 そうして魔術に関するトークを暫くした後、折角だからと夕食を共にする事となった。

 場所は歓楽街。 普通の酒場で普通にパスタを頼み、普通に会計をして『それじゃあこれで』と切り出そうかと思っていた折にアルルメイヤが口を開けた。

 

 

「少し君の泊まっている旅籠を借りる事になるかもしれない」

 

「はぁ。 別に構いませんけど……?」

 

 

 理由を聞く前に手を振りながら何処かへ行ってしまったアルルメイヤに、私は手を振り返す事しか出来なかった。

 

 

 

 それから更に時が過ぎ、日付が変わる少し前。 私が泊まる旅籠に来客があった。

 当然アルルメイヤである。 但し、後ろにドラフの男がいた。

 

 

「やぁロイルミラ、お邪魔するよ」

 

「えぇ……? いや、まぁ、その……どうぞ?」

 

「……アルルメイヤ殿、お知り合いの部屋で待つと仰られていましたが話は通っているのですか?

 随分と困惑しているようですが……」

 

 

 そういって私を気遣ってくれる金髪のドラフ男、バウタオーダ。

 そんな彼の発言に対して、私が何か言うよりも先にアルルメイヤが告げる。

 

 

「話は通しているとも。 彼女の困惑は、凡そ貴方の来訪が急だったからでしょう」

 

「そう、でしたか。 これは失礼致しました」

 

 

 いやいや、全然失礼じゃないです。 私の脳味噌がちょっとフリーズしたのが悪いんです。

 寧ろ全部分かってやっているだろうアルルメイヤが全部悪いんです!!

 

 

「私はリュミエール聖騎士団所属のバウタオーダと申します」

 

「あっ、これはご丁寧にどうも……ロイルミラです。 旅人です、はい」

 

「おや、君はもっと砕けた感じだっただろう?」

 

 

 茶々を入れるんじゃないよ! 美人なら何しても許されると思ってるのか!?

 まぁ……私は許すが……じゃなくて。

 

 

「ア〜ル〜ル〜さ〜ん? ()()()()()()で借りたいならそう言ってくださいよ!

 そうすれば貴方達(原作キャラ)に会う心構えもしておけたのに!」

 

「それじゃあ面白く無いじゃないか」

 

「むぅ〜〜!! アルルさん、そういう意地悪は良くないですよ!」

 

 

 っと、アルルメイヤと会話してばかりではいけない。

 どうしたものかと居心地悪そうにしているバウタオーダに私は話し掛ける。

 

 

「すみません、アルルさんから借りる可能性に関しては聞いていたので使っていただいて構いませんよ」

 

「それならば良いのですが……」

 

 

 そう言いながら、バウタオーダはアルルメイヤに視線をやる。

 恐らくこの先の話に私がいても良いのかを確認したいのだろう。 私がいる手前、切り出し難いのだろうけれど。

 でもバウタオーダには悪いが私は一切出ていくつもりは無い。

 というよりも、アルルメイヤがそもそも私を追い出す必要は無いと判断しているように思う。

 でなければ彼女は普通に『少し席を外してほしい』と頼んでくるだろうし。

 少々意地悪な面こそあるが、アルルメイヤはそういう時はハッキリ言ってくれるタイプだと思っている。

 

 

「あぁ、彼女がいても問題ありませんよ。 寧ろいてくれた方が私としては有難いのです」

 

(いや、それはそれで不穏な言い回しするじゃん。 席外したくなるわ)

 

 

 何だか面倒事に巻き込まれる気がしてきた。

 いや、私は新たな刀を用意するという目的がある以上、明日にでも島を出ますけどね?

 

 兎も角、そうして挨拶だけ済ませてバウタオーダは一度出ていった。

 元々話があるのはシャルロッテの方らしいから、呼びに行くなりしているのだろう。

 近くの酒場で聖騎士が珍しくどんちゃん騒ぎしているのは嫌でも耳に入ってくるから、恐らくその場にシャルロッテもいるんだろうし。

 私はその間にアルルメイヤに問う。

 

 

「一体何の話をするんです?」

 

 

 その問いに対してアルルメイヤは即座には応じない。

 窓の外に目を向けて、月を眺める。 月は雲に隠されていく。

 

 

「あまり良くないことが起こる。 忠告に来たんだ、私は」

 

 

 月が雲に覆われて光源が1つ減る。 たった1つ、然しそれだけで部屋の暗さが随分と増した気さえした。

 

 

「君にも付き合ってもらうよ、ロイルミラ。 これは……そう、私からの()()だ」

*1
勿論ロイルミラの戯言であり、公式でそういう描写は無い。それはそれとして彼とハーヴィンの絡みはそこそこある




なんと拙作に支援絵をいただきました。 嬉しい(小並感)
黄泉センター様より『おまけはあったろう?』の記述からロイルミラを描いてくださいました。

https://img.syosetu.org/img/user/396196/107367.JPG

自分が脳内に描いていたロイルミラほぼそのままでビビりました。
瞳と腿が好み。達する!


次回でリュミエールは片付けてバルツに行ける筈です。
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