団長ラブ勢のギャルハーヴィンだってそうさ!!必ず存在する!!!! 作:梏 桎
毎日投稿とは言ってないのでセーフ。
……まぁ、単純に書きたいことを整理しまくってたら時間が足りなかっただけなんですけどね。
オリジナル要素が強いですが、たぶんこの回限りだと思います。
22/04/28 加筆修正
────見知った天井だ。
取り敢えず起き上がって、私は自分の身に何が起こったのかを整理する。
あの祠に触れた時、確かに
しかもゲームで聞いた気がする。 全く思い出せないけど。
それにしても可愛い声だった。
害の有無さえ判断出来ないが、こうして五体満足で帰された辺りは最低限の信用には値するだろう。
祠に触れてやってくる存在となれば、
星晶獣か、幽世の住人だ。
そして、私の見立てでは星晶獣だろうと思う。
幽世の住人は、詳細不明の空にも星にも月にも非友好的な異形の存在だ。
彼らが態々私を五体満足で帰すとは到底思えない。
人の記憶を覗いて成り済ます術すら持っているのだから、生きて帰すより殺して化けた方が早いからだ。
それに比べれば、星晶獣は人類に友好的な種もいる。
彼らは星の民によって生み出された生物兵器で、中には空の民を害する為に設計されたものもいる。
然し覇空戦争の終結で取り残されてから数百年。
役割という名の生き甲斐を今なお遂行するものもいれば、別の事をする星晶獣も出現している。
更には可愛い声で、尚且つゲーム内で聞いた気がするのだ。
私は幽世勢の声を可愛いと感じた事が無いので、これは星晶獣と判断しても良いのでは無かろうか。
纏めるとだ。
私を五体満足で帰した星晶獣(仮)は、心優しく害を与えない存在であり、私が迷子と判断して村に送り届けようとしたものの、何らかの理由で私を眠らせる必要があったので眠らせた……という事になる。
我ながら何だか希望的観測も過ぎるが、これ以上は考えても答えが出ないだろう。
────その後。
真夜中ではあるが無事の報告の為、部屋を出れば両親にボロボロ泣かれた。
それはもう怒られたし、何事も無くて良かったと喜ばれた。
想像以上に心配を掛けてしまったらしい。
随分と悪い事をしてしまった。
パッパが言うには、村の頼みで別方向の山道を警邏した帰りに、山の入口で木に背を預けてスヤスヤ眠る私を見つけたのだとか。
成程、先程の考えはそこまで的外れでは無いらしい。
祠に触れた私を星晶獣(仮)がサクッと眠らせて、その状態で山の入口まで送り届けてくれたという追加情報である。
────でも何でそんな事するんだ? まるで意味が分からんぞ!
そもそも先程の考えで星晶獣だろうと判断こそしているが、この島は何も無いくせして星晶獣の恩恵を受けているのか?
それとも島とは契約していない放浪タイプの星晶獣なのだろうか?
でも祠があった以上、何かここの土地に関連した星晶獣なのでは無いか?
……うーん、考えても考えても何も分からない。
いっそもう一度会えれば────
「──ミちゃん!ルミちゃん!」
「んぇ? 何、ママ?」
「何、じゃないわよ! どうしたのそんな難しそうな顔して。
どこか痛む?」
「んーん」
余りにも不可解が過ぎた事態を考えていれば、どうやら顔を顰めていたらしい。
どこか痛むか聞かれたが、私は怪我を隠さないタイプなので痛かったら素直に言うつもりだ。
今度は顔に出さないように気を付けつつ、改めて思考を巡らす。
今回で恐らく鍵となるのは祠の存在だろう。
アレが星晶獣に関連しているのは、出ている情報からすればほぼ確実。
然し直接的に聞くか?となれば、悩み所だ。
あの祠が山のどの辺に位置するのか知らないが、パッパは仕事の関係上、非常に山に精通している。
これ即ち、私が何処までフラフラ歩き回ったのかがバレる事に他ならない。
少し迂遠に尋ねよう。
それで答えが芳しく無ければ、素直に白状する方向にシフトする。
「ねぇ、ママ、パパ。 あの山におとぎ話とかってある?」
「おとぎ話? 私は聞いた事ないわね……貴方は?」
「私も思い当たる節は無いな…… しかしどうして?」
「あのね────」
うーん、残念。
迂遠な質問は呆気なく空振ったので、私は夜の山に入った動機から、祠に触れて意識を失うまでの凡そ全てを白状した。
途中、余りに下らない理由で危険を冒した事にマッマが怒ったり、祠に触れた際の
「……そうか」
「貴方はどう思う? ルミちゃんには悪いけれど、私としては突拍子も無さすぎて……」
「幻と断ずるのは容易いだろう。 だがそうか、祠か」
「パパ、何か知ってるの?」
「言われるまで思い出せなかったがね。
何を祀っているかも分からん古びた祠を、確かに山で見た記憶がある」
「村長さんなら知ってるかしら。
ルミちゃん、朝になったら聞きに行ってみる?」
「うん!」
§ §
朝を迎え、昼に差しかかる頃。
村長に話を聞きに行く
妹君は昨夜、私が居なくなった事を気にもしていなかった。
然し今朝は私が起きたら妹君に抱き着かれていたので、何だかんだ好いてくれているんだと思う。
私を起こしに来たのに二度寝とは、愛い奴め。
なお妹君が二度寝から目覚めて最初に私にした事は、2歳児とは思えないパワーとスピードのタックルだった。
愛情表現が過激なところも可愛いね。
閑話休題。
────そいつぁ、ガッサンサマかもしれねぇなぁ。
というのが、村長から得る事の出来た情報だった。
遡ること覇空戦争の時代、ここ周辺の空の民を纏めあげていた英雄様がガッサンという人で、あの祠は
だから助けてくれたのはガッサンサマだろう、というのが村長の見解だった。
恐らく、というのは単純な話で、村長が生まれた頃には既に山の中に祠があったのだ。
そして村長が若者であった当時でさえ、祠とガッサンの話は推量を以て語られていた。
ガッサンの逸話に関しては、村長の家の蔵に代々継がれてきた物があるので間違い無いという。
祠に関する話だけが不明瞭なのは、中々奇妙で興味深い話である。
然しそうか、星晶獣では無いという線か。
ゲーム内で聞いた気がするからと、勝手にそれ以外の可能性を消してしまっていた。
この空に幽霊も英霊もいる事はフェリもアンも証明しているのだ、星晶獣という決め付けは些か早計だったかもしれない。
それにしても、この村にも覇空戦争期の英雄譚なんて物があったりするのか。
それらしい社や像も無いので完全に無縁だと思い込んでいた。
今回の件とは別でガッサンという英雄の話はしっかり聞く機会を作りたい。
この世界に生まれたからこそ聞ける、ゲームで態々掘り下げない部分だ。
他は特筆すべき情報も無く、精々のところ『満月の夜に出会ったなら、満月の夜に山にお越しになるのかもねぇ』という推測のみ。
村長に礼を言って去り、この日は大事を取って修行も休みになってしまった。
絶賛イヤイヤ期ではあるが、妹君を構い倒して時間を潰そう。
この世の全てを否定する勢いで暴れている妹君を構い倒しながら、私はどうにかして定期的に山に入る口実を考えていた。
仮にあの時の
無論、礼自体は述べたいのだが、本音を言えば単純に知的好奇心が擽られている。
こちらを害するつもりが無いのなら、試みたいのは会話だ。
直接的な語り合いが不可能でも、意思疎通が取れれば何か有益な情報が手に入るかもしれない。
私は現在、順調に力を付けていると自負している。
然しながら、主人公が巻き込まれる事象を鑑みればまるで足りていないのも事実。
星晶獣と教えの最奥を、とまで行かずとも、技の一つでも伝授してくれれば御の字というもの。
そうでなくとも訓示の一つでも戴ければ、前世で戦いと無縁だった私にも多少の覚悟が芽生えるやも────いや、ここまで来ると何でもありだな。
兎に角、何にしても再度お目通り願いたい。
……パッパを堕とせばいけるか?
「ねぇパパ、またお山に行きたいんだけど……だめ?」
妹君を散々構い倒し、夕餉も済んだ頃。
マッマが暴れ回る妹君と格闘しているのを確認してから、パッパにアタックを仕掛ける。
唸れ私の表情筋!
愛娘からの上目遣いと涙目の懇願コンボ!
許可してくれたら感極まったとばかりにハグも付けるぞ!!
「ぅ……! パ、パパと一緒なら許可しよう」
「ホント!? パパ大好き♡ ギューッ♡」
「……ッ! そ、そうか。パパもルミが大好きだよ」
ほう……この攻撃を耐えるとはパッパも成長著しい。
でも、堅物を気取るから耐えなきゃいけないという致命的欠陥を直した方が早いと思うんだよな。
面白いから言わないけど。
然し、思ったよりもすんなりと許可が取れた。
パッパ同伴だと喋る内容を調整する必要があるが、それぐらいなら安く済んだ方だろう。
§ §
パッパの時間が空いたのは、私が交渉を持ちかけてから一週間が経過した頃だった。
その間に、昼間に行くのは勿論だが、無理を言って次の満月の夜にも約束を取り付けた。
取り敢えず再会の目処が立ったのは大きい。
無論、あの
────昼の山、祠にて。
パッパとの登山は、魔物の気配さえ無ければピクニックみたいだったと思う。
残念ながら現実は非情なもので、二度ほど魔物の襲撃に遭遇した。
パッパが即座に斬り捨てたので、私は魔物の襲撃を察知しただけに終わった。
思ったよりも血や切断面に嫌悪を感じなかった事に我ながら驚いたものだ。
精神が身体────というよりもこの世界に順応してきた証拠なのかもしれない。
染まってきたとも言えるが、別にこれは悪い事では無いだろう。
前世に戻れるなど微塵も期待していないし、寧ろこちらから願い下げだ。
幼女と仲良くするという夢物語だけを追い続けた前世より、身近に150cmを絶対に超えない事が確定している妹──それと私自身──の居る今世の方が
話が逸れたが、流血やらに前世より耐性が出来たとはいえ、矢張り多少の悍ましさを覚えずにはいられない。
いざという時に、この感覚に身を竦ませでもしたら命取りに成りかねないので、早めに慣れなければなるまい。
昼間に見る祠は、言葉を選ばないのであればみすぼらしかった。
あの夜に感じた厳かで不気味な雰囲気などまるで無く、ただただ物悲しげにぽつねんと建っている様はいっそ奇妙な愛らしさを感じる。
私はパッパと共に祠の軽い清掃をして、あの時の礼を述べた後に何事も無く帰宅した。
帰り際に吹いた一陣の風は、祠を手入れした事による感謝の念だったのかもしれない。
§ §
月の満ち欠けは前世も今世も変わらないらしい。
今宵は満月。
ガッサンサマ(仮)とご対面する予定の日だ。
「ルミ」
「なーに?パパ」
「もし、ガッサンサマが来なかったらそれまでだからね」
「はーい」
パッパに釘を刺されたが、まぁ娘が夜の山に行きたがるなんて如何なる理由でも無い方が良いのが親心だろう。
でもごめんねパッパ、私は今夜出会えなかったら次の満月も行くつもりなぐらいには今回の件に興味を惹かれているよ。
パッパからすれば鬼が出るか蛇が出るかといった心境だと思うが、私からすれば当初の考え通りの星晶獣か、村長の推測通りの英雄様の霊という、何方であっても美味しい展開だ。
用心深く装備を確認するパッパを横目に、私はウキウキしながら家を出た。
我が家は山間の村の端に位置している。
我が家に近い方の山は、越えると港町に出る事もあって反対側よりも重要度が高い。
反対の山も別の村に繋がる道ではあるので、大事である事には違い無いが。
程なくして、月が照らす山道をパッパと歩く。
頼れる光源はパッパの持つ
矢張り魔物の気配がしない。
この山に棲息する魔物は確かに昼行性が多いが、夜行性だって当然居る。
だというのに一切の気配がしないのだから、パッパも奇妙に思って先程から何度か首をひねっている。
結局、一度も魔物に遭遇せずに目的地に到着する。
祠は月に照らされて私達を待っていた。
先日の昼間に見た時と違って厳かで不気味で、けれど今は少し温かみを感じる。
掃除の成果だろうか? 気を良くしてくれているのなら頑張った甲斐があると言うものだ。
パッパに視線を送り、祠に触れる。
パッパの姿が闇に覆われる────否、私が闇に覆われたのか。
視界の全てが黒に染まり、残された月だけが煌々と輝く。
────我は大地を染める者
月を背に
玉声とは裏腹に、目の前の
その姿に私は見覚えがあった。
星晶獣ツクヨミ。
ガッサンサマと推定していた
ゲームではガチャ石の他、古戦場や砂箱の敵を務める存在。
透き通るような肌と、対照的な艶やかな烏羽玉の髪。
シースルーのワンピースの下にヒラヒラとした装飾のレオタードという際どい格好で……
いや、目の前に来られるとマジで目のやり場に困るなこの子。
シースルーワンピのせいで太もも丸見えだし、袖(?)はあるのに腋が丸出しだ。
それにハーヴィンの私が言うと説得力が薄いかもしれないが、小さい。
ヒューマンならまず少女として認識される程度だ。
そんな歳の子が先述の衣装で眼前に降臨したせいで、畏怖とか全て吹き飛んで私の
非常に拙い。 妙な事を口走りそう。
「可愛い……」
やっべ、口が勝手に。
「ふふ」
凄い微笑ましいものに向ける感じの笑い方をされた。
恥ずかしいんですけど!
私は恥ずかしさを誤魔化すように彼女に話し掛ける。
「あ!あの! 星晶獣ツクヨミとお見受けしますが、間違いありませんか!?」
「ええ、如何にも」
眼前の美少女は間違い無くツクヨミであるようだ。
「念の為に聞くんですけど、ガッサンサマって知ってます?」
「いいえ。
「へ?御空……?」
急に分からない言葉が出てきて、呆けた返しをしてしまった。
彼女に限った話では無く、もっと言えば
とはいえ、今回のは文脈と響きで察しが付く分、優しめだ。
御空の輝き……今これに該当する言葉は『空の民』だろう。
「あー、えっと、覇空戦争期の空の民で、この辺りで有名だったそうなんですけど……」
「我は分け身。 故にこの空を知る者では無いのです」
「成程……本体は別なんですね。 じゃあ、次の質問を──」
その後、幾つか質問をしたものの、わざと暈したような回答ばかりされた。
危害を加えるつもりは無いけれど、そこまで仲良くするつもりも無い……という事だろうか。
だがそれでは困る。 主に私が。
何せこんなにも身近に友好的な星晶獣がいると判明したのだ。
仲良くなりたい。 あわよくば縁を繋いで最奥まで至りたい。
どうにかして距離を縮めようと、頭を悩ませていたところ────
「共に来た人の子が、我の闇に牙を向けています」
うぇ!?パッパ何してんの!?
「うぇ!?パッパ何してんの!?」
しまった、思った事がそのまんま出てしまった。
然し困った事になった。
この行動が敵対の意思と受け取られれば、ただでさえやんわり仲良くする気はありませんよと断られている──と私が勝手に解釈している──のに、仲良くどころか一方的に殺されてしまう。
パッパを止める為にも、切り上げなければならなくなった。
「じゃあ最後に!その、また会いたいんですけど! 満月の夜、ここに来ればいいんですか?」
「ええ、望の夜は此処に」
「やった! それじゃ、また会いましょうねツクヨミ様!
私はロイルミラって言います! もし良ければ覚えてください!!」
「ふふ……さぁ、帰りなさい」
────こうして、忙しない私とツクヨミの初会話は終わりを迎えた。
最後の自己紹介が少しは効くと良いのだが。
『様』付けに関しては半ば無意識だったが、結果として信仰の意思表明っぽくて良かったかもしれない。
一瞬の暗転の後、私は祠の前に立っていた。
パッパが刀を握る手を戻して、私を抱き締める。
何だか最近は両親に心配や負担を掛けすぎている気がしてきた。
修行に一層励む事と、家事の手伝いで帳消しに出来るだろうか。
パッパからは結局、もう山には連れていかないと言われてしまった。
心配を掛けた手前、文句は言えないが同伴が無いなら一人で向かうに限る。
貴方の娘は中身が
然しこれもまた必要な事。 パッパよ、許せよ(リンドヴルム)
私がツクヨミと仲良くなる利点は多い。
先ず、教えの最奥が視野に入る事が大きい。
教えの最奥に関して簡潔に説明するならば、島と契約するような星晶獣を相手に、個人で契約する手法だ。
契約に際して条件も多く命の危険も発生するが、契約の暁には大きな力を得られるハイリスクハイリターンなものである。
メインシナリオに関わる面々も会得しているものであり、私のイチャイチャ生活にも必要となるだろう。
次に、ゲーム内のツクヨミと変わらないのであれば彼女は闇の性質に寄っているだろう。
これそのものが利点の1つとなる。
私はマッマから火と風の基礎魔法を修めたが、マッマとしても本番は光の魔法になるだろう。
光と闇は二面性、特定周期で性質を変化させるという四大元素とは異なる要素を持つ────これは前に話した通り。
そこで私とツクヨミが仲良くなると、光の性質が強い周期は私自身の力で、闇の性質が強い周期はツクヨミの力を借りる事で、私は常に全力で魔法を行使出来るという寸法だ。
それに見た目が幼女なハーヴィンがそんな力を持てば、光と闇が両方そなわり最強に見える。
問題は私に闇の魔法を使える素質があるのか分からない事だが、ツクヨミに師事すれば解決するだろう。
仮に闇の魔法に関して素質が0なら、ツクヨミ本人と協力して私は火や風の魔法で援護する形にすれば良い。
そして何より────
美少女とお近付きになれるまたと無いチャンスである。
転生をしようが、性別が変わろうが、彼女の方が背が高かろうが、
仲良くなろう。 お菓子で懐柔しよう。 部屋に連れ込もう。
頻りに妙な事をされなかったか確認してくるパッパを他所に、私はそんな妄想を膨らませながら家路に着いた。
というわけでツクヨミを出しました。
出した理由の9割は「可愛いくて好きだから」です。
プレイアブル化待ってます。
次の更新も未定です。
更新の予定日を確約出来ない非力な私を許してくれ……。
でもちゃんと次回以降も書きます、本当に書きたいところはまだまだ先なので。
それでは、明日の無料100連が良い結果になりますようにお祈り申し上げます。