団長ラブ勢のギャルハーヴィンだってそうさ!!必ず存在する!!!!   作:梏 桎

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黄泉センター様からまたしても支援絵を頂きました嬉しい!!

https://img.syosetu.org/img/user/396196/110624.jpg

実は前回の投稿前には頂いていたんですが、ちょっと大事な回だったので。
服装も魔法戦士然となり、エフェクトも相俟って格好良いですね。


本編は此処から一応、新章になります。
と言っても拙作の章は非常にザックリしているので、特に変わりないんですけれども。
強いて言えば、星晶獣が増える章かと思います。


獣と邂う燭
復活の星はあったろう?


 

 

 水満ちる島、アウギュステ列島。 正式には、アウギュステ特別経済協力自治区。

 貴重な資源を無数に保有しているという、奇妙な島で溢れた空の世界でも抜きん出て特殊な場所。

 ファータ・グランデにおいてアウギュステの領地を手に入れようとする行為は、実質的に他の国々全てに宣戦布告するのと同義と言っても良い。

 そう言える程に、この島でしか得られないものがある。

 

 そんなアウギュステ列島は観光地として──原作をプレイしている騎空士の皆様にはトンチキ生物の宝庫として──有名であり、水産資源を除けば他はほぼ観光で成り立っている。

 それ故に、繁忙期を抜きにしても一年中人間が犇めく空間ではあるので、オフシーズンたる今の時期でもそれなりに混雑している。

 オフシーズンならボッチに優しいと言ったな。 アレは嘘だ。

 

 

「お兄さーん! このタピオカココナッツミルク1つ!」

 

「はいよー。 お代は……ちょうどね。 今入れるから、ちょい待ってね」

 

 

 まぁ、私はボッチだろうと気にしない程度のメンタルはもう備えていますけれどもね!!

 矢張りギャルはタピるべきだと思うんだ。 いや、今回タピっているのは単純に私が好きなだけだが。

 ギュステには未だタピブームが来ていないようで、タピれる店を探すだけで1時間近く潰れてしまった。

 

 因みに私の現在地は首都のミザレアである。 目的地のオーテルウェードでは無い。

 理由は単純に、ギュステ到着時点で日が暮れるのが判明していたから、折角泊まるならミザレアの宿の方が良かっただけ。

 それで一晩明けて、今日は依頼をこなす日。 オーテルウェードに行くのは早くても今夜だろう。

 

 店員のお兄さんから受け取ったタピを片手に周囲を見渡せば、行き交う人の波に目が回りそうになる。

 この盛況ぶりを見るに、現状はエルステがギュステに手を出しているようには見えない。

 とはいえ、ここで開発が完了するアドウェルサが今から3年以内に基地を置く所から始めて完成するのだろうか?

 兵器開発に要する期間なんて全く知らないから、念には念を入れるしか無さそう。

 

 

(確か基地は大瀑布からザニス高地の辺りじゃなかったっけ……?

 となると北西側は危険かも。 今回の依頼がそっちじゃ無い事を祈るかぁ)

 

 

 幸い、オーテルウェードは主島の北東側に位置するからそっちは心配しなくて良い。

 依頼内容は『浜で異常発生している蟹の討伐』だし、それが北側じゃ無ければ何も問題無い訳だな!

 

 

(いや、普通の魔物退治ぐらいならギュステの傭兵団でどうにか出来る筈。

 なのに外部にも依頼するレベルとなると……嫌な予感がしてきた)

 

 

 私のバカンスが平穏無事に終わる気はしなくなってきたけれど、既に依頼は受けている。

 ここで逃げれば信用に傷が付き、依頼が回ってこなくなるだろう。

 そうなれば借金返済が遠退くだけに飽き足らず、私に依頼を回したシェロちゃんにまで迷惑を掛ける事になってしまうのだ。

 

 

(どうせ逃げられないなら、オイゲンなり星晶獣なり見て帰らないと割に合わない気がしてきた)

 

 

 アウギュステは言うまでもなく水の元素に偏った島である。

 そして原作をプレイしている騎空士の皆様はよく理解していると思うが、グラブルは矢鱈と海神を実装してしまっている。

 星晶獣が星の管理下から解き放たれている現代では、星晶獣は島と契約したり、自らに縁のある島で眠っている事が多い。

 

 つまり、このアウギュステは星晶獣の宝庫でもある可能性があるのだ。

 原作ではリヴァイアサンとポセイドンが明確にいた事が判明しているし、マルチだとマキュラ・マリウスやグラニが置かれていた。

 それ以外にも、オケアノスやネプチューンが眠っていても可笑しくない。

 

 1つの島に複数の星晶獣って……と思うかもしれないが、例の3人(ローアイン達)に倣った表現をするなら『ルームシェア友』なだけだろう。

 アウギュステと契約しているのはリヴァイアサンのみで、他はこの島で力を振るったり眠る事が許されているだけ。

 

 まぁ、アウギュステ列島は『列島』と付いている時点で察せられる通り、1つの島で構成されている訳では無い。

 主島がデカい上に海を擁していて、更にその海上にも島が存在するという構図なせいで勘違いしやすいが、騎空艇で行き来するような離れた島もある。

 観光地としても有名で『その胸でヒューマンは無理でしょ』でお馴染みなシグの姐さんがいるユディスティラ島も、騎空艇を必要とする位置だ。

 

 星晶獣と島の契約に関してのメカニズムは判明していないから、どの辺りまでがリヴァイアサンの加護を得ているのかなんて、私には判断出来ない。

 案外『この島まではリヴァイアサンの加護を得ているからここまでがアウギュステ列島ね』みたいな決め方をしているのかもしれないし、星の民による占領時代の区分けをそのまま引き継いでいる可能性もある。

 

 長くなってしまったが、要するに。

 このギュステで星晶獣に出会えるなら折角だし美少女型の子が良いという話だ。

 

 

(やっぱ会うならオッサンよりイケメン、イケメンより美少女!

 もっと言うならロリだと良いなぁ!!)

 

 

────私達のギュステはこれからだ!!!

 

 

 

  §  §

 

 

 

「……なにも!!! な゛かった……!!!」

 

 

「……お前さん、どっからそんな汚い声が出るんだ?」

 

 

 可憐な美少女に向かって汚い声だなんて失礼な。 ちょっとRが18な音声作品みたいと言いなさい。

 とまぁ、冗談はさておき。

 現在地はオーテルウェードの港にて、私は依頼から此処に来るまでを思い返していた訳なのだが。

 

 本当に何も無かった。 杞憂とかそういうレベルじゃないぐらい普通の蟹退治だった。

 オイゲンにも会えなかったし、星晶獣なんて手掛かりすら掴めない。

 帝国の基地をうっかり見つけてイザコザが……みたいな展開も無く、さっさと終わって拍子抜けだった程だ。

 余りにも何も無かったから普通に一晩ギュステを満喫して、翌朝一番の連絡艇で当初の目的地である此処────オーテルウェードへと到着したのである。

 

 

「んで? おじさんは誰かの迎えにでも来たの? 明らかに誰かを待ってる感じだけど」

 

 

 私に声を掛けてきたおじさん──ドラフの男性──は、連絡艇の到着前からこの港で人を眺めていた。

 恐らく誰かの帰りでも待っているのだろう。

 私だったら港で急に汚い声で何か言っている女なんて絶世の美幼女でもお断りだというのに、このおじさんは随分と懐が広いらしい。

 もっとイケメンならキュンと来たかも……いや、このおじさん筋肉モリモリすぎて想像出来ないや。

 

 

「いいや、お前さんを待っていたんだよ」

 

「……え?」

 

 

 私がおじさんを内心で褒めたり貶したりしていれば、予想していなかった言葉をおじさんに返される。

 

 

「よく来てくれた、()()()()よ。 ()えていた事とはいえ、待ち侘びたぞ」

 

 

 ……これはあれか? アンブローズの仕組んだ罠とかそういう類か?

 というか今『()えていた』って言ったよな。 こいつも予知とか出来ちゃうタイプなの?

 

 

「そう警戒するな。 儂とて半信半疑じゃったよ」

 

()えていたのに? さっきの口振りからして、色々予知とかしてきた人なんじゃないの?」

 

「如何にも。 然し()えたところで、それを信じるかは当人次第と言うじゃろう?

 何にせよ、こんな所で立ち話というのもな。 儂の家と島の食事処、何方が良い?」

 

「……後者で」

 

 

 私の言葉を受けて、おじさんは私からあっさり視線を外して歩き始める。

 特に警戒しているようには感じない。 余程の自信があるのか、単に無防備なのか。

 

 

(色々気になる事は多い、か。 となると付いて行くしかないのか……?)

 

「どうした? 腹でも痛いか?」

 

「……おじさん。 デリカシーが欠けてるって言われない?」

 

「いいや? もとより気を遣わにゃならんような奴は相手にせんと決めている」

 

「ソーデスカ」

 

 

 適当に返事をして、諦めて歩き出す。

 

 

 オーテルウェードはアウギュステ列島の中でも大きい部類の島ではあるが、観光地では無い。

 そもそも海の面積が他と比べても小さく、獲れる水産資源に独自性も無く、景観に優れていたりだとかも無い。

 

 無い無い尽くしの島ではあるが、定住するならば話は別だ。

 海が比較して小さいという事は水害も比較すれば少ない事を意味し、水産資源の独自性が無い事も裏を返せば島で優先して消費されても構わないという事である。

 当然、現実は流石にそこまで単純では無いけれども、全くの的外れでも無い事はアウギュステ政府がPRの一環で出しているパンフレットなんかで見たから知っているとも。

 アウギュステは観光地故に人は多いが、定住している割合はそこまで多くないと依頼を共にした傭兵も言っていた。

 お陰で傭兵団は万年人手不足で、バカンスシーズンは家にも帰れず魔物退治や警備任務で列島中を飛び回るんだとか。

 アウギュステ政府としては、そういった人的負担を減らす為に定住地としてのPRも欠かせないんだろうね。

 

 そんな政府お墨付きの定住地として推されているのがオーテルウェード。

 先程の理由に加え、海の神──具体的な名は記載されていなかったが恐らくリヴァイアサン──を祀る祭壇と教会があるこの島は、その厳かな雰囲気が理由なのか、観光地たる他島と比較して落ち着いていて暮らしやすいらしい。

 実際こうして港から歓楽街へと伸びる大通りも、程良い喧騒に包まれている。

 

 

「着いたぞ」

 

 

 そうして連れられた食事処はファータ・グランデでも一般的な構造の建造物で、良く言えば馴染み深く、悪く言えば代わり映えのしない店に見える。

 適当に着席して軽食がてらワッフルと珈琲なんか頼んで、漸くお互いに顔を見合わせた。

 

 

「先ずは名乗ろう。

 儂はガマヤ。 アウギュステを中心に占いで生計を立てる、どこにでもいそうな男よ」

 

 

 そう口にしたおじさん────ガマヤは、どう見ても『どこにでもいそう』では無い。

 ドラフの男性らしい体格を抜きにしても明らかに鍛えているであろう肉体は武闘家のそれで、爺臭い口調に反してそこまで老けているようにも見えない。

 その上、アルルさんと同様に()えるときた。

 

 

「儂がお前さんを知ったのは今から10年以上も前だ。

 いつものように占いをしていた時、客として来た()()()が儂に言ったのよ、『アナタの同胞は金の眼を持つハーヴィン』だとな」

 

「……」

 

 

 成程、そうきたか。 そんなに前からアンブローズが関わってくるとは。

 それにしても、さっきも言っていた『同胞』とはなんだ?

 私とこのおじさんに何か共通点が?

 

 

「そこから暫くの内は、儂も金の眼を持つハーヴィンを自主的に探したりなんかもしたが、成果がとんと得られなくてな。

 妙な客の世迷い言だったかと忘れようとした頃の事じゃ。

 儂も遂に()()()()んじゃよ! 『神』に!!」

 

 

 そう語るおじさんの眼は、あの時のアンブローズのように私を映していない。

 

 この人、一体『何』と出逢ったんだ?

 何を指して『神』と呼んでいるのかも不明だし、そもそも話の繋がりが見えてこないが。

 

 

「儂は『神』の御力により、此の地に来るお前さんを()た。

 嗚呼、ようやっとじゃ。 ようやっと、同胞に出会えた。

 儂はただ、語り合いたかっただけだというのに。 長い、長い年月を要した……!」

 

「ちょちょちょ、ちょい待ってよ。 急に感極まられても私にはイミフなんですけど?

 色々説明が足りてないし。 同胞って何の事? おじさんの言う『神』って何?

 っていうか、アンブローズとどういう関係なの?」

 

「何じゃ、質問の多い嬢ちゃんじゃのう。 それよりも、ほれ。 お前さんの頼んでいたワッフルじゃ」

 

 

 私の質問を全て無視して、おじさんは店員が運んで来ている料理を指す。

 店員に律儀に御礼を告げる姿は、とてもさっきまでの意味不明な話をしていた人物には見えなかった。

 私も諦めてワッフルを頂く事にする。 質問は投げたのだから、返してくれると思うしか無いだけだが。

 

 

「答えやすい所から言うとな。 先ずお前さんの言う『アンブローズ』が、察するにあの黒い男か?

 この通り、名前すら知らなんだ。 関係も何も無い、占い師とその客よ」

 

ふぉんふぉに(ホントに)?」

 

「ええい、口にものを入れたまま喋るな! 嘘なぞ吐かんから、大人しく聞いとれ!」

 

 

 怒られたので大人しく食べます。 いや、別に飯食いに来た訳じゃ無いんだけどね?

 思っていたよりもワッフルが美味しいのが悪い。

 

 

「同胞や『神』に関しては態々説明が必要とも思えんが……分かった分かった、話すからそう睨むな。

 と言っても、儂とお前さんの共通点なぞ多くは無いからのう、薄々察しは付いているじゃろ。

 儂と同じ()()()()()()()()よ」

 

「……まぁ、消去法的にそれかなとは思っていたけど」

 

 

 こんな事を言っているが、私はそこまで的を絞れていなかったんですけどね。

 ワンチャン有り得そうなラインとして『転生者』仲間まで考えていたぐらいには、あんまりピンと来てませんでした、はい。

 

 然しまぁ、『星晶獣と縁深き者』ねぇ。 思っていたよりはずっと緩いタイプの同類でちょっと安心したかも。

 正直、おじさんが何で感極まっていたのかとか、未だによく分かんない。

 

 

「んじゃ、おじさんの言ってた『神』は星晶獣で、『同胞』は星晶獣と仲良しな人間を意味してるって解釈で良いの?」

 

「……まぁ、概ねそれで良い」

 

「何で答えに窮するのさ」

 

「いや、お前さん……星晶獣を相手に『仲良し』とは、随分と独特な感性じゃの」

 

「?」

 

 

 私とツクヨミ様の関係って寧ろ『仲良し』以外で表現する方法あるのか?

 『主従』でも無いし、典型的な『空の民と星の獣』って感じとも少し違うと思うんだけれど。

 

 

「あぁ、星晶獣と『友達』の方が近い?」

 

「……お前さんが、そういう付き合いをしてきたのは分かった」

 

 

 あれ? これ、もしかしなくても呆れられている?

 良いのか? ツクヨミ様と私のイチャイチャ夜更かしタイムの話を聞かなくて。

 これ聞いたらアレだ、おじさんが仲良しな星晶獣も『ガマヤとそういう事したいぜ』って言ってくれるに違い無いよ?

 

 

「お前さん、相当に阿呆な事を考えているだろう」

 

「誰がアホじゃい!」

 

「儂とあの御方は、お前さんの想像しているような関係性では無いぞ」

 

「ふーん……?」

 

「言うなれば、あの御方は『試練』じゃ。

 儂に超えるべき壁を提供してくださり、それを超えて儂は『永遠』を手にする」

 

 

 うわ、また急にキナ臭い単語が出てきた。

 『神』、『試練』ときて次は『永遠』か……どんな星晶獣と知り合っているんだ、この人。

 ……会ってみたいと言ったら、会わせてくれるかな。

 

 

「ねぇおじさん。 その星晶獣に会わせてよ」

 

「良いぞ」

 

「だよねー。 まぁ秘匿したいというか、相手方の都合もあるもんn……良いの!?」

 

「最初からそのつもりじゃったよ。 儂としても報告しておきたかった。

 そうと決まれば善は急げじゃ、儂は先に準備をする」

 

 

 そう言って席を立つおじさん。

 いや待ってよ、まだワッフル食べ終わっていないんですけど!?

 

 

ふぉっひょまっふぇよ(ちょっと待ってよ)!」

 

「ええい、やめんか! お前さんはゆっくり食べてから来い!

 支払いはしてやるし、簡単だが地図も書く! じゃから落ち着いて食え!!」

 

 

 ガマヤおじさん、良い人。 ロイルミラ、覚えた。

 

 

 

  §  §

 

 

 

「地図によれば……ここ、かな? 簡単な地図とは言うけど限度があるっしょ……」

 

 

 あの後、優雅にワッフルと珈琲を頂いて追加でアイスを注文した私は、『街の外れにあるペルセアの木を目印にせよ』という文と、数本の線だけで構成された地図モドキを頼りにガマヤおじさんの家を捜していた。

 そして到着した街外れには、庭に立派な木が伸びている大きめの一軒家。

 

 

「おじさーん? 来たよー」

 

 

 ノック3回、フリーエントリー……は失礼なので留まり、ノーオプション星晶獣バトル!

 ……いや、戦いたくは無いや。 バトル無しでお願いします。

 

 

「来たか。 では行くぞ」

 

「へ? 行くぞって何処に……」

 

「あの御方は丘に顕現なさる。 街を出て暫く歩くが、多少は我慢せい」

 

「あー……星晶獣って割と皆そんな感じなんだね」

 

 

 思えばツクヨミ様も初めて出会ったのは山の中だ。

 街中に顕現したり、況してや特定の人間の家にやって来る方がレアケースだった。

 ツクヨミ様の距離感がバグっていた事は印象に残っていても、何やかんやそっちに慣れてしまっていたんだなぁ。

 

 

 彼の後ろを歩き、街を出て森を抜けた先。 島を一望するには些か高さが足りない丘に到着した。

 特徴と呼べそうな部分が『川や海に近いのか水音が聞こえる』ぐらいしか無い場所だが、確かにこれぐらい何も無い方が星晶獣の顕現もバレにくいだろう。

 

 

「我が『神』よ! 遂に予言は成就せしめた!

 我等が同胞を是非、その眼にて確かめてくだされ!!」

 

 

 丘に着いて早々、特に準備もせずにガマヤおじさんが空に呼び掛ける。

 端から見たら意味不明の行動だろうし、私としても星晶獣に会えるという報酬が無ければ距離を取りたい。

 

 ガマヤおじさんの声に応えるように丘に何かが収束していく。

 感じられるのは濃い土の元素……土の元素!? 何で!?

 此処は水の島でしょ!? 私の記憶にいないよぉ、ギュステで土の星晶獣なんて!!

 

 

────刹那、僅かに大地が揺らぎ獣は現れた。

 

 

 それは人の姿に酷似していた。

 ドラフ男性のガマヤ以上の巨躯には、見合うだけの筋肉があり。

 鎖を巻き付けた柱を、得物のように自らの近くに置いて。

 

 

────然し、決してそれは人間に非ず。

 

 

 纏う威圧、漲らせた魔力、発せられる気迫。 そのどれもが人を凌駕している。

 私が初めてツクヨミ様と対面した際に感じた圧を、眼前の星晶獣は一切緩めてくれないらしい。

 だが、何よりも。 何よりもだ。

 

 

(私はコイツを()()()()!!)

 

「応えてくださり感謝します、我が神────ベンヌよ」

 

「……」

 

 

 ベンヌと呼ばれた星晶獣がガマヤを見て、次に私を見る。

 蛇に睨まれた蛙はきっとこんな気持ちなのだろう。 油断したら漏れそう。

 

 

「我ハ回生スルモノ。 不滅ノ獣。 加護持ツ娘ヨ、歓迎スル」

 

 

 言葉とは裏腹に、明らかにその全身に先程以上の気力を漲らせるベンヌ。

 

 ……私、此処から無事に帰れるのだろうか。

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