団長ラブ勢のギャルハーヴィンだってそうさ!!必ず存在する!!!!   作:梏 桎

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皆さんは無料ガチャどうでしたか?
作者は総合的に見れば勝ちだが無料100連だけ見れば負け、です。

22/04/29 加筆修正


才能はあったろう?

 

 

 ツクヨミ()との密会は意外な形で展開した。

 最早気にしていないが、すっかり様付けで呼ぶ事になっている。

 

 

 彼女は満月の夜は祠にいると言っていたので、私が家を抜け出す悪童と化したのは言うまでもない。

 

 問題は彼女────ツクヨミ様は満月の夜に限らず私に()()()()()のだ。

 

 しかも方法が、寝てる私の枕元に棒立ち。

 怖すぎなんですけど……最初はちょっとチビった。

 

 

 彼女が私に逢いに来るのは朔の日、現代的な言い方をするなら新月の日だ。

 

 つまり月の満ち欠けが前世と大差無いこの世界で、私とツクヨミ様は約二週間に一度は顔を合わせるようになった。

 

 ……仲良くするつもりは無いかのような態度を取っていながら、随分と距離の詰め方が急すぎる。

 聞けば、ツクヨミ様はここまで空の民と碌に会話をした事が無かったらしい。

 確実に距離感がバグっているんだと思う。

 

 私も前世は大して友人が居なかったし、今世はそもそも同年代が周りに居ない。

 だから『私達って似た者同士ですね!』と言ったら凄い憐れまれた。

 これに関してはどれだけ仲良くなっても絶対に忘れないからな。

 

 

(いいもん、私には最愛の妹君(エリスマルル)が居るし)

 

 

 最近はイヤイヤ期も終わりかけ、今度はなぜなぜ期に突入し始めたのだ。 可愛いね。

 

 因みに妹君の質問はマッマやパッパには優しめのものが多いが、私にだけ何故か強烈なのが多い。

 

 この前なんか『人は死んじゃったらどうなるの?』ときた。

 (転生者)に聞く質問としては一番参考にならないだろうに。

 しかも私は死因すら判然としないし、何なら本当に死んだのかすら分からない。

 

 結局その時は『お姉ちゃんも死んだ事ないから分かんないな〜』なんて曖昧に返した。

 無論、妹君からの返答は『じゃあ、お姉ちゃん死んでみて!』だった。

 冗談キツいぜ。

 

 

 

 兎も角、ツクヨミ様との密会も、妹君とのコミュニケーションも順調だ。

 

 問題は両親で、パッパは私が満月の夜に抜け出している事を知っているのか、時々凄く怖い顔になる。

 マッマに至っては完全に分かっているようで、私が抜け出す際にツクヨミ様──マッマは祠の英霊様だと思っているが──へのお供え物という名の夜食を渡してくれる。

 何も言ってはこないが、心配を隠さず目に乗せてくるので心に悪い。

 

 つまり、私が次にしなきゃいけないのは両親との関係修復。

 それとツクヨミ様ともまだ会話のみで終わってるから、そろそろ指導してくれないか掛け合いたい。

 

 

 原作までは未だ時間があるとはいえ、私は欲張りだから原作までにしたい事もある。

 時期も場所も曖昧な()()を知る為には、ツクヨミ様との親交も両親からの十分な信頼も、その両方が必要不可欠なのだ。

 

 

 

 目標は原作開始までに村、というよりこの島を出てファータ・グランデ中にそこそこ顔と名を広める事。

 

 そして最終目標は主人公とイチャイチャしながらイスタルシアまでのロングデート!

 

 

 

  §  §

 

 

 

────ある日。

 

 

「ママ、そういえば私ってどの魔法が得意なんだろう?」

 

「んー? 分からないわねぇ。

 ママだけじゃ確認出来ないし……」

 

 

 私のスペックについて私自身が全く把握してない事を、私はツクヨミ様との妄想をした際に気付いた。

 今の今まで聞くタイミングを何となく逸していたのだが、ふと思い出してマッマの魔法授業を受けている時に聞いてみたのだ。

 因みに内容は光魔法の基礎である。

 

 

 この世界(グラブル)の魔法体系は、ゲーム内には詳細な描写が無かったと私は記憶している。

 精々分かっているのは魔法は教わる物である事と、あまりに莫大な魔力は肉体の成長を阻害する事ぐらいだ。

 

 ただ、小説だかで属性を多数扱えるのは稀有みたいな描写があった筈。

 私にとって現実と化してしまったこの世界でも通用する考えかは別として、そこまで的外れでも無いだろう。

 

 

 実例として、パッパは武器や自身の水属性を増幅・凝縮する術に長けている。

 ただ、逆に言うとパッパはこれ以外がロクに出来ない。

 他の属性など以ての外らしく、昔に試して武器を破壊したっきりという発言を頂いた。

 それを語るパッパの苦虫を噛み潰したような顔が、実際に起きた出来事であることを示していた。

 

 その点でマッマは光の性質に長けているし、風魔法も得意という。

 火の性質は多少手を出せるぐらいなんて謙遜していたが、ハイスペックなのは間違いないと思う。

 

 

 

 さて、そんな両親を持つ私は一体どうなのか?

 

 

「────というわけでツクヨミ様。 なにか判別する方法はありますか?」

 

 

 満月の夜。

 私は祠の前でマッマ謹製のお握りを頬張るツクヨミ様に聞いていた。

 

 

「貴方を視れば瞭然ですよ」

 

「へ?」

 

「光が特に秀でてますが、他の属性も問題なく行使出来る稀有な身体です。

 我との逢瀬は闇の性質を伸ばす為でもあるでしょう?」

 

 

────今、なんて?

 

 

 待ってくれたまえ、言葉の洪水をワッと一気に浴びせかけるのは!

 

 ……整理が必要だ、深呼吸。

 先ず私は光属性に秀でているが、他の属性も使える。

 つまり六属性の全てに対応しているって事らしく?

 ツクヨミ様との密会の目的の一つだった『闇の魔法を教えて貰っちゃおうカナ?』(おじさん構文)がバレていて?

 しかもツクヨミ様的にはこの密会は『逢瀬』であると?

 

 

(全属性使えるってマジで言ってるの!?

 チートスペックが過ぎるだろ、主人公かよ。

 というか目的の一部が筒抜けなの終わってるんですけど!

 他の目的も全部バレてたら『都合の良い道具と扱うのね』みたいな事言われて死んでしまうのでは!?

 いやでも逢瀬なんて言ってるぐらいだから楽しんで……って逢瀬じゃない!!

 ツクヨミ様は確かに可愛いし、前世の私(ロリコン)がはしゃいでいるけど!)

 

 

 自分が今どんな顔をしているのか分からないが、熱くて堪らないので多分耳は真っ赤だ。

 私の感情を滅茶苦茶にしてくれやがるぜ、ツクヨミ様よ。

 

 ツクヨミ様はそんな私を見て笑うし。 何なんだ全く。

 

 

 ええい動揺するな私!

 ツクヨミ様との最終関係が教えの最奥なら、もっと恥ずかしい所を見られる可能性だってあるんだぞ!

 イオちゃんはロゼッタに過去がバレていたし、オイゲンはアポロニア誕生前を想起させられていたんだ。

 

 私と最奥なんぞした日にはツクヨミ様は下手したら私が異常(TS転生者)だと知るんだぞ、それと比較すれば今は軽傷!

 

 

 ……ヨシ。 何も良くないが、割り切らなければ話は進まない。

 

 

「じゃ、じゃあ、ツクヨミ様に闇の魔法とかって教えて貰えたりするんですか?」

 

「我は空の民が扱う術を知りませんが……」

 

「あ」

 

 

 当たり前じゃん、何考えてんの私。

 私、もしかして今の今までこんな当たり前に気付いていなかったのか!?

 

 

「然し、闇の元素が持つ性質等であれば垂教も出来ましょう」

 

「! 本当ですか!?」

 

「あくまで星の獣として、ではありますが」

 

「構いません!」

 

 

 ツクヨミ様はそんな当たり前な事すら忘れていた私に恩情の言葉を掛ける。

 

 全属性が使える可能性を聞かされて、ここで弱気になぞなっていられない。

 私がツクヨミ様から何も得られなければ、私の実力がそこまでと言うだけの話だ。

 闇の元素の性質から、新たな闇の魔法を編み出すぐらいの気持ちでやってやろうじゃないか。

 

 

 ゲーム的にも全属性に出張したキャラは希少だ。

 それはキャラ商売たるゲームという性質込みでもあるが、主人公を除けば数人。

 

 全属性を明確に行使するキャラもごく少数だ。

 ツクヨミ様も稀有な身体と言った辺り、珍しいんだろう。

 ……そうなるとイオやアニラってもしかしてヤバい才能持ちなのでは?

 弱点属性を的確にぶつけたり、六属性ばら撒くって割と無茶苦茶な事に思えてきた。

 

 

 

 さて、全属性を使える可能性が生まれた事で、私としては明確な目標が一つ増えた。

 

 『魔法戦士』である。

 

 主人公のジョブであり、四大元素の力を借りて魔法を行使する刀と格闘が得意なソレ。

 四大元素の力を借りてとは言うが、実態は全属性を扱う。

 前身の忍者も含めて、使う頻度の高い印や属性だけ覚えて、それ以外は必要に応じて詳細を確認するレベルで色んな事が出来るジョブだ。

 

 主人公の隣で支える者を目指すならば、これ程に無い適役。

 多種多様の魔法で援護し、必要があれば刀で応戦する。

 パッパとマッマの訓練が実を結ぶ形としても最適だ。

 

 それともっと単純な理由として、ハーヴィナイズ*1しても魔法戦士の服はきっと可愛い事だろう。

 ジータちゃんの自信ありげな顔と、赤を基調とした服のベストマッチ具合は今でも私の脳に刻まれている。

 

 この世界の主人公がグランかジータかは知らないが、グランなら違和感無く受け入れて貰えるだろうし、ジータならお揃いと称せる。

 私としては、何方に転んでも美味しい展開となるのだ。

 

 

 

────私、ロイルミラ。 魔法戦士になってみせます!

 

 

 

  §  §

 

 

 

 魔法戦士を志すと決めてから幾日か経った頃。

 

 この先、魔法戦士を目指す上で必要な話を通す為に、私は両親の手伝いを今まで以上に率先して行っていた。

 単純かつ露骨な媚び売りではあるが、こういうのがジワジワ効く。

 

 

 新月の日、相も変わらず枕元で棒立ちのツクヨミ様に、村民の属性力の偏りを調べてもらった。

 マッマと一緒に作ったクッキーを報酬として用意していたが足りなかったようで、次の満月には団子が欲しいと言われた。

 

 ツクヨミ様の調査によって必要な情報が揃った。

 

 

 

 こうして臨んだ両親との家族会議。

 因みに妹君は直前まで私と遊び尽くしたので既に夢の中だ。

 

 

 最初にしたのは両親への謝罪、及び懇願。

 

 私が魔法戦士になる上で全属性を扱うのは必須事項だ。

 然しマッマの力量でも不得手の属性は存在する。

 特に闇属性は、マッマはおろかこの村に得手とする者が居ない。

 これがツクヨミ様に調査してもらった内容である。

 未だツクヨミ様との交流は多く無いが、ツクヨミ様が嘘を吐くタイプとは思えないのでまず間違い無いだろう。

 

 つまり、闇の魔法においてこの村で私に授業出来るのはツクヨミ様だけ。

 となれば大手を振って修行の時間を設けたい。

 

 だからこそ、今までの家を抜け出す方法は不適となる。

 今まで誰かに教えるという行為をした事が無い星晶獣のツクヨミ様に指示を仰ぐ都合、それを汲み取る空の民の私という構図も含めて絶対に時間が掛かる。

 夜に強く関連する星晶獣だからか、ツクヨミ様は日が完全に没してから夜明けまでしか此処に居ない。

 

 時間が必要なのに時間が足りないのだ。

 家族が寝静まるまで待つにせよ、家族の目を盗んでコソコソと動くにせよ、私の歩みは遅々としたものになってしまう。

 

 

 斯くしてその旨を謝罪と共に伝えれば、両親からは困惑の色が滲んでいた。

 

 その反応も又、当然だろう。

 村にも伝わる英雄だかの霊を熱心に信仰しているのかと思っていたら、見ず知らずの星晶獣と仲良くなっていた。

 しかも自分の娘にとんでもない魔法の才が秘められていて、それを星晶獣がいの一番に把握している。

 更に、この村だけでは娘の魔法の才は開花しきらないので満月と新月の夜は娘を貸せときた。

 

 ……箇条書きマジックだとは思うが、これではツクヨミ様が私を誑かしていると捉えられてもおかしくないぞ?

 

 あ、ヤバい。 パッパが震えている。

 誤解なんです!確かにあっち(ツクヨミ様)は逢瀬とか言ってくるけれど!

 私としては密かに会ってるだけでそれ以上の関係は無くてですね!

 

 え? ツクヨミ様の見た目?

 ヒューマンの少女みたいな外見で────

 

 

 

 

 結論から言えば、許可は下りた。

 

 私の魔法の才に関する話が出た時点で、マッマとしては許可以外の選択肢が無くなったらしい。

 ()の身の危険と魔導師として大成することを天秤にかけて後者が選ばれる辺り、マッマも魔法に魅せられた人種なんだと思わされた。

 

 パッパは物凄く渋っていたが、条件は新月の夜に使う稽古場を我が家の庭にする事だけだった。

 てっきり常にパッパが同伴するとか言い始めると思っていたのでつい聞いてしまったが、容易く分断されたあの夜を考えれば、同伴程度では解決しないというのが理由らしかった。

 

 

 何はともあれお許しが出たので、次の話に移行する。

 私の修行に関してだ。

 

 先程の話を聞いた時点で両親も察していたのか、私が修行のレベルアップを打診した事には驚かなかった。

 両親としても、私の成長速度から見てそろそろ次の段階に行く予定だったらしい。

 

 全属性を扱えると知ってからだが、この成長速度も含めてもしやそういう特典なのかと勘繰ってしまう。

 神様に会って云々の下りは全く記憶に無いから、全くやっていないか記憶から消されているかの何方かなのだろうが……

 これに関しては考えても答えが出ないだろう。

 私が天才だという可能性だって無い訳では無いのだし。

 

 

 最後に私が両親に頼んだ事は、愛しの妹君(エリスマルル)に関してだ。

 

 彼女自身から頼んで来ない限り、()()()()()()()()()()()()()()()なんてお願い。

 両親は目を丸くしたが、私も高慢な物言いだと思う。

 妹君が私を倣う保証など何処にも無い。

 

 これは本当に万が一を考慮してのお願いだ。

 

 この世界(グラブル)──というより魔法のある世界だとお馴染みだが──魔術を嗜む家系は、子供を『作品』として見るきらいがある。

 私の両親がそういうタイプだとは思えないが、仮にそのタイプでも私が『最高傑作』になれば良いだけではある。

 だが『姉が出来たなら妹も出来る』といった理論が振り翳される可能性は皆無ではない。

 重ねて両親をそういうタイプと思ってはいないものの、なにぶんゲームで不幸な末路を辿った魔導師家系を見てしまっている手前、少々警戒してしまう。

 

 妹君は妹君で、私に修行の意味を聞いてきたこともあるし、やってみたいと言ってきた事もある。

 然しそれは取り敢えず真似をしたいだけで、私の修行と妹君では事情がまるで違う。

 

 近い未来、この空に特異点と呼ばれる主人公が駆けることを────その隣に立つという明確な目標が有る故の発言と、()の真似事という大きな差。

 

 もう少し経てば妹君はもっと明確な────それこそ前世の創作でごまんと有った、兄弟姉妹への対抗意識で修行を願うかもしれない。

 逆に、汗水垂らして有るかも分からない未来にばかり目を向ける()に呆れて修行など嫌がるかもしれない。

 

 だがそれを今の妹君が選択出来るとは私は思っていない。

 兎に角、私としてはまだ早いと思ったのだ。

 過保護と思われても仕方なく、下に見過ぎていると断ぜられても反論出来ない。

 

 

(それでも私は初めての妹君を──それこそ妹君から嫌われていても──心の底から愛しているよ)

 

 

 私の非常に高慢なお願いに、両親としても思う所が無いわけじゃないようではあった。

 とはいえ両親の事なので、何方かと言えば私の杞憂を汲み取ってくれたのだろう。

 本当に良い両親を持ったと思うと同時に、この人達すら疑ってしまう己の臆病さに嫌気が差す。

 

 取り敢えずこれに関しても叶えて貰えそうだ。

 

 

「それにしてもルミちゃんはしっかりした子ね〜。 我が娘ながら大人と話してるかと錯覚しちゃった」

 

「未熟ながら、自らの芯が出来たのだろう。 自慢の娘だ」

 

「あ、あはは……」

 

 

 

────暫くは今以上に語彙力を下げようと密かに決意した。

*1
他種族の特徴やファッション、戦法などをハーヴィン用に調整すること。当然だが造語である。




修行パートはサクッと済ませると思います。
村の中でする修行 & 人間に初めて授業をする星晶獣ですからね。


次回以降も何卒宜しくお願いします。
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