トウカイテイオーというウマ娘は知らない者がいないんじゃないかと考えてしまうほどに有名なウマ娘。どんな時でも自分の全力を出して最高の結果を出す。それがトウカイテイオーというウマ娘。そんな彼女には精神的支柱となるものが存在する。どんな時も明るい彼女だが…一つ欠けると性格が間反対になってしまう。いつもの明るい性格の彼女からは想像も出来ないような……彼女に。
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目の前の光景はいつ見ても慣れることは無い。それは布団にくるまって震えているテイオーの姿。
「テイオー、大丈夫なのですか?」
「…だ、だいじょうぶだよ……」
「どう見ても大丈夫なように見えないのですが……」
ですがテイオーがこんなに弱っている姿を見るのは初めてではない。最初は変な病気にでも掛かってしまったのかと思ってしまいましたが今なら分かる。
「トレーナーさんが居ないだけで一体どれだけあなたは暗くなれば気が済むのですか……」
テイオーは極度のトレーナー依存症なのです。最初にそれが発覚した時はまさかと思ってしまいましたがどうやらそれは本当らしくテイオーは専属のトレーナーさんが居ないとこんな風にいつものテイオーとは間反対で気が弱くて元気もなくなる。
「だ、だって…とれーなーがーがいないとしんぱいなんだもん」
テイオーは布団にくるまったまんまの状態で震えている。まるで外に出ることを異常なまで怖がっているようだ。だけどトレーナーと一緒にいる時のテイオーは今のテイオーとは間反対で元気溌剌で暗い一面があると思わせるような言動は一度たりともない。
後輩のウマ娘たちの中にはテイオーに憧れてトレセン学園の門叩いたと言う生徒も少なくないけど……その人たちが今のテイオーを見たらびっくりするんでしょうね。
「そんなようではトレセン学園を卒業したらどうするのですか。いつかはトレーナーさんと離れる日が来てしまうというのに」
私が話しているとテイオーがビクッとなったのを私は見逃さない。
「とれーなーとはなれる…とれーなーとはなれる…とれーなーとはなれる…とれーなーとはなれる…」
まるで呪文を唱えているのかのようにテイオーは繰り返して言っている。テイオーの専属のトレーナーさんが言うにはこうなってしまったのは数か月前からだという。
どうやら一度だけトレーナーさんが出張で地方に行ったことが引き金になってしまったらしく、帰って来てからはトレーナーさんが近くにいないと本来のテイオーで居られなくなってしまったらしい。
テイオーだって一人の女性。弱いところもある。だけど今まではそれを表に出すことはしてこなかった。ですが、一番信頼している人物が離れたことでこうなってしまった。
こうなってしまったテイオーは私がいくら言ったとしても無駄。暫くの間、テイオーの小さな声が部屋に響いた。
「…遅れてごめんね。テイオー」
扉から入って来たのは…テイオーの専属トレーナーさん。それを見つけるとテイオーはさっきまでの暗い顔が嘘のように明るい顔になった。そして、すぐにくるまっていた布団から出て、トレーナーさんに抱き着いた。
「と、とれーなー!!!」
「ごめんね。今日は理事長に呼ばれてしまって遅くなるからマックイーンにお願いしたんだ」
いつもならトレーナーさんがテイオーのことを呼びに来るのが普通。そうではないとテイオーが部屋から出てくれないから。だけど今日に関しては急な用(理事長からの呼び出し)があっていけない事になってトレーナーさんが私にお願いをした。
「トレーナーはずっと一緒だよね…」
テイオーは上目遣いのような形でトレーナーさんのことを見ながら聞いた。私がさっき言ったことがかなり引きずってしまっているようだった。
「う、うん。そうだね…一緒だよ」
トレーナーさんはテイオーのことを包み込んでいる。ここでテイオーの望むような答えを返していなかったらテイオーは壊れてしまう。本当に些細な事でテイオーは壊れる。例えるのなら『ガラス』だ。テイオーの精神はガラスと同じだ。すぐにでも壊れてしまいそうな心。
誰かが叩いただけでも簡単に壊れるほど繊細な心。
このテイオーとトレーナーさんの関係が壊れない事を心の底から願っている。