ランボー / 怒りのメスガキわからせ   作:エロスはせがわ

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自分に言い訳すんのが、あんたの特技よ。

 

 

 

 

 

 

「さて、少々困った事になったか……」

 

 メスガキ大佐が、萌え袖のおててをウムムとアゴに当てて、どこを見るでもなく呟く。

 先ほど二人がおこなっていた無線での会話が途絶えてから、早1分少々の時が経過。

 今この場は、音もなく静まり返っている。

 

 ここにいる誰もが、今も満ち足りた顔のまま無線機を胸に佇んでいるメスガキ刑事……彼女が幸せそうに瞳を閉じている姿を、言葉なく見つめていた。

 

 まるで聖母のように尊い、恋する乙女のやわらかな笑み。

 それは壊すことを躊躇ってしまう程の、侵し難い美しさ。神聖なまでの空気に思えた。

 

「同志よ、説得は失敗だ。こちらへ来い」

 

 けれど、そんな中で一人、大佐だけが声を上げた。

 皆が「ほわわ~ん♪」と良い気分に浸っていた所を、容赦なく雰囲気をぶち壊し、現実を突きつける所業。

 

「逆探知に成功したぞ。彼は北西の方角にいる。

 地図を見ろ、同志メスガキ刑事(デカ)。おそらくこの辺りだろう」

 

 テントの壁に張り付けた地図を指さしながら、不躾に彼女を呼びつける。

 そんな空気の読めなさに、みんなはイラッと反感を覚えたが、当のメスガキ刑事はパッと夢から覚めたかのように、即座に頭を切り替えてボスとしての顔に戻った。

 今この場でただ一人、大佐だけが現状をしっかりと捉え、次を見据えているのだ。自分も追従しなければと、しっかりした足取りで彼女の下へ向かう。

 

「夜明けを待ち、人員を総動員する。

 それに加え、幾つかの手を打つつもりだ。任せてもらえるか?」

 

「……ええ。そうね、おねがい」

 

 大佐の顔ではなく、じっと地図の方を見つめながら、言葉少な目に了承。

 真剣ながら、どこか憂いを含んだ表情。

 自分は責任ある立場であり、彼を捕まえるのは使命だ。ゆえに反対はしない。

 けれど、先ほど「必ず行く」と言ってくれた彼の事を思い、ほんの少し言葉を濁している様子だった。彼への信頼や、心配がそうさせているのだろう。

 

「ふむ……まずは謝罪しておこうか。

 本来ならば、わたくしが彼を説得して終了、のハズだったからな。

 さんざん大口を叩いておきながら、面目次第もない」

 

「…………」

 

「交渉に応じた彼を、一人で迎えに行き、油断させた所をふん捕まえる予定だった。

 わたくし自らが考案し、長年磨き上げてきた“エロCQC”が、ついに日の目をみる時が来たと思ったが……、あてが外れてしまったよ。笑ってくれ」

 

 ちなみに【Close-Quarters Combat】とは、軍隊等で使用される近接戦闘術のことだ。

 メスガキ大佐が使うエロCQCは、それを更に改良した物であり、主にちんぽ掴んだりベロチューしたりして、瞬く間に“童貞を殺す”ことを目的として編み出された。

 そんなモン使うなという話だが。

 

「どうやら彼は、わたくしが知っているランボー様とは、少し違うようだ。

 諸君らと接した僅か数日、その間にお変わりになられたように思う。

 誤算だったよ……。必ず説得できると踏んでいたのだがね」

 

 彼の信頼を得られるのは、わたくし位のものだ。

 お爺様の孫娘であり、彼を良く知るわたくしだからこそ、心の隙を突ける――――

 そう思っていたし、自信もあった。加えて言うならば、ランボーは確かにぶっきらぼうではあるが、根はとんでもなくお人好しで、純朴な人柄なのだ。

 優秀な彼女が懐柔出来ると確信していたのも、無理からぬ事だろう。

 

「確かに、想定していた状況では無くなった。事は簡単では無くなったな。

 だが、これでいい。()()()()()()。嬉しい誤算というヤツだよ」

 

「えっ……」

 

 負け惜しみではなく、心底愉快そうな顔。くっくという小さな笑い声。

 刑事ちゃんは、自分より頭一つ分も背が低い幼女の顔を、思わず見返す。

 

「戦争という物はな? どう勝つかではなく、“どう収めるか”が大事なんだ。

 勝敗が決着し、その後どうなるか? 戦った結果、なにを得られるのか?

 それを見据えておかなければならん。落とし所が重要だ」

 

「そもそもの話として……我が方の勝利など、すでに確定しているのだから。

 かの兵士は、その優しさから幼子と戦うことが出来ず、加えて放っておいても、こちらへ来るのだろう? 先ほどお前に言っていたじゃないか」

 

「ならば、“ランボー様を取り戻すこと”を目的とする、我らの勝利は必定。

 考えるべきは、その後のことだ。

 いや、()()()()()()()()()()()? が真に問題となる」

 

 ニタリと、またメスガキ大佐が笑う。

 ちょうど今、夜空に輝いているのと同じ、三日月のように鋭い口元で。

 

「先の姦計で、わたくしが()()させても良かった。

 その場で童貞を奪い、無理やり町へ連れ戻し、全員で足腰立たなくなるまで搾り倒すんだ」

 

「そうして彼を、メスガキハーレムの囚人(プリズナー)にしてしまえば良い。

 誠実な彼のことだ。一度でも関係を結んでしまえば、二度と離れようとはせん。

 30過ぎた童貞とは、そういう生き物なんだ(?)」

 

「君らと共に居続けるし、言われずともナイトをやってくれるさ。

 言うなれば、彼の童貞さえ奪えば、それで勝ち確――――

 メスガキシティの()()()()()()()()、誕生だ」

 

「だがもしかすると……、それとは別の“さえたやり方”があるやもしれんぞ?

 今日のお前を見て、そう思ったんだ」

 

 見る者を圧倒する、狂気。

 全てを支配するかのような、決して目を逸らすことの出来ない、カリスマ。

 だがそれほどまでの気を放つ魔人は、ふいに強い“信頼”を目に込めて、彼女にハッキリと告げる。

 

 

「お前が黄金の鍵だ、クイーン・ビー。

 開く為じゃなく、()()()()()

 蜜でおうじさまを誘い、閉じ込めろ――――このメスガキシティ(  楽園  )に」

 

 

 ポンと肩を叩き、楽し気な顔のメスガキ大佐。

 茫然とする彼女に構う事無く。

 

「たとえ、この町すべてのメスガキ達を切り抜け、姫がいるお城に辿り着くことが出来たとて……待っているのがお前という時点で、完全なるメイト(詰み)

 くそざこ童貞よわよわちんぽのランボー様は、何をしようが勝てん。ウサギが虎に挑むようなものだ」

 

「加えてお前ならば、性による隷属のみならず、愛情という名の鎖で縛れる。

 ()()()()に来た所を、返り討ちにしろ――――惚れさせるんだ。

 そうすれば彼は、責任など関係なく、自らの意思で町に留まるだろう」

 

「あの御方は放浪癖があるからな……。口約束だけでは、すぐフラッと出て行くぞ?

 だからこそ何かしらの形で、町に繋ぎ止めなければならん。

 肉体と心、その両方を()にしろ。そうすれば盤石だ」

 

 お前は囮であり、天敵であり、檻の鍵だ――――

 メスガキ大佐の「はっはっは!」という笑い声が、夜の闇の中で木霊する。

 

「逆レ〇プよりも、ラブラブえっちだ。お前がトドメを刺すのが、一番良い形かもしれん。

 ならば、あえて城に誘い込むか? その方針で作戦を立てよう」

 

「なぁに。わたくしの番は、しっかり地盤を固めてからで構わんぞ?

 彼の清らかハジメテちんぽは、お前に譲るとするさ――――」

 

 こいつは……何を見ている? いったい何を考えている?

 ただおじさんの事が好きで、手に入れたい、というだけではない。とてもそんな風には思えない。

 

 長年想い続けて来たであろう彼を、簡単に『譲る』と言い放った事。この町の全員で彼を共有することを、さも当たり前のように『是』としている事。

 そして、情や人間味が微塵も感じられない、まるでチェスの駒を動かすが如くの采配。

 

 こいつは、この場でただ一人“他の何か”を見て動いている……!

 自分達とは明らかに視点が違う! 目的そのものが違う!

 それはきっと、()()()()()()()()()! もっと大きな何かを!

 

 言いたいことを言い終え、笑いながら去って行く彼女の背中を、メスガキ刑事は硬直したまま見つめる。

 動くことも、口を開くこともが出来ず、ただ見送るほか無かったのだ。

 

 自分の想いを、ランボーとの大切な約束を、汚された。

 それすらも利用するとハッキリ言われ、怒りの感情が湧いた。

 同時に、彼女に対する得も知れぬ恐怖と、敗北感も。

 こいつは危険だ――――という警笛が、ワンワンやかましい程に、頭の中で鳴り響いている。

 

「ああ、ひとつ良いか同志よ?」

 

 そんな時、ひとり出て行ったハズのメスガキ大佐が、突然トテトテとこの場に引き返して来る。

 

 

「そと、まっくらで、こわい……。

 おトイレついてきて?」

 

 

 まだ7歳であったのだ。

 

 

 

 

 

 ♥ ♥ ♥

 

 

 

 

「ではこれより、ランボーさま捕獲作戦を開始する」

 

 翌朝。作戦本部となるテント内に、大佐ちゃんのハッキリとした声が響き渡った。

 整列しているメスガキポリスの4人や、州兵の指揮官たちを前にし、威風堂々と胸を張る。威厳に満ちた雰囲気である。

 

 まぁ彼女はこの場で一番ちびっ子だし、今も (´д` )エー みたいな顔をするメスガキ刑事と、ちゃっかり()()()()()()()()()()()()()

 そのキリリとした表情とは裏腹、もうベッタベタであった。

 

 関係ないけれど、メスガキ大佐は昨夜、お願いしてデカちゃんと一緒に寝て貰った。

 こんなオバケが出そうな山奥で、ひとりで寝るなんてとても耐えられない。なので彼女のお布団にイソイソと潜り込み、ギューっとお腹に抱き着いて眠ったのだ。

 お蔭でグッスリである! 体調も万全だ! 後でお昼寝はするけど!

 

「以後、本ミッションを“よわよわ(Y)ざこ(Z)ちんぽ(T)作戦”と呼称する。復唱せよ!」

 

「「「Sir! よわよわ(Y)ざこ(Z)ちんぽ(T)! Sir!」」」

 

「よろしい。

 では一同、こちらにある、ロボットアニメの司令部にありそうな巨大モニターを見て欲しい」

 

 彼女に促されるまま、「一体どうやって運び込んだんだ」って感じの巨大モニターに目を向ける一同。そこに映っているのは、本ミッションYZTが展開されているメスガキフォレストの映像だ。

 森の至る所に固定カメラを設置してあるらしく、渓流・山道・森林・廃坑などの様子が、分割画面で映し出されている。

 

「現在メスガキフォレストでは、200名を超えるビキニ姿のメスガキ兵達が、総出で山狩りをおこなっている。

 ハイウェイ、林道、水路など、あらゆる道はすでに封鎖済みだ。逃げ道はどこにも無い」

 

「知っての通り、かの標的は童貞であることに加え、“心優しい兵士”である。

 ちいさな女の子に対して、交戦する術を持たず、抵抗すらままならない。

 ょぅι゛ょに怪我をさせるくらいなら、M16を口に突っ込んで死ぬだろう」

 

「なんと言うか、ものすごく自己評価が低い人なんだ……。

 自分みたいな汚いオッサンなど、子供さんの1億分の1の価値も無い、と思い込んでいる節があってな」

 

「「「…………」」」

 

 あーねー*1という感じのデカちゃん&ポリス達。

 あんなにハンサムで逞しいのに、「怖くて子供に触れられない」という程、極端に臆病な人。その羆みたいな見た目とは大違いなのだ。

 

「しかしながら、腐っても歴戦の雄。ベトナムの英雄たる彼だ。

 こと森という場所において、彼を発見および捕獲するのは、非常に困難と言える。

 そこでわたくしは、一計を案じた。これを見たまえ諸君」

 

 メスガキ大佐がゴソゴソと懐を漁り、「よいしょ」と一冊の雑誌を取り出す。

 それは、かのマリ〇ン・モ〇ローが表紙となった、プレイボーイの創刊号であった。

 いわゆるアメリカの“エロ本”、その貴重な第1号である。

 

「現在、山のありとあらゆる場所に、これを()()()()()()()()()()()()()

 1954年から現在に至るまでの、歴代プレイメイトが勢ぞろいだ! ひゃっほう♪

 きっとランボー様も、引っかかるに相違ない」

 

「――――バカじゃないのアンタ!? ほんとバカじゃないの!?!?」

 

 いまエロい女の子の町であるメスガキシティに、栄えあるプレイメイト達が揃い踏みしていた。

 よく見てみると、現在モニターには、【棒で支えた籠の中にプレイボーイを置く】というしょーもないトラップが、もう沢山たくさん仕掛けられている様子が、ハッキリと映し出されている。

 

 思わず「アホか!」と叫ぶデカちゃんに対し、なんか「きょとん?」とした顔の大佐ちゃん。

 なんでわたくし、おこられてるんだろう? みたいな雰囲気が、もうアリアリと分かる。

 

「そんなん引っかかるワケないでしょーが! 

 おじさんをバカにしてるの!? まじめにやりなさいよっ!!」

 

「えっ。でもプレイメイトだぞ? プレイボーイなんだぞ?

 他の物ならいざ知らず、これは由緒あるエロ本。アメリカ人は皆お世話になっている。

 いくら並ぶ者のない英雄とて、男である以上、決して抗えない物が……」

 

「エロ本ほしさに取っつかまったら、もうエーユーでも何でもないわよ!

 あんたのプレイボーイにたいする信頼、いったいなんなのよ!?」

 

 ――――こいつは駄目だ! ()()()()()

 真面目な口調だし、軍服を着てるから油断していたが、こいつはまごう事無くアホだった!

 天才とはそういうモノであるのか。勉強が出来るのと頭の良さは別なのか。デカちゃんは「むきゃー!」と可愛く怒る。

 

「あっ。ほらランボー様が、キョロキョロしながら茂みから這い出て来たぞ。

 まるで中学生のようにソワソワしているな」

 

「――――ウソでしょおじさん!!?? どんだけピュアなのよ!?」

 

 大きな木の下に置かれた、一冊のプレイボーイ。そちらにゆっくりと近寄っていくランボーの姿が、モニターに映る。

 人に見られないように、おどおどコソコソしながら、「♪~」とわざとらしく口笛を吹いて歩いてくる。デカちゃんは見ていて涙が出そうだ。

 

「ダメよおじさん! 今かくれてるサイチューでしょ!?

 エロ本なんかに気を取られちゃダメ!」

 

「ふははは! このトラップは、人間の本能に訴えかける物。決して抗えぬのだ!」

 

「ほらっ! もうあからさまに、カゴが見えてるじゃないのっ! 上みて上!

 それ落ちてくるからっ! とじこめられちゃうってばぁ!!」

 

「ぜんぜん目に入っていないようだな。

 今あの御方の目に映るのは、エロ本ただひとつ。

 あれを手に入れる事に、全神経を集中させていると見える」

 

 全ての力、そしてグリーン・ベレーで培った能力を、いまエロ本を手に入れる為に使っている。

 焦らず、慎重に、万が一の失敗も無いように、目的を遂行する。

 エロ本のために、彼は戦っているのだ。

 

 そして、やがてあえなくトラップが発動し、大きなカゴがドゴーンと落ちる音が、スピーカーから鳴り響く。

 

『バカなッ……! この俺を欺くとはッ!

 なんという冷静で的確な判断力なんだ!!!!』

 

「わたくし褒められたな。

 光栄ですわジョン・ランボー様♪」

 

「――――なによこの茶番! よそでやりなさいよ!」  

 

 くそぉー! ここから出せー! 卑怯だぞー!

 そんな風に檻の中で暴れるランボーの姿に、またデカちゃんは涙がちょちょ切れそうになる。愛した人はおバカだったのだ。

 まぁかのベトナム戦争時にも、似たような趣旨のトラップはあったらしいのだが。

 

「おや、脱出したか。流石と言わざるを得ないな。

 アレは羆でも閉じ込められる、強固な代物なのだが」

 

「なにそのフィジカル……。てっさくグニョングニョンじゃない。

 バカなのにすごいわ、おじさん」

 

 パンチやキックを一生懸命に繰り出し、ランボーが金属のカゴを破壊。ノソノソと外に出る(しっかりエロ本を抱えて)

 

「だが油断すまいぞ。罠はそれのみに非ず。

 見てみるが良い、同志メスガキ刑事」

 

「あっ!?」

 

 モニターに目を向ければ、そこには数多くのエロ本トラップに取り囲まれているランボーの姿。

 彼の前後左右、ありとあらゆる場所に、先ほどのと同じような罠が設置されているのが見えた。

 

『くそッ……! ()()()()()()()()()()()()()()()!!

 俺の力が試されているのかッ!』

 

「――――とらないでいーのよおじさん!! はやくにげなさいよ!!!!」

 

 逃亡者という身の上を忘れ、腕を組んで「うむむ」と悩んでいる。

 いまランボーの頭はフル回転し、どうやって全てのエロ本を手に入れかを考えている。

 戦場でもこんな真剣に悩んだことは無い。どんだけエロ本欲しいんだコイツは。

 

「ではご注目。今あの場には“6冊のエロ本”が置かれているんだ。

 表紙となっているのはそれぞれ、赤髪ロングの女性、青髪ツインテの女性、金髪お団子の女性、桃色セミロングの女性、黒髪ストレートの女性、片目かくれショートの女性だ」

 

「「「 !?!? 」」」

 

 デカちゃん&メスガキポリスの面々が、同時に〈ビクッ!〉と身体を跳ねさせる。

 

「最初にどれを手に取るかで、()()()()()()()()()()()()()

 さてさて、どの子を選ぶことやら」

 

「――――赤でしょ!! それっきゃないよおじさんっ!! 赤でしょ!!(迫真)」

 

「青青青っ! ほらすぐ傍だし!? 一番近いったら!(必死)」

 

「パツ金いこーよおじさん☆ それ一番エロいってwww(爆笑)」

 

「ピンクはいんらん! いんらんでーす♡ おじさんきてー♡(ニコニコ)」

 

「ノウマク、サラマンダー、バザラダン、カン。

 ノウマク、サラマンダー(祈祷)」

 

 エロ本の傍を行ったり来たりするランボーの様子に、メスガキ達は気が気ではない。

 それぞれが「うおおおお!」とばかりに声援を贈る。無駄な情熱を燃やす。

 やがて散々熟考を重ねていたランボーが、ようやく決心して一冊のエロ本を手に取る。

 その表紙となっているのは、“片目かくれショート”の女性だった。

 

「ッ!!!!」ガッツポ

 

「――――くそがぁぁぁあああーーっ!!

 あんにゃろうブッコロしてやるっ!! ちんぽかみちぎってやるからっ!!!!」

 

「なんでよぉぉーーっ!? あたしもあの髪型にすれば良いのっ!?

 そーしたら愛してくれんのっ?!」

 

「ごめん、お淑やか返上で☆ アイツ泣くまで絞るわwww」

 

「ひさしぶりにイラッときちゃった♡ 『めっ!』ってしないと……」ゴゴゴ

 

「おじさんの、ばか(涙目)」

 

 もう絵に描いたような【コロンビア】のポーズをする大佐ちゃん。

 それを余所に、メスガキ署の5人はワーキャー騒いでいる。地獄だ。

 

『うむ、これが一番()()()()()()()()。やはり良いもんだな』

 

「――――ふぉッ!!??」

 

「あらら、ゴシューショーさま大佐♥ ヘアスタイルだけだったねぇ♪」

 

「ぷーくすくす! 7歳児がぬか喜びしてるし!

 ぺたんこは引っ込んでなさいよっ!」

 

 策士、策に溺れる――――

 歓喜から一気に絶望に落とされ、メスガキ大佐が「ガックゥー!」と膝を折る。

 デカちゃんとブルーが、「やーいやーい!」と機嫌良さげに煽る。

 

「まっ、あたいらもそんな変わんないケド☆

 同じ穴のムジナ? ってヤツじゃんw みんなペタンコだしwww」

 

「おじさん“きょにゅーずき”だったんだ……。やっぱり『めっ!』ってしないと♡」

 

「迂闊。童貞は拗らせたロリコンばかりだと、高を括っていた。

 死んだ巨乳原理主義者だけが、良い巨乳原理主義者。

 トマホークの使用許可を申請」*2

 

 メスガキシティは巨乳と対極にあるような場所なので、巨乳好きの男は容赦なく叩かれる。

 キモい、クズ、頭悪そうなどなど、人ではないような扱いをされても文句が言えない場所なのだ。おっぱいの話は禁句。

 

「落ち着け……まだ慌てるような時間じゃない。

 元よりアレで仕留めようとは思っていない。

 あくまで標的の動きを阻害し、体力を削るのが目的だ(膝ガックガク)」

 

「ダイジョウブなのあんた? めっちゃツイストおどってるけど……」

 

 机にしがみつきながらも、なんとか立ち上がって見せた大佐ちゃんが、再び皆へ向き直る。

 おめめはウルウルしてしまっていて、これ以上言ったら本当に泣いてしまいそうなので、みんなその事に関してはスルーしている。

 

「言ったろう? 城に誘い込むと。

 200の人員で包囲し、追い詰め、彼を誘導する。

 あくまでフォワードはお前だ、クイーン・ビー」

 

「……」

 

 今もモニターには、まるで遠足のように列をなして山を進む、沢山のメスガキ兵たちの姿がある。

 まぁ彼女らは銃なんて持っていないし、戦闘力は皆無といって良いのだが、「幼女がエロい恰好をしている」という時点で、ランボーおじさんは成す術が無い。

 

 ドラキュラ討伐に赴く者が、十字架や杭などを用意するように、メスガキ兵たちはランドセルにビキニという、非常に背徳的な姿でいる。

 小学生だし、普段はきっとスク水タイプの物を着ているのだろう。その形になった小麦色の健康な日焼けと、白い地肌のグラデーションが眩しい。とてもエロカワなのである。

 シャイで童貞である対ランボー用の、まさに特効装備と言えるだろう。

 

 コソコソと隠れつつ、時に「見てはいけない!」と目元を腕で隠しながら、ランボーが森を逃げ周っている様子が映っている。

 それは気弱で、情けなく、だがとても健気に思えた。彼なりの誠実さなのだ。

 映像を見つめるデカちゃんが、ギュッと胸元で両手を握りしめ、遠く離れた場所から彼の無事を祈る。

 こんな事、ボスたる自分にはあるまじき行いかもしれないが。でも願わずにはいられなかった。

 

「まぁもっとも、メスガキ兵たちには積極的にいくよう、指示を出してはいるがな。

 もし捕獲出来そうならば、容赦なく行けと。なんと言っても彼女達は、ちんぽに飢え……ん?

 なんだアイツは!! ()()()()()()()()()()()()()!?」

 

 ふいに、メスガキ大佐が鬼気迫る声。モニターにある分割画面のひとつを凝視する。

 

「皆と恰好が違う……! ヤツはメスガキ兵では無いのか!?

 なぜこんな場所にいる! 誰なんだ!?」

 

「っ!?」

 

 声に誘われるまま、その画面を確認したメスガキ刑事が、思わず息を呑む。

 そこに映っていたのは、彼女もよく知る人物。ここメスガキシティに住む少女の姿だった。

 

 

 

 

 

 ♥ ♥ ♥

 

 

 

 

 

 わからせ( 敗北 )を知りたい――――

 

 あの子がそう言っていたのを、憶えている。

 

 悪事を繰り返し、幾度もメスガキ署に捕らえられ、それでも決して悔い改める事は無かった。その力と狡猾な頭脳を以って、建物や施設を破壊し、何度も何度もこの町から出ようと試みた。

 時に、メスガキシティそのものを、破壊しようとさえしたのだ。

 

『――――いらっしゃいませ、()()()()()()()()

 

 いまランボーの眼前にいるのは、たった一人でこの場に立っている、小さな小さな乙女。

 愛らしいフリフリのエプロンに、上半身に眼帯のようなエロビキニを纏った、あのファミレスでウエイトレスとして働いていた女の子だ。

 

『お待ちしておりました。再びお会いできるのを♡

 キツエン席もございますが、いかがなさいますか? うふふ♪』

 

 妖艶に微笑むその姿に、ランボーが一歩後ずさる。

 彼女のとてつもないメスガ気オーラに、歴戦の兵士である彼が押されている!

 

「知っているのか同志よ? あの白銀の髪のヤツを」

 

「ええ。あの子はフダ付きの()()()()()

 アタシじゃなきゃ、とても抑えられないってくらいの……」

 

 モニターを見つめるメスガキ刑事が、タラりと冷や汗を流す。

 ギリリと歯を食いしばる音が、こちらまで聞こえた。

 

「最近ようやくシャクホーされて、きげん良くファミレスではたらいてたから、ユダンしてた。

 あの子あきらめてない……。なんにもハンセーしてなかったのね」

 

 これまで何度も捕まえ、そのつど改心を促して来たメスガキ刑事だが、あの子との戦いはいつも()()()()()

 とてもじゃないが、単独では交戦したくない相手。仲間達と連携して、ようやく取り押さえる事が出来るような、凶悪なメスガキ。

 

「アタシたちってミセーネンだし、これ仮の話なんだけど……。

 もしこの町の法に、ムキチョーエキがあったら、あの子はそうなってるわ。

 そしてもし“死刑”という物があったのなら……、とっくにそーなってるカモしれない」

 

「……っ!?」

 

 ゆえに、あだ名のようなものだけど、彼女はこう呼ばれている。()()()()()()()()

 

 

「――――ダンコン・シコルスキー。

 まぁホントは“カリーナ”なんだけど、自分でそう名乗ってるの」

 

「 はっちゃけ過ぎだろう!? いくらメスガキとはいえ!! 」

 

 

 カリーナの“カリ”と男根がかってるのかもしれないが、これはあんまりである。

 少女に付ける名前では無いだろうと、大佐ちゃんですらツッコむくらいに。

 

 カリーナちゃんは綺麗な白銀の髪で、物語に出てくる妖精を思わせる幻想的な美しさを持つ、めちゃめちゃ可愛らしい女の子なのだ。

 それがダンコンて――――どんだけエロに全振りしてるんだ。乙女をかなぐり捨ててるんだ。

 強大なメスガ気とか、そういうのとは違う意味で、大佐は恐れおののく。

 アイツはある意味、()()()()()()やもしれん。わたくしよりイカれてやがると。

 

 

『さぁ、遊んで下さいまし。私をわからせて下さいまし――――ダヴァイ( 来て )

 それが出来ないと言うのなら、そんなざこちんぽ、いりませんよね?(はぁと)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 手に持ったファンシーなデザインの()()()をチョキチョキ動かし、メスガキ死刑囚がじりじりとランボーに近付く。

 コテンと小首を傾げ、白銀の髪をサラサラとなびかせ、妖艶なまでの美しい笑みを浮かべながら。

 

 しかも彼女は、ここメスガキシティで唯一のD()()()()!!(重要)

 とても細身で、まだランドセル背負った小学生だというのに、とんでもなく立派なものをお持ちでいらっしゃるのだ!!

 

 まさにロリータエロスの権化!! 奇跡のトランジスタグラマー!

 大人達を狂わせ、破滅させるべくこの世に生を受けた、セックスアピール・モンスター! 

 魔性のおっぱいメスガキ!!

 

 

「拙いな……これは終わるぞ。

 ランボー様は勝てん。加えてヤツは執念深い。切り抜けるのは至難。

 ――――DEAD END(童貞喪失)だ! あんなのに逆レされたら、彼のPTSD(心の傷)がエラい事になるッ!!」

 

 

 ボスの叫ぶような号令を受け、メスガキポリスの4人が外へ飛び出していく。

 目指すは現場。かの敵がいる森林へ。

 

 もう捕まえるとか、そーいうの全部置いといて、とにかくランボーのもとへ走った。

 

 彼の心の平穏と、清らかハジメテちんぽの為に。

 

 

 

 

 

 

 

*1
「あー、なるほどね」 という意味

*2
【BGM-109 Tomahawk】 400㎏爆弾などを搭載出来るアメリカ製の巡航ミサイル

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