ランボー / 怒りのメスガキわからせ 作:エロスはせがわ
ランボーは焦っていた。困惑していると言っても良い。
いま眼前に立つ、ひとりのメスガキに対して。
「……? おじさんのヨースがおかしいわ。
いつも、ウサギみたくピューって逃げだすか、エッチなのはダメっておこるのに……」
モニターで見守る彼女が言う通り、ランボーは微動だにせず、その場に立ち尽くしている。
じっとメスガキ死刑囚から目を離さず、そちらを見たまま動こうとしないのだ。
あたかも、何かを考え込んでいるように。
「どうした……なぜ行動を起そうとしない?
ヤツは狂犬、考えうる限り最悪の相手だぞ。
黙って
「まっ、小学生からガン逃げかますのが、男らしーとは思わないケド……。
でもなんで止まってるの? テイコーするそぶり無く……」
ふと見れば、ダンコン・シコルスキーことカリーナちゃんが、嬉しそうに微笑んでいるのが分かる。
モデルのようにまっすぐ背筋を伸ばし、足をクロスして立つ。その上で獲物を前にした熊のように、その両手を大きく広げているのだ。
有り体に言えば、よく範馬〇次郎がやってるポーズ、そのまんまだ。
『さぁ、来てくださいまし。私に触れて下さいまし。
組み伏せ、服を引きちぎり、無理やり下着を剥ぎ取って――――犯して。
大人の怖さ、カリーナに教えて下さいまし♡』
先のファミレスでは、犬のように食べることを強要するという、典型的なサディストだった。しかし今の彼女は、自らをイジメろ、
クスクスと妖艶に笑い、フワッと両手を広げながら、「いらっしゃいませ」と誘う。
――――ドSにしてドM! なんとタチの悪い!!
その強大な“気”のみならず、この町で屈指の
アダムに禁断の実を齧らせる、小さな美しき蛇!
もし彼女とまともにぶつかれば、児童保護法で豚箱に入るか、もしくは人としてイケナイ何かに目覚めてしまうか、そのどちらかになるだろう。
大人の男を禁断の園に誘い、地獄に叩き落すべく生まれた存在。
其は“破滅”也――――決して逃げられない死神だ!(社会的な意味で)
『あらあら、恥ずかしがっているのですか?
好きな所を触って良いんですよ♡ ぜんぶ貴方の物ですから。うふふ♪』
『かわいく潮を吹くまで、イジる。
泣いても止めないくらいに、舐める。
小さな身体が壊れてしまう程、突きまくる……』
『そんな、貴方が毎日ベッドの中でしていた、エロ妄想。
それを私が叶えて差し上げます♪
さぁ、えっちな事をして下さい――――小学生に♡』
………
………………
………………………………
♥ ♥ ♥
ぶっちゃけた話……彼女が何を言っているのか、
未だにランボーは微動だにせず、ただ両手をだらりと下げて、その場に佇んでいる。ポカーンとした顔で。
(イジる? 突く? 何を言ってるんだ、この子は)
頭の上にハテナマークが浮かぶ。
筋骨隆々の、むっさい中年の大男が、可愛らしくコテンと小首を傾げる。全然似合っていない。
(まだ子供だろう?
“素”だった。普通にそう思った。
ランボーにとって、彼女が言っている事は、理解の範疇を超えているのだ。
言葉の意味は理解できても、ぜんぜんピンと来ない内容。キョトンとした顔で彼女を見ている。
思考回路の根底に、【子供は守る物だ】という意識が強固に根付いている彼にとって、あのメスガキ死刑囚が言っている言葉は、“変なこと”でしかない。
たとえば、「大統領は貧乏だからアルバイトをしなくてはいけない」とか、「戦車が来たので野球のボールをぶつけろ」だとか。
そんな意味の分からない事を言われてしまったみたいに、戸惑う他ないのだった。
(確かに、発育は良い。小学生とは思えない身体だ。
だが何故、そんな被虐的なことを……。なぜ自分を大事にしないんだ……)
銀髪の髪が美しい。幻想的な雰囲気を持つ、愛らしい子だと思う。
だからこそ、君は守られて然るべきだろうに。大人は子供を守らなければならないのに。
なぜ俺に、君を傷つけるような真似をさせる? 道理に合わないじゃないかと。
真面目かッ!
(だが無理だな……逃げるのは。
どれだけ走ろうとも、この子は追ってくる)
彼女の雰囲気と佇まいが、決して逃がさないと言外に言っている。
それに、戦場でも散々見てきた。この眼をしたヤツは、決して諦めない――――
ゆえに、彼女からの逃走は不可能であると、戦士としての勘が告げていた。
なにより、彼女はあんなにも軽装なのだ。
その編み上げブーツはともかくとして、腰のフリフリなミニスカートと、胸元にある眼帯のようなビキニしか纏っていない。とても山に入るような恰好では無いのだ。
もし自分が逃げ出そうものならば、彼女はなりふり構わずに追ってくることだろう。そうすれば転んで擦過傷や、木の枝で切り傷を作ることは明白。
あの子供特有の、張りのある肌……あんなにも綺麗な身体を傷つけるワケにはいかない。逃げる選択は不可だ(過保護)
なにより、『子供と向き合う』と決めたじゃないか。
怖がらずに、まっすぐ目を見て接すると、昨日無線であの子に誓ったばかりだ。
ここで逃げ出すのは、また嘘をつくのと同じ。
あの子を迎えに行きたいのなら、こんな所でひよっていられない! 打破しなくてはならない!
「あっ! おじさんがっ!」
「ファイティングポーズ……だと!?」
持っていた赤いランドセルを、遠くに放り投げる。そのまましっかりと眼前の女の子を見据えたまま、静かに戦いの構えをとった。
両腕を肩の高さに上げ、いつでも動けるよう軽く腰を落とす、戦士の姿だ。
強い目、決意の籠った瞳――――つまらない男ではなく、子供の守護者としての自覚を持った大人。雄々しきジョン・ランボーの背中。
デカちゃんが、息を呑んでモニターを見守る。
あんなにも情けなく、弱々しかったあのおじさんが、いま戦う姿勢を見せている事に、驚きを隠せなかった。
おバカだし、ちょっと天然入ってるけど、あの人の『子供を守る』という決意は本物だ。そしてアタシとしたあの約束を、果たそうとしてくれてる。
あんなにも怖がっていたものに対し、今しっかりと立ち向かっている!
それをヒシヒシと感じる。カッコいいと思う。
ぶっちゃけ元々ベタ惚れなんだけど、ここに来て更に惚れ直してしまった。
おじさん頑張れと、自分の想いを力にして届けるように、ギュっと胸元で手を握った。
「しかし……構えなど取ってどうなる? あの御方にとって、
小さな女の子を前にしては、振り払ったり躱したりする事すらも、『怪我をさせてしまう』と躊躇するハズだ」
嬲られるだけ。そもそも戦いにすらならない――――
昨夜の会話の中で『ウサギが虎に挑むようなもの』という例えがあったが、ランボーとヤツの力関係は、まさにそれと同じなのだ。
デカちゃんの隣で、同じくモニターを凝視しているメスガキ大佐が、ギリリと奥歯を食いしばる。
確かに、ランボーの童貞を奪うとは言った。それさえ達成すれば、我々の勝ち確だと。
だがその結末は“BAD END”。けして大団円のエンディングではない。
ここでランボーがヤツに破れ、あえなくその純潔を散らす事……。それは誰も幸せになれず、ただ物語がそこで終わってしまうというだけの物。
しかもその回避すら非常に困難という、ほぼ絶死と言える事態である。
いまメスガキ大佐の脳裏に、自分がどこかの白い壁と檻ばかりの施設で、精神崩壊を起こし廃人となったランボーの介護をしている……という未来の光景が浮かぶ。
とんでもなくリアルに、鮮明に思い描く事が出来たのだ。
自身の肩に乗っている、計算高くて時に嫌になってしまう位に優秀な頭脳が、まるで『それに備えておけ』と宿主に告げているみたいに。
そんな心配を余所に、モニターの中のランボーは、額に玉のような汗をいくつも浮かべながら、じっと戦いの構えを取り続けている。
大佐から見れば、もうただただ「それしか出来る事がない」と言っているかのような、悲痛な姿。
メスガキと戦うための武器が無いのだ。心優しい彼には。
『まぁ怖い。そのように脅かされたら、泣いてしまいそう♪
私、オンナノコですから♡』
『……』
笑顔のまま、いけしゃあしゃあと彼女が言い放つ。
きっと、彼が何も出来ない事を理解しているのだろう。何をするでもなく、肉食獣が獲物を値踏みするみたいに、ランボーを見つめている。
その言葉とは裏腹、さも機嫌良さげに。ペロッと舌なめずりをしながら。
『足が震えていますね。まるで小鹿のよう。
きっと、初めてでいらっしゃるのでしょう? 私といっしょですね、おじさま♪』
見抜かれたっ! これは致命的だ!
メスガキ大佐は人知れず眉を歪める。
相手が弱者と分かれば、あの手のタイプは
さっさと倒すのではなく、どうやったら楽しめるかを考える! 時間をかけて、心行くまでいたぶる!
『ご安心なさって? オンナノコは怖くありません♪
ちいさくて、柔らかくて、あったかい。
そしてちょっぴり“えっち”なのが、オンナノコという生き物です♡』
『受け止めます。男の人の全てを。
そういう風に出来ているんです♪ オンナノコの身体は♡』
『貴方のしたい事や、抑え込んでいた
まだ小さいので、とても抵抗できません♪
私が悪い子だからイケナイ。貴方に非は無いのですよ?(はぁと)』
『大丈夫。カリーナは
思う存分、貴方色に染めて下さい。身体のナカの方まで♡』
範馬〇次郎めいたポーズを解き、メスガキ死刑囚がおもむろに歩き出す。
スタスタと、何も気にしていないような素振りで、ランボーの方へ近付いていく。
対して彼は、思わずビクッと後ずさる。身を固くさせて、少しでも間合いを取ろうと。本能が彼にそうさせたのだ。
その健気な様を見て、またダンコン・シコルスキー(カリーナちゃん)が、うふふと楽し気に笑う。
この人はなんてカワイイんだろうと、サディスティックな喜びを見出す。
「駄目だっ……! 勝負にならんっ! 手の打ちようが無い!!」
「おじさんっ! もういいからっ!
アタシのことはいーよ! 町の外まで逃げて!!」
二人の必死な声は、モニターの中へは届かない。
歯を食いしばり、血が出るほどに手を握りしめながら見ている他ない。
メスガキ死刑囚と呼ばれた彼女が、これから彼に行うであろう、残酷な所業を。
『ほら、我慢なさらないで♪
私が欲しいのでしょう? おっきして苦しいでしょう?
よわよわ童貞ちんぽさん♡』
やがて、後ずさるうちに岩壁に背中がぶつかり、ついに追い詰められてしまったランボーの下へ、カリーナがゆっくりと近付く……。
『こういうのはどうですか? ――――えへ♡』
『 ッッ!!?? 』
その時! ランボーの頭上に〈ズガーン!〉と稲妻が走る!!
打ちのめされたように衝撃を受け、壁に背中を強く打ち付けた!
「えっ……なにあれ? あの子なにしてんの?」
「いや、わたくしにもよく……。
ただの“かわいいポーズ”としか……」
司令部にいる二人が、キョトンと顔を見合わせる。
それもそのハズ。今メスガキ死刑囚ことカリーナちゃんがしているのは、〈ぴょこん♪〉と可愛く片足を上げて、その豊かな胸元の前に、両手でハートマークを作るという仕草。
いわゆる、世の女の子たちが写真を撮る時にするような、ぶりっぶりの【ポージング】であったのだから。
『――――ふ゛おっ!!!!(吐血)』
「お、おじさーんっ!?」
だがどうした事だろう! モニターに映るランボーが、突然ガクッと膝から崩れ落ち、口から血を吐いたではないか!
キラキラと眩しいほどに輝く、小学生のかわいいポージングを見た途端、戦士である彼が膝を着いたのだ!
『くッ!
「えっ、なに言ってんのおじさん? えっ」
思わず素で言ってしまうデカちゃんを余所に、森にいるランボーは未だクラクラとしている様子。足元がおぼつかず、プルプルと扇風機みたいに顔を横に振っている。
あたかも「しっかりしろ俺!」とばかりに。
『さぁおじさま、こんなのは如何です? ――――うふ♡』
『 ふ゛お゛ぁッ!!!!(cvささ〇いさお) 』
「おじさぁぁぁーーん!!??」
身体を横向きにし、子供特有の柔軟性を活かして、プリッとおしりを突き出す。
そのまま手を目元にあてて、「キラッ☆」とピースサインをしてウインク。ペロッと舌も出している。
その
『この腰のライン、あざといピースサイン。
どうです、カワイイでしょう? 押し倒したいでしょう?
私が欲しくなりましたか? お じ さ ま ♡♡♡』
『ぬぅおおおおッ!! なんて愛らしい子なんだ君はッ!?!?
こんなにも“守ってやりたい”と思ったのは、生まれてはじめてだッッ!!』
「――――ちょぉぉぉい!! アタシわーーい??!! おじさんアタシわーーいっ!?(必死)」
こっち見ろよ! このざこちんぽ野郎ッッ!!!!!!
そんなデカちゃんの叫びも虚しく、ランボーおじさんはメロメロだ。
きっと彼が女性に免疫がなく、とても純朴な人柄だったのが災いしたのかもしれない。あんなにもブリッブリで、あざとい仕草なのに、もう悶えるくらいに効いてしまっている。
むしろ、そのわざとらしいまでの【女の子らしさ】が、かえって童貞おじさんのハートを直撃してしまったのだろう。吐血してしまう程に。
もう絵に描いたような「ストライク!」であった。どんだけチョロいバッターやねん、という話だが。
なにキュンしてんのよ! アタシを迎えに来るって言ったじゃん! おじさんの浮気者ぉ!
そうデカちゃんがバンバン画面を叩く。柵の中のゴリラでも、こんな暴れはしないだろう。巨大モニターがグワングワンしている。
『ふふふ、可愛いものですね、30越えた童貞というのは♪
赤子の手を捻るが如くです♡』
『くッ! 拙い……このままではッ!!』
『おっと、目を瞑ったら負けですよ?
さぁ、私を見て。しっかり向き合って下さいまし♡
『ッ!!??』
思わず目元を覆ったランボーだったが、その言葉に「はっ!?」として、動きを止める。
そう……目を背けてはいけない。しっかり向き合わなければならないのだ。
それが自分への誓いであり、待っているあの子との約束。
ランボーは思い直したように、腕をだらりと下げて、再び眼前のメスガキへと向き直る。その堀の深いダンディな瞳に、燃えるような意思の炎を宿して。
『では遠慮なく♪
見てて下さいね、おじさま――――――――だいすき♡(ウインク)』
『 ぬわーーッッ!!!!(大吐血) 』
「おじさぁぁぁあああんっっ!!??」
後ろを向いた態勢から、クルッとこちらに振り向き、笑顔で「だいすき♪」
その愛らしさ! この上ないキュートさよ!! 天下無双也!!
胸に迫るという言葉通り、ランボーのハートは〈ずきゅうぅぅーーん!!〉と撃ち抜かれ、ゴバァっと血を吐いて倒れる。
「もうやめてっ! 死んじゃうわ! このままじゃおじさんが死んじゃうっ!!」
「なぜ出血するのかは不明だが、とにかく死んでしまう! 出血多量もいいとこだ!!」
清らかちんぽロストどころか、生命の危機! 絶体絶命!
これが一人の人間から出たものだとは思えない位、とんでもない量の血を地面に撒き散らしながら、ランボーが倒れ込む。
駄目だったのだ、荷が重すぎた!
しょせん彼には、カワイイ女の子の相手など、無理な話だった!
銃で撃たれるのならともかく、あざと可愛いポージングを見ただけで、この有様……。
刺激が強すぎた! その可愛さに憤死したのだ! なぜなら彼は童貞だから! 納得ッ!!
「メスガキポリスたちがトーチャクするまで、あと5分はかかるわ。
それだけあれば、あの子なら20回は
おじさん即身仏みたくされちゃうっ……!!」
「なんという事だ……。まさかこのような結末を迎えようとは……。
このサリー・トラウトマンの目を以ってしても、見抜けなんだ!(カッ)」
恐るべしダンコン・シコルスキー! 恐るべしメスガキ死刑囚!!
そう小学生二人が恐れおののく。おじさんのピンチなのに、ここで見ている事しか出来ない!
『ふふふ。他愛もない。
小学生に組み伏せられ、恐怖に引きつる顔を見たくはありましたが……、気絶してしまったものは仕方が無い。このままちんぽする事と致しましょう♪
それでは――――いただきます♡』
血溜まりの中で倒れ伏すジョン・ランボー。
そこへカリーナが優雅に、ゆっくりとした歩みで近付いていく。
その視線はまっすぐに獲物……いや彼のちんぽ、その一点を見つめる。
この場を血溜まりではなく、ちんぽから迸る男潮の水溜りにする。死ぬまで搾り倒す。
もう彼女の脳裏には、その未来がハッキリと見えている。
あとは、叶えるのみだ。
♥ ♥ ♥
(身体が動かん……。意識も所々が途切れている。なんて威力なんだ……!)
メスガキ死刑囚の猛攻により、ランボーは今、
意識が朦朧とし、瞼が落ちそうになる。血を大量に失った満身創痍の身体は、もうピクリとも動かない。
(俺は、あんな子と戦おうとしていたのか……。
あんなにも強い子を、わからせようなどと……)
視界がぼやけ、だんだん遠のいていく意識の中、ゆっくりと近付いて来るヤツの足音が聞こえる。
それは死のカウントダウンのように、けして逃れられない事を示すが如く、だんだん大きくなっていく。
いつも自分を救ってくれていた、危険を知らせる本能の警笛は、すでに鳴るのを止めている。
もう駄目だ、どうにもならないと、彼の心が折れてしまったから。
すでにこの身体が、諦めてしまったから。
(怖い……子供が怖い!
俺なんかが、勝てる相手じゃなかったッ……!!)
悔しさと情けなさが、心を支配する。
だがもう歯を食いしばる力も、拳を握る力すらも無い。
自分は、あのメスガキに敗れた。完膚なきまでに打ちのめされたのだから。
知らなかった。女の子がこれほどまでに、強いだなんて。
兵士である自分を、まるで羽虫のように蹴散らせるだなんて……。
だが、それもそのハズ。だって自分はこれまで、ずっと逃げて来たんだから。
人を避け、関わる事をしなかった。愛や温もりといった物から、ずっと逃げてきた。
ならそんな自分が、知っていようハズも無い。
メスガキの力を――――女の子という生き物の怖さを。
所詮はうぬぼれ。独りよがりだった。
大人の役目だの、子供を守りたいだの、全ては
俺はこんなにも駄目で、なんの価値もない人間……。
そうさ世間でも弾かれ者だ。駐車場係の職にすら着けない、どこへ行っても煙たがられるツマラナイ男なんだ。
そんな自分が、未来ある子供を諭そうなどと……彼女らを導こうなどと。一体どれほど思い上がっていたのだろう?
なんて馬鹿なことを、考えてしまったのだろう?
そんなの誰が見たって、出来るハズもない事なのに。
頑張った。必死で生きた。いくつもの戦場を潜り抜けて来た。
けれど、やはり自分には
それが今、ストンと腑に落ちた。ようやく素直に認めることが出来た。
自分は駄目なんだって……思い知った。
これでようやく、楽になれる。もう苦しまずに済むんだ……。
戦士の本能からか、必死に開こうとしていた瞼から、ようやく力を抜いた。
己の無価値を思い知り、それを受け入れた時……、不思議なことに、彼の心に平穏が訪れる。安らぎと言っても良い。
負け犬、ゴミ、いらない人間……。
結構じゃないか、それで構わない。もう良いんだ俺は。
だから……もう目を閉じよう?
俺は頑張って来たのだから、もう楽になって良いハズだ。
そう彼がグッタリと身体の力を抜き、最後の力と意識を手放そうとした……その時。
『――――何やってんだジョン!! 立たないかッ!!』
「ッ!?!?」
突然、怒鳴り声が聞こえたのだ。
耳からじゃない、もっと近く。
身体の中……いや心の奥深くから。
『なに倒れてる! 立て! 戦えよッ!
グリーン・ベレーで何を学んできたッ!!』
「おッ……お前は!?」
グリーン・ベレー隊員であり、ベイカーチームとして同じ釜の飯を食った、くそざこドMのメスナーが、いまランボーに語り掛けている!
かの戦場で死んだハズの彼が、大切な
『そうだランボー! らしくないじゃねーか!
どんな戦場だろうが、お前だったら勝てるッ!』
『腕に力を入れろ! 立ち上がるんだ!
さぁ敵は目の前だ! やってやろうぜブラザー!』
「オルテガ!? ドレッド!? ……お前達までッ!!」
不思議な暗闇の世界。深層意識の闇の中で倒れ伏すランボー。
それを取り囲むようにして、いんきんたむしのオルテガと、デブ専ドレッドが声を張り上げる。
あの凄惨だった死に顔じゃない。ちゃんと在りし日の元気だった姿で。
『子供を守れ! 守ってやれ! お前がやるんだランボー!!』
『どうしたこのクソッタレ! そのデカイ身体は飾りか!? 俺たちのエースだろう!!』
『未来を開け! 困難に負けるな! 自分の力を信じろ!』
『涙を笑顔に変えるんだっ!!!!
俺たちグリーン・ベレーに、出来ない任務など無い!!』
「みんなッ……! みんなの声が聞こえるッ……!
死んでいったハズの仲間がッ!!」
短小のローヤンセン。隠れホモだったランフォース。エロいフィッシング詐欺によく引っかかっていたベリー。親にせんずり見られたのをキッカケに、家出のように軍に入隊し、グリーン・ベレーまで登りつめたグラッカウワー。
みんな仲間だ、その誰もが今、ランボーの為に声援を贈っている。
頑張れ、負けるな、子供を守れ――――
みんな人見知りの童貞野郎だけど、今はそんなの棚に上げて、大声でランボーの心を鼓舞する。
立ち上がれ! お前ならやれる! そう皆がニカッと微笑んでいるのだ!!
「こんな所にいた……居てくれたんだッ!
もう一人だと思っていたのに、みんな俺の中に――――」
ランボーの意識が、浮上する。
暗闇を抜け、眩しい方へ。光が差す方へ。
満身創痍だった身体は、活力を取り戻す。
両腕の筋肉が隆起し、倒れ伏していた身体を、力強く持ち上げていった。
♥ ♥ ♥
「――――馬鹿なっ!? そんなハズはっ……!!」
メスガキ死刑囚の声が、森林のに木霊する。
「立てるワケが無い……あれだけ私の攻撃(?)を喰らって、無事な筈がっ!!??」
その切れ長の綺麗な瞳が、驚愕に染まる。
信じられない物を見るような顔で、ワナワナと身体を震わせながら、眼前の男を見つめている。
ランボーだ! 彼が立ち上がった!
身体は血に染まり、すでに死に体であったハズの彼が、今しっかりと両の足で大地を踏みしめ! まっすぐこちらを見返している!
先ほどまでとは違う、凄まじい闘気をその身に纏いながら!
「虫の息のクセに、目だけはギラギラしてるっ! まだ諦めていない!?
初めてですよ……ここまで私の“エロ”を、コケにした人は♡」ゴゴゴ…
そのハリウッドなオーラに、思わず後ずさりそうになる。
だが彼女のメスガキとしての矜持が、踏み止まらせる。決して退くことを許さない。
男に舐められて、何がメスガキか! 大人を馬鹿にしてこその小学生! 舐めるのはちんぽだけで良い!
「あら素敵♪ まだ私と遊んで下さるのね♡
あのまま倒れていれば、気持ちよくなれたのに……」
ついでに言えば、児童保護法で豚箱行き。問答無用で犯罪者の烙印を押され、人生即終了だ。
それはともかくとして、メスガキ死刑囚ことカリーナちゃんが、いったん気を取り直すようにして、ランボーに微笑みかける。
相変わらずの妖艶な笑み。自身の魅力を微塵も疑っていない、強者の面構え。
「けれど、耐えれば耐えるほどに、地獄を彷徨う事になりますわ♪
さぁ見ておじさま? ――――えいっ♡(ウインク)」
「 ッッ!!!??? 」
ドン!! という衝撃と共に、ランボーの顎が跳ね上がる! ズザザッと身体が後退する!
まるでマイク・タイソンにでも殴られたように! 凄まじい威力だ! 触ってもいないのに!
「童貞相手と思い、これまで封印しておりましたが……もう慈悲はかけませんっ♡
倒れなさいジョン・ランボー。――――ひれ伏せ、ざこちんぽ」
「くうッ……!!」
カリーナちゃんが繰り出した技。その名を【雛ポーズ】
前屈みの姿勢となり、キュッと両腕でお胸を寄せるポーズである。
彼女の小学生としては類まれな、ピッチピチに張りのあるDカップが、「ぽよん☆」と音が聞こえてきそうな程たわわに歪み、セクシーな谷間を作り出す。
それと共に視界に入るのは、小学生の童顔。サラサラと揺れる白銀の髪と、「パチン☆」とウインクした可愛らしい笑顔である。
デビュー当時は17才ほどであり、まだ大人の色気を表現出来なかった、某雛〇あきこ女史の為に考案されたという、キュートな童顔と大きなお胸を同時に強調出来る、前傾姿勢の技!
当時のグラビア界に革命を起こした、伝説的なグラビアポーズ! それがこの【雛ポーズ】なのだ! メスガキだっちゅーの♥
「くそッ……! なんて破壊力だッ!!
小学生なのにセクシーだと感じるッ! ロリコンじゃないこの俺でさえッ!
これがエロカワというヤツなのかッ!!」
「うふふ♪ 我慢しなくても良いんですよ?
思う存分、この身体に触れて下さいまし♡ カリーナと遊びましょう♡♡♡」
前傾姿勢のまま、お胸を左右にプルプル。もちろん「えへっ♪」と無邪気に微笑むことも忘れない。
エロと可愛さ。その背反する二つの要素が、見事に共存している!!(迫真)
ランボーがクラッとよろめき、再びヨロヨロと後ずさる。
そのあまりの魅力に、思考が焼ききれそうだ! 我を忘れてしまいそうになる!
ヘヴンズドアという名の地獄が、目の前で口を開いている! 大人を破滅へと誘うために!
「あら。意外と頑張り屋さんですね♪
ではこれを召し上がれ――――にゃん♡(手招き)」
「 ぎゃあああぁぁぁーーッッ!!!!!???? 」
これは【女豹のポーズ】
いまカリーナちゃんが、四つん這いになった低い姿勢で、おっぱい見せつけてウインクしている!! あなや!?
「にゃーん♡ おじさんのちんぽ、欲しいんだにゃん♡
いっぱい気持ち良くしてにゃん♡♡♡」
「ぬがあぁぁ……!! あばばばばッ……!?!?(白目)」
あたかも尻尾を揺らすが如く、可愛いおしりをフリフリ。
それと同時にお胸もプルプル揺れ、猫の形にしたおててでクイクイと男を誘う。「ちんぽしたいにゃん♪」と!
これは先の“雛ポーズ”の派生版であり。それをさらにセクシーにしたバージョンだ。
雌猫という言葉があるように、このポーズは強烈なまでのエロスを醸し出す。この技を使うグラドル自身すらも、あたかも「あたし寂しいの……来て」とばかりにエロい表情となる。まさに発情したネコそのものの、えっちぃ気分になるポージングなのだ!
そのような危険がデンジャラスな技を、もし童貞がまともに喰らえば、いったいどうなるのか?
答えは御覧の通り。今ジョン・ランボーは鼻と言わず耳と言わず、もうありとあらゆる穴から血を噴き出し、まるで映画プラトーンのようなポーズで膝を付いている。
女の子がそんな事をしてはイカン! でもエロい! 凄まじくえっちい!
なんだこの、いま胸に湧き上がる得も知れぬ感情は!? まさかこの俺が、小学生に欲情しているとでも言うのか!? そんな馬鹿なことがッ!?!?
そう彼が、理性と胸キュンの間で葛藤する。
イケナイ背徳感に身を焦がし、なんだかよく分からない扉を開けちゃいそうになっている。
いけない! 目を覚ますんだランボー! それは
いくらエロいとはいえ、相手は小学生。
おっぱい触りたいとか、バックでおもいっきり犯したいとか、そんなこと思ってはいけないんだ! 間違ってる!
それは変態のする事だ! まごう事なき異常性癖者じゃないか! そんなヤツは今すぐ死んじゃえば良いと、いつも君は言っていたじゃないか!
思い出すんだランボー! 正義の心を!! 大人としての矜持を!!
「あは♪ どうやら立っているのが精一杯、のご様子ですね?
ちんぽは勃たせていないようですが……風前の灯かと♡」
ネコのポーズのまま「にゃんにゃん♪」言いながら、四足歩行で近付いていく。
いま自分で頭をガンガン岩にぶつけ、必死で正気を保とうとしているランボーの下へ。
「トドメですおじさま。ここまで耐えたご褒美に、私がしてあげましょう♪
ネコちゃんのように、ちんぽペロペロします♡
エロい……なんてエロいんだ小学生は! こんなえっちな子、見たことねぇ! 俺の常識が崩れ去っていく!
まさかノーマル趣向である俺の、心を折りに来るとは……! 彼女は本当に凄い戦士だ!!(?)
ちょっと気を抜けば、あの子にひれ伏しそうになる。
相手はまだ小学生だというのに、「おっぱいあるんだし別にいーじゃん」とか思ってしまいそうになる! それは人として最低の事なのに! まったく弁護の余地がなく、救いようが無いほどに、人間の屑じゃないか!(迫真)
畜生ッ! 理性がボイコットしてやがる! まったく仕事をしていない!
誰か俺を今すぐ殺してくれッ! あの愛らしい少女を汚すくらいなら、この場で死んでやるぞ!
ああ神よ! ケチでクソッタレな神よ! たまには助けてくれ!!
子供を守りたいんだ! 頼むッ!!!!
「――――我が名はダンコン・シコルスキー。最凶のメスガキ也♡
今日から貴様ら、ざこメスガキ共は、この名を神として崇め……っておや?」
そんなランボーの健気な祈りが、神に届いたのかは分からない。
だが今、「よいしょ」と彼の服に手を掛けていた、メスガキ死刑囚の動きが止まる。
ズボンもいーけど、その前にシャツを脱がせてっと……というような感じで、イソイソと彼のシャツをめくり上げようとした途端、硬直してしまったのだ。
ピキンと。それもまるで林檎のように、顔を真っ赤に染めて。
「どーしたの? あの子の動きが……」
「なにがあったんだろ? おじさんなにもしてないのに……」
そこに、ようやく現場に到着したメスガキポリス4人が、訝し気に彼女の姿を見る。
少し遠くの方で、油断なく警戒しながらも、じっとメスガキ死刑囚の様子を観察。
「あーっ☆ アレじゃなぁ~い? “筋肉”!!www」
「おじさん……すごい腹筋!
深夜の通販番組でも、あれほどの物はお目にかかれない!!」
イエローとブラックが、同時にキラキラと目を輝かせる。
今ちょうどランボーのシャツは、腹筋が丸見えになるような感じで、捲れあがっている。
それをカリーナちゃんが、超の付くほどの至近距離で、ガン見しているのだ!
氷のようにピキーン! と固まり、微塵も微動だにする事無く! 頬を赤く染めて!
「 見えた!
「ッッ!!!???」
ブルーちゃんの叫びに応えるように、ランボーが即座に腹筋に力を込める! キュッと岩のように引き締まる!
「――――ごっはぁ!!??」
「「「 吐血したぁーー??!! 」」」
それを見た瞬間、メスガキ死刑囚が大きく後ろに仰け反る!
天を仰ぎながら、噴水のように血を噴いたではないか! 大ダメージだ!
「そうだよ……おじさんのからだは、ハリウッドクオリティだもんっ♡」ババーン!
「見る者の心を奪う、至高の肉体美――――
まだ幼く、男性と接した経験すらない彼女が、耐えられるワケも無い(はなぢ)」
「おじさんがドーテーなら、あんたは“おぼこ”でしょwww
あーあ! こぉーんな所で開いちゃったのぉ~? 筋肉フェチの扉を☆☆☆」
もし彼が、中肉中背のハゲたチー牛であったなら、勝利は揺るがなかった事だろう。
だがカリーナちゃんは、筋肉フェチだった!!!!
それは今まで、自分でも知らなかった趣向! 未知の恐怖と得も知れぬ高揚感が、彼女を襲う! 嵐のように心を狂わせる! 筋肉めっちゃイイじゃんと!!(迫真)
「――――ふぅんッ!!」
「「「脱いだぁー! シャツ脱いだぁー!?」」」
ランボーが畳み掛けるように、着ていたシャツを脱ぎ捨てる。
それにより、彼の鍛え上げられた逞しい肉体が、余すことなく晒され、カリーナちゃんは「ひぃっ!」と小さく悲鳴を上げる。
まぁ目は飛び出さんばかりに、筋肉をガン見しているが。心なしかおまたをモジモジしながら。
「いくぞ愛らしい少女めッ! そぉいッ!!」ムキッ
「きゃあーーーん!?(はぁと)」
「「「――――出たぁー! アブドミナル&サイだぁぁーー!!!!」」」
説明しようッ! 【アブドミナル&サイ】とは、ボディビルにおける規定ポーズのひとつである!!(ナレーション、メスガキブラック)
両手を頭の後ろで組み、「ニカッ☆」と爽やかな笑みを浮かべながら、腋と腹筋を見せ付けることを主眼とする、とてもセクシーなポーズなのである!
板チョコみたいな腹直筋! フサフサした男らしい腋毛! 観客たちは、その両方に目を奪われる! 一度で二度おいしい技なのだ!
ああセクシーな腋に挟まれたい。でもあの腹筋にも触れてみたい。
私はいったい、どっちを見たらいいのかしらん?
視線はキョロキョロ♪ おまたはキュンキュン♡ そんな至高のセクシーポージング!
「まだまだ行くぞぉ! そりゃー!!」ムキッ
「やぁーーん!?!?(はぁと)」
「「「――――来たぁー! 筋肉の王様、ダブルバイセップスぅぅーーッ!!!!」」」
再び説明しようッ! 【ダブルバイセップス】とは、両腕を頭の高さまで上げ、その逞しい上腕二頭筋を見せつける、いわば“マッチョを誇示するポーズ”である!(ナレーション、黒ちゃん)
それのみならず、これは両腕を上げている事から、これみよがしに逆三角形となった上半身の全てを見ることが出来る、とてもバランスに優れた物と言える!
もし貴方が「ボディビルダーの真似して~」と誰かに言われたなら、きっと最初に頭に浮かぶのは、このムキッと力こぶを作るポーズである、ダブルバイセップスである事だろう!
有名にして基本! だからこそ差が出る! 凄さが分かる!!
そんなチャーハンとかプレーンオムレツにも似た、王道中の王道! これぞ筋肉!!
この岩のように隆起した上腕二頭筋に、貴方も頬をすりすり&チューしたくなるハズ!
知らぬ間に足元ビッチョンコだ! 気を付けろ!
「ああ……、あ゛あ゛あ゛あ゛!」ヨロヨロ
「効いてるわよおじさんっ! なんかフラついてるし!」
「めっちゃ鼻血出てるw 乙女にあるまじき顔www」
いける! これは勝てる!!
今もムキムキと筋肉を誇示しているランボーの雄姿に、メスガキポリスたちの期待が膨れ上がっていく。……だが。
「舐めるなぁおじさま! ――――くぅん♡(たくし上げ)」
「 あ゛うらっへッッ!!!?? 」ゴフゥ!
「「「「おじさぁーーん!!!!」」」」
ここでカリーナちゃんが切り返す! カウンターでのスカートたくし上げ! しかも切なそうな表情で、スカートを口に咥えるエロエロVer.だ! えっちい!!(直球)
「立っておじさん! 負けちゃ駄目だったら!」
「からだガックガック♡ “さだこ”みたくなってるね♡」
「おお……お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛……!」
再びランボーが盛大に吐血し、地面に倒れ込む!
その隙にカリーナちゃんがハァハァ肩で息をし、苦しそうにしながらもなんとか態勢を立て直す。(なんで満身創痍なのかは不明だが)
「くたばれジョン・ランボー! せぇーい♡(Y字バランス)」
「ぐおぉぉぉ! なんてパワーだッ!!??
しかしぬりゃあーーッ!!(サイドチェスト)」
「きゃいーーん!!」ジョバー!
彼女のエロポーズと、ランボーのむさ苦しいボディビルポーズが交錯!
相打ちだ! 双方血を噴いて倒れ込んでいる! なぜ血を出すのかは分からないが!
「ま……まだよ! まだやれるわ! うっふーん♡(菜々緒ポーズ)」
「ぬぅぅッ!? 凄まじい威力ッ!! 身体がバラバラになりそうだッ!!
しかし負けるかぁぁぁーーッ!! ムキッ!(モストマスキュラー)」
両者が交互にポージング。
どちらのパンチが強いのかと、漢比べをする地下格闘技の戦士のように、全力で相手を魅了する。二人の口から止めどなく「ゴハァ!?」と血液が噴出す。
「クソッ! アバラが折れたかッ……! 6番と7番を持っていかれたッ!!(?)」
「なんて美しい下腿三頭筋っ……!?
こんなの、身体中の水分が、ぜんぶ出てしまうっ!
潮ふき過ぎて死んじゃう♡♡♡」ジョバー
次々にポージングを繰り出していく両者。
満身創痍になりつつ、どれだけ苦しくとも笑顔だけは絶やさない。
相手を誘惑する、攻撃を叩き込むことを止めない。
――――私(俺)の方がエロいと!!!!
「足が動かないんだ……なんとかしてくれ。
張り手でも何でも良いッ! 気合を注入してくれッ!!」
「あの男は止まらない。決して倒れない……。
なら私と彼の勝負は、どちらかの息の根が止まるまで続く! ということよ!!(?)」
やがて、その場の空気なのか、流れなのかは分からないが、この戦いは3分ごとに1分間のインターバルを入れるようになり、その度に二人は自分側のセコンドに戻っていく~、というボクシング形式となった。
ランボーのセコンドが、ブルー&ピンク。
カリーナちゃん側が、イエロー&ブラックである。
4人は甲斐甲斐しく選手の汗を吹いたり、ミネラルウォーターを飲ませてやったりしている。ちょこちょこと歩き回る姿がプリチーだ。
「……いい、おじさん?
あんたは虎。あんたは虎。あんたは虎。
痛くないっ! 痛くないっ! 痛くないっ!」
「つぎのラウンド、あいてはキメにくるよ?
もっと“だいきょーきん”でせめようっ!
あのコ、おじさんのチクビばっか、みてるもんっ! おじさんにむちゅうだよっ!」
6,7,8とラウンドが進んでいく。
両者のエロポーズ合戦は熾烈を極め、もう誰かに支えて貰わなければ、自分のコーナーに歩いて帰れない程に、疲弊し切っていた。
椅子に座ったまま、肩で大きく息をし、少しでも酸素を取り込もうとあえぐ。もう前も見えない程に朦朧とした意識のまま、必死に回復に努める。
「エロいって――――何ですか?」
第11ラウンド終了のゴングが鳴り、コーナーへ返って来たメスガキ死刑囚が、ボソッとブラックちゃんに訊ねる。呟くような小さな声。
「エロいって、いったい何なのでしょう? ……ブラックお姉様」
縋るように、弱々しく訊ねる。
あれだけ自信満々で、とても大きく見えた彼女が、今は見る影も無い。
ちいさな子犬のように、儚げな雰囲気を醸し出していた。
メスガキブラックはじっと彼女を見つめてから、その肩を力強く抱く。
「……知りたい?」
(こくり)
「ならば、勝ってこい! ――――あのちんぽを
そうすれば、おのずと答えは出る!」
ババーン! と音が鳴りそうな勢いで、ブラックが告げる。
カリーナな虚ろな瞳のまま、だがしっかりとそれを聞き届け、頷きを返した。
「……ですよね、お姉様♡
私もそう、思っていました――――」
……
…………
……………………
両者が勢いよくコーナーを飛び出す。
今、運命の“第12ラウンド”のゴングが、高らかに鳴った。
(あのおじさまに勝てれば、ちんぽ出来れば……ずっと追い求めてた答えが出るっ!!)
まっすぐに駆ける。眼前の倒すべき男に向かい、一気に距離を詰める。
「負けん! グリーン・ベレーの童貞仲間たちが、俺を支えているッ!!」
「負けない……! 私たち女の子は……メスガキはっ!
大人ちんぽなんかに、負けてられないのよぉぉぉーーーっっ!!!!」
グラビアポーズとボディビルポーズが、閃光のように〈ズガーーン!〉と交差する!
「……ぐはっ!!??」
「……んぐっ!!??」
相打ち!
両者ズザザっと地面を削りながら、跳ね飛ぶように大きく後退する!
意味もなく額から血を流し、何故かゼェゼェと息を荒げる! キッと鋭い目で睨み合う!
「なんかおじさん、強くなってなぁ~い?w もーどうなってんのコレwww」
「もうこの町に来た頃とは、別人……。
あの子の目を見て、向かい合うことが出来ている」
4人のメスガキポリス達が一か所に合流。
肩を並べ、固唾を呑んで戦いを見守っている。
「見ておきなさい、あんた達。
これが――――ミックス・アップよ!!!!」ババーン!
「おたがいが、おたがいをたかめあい……ゲンカイをゲンカイでなくす。
ランボーおじさんは、たたかいながら、つよくなってるんだよ」トゥンク…
ドガガガガ! バッキャーー! みたいな謎の音が鳴る。
何故か辺りの木がへし折れ、ゴゴゴッと地鳴りまで響いているが、二人は決してエロポージングを止めない。戦おうとするのを止めない。
(……コケにされたんじゃない。私が甘かったんだッ!
私のエロさよりも、この人の方が強いんだッ!!)
ピクピクと動かされる逞しい大胸筋に、カリーナが「うぎゃー!」と仰け反る。どういうワケか服の一部が消し飛び、同時に滝のような鼻血が出る。
(ならば、もっとすごいエロを叩き込むまで! 勝負ですおじさまっっ!!)カッ!
後ろにそり返った身体を戻す。その勢いを利用して、カリーナが猛然とダッシュ!
「 お じ さ ま ぁ ぁ ぁ っ っ !!!! 」
「 少 女 よ ぉ ぉ お お ッ ッ !!!! 」
ランボーのサイドチェストによる、大腿四頭筋の美しさに耐えながらも、命を削るようにして、捨て身で距離を詰める!
ほら! すぐ目の前だ! 命を燃やせぇぇぇえええーーッッ!!!!!!
「トドメだぁジョン・ランボー!! ――――ハーイ♡♡♡(M字開脚)」
これはっ!? かのイン〇ン・オブ・ジョ〇トイの代名詞である、M字開脚!!!!
これはいわゆる“おっぴろげポーズ”であり、そのあまりの過激さに、長年グラビア界では禁忌とされていた技!
だがかのイン〇ン女史は、その過激さこそを逆手にとって、グラビア界に新風を巻き起こし、革命を起こしたのだっ!
ならば! エロを生業とする小学生であるメスガキが、このポージングを奥義とするとは当然の摂理! 彼女の
(決まった! モロ至近距離! ――――喰らった童貞は死ぬっ!!)
いや~ん♡ とばかりに大きく股を開き、銀髪の妖精が色っぽい表情。その偉大なる勝利を謡うように、たわわで張りのあるおっぱいが「ぷるるん♪」と揺れる。
(さぁ鼻血を出せ! ちんぽおっきしろ! 私が心行くまで搾り倒してy……)
しかし! どうした事か! 突然少女の顔が驚愕に染まるっ!!
ランボーおじさんが、
(ふ、不発!? M字開脚を見てない!?
そんなの卑怯よ! ちゃんと子供と向かい合うって、そう約束をっ……!)
だが待てよ? 確かボディビルには“バックポーズ”という物がある。
前面だけでなく、背面の筋肉を審査員に見せつける為の、客席に背中を向けて行うポージングがあるじゃないか! ならこれは全く問題ない! ちゃんとした正攻法だ!
(ま……拙い! バックポーズが来る! この距離で“カウンター”を貰ったらっ?!?!)
前述の通り、ほぼ零距離。
いまカリーナちゃんは、ランボーのおしりに顔がひっつきそうな距離に座っているのだ。
なんでこいつ、
(けど大丈夫っ、耐えられるわ! これを凌いで反撃するっ……!!)
何故なら、今カリーナちゃんの視界は、おじさんのお尻でいっぱい。そのくらい距離が近ければ、もう他の部位など目に入らない!
たとえ、どれだけ背中や足を鍛えていようが、見えないのならばポージングも無意味っ!
(さあ来なさいっ! バックポーズでも何でも! 次は必ず決め……!?)
だがその時ッ!! 腰に手を当てながらバックラットスプレッドを決めたランボーのお尻が、突然キュッと引き締まる!! 小学生である女の子の、顔の真ん前で!! キュッ☆
「しっ――――
えくぼー。くぼー。ぼー、ぉー……(エコー)
まるでペガサス流星拳を喰らったザコ聖闘士のように、カリーナちゃんがグウァーっと宙を舞う。
そして高く浮き上がった後、顔からドチャッと地面に叩きつけられた。
「ま、まさかお尻があったなんて……!
こんな……こんなにもセクスィ~な部位が、この世に存在した……!?」
キュッと引き締まった、セクスィ~なお尻。
大胸筋や腹筋に目が行きがちだったカリーナが、ここに来てまた新たな扉を開く。
おしり良いじゃん! おじさんのお尻、めっちゃキュートじゃん☆ ……と。
「負けたわ……。まだ私は弱かった。
ぜんぜん良い女なんかじゃなかった。ただの小娘よ……」
「けれど、カッコ良かったわおじさま……お尻もキュートです♪
戦う姿も、立ち向かう姿も、全部ぜんぶ素敵……♡」
やがてカリーナが、ゆっくりと身体を起こし、立ち上がる。
足を引きずりながらも、ヨロヨロとランボーの下へ。
その顔は、さっきまでの妖艶さでも、いやらしい微笑みでもない。
ランボーという男に恋をした乙女……いや
彼女はランボーのブーメランパンツに、何故がおもむろに10ドル札をグイッとねじ込んでから、柔らかな笑みで告げる。
「貴方の勝ちですジョン・ランボー――――誰よりもセクスィ~な人。
たいへん申し訳ないのですが、だっこをして頂いても?」
疲れてしまい、歩けないので。
そんな体の良い理由を口にしながら、彼女はとても幸せそうに、ギュッと彼に抱き着いた。
♥ ♥ ♥
「ねぇ大佐……ちょっといーかなぁ?」
「なんだ、同志クイーン・ビーよ」
その頃。時を同じくして、YZT作戦本部――――
「アタシは今、
ようやくメスガキ刑事が、みんなが一番言いたかったことを、口にしてくれた。