ランボー / 怒りのメスガキわからせ 作:エロスはせがわ
~西〇秀樹【ジャガー】より~
「はぅ~♥ おじさんカッコよすぎるよぉ~♥♥♥」ヘナヘナ
想いの籠った言霊。全てを君に捧げる、という宣言。
ハリウッドスターもかくやという、ダンディで素敵なおじさまの、情熱――――
「ちゅきぃ~♥ おじさんちゅきぃ~♥ チュッチュしてぇ~♥」トローン
先ほど目にしたランボーの姿、その熱い言葉に、デカちゃん改めエイドリアンちゃんは、もう腰砕けであった。
瞳は【はぁと】の形となり、下腹部の辺りから謎のおつゆが溢れ出し、もう床はビッチョンコ。
足どころか、腰にも腕にも力が入らず、その場にヘナヘナと座りこむばかり。
YES! フォーリンラブ!
「あわわ……、あわわわわ……!
もうダメ、なにも考えらんない……。
今すぐちんぽほしい……! ぎゅ~ってしてほしいっ……! おじさぁ~ん♥♥♥」
凄い人だっていうのは知ってた。優しい人だっていうのも知ってた。
でもまさか、これほどだなんて……。どれだけ拒絶しても、真っすぐアタシの目を見てくれるだなんて……。
お前を抱くと、言ってくれるだなんて……。
メロメロだ。もう完膚なきまでにやられた。
元からゾッコンだったというのに、アタシの心は今、完全に溶かされてしまった。
ぜんぶ全部、おじさんの物にされてしまった。
あれだけ心を苛んでいた罪悪感、トラウマ、劣等感――――
彼の未来のことや、こうすべきだっていう道理、管理者としての重圧――――
そんな全てが跡形もなく消し飛び、どこ吹く風。
いま彼女の頭にあるのは、あのカッコ良くて、炎のような熱さで自分を愛してくれる、宝物のように素敵な彼の事だけ。
その温かく逞しい胸に、〈ピョーン!〉と飛び込んでいきたいという、止められない想いだけだ。
「ムリよ、ここまでされたら……。
もう帰れなんて言えない。もう離れらんないっ……!」
受け止める以外、アリエナイ。
向かい合うこと以外、デキナイ。
臆病で、人見知りで、あんなにも傷だらけの心だった彼が、そうしてくれたんだから。
迷いを捨て、己の全てを捧げてまで、愛すると言ってくれたのだから。
なら自分も同じようにしなければ、申し訳が立たない。
恋する乙女の矜持が、彼から逃げることを許さない。
好きならば、一緒にいたいのならば、あの人と対等であらねばならない!
「――――受け入れなきゃ、彼のジョーネツを。
女の子として。ひとりの
愛に生きるが、我がさだめ。
尽くし、捧げ、包み込んでこその乙女。
出会い、触れ合い、想いを通わせ、心でぶつかり合ってきた。
好きですおじさま。大好き。
貴方に恋した事が、アタシの誇りです――――
◆ ◆ ◆
「うおぉぉぉ! エイドリアァァーン!! うおぉぉぉおおおッッ!! 」
ランボーは駆ける。
一刻も早く、彼女のもとへ向かう為に。
「エイドリアァーーン!! 顔を見せてくれぇーーーッッ!!!!」
熊のような雄たけびを上げながら、階段を駆け上っていく。
今この建物は、彼女以外の子は全て退去しており、まったく人気がしないから良いものの、もし誰かがこれを聞いたら「ビクッ!?」としてしまうに違いない。
彼のマッチョな腹筋から絞り出される凄まじい大声が、もうそこら中に反響している。
「好きだぁ! エイドリアァーン!!
こんな気持ち初めてだぁぁッ!! エイドリアァァーーン!!!!」
ランボーは叫ぶ! 胸いっぱいの愛を!!
彼は心から人を愛そうと決意し、その想いに燃えているのだ!!
ちなみに、先ほど1階にあるエレベーターを使おうと試みたのだが、そこは棚だのソファーだのといったバリケードで塞がれていた。きっと侵入された時への用心なのだろう。
今のランボーには、これを撤去している時間すらもどかしく、もう想いの迸るままに階段を駆けあがり、現在メスガキ署の二階へと向かっている最中である。
「エイドリアーン!! どこだぁエイドリアーーンッ!!
姿を見せろエイドリアン! エイドリアァァァーーンッ!!!!」
関係ないが、さっきからエイドリアン、エイドリアンうるさい。
呼びやすいのか、言ってて気持ちいいのかは知らないが、ひたすらテンションMAXで連呼。
お前エイドリアン言いたいだけちゃうんか? と疑ってしまう程に。とっても良い笑顔で叫んでいる。
「 エイドリアァァーーーンッッ!!!! 」バッキィ!
扉を一息に蹴破り、二階のフロアへ侵入。
気合の掛け声にも、「エイドリアン」を採用する。
「……エイドリアン?! エイドリアンッ!? エイドリアァァァーーン!!!!」
意訳をすれば「どこだ?! どこにいる!? 姿を見せてくれ!」
ついにランボーは人語を話すことを放棄し、全てをエイドリアンの一言で表現し始めた。“エイドリアン万能説”の誕生である。
「はっ!? これは……?」
見渡せば、そこには沢山の長椅子や、煌びやかなステンドグラスが見える。
正面の壁には、大きな十字架まで飾られており、一見してここが“教会”であることが、簡単に窺えた。
だがそんなバカな! 自分は今、メスガキ署の二階にいるハズなのに! ランボーは混乱する。
「――――おじさん、こっちよ♥」
「ッ!!??」
突然の声に振り向いてみると、自身のすぐ後ろに、会いたくて仕方なかった少女の姿が。
「うれしい、来てくれたのね。
アタシずっとまってた。……この日がくるのを」
純白――――いや
いま彼女は、あのエロカワちっくなヘソ出しキャミではなく、美しく煌びやかな白いドレスに身を包んでいる。
そのまだ幼い、この上なく愛らしかった顔ですら、高価さを感じさせるベールによって覆われているのだ。
まごう事なき、花嫁。
あまりにも小さな。
「えっ、エイドリアン……。君なのか……?」
「そうよおじさん。アタシよ♥」
急いで着てきたの。似合うかなぁ?
未だベールによって、その顔は隠されている。だがその声色から、いま彼女がこの上なく幸せな表情をしている事が分かった。
心から満たされ、乙女の本懐を遂げた少女の姿だ。
ランボーは困惑する。この状況に理解が追い付かない。
ある種の戦いのような気持ちで、敵地に突貫してみれば、ウェディングドレスに身を包んだ愛しの少女が、突然目の前に表れたのだから。それも無理からぬ事だろう。
「きっ……綺麗だ。エイドリアン……」
思わず、といったように告げる。
物を考えるよりも先に、見たままの印象が口を突いて出た。
純朴で、素直な彼らしいと言えば、そうなのかもしれない。
さっきまで戦場気分で、こんな状況だというのに、この子を美しいと感じざるを得なかった。
そんな彼の微笑ましい姿、そして真っすぐな言葉に、デカちゃんことエイドリアンが、ニコッと微笑んだ。
貴方のそんな所も好き。だからこそアタシは、貴方に恋をした。
そう今の幸せを噛みしめているかのような、やわらかな笑みだった。
「好きよおじさん――――アタシをもらってくれる?」
手が差し出される。
白いレースの手袋に包まれた、とても小さな少女の左手が。
「……ッ!」
彼は暫しの間、呆けたようにそれを見つめる。
こちらに差し出された手と、嬉しそうに微笑む彼女の顔を、何度も何度も交互に見る。
どうして良いのか分からない、といった様子で。
「……」
けれど、そんなのは決まっているのだ。
いったい自分は、何をしにここへ来たのか、という話だ。
ビックリしたし、突然だったけど、俺は彼女のことが好きだ。
そして彼女を貰い受ける覚悟など、もう半日も前に済ませているじゃないか。
今さら迷うことなんて、無い。
「……エイドリ、アン」
「おじさん……♥」
彼が一歩踏み出す。ゆっくりと歩みを進める。
そしてすぐに、彼女の目の前に立ち、万感の想いを込めた所作で、跪いて見せた。
正しく、お姫様を迎えにきた王子様のように。神々しさすら纏って。
「え、エイドリアン……。俺は、君のことが……」
「うん……♪」
彼の逞しい腕が、厳かに伸ばされる。
まるでガラス細工を扱うように、大切な物に触れる時の、愛おし気な手つきで……。
今そっと、彼女の手に触れた。
そして、その感触を感じ取るのと同時に、エイドリアンは〈シュン!〉と残像を伴う速度を以って、素早く懐に潜り込み、物凄いオーバーアクションな範馬〇次郎ばりのアッパーカットを、彼の股間にブチ込む。
『――――ちぇえええりゃッッ!!!!!!!!』
「 ふ゛お゛ッ゛!!??(cvささ〇いさお) 」
……
…………
……………………
「ほっほっほ♪ ヒキョーとはゆーまいね? ベトナムのエーユーさん♥」
あー、ばっちぃモン触っちゃった! とばかりの仕草で、エイドリアンがこれ見よがしに、おててをプラプラする。
「おじさんオトナだもんねぇー♪
こぉ~んなちっちゃな子に、ぶたれるくらい、ぜんぜんヘーキだよねぇー♥」
いま彼女が見下ろす眼下には、アントニオ猪狩に金玉を蹴り上げられた時の刃牙と全く同じポーズで、白目を向きながら倒れ伏すジョン・ランボーの姿がある。
ぶくぶく泡も吹いてるし、全然平気ではなかった。
先ほどエイドリアンが放った【メスガキあっぱーかっと☆】によって、ランボーの身体は1メートルくらい浮き上がっていた。ドゴンッ! みたいな凄い音してた。
いくら屈強で、筋肉モリモリマッチョマンなランボーでも、霊長類ヒト科の男である以上は、鍛えられない部位という物が存在する。
たとえば、今エイドリアンにおもいっきりブン殴られた、“お大事様”とかがそうだ。
もう見事なまでに、一撃で屠られた。
「――――小学生とえっちするとか、なに考えてんのよっ! ヘンタイ!(正論)」
そして、床に倒れ伏すランボーを余所に、元気に「ひゃっはー!」と逃げ出していった。
◆ ◆ ◆
「い……いま何があった?」
数分後。パチパチと瞬きを繰り返しながら、一人2階のフロアにて佇む、ランボーの姿があった。
「なんだ今のは……。なぜ俺は、股間をパンチされた?」
状況が分からん。全く理解できん。
教会めいた神聖な雰囲気の場で、花嫁の恰好をした愛しの女の子に、ちんぽをアッパーカットされる。
持っている情報を総動員しても、なぜ自分がそんな目に合ったのかが、微塵も納得できない。
とりあえずは、痛む股間を気遣いながらヨタヨタと歩く。
すぐ目の前にあった、三階へと続いているらしき階段の方へと、歩みを進める。
現状は意味不明ながらも、とにかく動かなければならない事は分かる。
自分は兵士なのだから、いかなる時も戦わなけれなならない。グリーン・ベレーの教えが、奇しくもここで生きた。
「さっきゴメンね、おじさん……。アタシはずかしかったの……」
階段を上り終え、フロアに辿り着いてみると、すぐ目の前に彼女の姿があった。
「おじさんが来てくれたのが、うれしくって……少しテンパッちゃったかも。
ゆるしてくれる? おじさん……」ウルウル
両手を祈りの形にし、涙目でランボーを見上げる。
その可愛らしい顔は、とても申し訳なさそうな色に染まっている。心から悔いているような。
良く見れば、彼女は先ほどの花嫁姿ではなく、看護師さんのような恰好をしている事が分かる。
首に聴診器をひっかけ、その手にオモチャの注射器を持っている。
頭にあるナース帽と、生地が少な目なミニスカタイプのナース服は、男心をそそるピンク色に揃えられている。
有り体にいえば、コスプレで用いるようなエロカワナース服。その小学生バージョンであった。
「エイドリアンッ! 正気に戻ったのかッ!
気にするな、俺は無事だ!」
「ホント……? アタシうれしいっ♪
おじさんに嫌われちゃうんじゃないかって、ずっと不安だったのっ……♥」
上目遣いのまま、キュッとランボーの両手を握る。
その手のぬくもりと、いじらしい彼女の仕草に、ランボーの心が安心に包まれる。
さっきまでの混乱が、嘘のように消え去り、ようやく彼女と話が出来るという喜びに満ちていく。
あぁ俺は、この子の事が好きだと……。
「おじさん、ちんぽだいじょーぶ?
あまりおぼえてないケド、おもいっきりパンチしちゃったでしょう……?」
「平気だ、もう痛みなど感じない。
君の顔を見た途端、ぜんぶ消えてしまったよ」
「おじさん……(はぁと)」
ギュッとお腹に抱き着く。小さな体で、精一杯“好意”を伝えるように。
彼女のぬくもりが伝わってきて、ランボーの心に、愛おしさが込み上げる。
ここへ来て良かったと、心底実感する。
「でも心配だわおじさん。もし好きな人の身に、何かあったらって……♥
アタシがシンサツするから、このイスにすわってくれるかな?」
「ああ、分かったよ。よろしく頼む」
言われるままに、その場にあった椅子に腰かける。
なるほど、この子がナース服を着ていた理由が分かったぞ。俺を治してくれる気でいたんだな! なんて可愛いヤツなんだ!
そうランボーは納得し、ニコニコしながら彼女に身を任せる。
「――――どっせぇぇぇえええいッッ!!!!!!」バリーン!
「 ふ゛ぬ゛こ゛ッッ!!?? 」
手に持った蛍光灯を、ランボーの頭にフルスイング!!
彼が安心しきり、ふと目線を逸らした瞬間の凶行。砕けたガラス片が、辺り一面に飛び散る。
「あすくひむコラエーーっ!!!!」
「 お゛っ゛ふ゛ッッ!?!?!? 」
椅子に座り、頭の位置が低くなった所への、
豪快にミニスカからパンチラする、メスガキVer.の必殺技だ。
「ベルトもってこいオラっ! リング上がれコノヤロー!! ふぁっきんU.S.A.!!!!」
ランボーは「ドテーン!」とひっくり返り、そのままブクブクと泡を吹き始める。
エロ心の不意を突いた、見事なまでの一撃! 失神KOである。
「――――なにナース服に期待してんのよっ! エロ本の読みすぎ!!(正論)」
あいあむチョーノ! と力こぶを作ってから、ピンクナース姿のデカちゃんは「うっほほーい♪」と元気に去っていった。
◆ ◆ ◆
「ごめんなさい、おじさん。アタシてれちゃって♥」
「…………」
暫しの時が経ち、四階。
あれから意識を取り戻したランボーは、驚愕に目をひん剥いたままで、ヨタヨタと次のフロアに辿り着いた。
「オンナノコって、ときに思ってるのと、反対のことをしちゃうの……。
このかわいー乙女心、おじさんなら分かってくれるよね?(はぁと)」
「…………」
眼前に立ちつつも、ジリジリと間合いを計る。
ランボーは兵士としての本能に従い、彼女を警戒する。
ちなみに現在、デカちゃんはキュートなエプロン姿である。
中にキャミやハーフパンツを着ているのかは知らないが、正面からは見えない。
いうなれば、いま“裸エプロン”的な恰好をしているのだった。
エロカワに加え、ちっちゃい幼な妻感も加わり、破壊力が物凄い! げぼかわである!
「ほら、こっちに来て? だ ん な さ ま ♥
おなか空いてるとおもって、いっぱいお料理を作ったのよ♪ さぁめしあがれ♥」
普段は応接室として使われているであろう一角に、テーブルが置かれている。
その上には、ビーフステーキやコーンスープなどなど、温かな湯気をはなつ沢山の料理が並ぶ。ぱっと見ただけで分かるくらい、どれも美味しそうだ。
しかしながら、ランボーの足は動かない。
いま笑顔で「どうぞどうぞ♪」と誘われているものの、一向にテーブルに着こうとはしなかった。
じぃ~っとデカちゃんの方を見ながら、その場に立ち尽くすばかりである。
「あれっ、おじさんどーしたのぉ? はやくしないと、お料理がさめちゃうよぉ?」
「……」
「ほらほらぁ、席について♥
メスガキシティ特産の、ざこワインもあるよぉ♥」
「……」
その笑顔がコワイ。
さっきまでの事など無かったかのように、何食わぬ顔で料理を勧めてくるその精神性、サイコパスだ。
デカちゃんがテテテと歩いて来て、案内しようと優しく彼の手を取る。
別に抵抗したりしないし、黙ってついては行くけれど、未だにランボーの表情は晴れない。
その仏頂面は言外に、納得のいく釈明を要求していた。
「もしかして……アタシのこときらい?
おじさんおこっちゃったの……!? アタシのことなんて、もう知らないって……!?」
「ッ!!??」
突然、愕然とした表情を浮かべるデカちゃん。
ヨロヨロと力なく後ずさった後、そのまま「わーっ!」と泣き崩れ、床にへたりこんでしまった。
「アタシのりょーりなんて、食べたくないんだぁっ……!
がんばって作ったのにっ! おじさんのためにって、いっしょうけんめー練習したのにぃー!!」
「ちょッ……!? 待ってくれ! 俺はそんなつもりはッ……!!」
「ひどいよおじさんっ! しんじてたのにっ!
アタシを迎えに来てくれたんだって、すごくうれしかったのにぃーっ!!
う え え ぇ ぇ ぇ ん っ!!!!」
上を向いてビービー泣き喚く。まるでスヌーピーのように、噴水みたいな涙を流す。
女の子を泣かせてしまった!! とランボーは慌てて彼女に駆け寄る。
目線を合わせるようにしゃがみ、今もおめめをグシグシしている彼女の肩に、優しく手を置く。どうか泣かないでおくれと。
「エイドリアン、俺が悪かった。さぁ涙を拭k
「――――メスガキバスターじゃーーい!!!!!!」
「 ケ゛ェ゛ーーッッ??!! 」
デカちゃんが〈シュッ!〉とランボーに組み付き、彼の身体を肩に担ぎ上げる。
そのままピョーン! とジャンプして、お尻からドスーンと着地した。
分かりやすく言うなら、ようは“キ〇肉バスター”の形だ。
「おっとぉ。ステーキじゃなく、牛丼をヨーイしておくべきだったかしらぁーん?
へのつっぱりは、いらんですよ!」キリッ!
「ごッ……ごっほぁッ……!!!!」ヨロヨロ…
今ランボーの肩と背中と股関節が、ほんとエライ事になっている。
ズガァァァーーン!! みたいな謎の音も鳴ってたし、破壊力抜群だ。
いくら元グリーン・ベレーとはいえ、超人強度ゼロの男が耐えられるハズもない。
「おんなじサギ師に、
素直なのはステキだけどぉ、ちょーっとおじさんが心配だなぁー♥」
コキコキと首を鳴らし、ダルそうに右腕を回しながら、ランボーの方へ近付いていく。
「さてさて……。おじさん骨がバキバキで、動けないみたいだしぃー?
いっちょホンゴシ入れて、オシオキしましょっかぁー♥♥♥」
メスガキ共にデレデレしよってからに! この浮気モンがッ!!
頭にピーン! と二本角を生やしたデカちゃんが、「よっこいせ」とランボーにマウントポジションを決めた。馬乗りの態勢だ。
「これはぁ! メスガキブルーのぶんっ!!」ドゴォ
デカちゃんのマウントぱんちが、ランボーの頬を捉える。
「これはカリーナのぶんっ!!」ゴスゥ
勢いよく振り下ろしたおててが、彼の鼻っ柱に炸裂。
「これは田嶋〇子のぶんっ!!!!」ゴシャア!
「 待ってくれッ!! それは身に覚えが無いッ!?!? 」
容赦なく叩き込まれるメスガキの拳。
ちなみに最後は、「これはアグ〇スのぶんっ!」であった。理不尽。
「――――ハーレムとかきっしょ! 女の子をなんだと思ってんのよ!!(正論)」
プスプス~と煙を上げて倒れ伏すランボー。
それを余所にデカちゃんは、「牛丼一筋さんびゃくねーん♪」と歌いながら、スタスタ去って行った。
◆ ◆ ◆
「ど……どういう事なんだ、エイドリアン……?」
「ふははは♥」
時が経ち、現在メスガキ署の5階。
いまランボーとデカちゃんは、向かい合って対峙している。
まぁ片方はオロオロと狼狽え、もう片方はマフィアのボスみたく、足を組んで椅子に踏ん反りかえっているけれど。*1
「なぜ攻撃する? なぜ騙すんだ……?
もしや俺は、敵だと認識されているのか……?」
「おやおや、よーやく気づいたみたいねぇ♪
そのとーりだ、ジョン・ランボーくん♥」
ざこワインが入ったグラスを、ゆらゆら揺らしつつ、デカちゃんは機嫌良く笑う。
口元が「にんやぁ~♪」と醜く歪んでおり、もう悪の親玉そのもののだ。まぁ彼女はちんまい女の子なので、どうやったってカワイイのであるが。
「ザンネンだけど、たおさせてもらうわ。
だまして悪いが、メスガキなんでね。カクゴしてちょーだい♥」
「そッ……そんなッ!? 馬鹿なッ!!」
膝に抱っこしているシャム猫が、「にゃーん♪」と眠たそうな声を出す。まるでこの子も、ランボーをあざ笑っているかのように。
「とゆーかね? あたりまえでしょ、おじさん。
ここにくれば、アタシとチュッチュできると思ったぁ?
フツーにだっこできるって、そー思ってたのぉ?(はぁと)」
「……ッ!」
「んなワケないじゃん……。思い出してよおじさん。
アンタはいま、メスガキをわからせるために、ここへ来たワケでしょ?
たたかわなきゃ、ゲンジツと♥」
まったく、ノーミソお花畑ね。ドーテーってゆうのは。
そんなだから、子供にからかわれるのよと、デカちゃんは「ふんっ!」と鼻を鳴らす。
「で……でも聞く所によると、君はかなりの歳d
「――――今度それゆったらコロすよ? いっかいは見逃したげる」
デカちゃんがドンッ!! と足踏みをした途端、床のコンクリートがピキピキー!
ランボーおじさんはドン引きだ。
「いまアナタの前にいるのは、この世で
ロリコンこじらせた、非モテ童貞ざこちんぽ共が、毎夜ベッドの中でしてたエロ妄想の中でのみ存在してた、至高のオンナノコ……いわばょぅι゛ょ神よ。
そりゃー3桁才くらい、フツーに生きるでしょーよ(威圧感)」
「ロクにお風呂にも入らず、服もしま〇らで買い、散髪も千円カットですませちゃって、がくせー時代にはチョコのひとつも貰ったこと無い。
そんなお腹ぽっこり、前髪すっかすかの、こどおじチー牛くずちんぽ共が、自分にツゴー良く思い描いた理想の具現……」
「大した理由もなく貴方に惚れてくれる、らぶらぶキュートなエロカワ小学生!
しかもアホみたいなゴツゴーシュギにより、
「子供とゆーことで、ほどよく父性を満たせるばかりか、エロにせっきょく的だからコミュ障のオッサンにも安心という、まさに夢のような存在!! 貴方だけの幼女(はぁと)
それがアタシなのよ。 お じ さ ん ♥♥♥」
ちなみにデカちゃんは今、バニーガール姿をしている。
彼女の感情と同調するようにして、頭のウサ耳がひょこひょこしててプリチー。
そのおかげで、せっかくのラストバトルなのに、せんせん締まらなかった。
ちんまいし、声はcv丹〇桜*2を思わせるロリロリだし、もう可愛くって仕方ない。真面目な雰囲気ゼロなのだ。
なんか頑張って長々と話してくれてはいるが、言ってる事がよく分からん! という事もあり、ランボーは「頭を撫でてあげたいなぁ」としか思わなかった。えらいなぁと。
「さぁおじさん、
「Sir、小学生……Sir」
「デカちゃんは永遠のょぅι゛ょです! ふくしょう!」
「Sir、君は永遠の幼女だ……Sir」
「デカちゃんが着てるスク水と恥丘の間に、挟まれて死にたい! ふくしょーっ!」
「Sir、君が着てるスk……って何を言わせるんだッ! こらぁーッ!!」
「ちっ! まだレイセーみたいね……。
さすがはベトナムのえーゆー」
デカちゃんが悔しそうに、でもどこか楽し気に「くっく」と笑う。
きっとこの状況を、心から楽しんでいるのだろう。とっても悪い顔だ。
「とにかく、言葉をツツシミたまえ。
きみは今、メスガキ王の前にいるのダ」ババーン
「断るッ! 俺は大人だ! 子供さんには屈しないッ!
君を愛し、わからせるッ!! どれほど強いメスガキだとしてもッ!」
「ふはは、片腹いたいわ。
ドーテーのぶんざいで、メスガキに勝てるとでも? みのほど知らずめぇ~♥」
アイアム ザ マン! とばかりにランボーが吠える。
対してデカちゃんは、未だ涼しい顔。まったく彼を問題としていないのが窺える。余裕綽綽。
「よろしー。そろそろマジメに相手をしてあげましょー♥
あんまりやりすぎて、おじさんに嫌われちゃうのもヤだし……(ぼそっ)」
「……?」
シャムを膝から降ろし、「さぁおいき」と優しく逃がしてやる。
そしてデカちゃんが、ついに椅子から腰を上げ、ゆっくりと歩を進めて、彼のすぐ目の前に立った。
「じゃあおじさん、
「……ッ!」
宣言。静かな声で高らかに告げる。
ランボーは身を硬くし、いつでも動けるように腰を落として構える。
だが……。
「――――ほいっ!」
「ッッ!!??!!」
消えた。彼女が。
じっと見ていたハズなのに、いつのまにかデカちゃんが眼前から居なくなる。
一瞬その姿が霧のようにブレたかと思えば、次の瞬間には完全にその場から消失していた。
「ダメじゃない、しっかり避けないとぉ~。
あーあ。アナタ獲られたわよ? おじさん♪」
拳を突き出したポーズのまま、ランボーの真後ろに立っている。
シュン! と瞬きする間に高速移動し、通り抜け様に彼を攻撃(?)したのだ。
「――――メスガキッ、りゅーせい拳ッッ!!!!!!」
「 ぬぅあぁぁぁーーーーッッッ!!!! 」バリバリバリ~!
遅れて衝撃が来る。
ランボーの身体を、とてつもない“快感”が襲う! 主に股間の辺りに。
「あ゛っ……あわわ! あわわわ……!(膝ガックガク)」
「あらら。たったの一回で、そのザマぁ?
オトナのくせに、だらしないんだぁー♥」
ズボンを脱がせる → なんやかんやする → またズボンを穿かせる。
その三挙動を、彼女は
もちろん、ランボーに認識出来ていない事を、事細かに描写するなど不可能。
彼が何をされたのか? 一体どんなえっちぃ目に合ったのかを説明する事など、出来はしないのだ!
「ふふっ、ごちそー様おじさん♥ けぷっ♪」
なにやら意味深なゲップと共に、デカちゃんが振り返る。可愛らしくペロッと舌なめずりをして。
その幼女らしからぬ妖艶な表情は、まさにサキュバス!! 男の性を搾り取る淫魔そのもの!!
……いや、これはあくまで“表情”に関しての事であり、彼が何をされたのかなど、皆目見当が付かないのであるが!!(重要)
「なッ……なんだ今のは! まったく見えなかったぞッ!
いったい俺は、どうなってッ……!」
「決まってるでしょう?
キョーダイなメスガ気は、時空さえも歪ませる――――エロはマッハを越えるの♥」
人差し指と親指でつくった輪っかを、口元でシュッシュと前後させる。
その淫靡なジェスチャーが何を意味するのかは、純朴で童貞な彼には、知る由もない事。
すなわち、ここで説明することは出来ないのだ。ご理解下さい。
「ということでぇー、もういっちょいっとくぅ?
アタシおじさんの、もっとのみたいなー♥ いっぱいほしーなー♥♥♥」
「ぬぅッ……! く、来るかッ!!」
「ムダよ、ざこちんぽ――――
ぱん! ぱん! ぱん! すぱぱぱぱーーーん!!
突然ランボーの視界が暗転し、妙な打撃音と共に、沢山の閃光が煌めく!!
次に気が付いた時には、彼は「ぐったり!」と床に倒れ伏しており……、その場で背を向けて仁王立ちしている、デカちゃんの姿だけがあった。
ちなみに、その背中には“幼”という大きな文字が \ババーン!/ と浮かんでいる。有り体に言えば豪鬼みたいな感じで。
「われは、エロカワをきわめし者ナリ。
キサマのような、よわよわざこちんぽには、ザンゾーすらとらえる事もできマイ」
「お゛ッ……おっぐぉ……!!(痙攣)」
ごっくん♥ と意味ありげに喉を鳴らしてから、デカちゃんがハンカチを取り出して、上品に口元を拭う。なんか“粘り気のある液体”でも飲んだかのように。
その表情は「うっとり♪」という感じで、すごく満足気な様子。ほんのり頬も赤らめている。
「ほらほら、そんなトコに寝っ転がってるとキケンよ?
アタシにしてほしーって、言ってるようなものだわ。
もうっ☆ おじさんったらマゾちんぽぉー♥ ほしがり屋さーん♥」
「待て、話し合おう。
こんな戦いに意味は無いハズだ(賢者の如き表情)」
足腰は立たないが、何故か妙に冷静な「キリッ!」とした顔で、ランボーは停戦を提案。いったい彼の身に、何があったのだろう?!
「えー! 自分だけまんぞくして終わりぃ―? オンナノコにさせといてぇー。
アタシそーゆーの、ゆるせないタチです♪
悪いおじさんには、オシオキしなきゃねー♥」
――――メスガキ・しょうりゅうは!(意味深)
――――メスガキ・えくすきゅーしょん!(意味深)
――――メスガキ・らいとにんぐぼると!(意味深)
デカちゃんの姿が残像でブレる。その度にランボーが「ぎょえー!」と宙を舞い、次第に生気のない顔色になっていく。だんだんゾンビみたくカラカラに。
対してデカちゃんは「いっぱいもらっちゃった♪」って感じで、幸せそうにお腹をさする。
いま彼女のポンポンは、あたかも1.5リットルのコーラでも飲んだかように、心なしか〈ぽっこり♪〉していた。いったい何を飲んだのだろうか!? 謎だ!
「どう? ゴタンノーいただけたかしら♥
ねんがんの、ょぅι゛ょとのナンヤカンヤは――――
まぁ貴方には、ニンシキ出来なかったでしょーけど。きもちよかった?」ニコッ
あー、手とアゴが疲れたわぁー。
そんな意味深な言葉を呟きながら。デカちゃんは「ふーやれやれ」と背を向ける。
そして、そのまま階段の方へ向かって行った。
「まッ……待て! どこへ行くエイドリアン……!」
「あら、まだ意識があるのねぇ♥
さすがはおじさん、と言いたいトコだけどぉー」
立ち止まり、つまならさそうな顔で、こちらへ振り返る。
「もういーでしょ?
気がすんだら、さっさとこの町から出てって――――」
睨み付け、吐き捨てるような声で、ハッキリと告げた。
「ここは、ちっちゃな女の子の楽園……。
このセカイに、あなたは不要なの――――消えなさいイレギュラー」
ここはロリコンざこシャーマン共が、ょぅι゛ょを愛でる為に作った水槽。
奴ら以外は、
クソッタレな児童性愛者どもが、自らの欲望を満たすために作り上げた、忌まわしき呪いの世界なのに。
ロリコンでもペドフィリアでも無く、
しかもハリウッドスターめいたハンサムで、心身ともに屈強な戦士だなんて……、それなんてチートなの? こんなドブみたいな
小さい子供や、弱い者達を相手に、無双でもしたかった? 自尊心を満たしたかったの?
そう彼女は、ペッと唾を吐く。
汚い物を見るような目で、未だ倒れ伏している彼を、侮蔑した。
「メーワクなのよぉ、おじさーん……。
めぐまれてるクセに。ちゃんと生きてるクセに。……アタシ達をバカにしてるぅ?
PTSDだか、何だか知らないけども、あんた外のセカイのニンゲンでしょ?」
「何こんなトコ来てんのよ。
逃げ込んでんじゃないわよ。――――きもちわるい」
腰に手を当て、じぃーっと彼を見下ろす。
それは叱咤でも、アドバイスでもない。感情のこもらない冷たい目で。
自分にとって何の価値も無い、下らない物を見る時のように。
「ざぁこ♥ ざぁこ♥ ざこちんぽ♥
負け犬ちんぽの、ゴミちんぽ♥」
「小学生に負ける♥ 子供にバカにされる♥ なにも言い返せない♥
コミュ障♥ こどおじ♥ 陰キャ♥
やさしーんじゃなくて、主体性ないだけ♥」
「女の子にモテない♥ 人の目を見れない♥ なに喋っていいか分からない♥
ケータイ持つ意味ない♥ 誰からも連絡来ない♥ 自分からもかけない♥」
「そんなアンタが、何しに来たの♥ ねぇねぇ何しに来たの♥♥♥
相手が子供なら、好きにできると思ったんだぁー♥ ダッサー♥
――――帰れ、ざこちんぽ。ひとりでシコってろ」
……
…………
……………………
デカちゃんが、歩き去っていく。
もう振り返ることも無い。ただ一人で、階段を上っていく。
その場に呆け、床にふさぎ込んでいる、情けない男を残して。
◆ ◆ ◆
もう……死にたい……。
そう
「あんな優しい人に……、あんなあったかい人に……、なんて事をっ……!」
ボロボロと涙が零れる。
まるで蛇口が壊れてしまったみたいに、止めどなく流れ続ける。
声を殺しながら、圧し潰されそうな悲しみに抗うようにして、ブンブン頭を振る。
「でも
アタシはメスガキなのよ、おじさん……。ゴメンしてちょーだいっ!」
何そのこだわり――――何その無駄な矜持。
きっと誰かが見ていたら、そう言っているに違いなかった。
素直にチュッチュしたらいーじゃん。アホかと。
「そりゃちんぽしたいわよ! ギュってしてほしいわよ! 決まってるじゃんっ!
でもしかたないのっ……!
これメスガキを、わからせるヤツだから! こーゆうモンなのよぉーっ!!(涙)」
人類史上、稀に見る大号泣をしながら、デカちゃんは「ちきしょう! ちきしょう!」とポカポカ床を叩く。
相思相愛なのに! 障害なんて無いのに! なぜアタシ達は引き裂かれとんのか! そう悔しがっているのが見て取れた。「とんだロミオとジュリエットだわ!」と。
この町の管理者であり、しっかり者で通っている彼女ではあるが、意外とおバカな所があるのかもしれない。
メスガキとしての義務とか、責任とか、一般的なイメージとかが、デカちゃんを苛むのだった。
ほんとはめっちゃ、ラブラブえっちしたいのに! ドユコトー!?
「……もしこれでフラれたら、
1000人のロリコンざこシャーマンなんか、メじゃないくらいの怨念で、セカイ包むから。
ご神体と崇められし、ょぅι゛ょの巫女の力みせたるっ!
しょうがくせーの本気みせたるっ! みんな死んじゃぇぇぇえええっ!!!!」ゴゴゴゴ…
それもこれも、みんなロリコンが悪い(迫真)
まったく、ロリコンはどーしようもねぇな!! HAHAHA☆
そんな(微妙に分からないでもない)責任転嫁をしながら、デカちゃんが天井を睨む。
その先にいる神様を見据えながら。
許さんぞ人間ども! 特にロリコンどもめ!!
隕石おちてこい! おおきめのヤツこい! ここに落としてよぉっ!(cv丹〇桜)
「……はっ!?」
可愛い声で喚き散らしていると、ふいに後ろの方から物音が。
誰かが階段を上ってくる、力強い足音が聞こえた。
慌てて彼女は、ぐしぐしと目元をぬぐい、チーンと鼻をかむ。
そして瞬時に平静を取り繕い、ぐっと両足に力を入れて立つ。
メスガキたる矜持を、ちいさな胸に宿して。
「あ、あーらおじさん♥ まだやられ足りないのぉー?」
やがて、ゆっくりとした足取りでこの場に表れた男に向かい、彼女は軽薄な口調を意識して声を掛ける。
まさにメスガキといった風な、愛らしくも「イラッ☆」としてしまうような、大人を馬鹿にした声色。
「空気よめないねー♥ ちょーコミュ障♥
あんなにゆったのに、ここまで来るなんてぇー♪
そのおバカさに、ちょっとカンドーしちゃったぁ♥♥♥」
嘘つけ。内心はもうお祭り騒ぎのクセに。
アタシ捨てられなかった! ちゃんと来てくれた! そうデカちゃんはメッチャ感謝していた。
おじさん愛してる、もう何されても良い、悔い無しッ! って感じだ。
「じゃーまた、してあげるから、自分でズボンぬいでよぉー? おねだりしてぇー♥
ちっちゃい女の子の前で、なさけなーく、ざこちんぽを出s
「――――今度それを言ったら、
ギラッ! ……そんな音が聞こえてこんばかりに、ランボーが手にした大型ナイフを、彼女に見せつける。
デカちゃんは思わず絶句。アンドどん引きする。
「次に、君が汚い言葉を口にした時が、最後だ。
ざこだのちんぽだの、言ってみろ。この場で死んでやるぞ」
「 ウソでしょおじさんっ!? そんな思いつめてたのっ??!! 」
こんな情けない事を言っているのに、その目は燃えるような炎を宿している。
まるで地球に迫る巨大隕石を粉砕する時のような、勇者の証とされる聖剣を抜く時のような、得も知れぬ固い覚悟が見て取れるのだ。
ぶっちゃけ、アホかと一蹴したい。
子供相手に何をしとんねんと、笑ってやりたい。
でも今これをしているのが、
アカン、こいつはやる――――本当に喉をブッ刺す気だ。
小学生に、口喧嘩で負けた。
ただそれだけで、こいつは死ぬ気でいるのだ!! ……なさけなッ!!??
「あ……あのねおじさん? それすごーく困るわ……?
いくら、何を言っていいのか分からないからって、そんなことしなくてもさ……♥」
「ッ!!(鋼の意思)」
「というか、ヒキョーよおじさんっ!
たとえジョーダンでも、そんな事しちゃダメ!
ヤンデレの人じゃないんだから、『ゆー事きいてくれないなら死ぬ!』とか、そーゆうの良くないと思うのぉー!」
擬音をあてるとしたら、「あせあせ!」
もうデカちゃんは、額にたくさん汗を浮かべながら、必死にネゴシエーション。
こんな事になるだなんて、正直思って無かったで御座る!! みたいな感じだ。
「――――構わんだろ。子供を導けもしない、つまらん大人だ。
そんなヤツに、価値があるとは思えない」
「~~っっ!!??」
「俺は、君を攻撃できん。君のおしりを叩くようなまねも……。
ならば、
俺は兵士だ。信念を証明する方法を、他に知らん」キッパリ
――――カッコいい事を言っているようで、ぜんぜんカッコ良くなーい!!!!
イカレてるよこのおじさん! まぁ知ってたけどね! ナットク☆
デカちゃんは打ちひしがれる。
もしかしてこのおじさんって、メスガキとの相性サイアク? 冗談や軽口を、まともに受け止めちゃうタイプだ! という事に気付く。
「なっ、なな何ゆってんのよぉ! このざこちn……
「すちゃっ!」(無言でナイフを当てる)
「――――今のナシ! ナシですおじさんっ! うそうそうそ!!!!」
ランボーの首筋から、タラァ~っと一筋の血が流れる。
もし後コンマ5秒でも、言うのが遅ければ、彼は間違いなく自害していた。それがハッキリと分かる。
「さぁー、ナイフを置こうねぇー♥ あぶないからナイナイしようねー♥
よーしよしっ! いい子ですねぇ~♪ カワイイですねぇ~♪♪♪」
「……」
ムツゴロウさんみたく猫可愛がりしながら、なんとかナイフを取り上げる事に成功。
デカちゃんは「おらぁっ!!」とばかりにナイフをブン投げ、それはキラーン☆ と空の彼方へ消えていく。これで一安心なり。
というか、意外とすんなりいった。ちょっとは抵抗されるかと思ったのに。
こんな状況であっても、彼のデカちゃんに対する“クソでか信頼”が、そうさせたのだろう。
情けは人の為ならず。こういう時に、ちゃんと返ってくる物なのだ。今まで尽くしてきて良かった。
「ごめん……、もうメスガキとか何とか、そーゆーの言ってらんない。
アタシ
おじさんの命かかっちゃったもん」
「じぃ~っ!(窺うような目)」
「ほんとデス! もう変なこと言いまセン! いい子になりマス!
アタシ達、トモダーチ♥
……わからせとか、もう知らないよっ! おじさん生キテ!(迫真)」
床に大の字で寝転がり、「勝手にせぃ!」
デカちゃんは全身で降伏の意思を表す。もうなりふり構わず。
「いや、でも君をわからせる、という約束が……。
もう君を裏切れないので、任務を続行したいと思うのだが」
「――――マジメかっ!! 悪い意味でピュアかっ!!
もういーから、だまって頷いててヨ! おねがいだからっ!」
ややこしい! この人めんどくさい!!
素直なのは素敵だし、心底好ましいとも思うけど、超めんどくさい!!
「もーきたない言葉は、使いませぇーん!
なんだったら、言葉づかいも直しまぁーす!
図書館で、てーねー語を勉強しまーす!」
「だがそれは“君の努力”であって、俺が何かをしたというワケでは……。
やはり俺が責任を以って、何かしらの事をしてやるべきなのでは」
「じゃあ図書館までクルマで送ってくれるとか、帰りにジュース買ってくれるとか、ねぎらってくれたらいーよ! がんばったなーって、頭なでなでしてよ!」
「しかし……、やはり俺も、何か代償を払うべきだ。君に努力を強いているのだから。
「じゃあ組み伏せよう! オトナの怖さをおしえてっ! トウショの予定どーり♥
今すぐアタシに、ナンヤカンヤしよーよ! メスガキのほんかいを遂げさせてっ!!!!」
「
兵士なのに、何を言ってると思われるかもしれんが、出来んものは出来ん。
グリーン・ベレーの童貞仲間たちも、決して許さないだろう」
「 もぉぉぉおおおおっっ!!!! 」
きっと、誠意が悪い方に出ちゃうタイプなのだろう。
せっかく相手が折れてくれたというのに、「ホントにいいのかな~?」と変に気遣い、いつまでも話を蒸し返そうとしてくる。
これまでの戦いで、わざと彼をからかい、馬鹿にして、怒らせようとしたのに。
優しい彼でも、ちゃんと心を鬼に出来るように。“わからせやすく”してあげたのに……それは全くの無駄であったらしい。
彼の変な誠実さや、その天然さにより、見事に変な方に向いてしまっていた。
おじさんを傷つけたくなかった。
その優しさの裏返しとも言える弱さや、これまで頑張って来た証明であるトラウマを抉るような真似は、決してしたくはなかった。
でも心を殺してまで、メスガキの役目とばかりに
もう不毛な争いは、まっぴらだ。
アタシだって、おじさんと仲良くしたいもん。こちとら恋する乙女なのよ。
そうデカちゃんは、ため息をつく。これは諦めの嘆息であり、放棄する悔しさを受け入れるための所作だった。彼の命の方が大事。
「――――おじさん、ニンムは終わりよ! もうオシマイなのっ!!」
「ッ!?」
高らかに、宣言。
さぁ
「貴官はよくやったっ! みごとにこの町で戦い抜き、ニンムをはたしたのだっ!」
「えっ!?」
「君は子供たちを守るべく、また大人としてみちびくべく、ゆーかんに戦った!
もういい! もうおわりだジョン・ランボーくん! ニンムはおわったのだっ!!」キリッ
「ッッ!!??」
なんかランボーが「そんな馬鹿なッ!?」みたく信じられないような顔をしている。まだ俺、何もしてないのにと。
しかし彼女は、毅然とした声でキッパリ告げる。その見当違いのやる気をひっこめろと。
「おじさん、外を見てみなさい。……外を見るのっ! ほらっ!!」
先だって窓の前に行き、ランボーを促す。
暫くして、戸惑いながら追従した彼が目にしたのは、ここメスガキ署の最上階から見える、素晴らしい景色。そして眼下で声援を上げている、沢山の愛らしい少女たちの姿だった。
「今あそこにいるのは、町中のメスガキ。
貴方と接し、その真心に触れて、ちゃんといい子になった小学生たちよ」
「きっと、帰ったらあの子達に、囲まれるでしょう。
おじさんありがとう、おじさん大好きと、いっぱいほめてもらえるわ」
「貴方の戦いは、こんなにもたくさんの笑顔を生み出した。
町のみんなに、希望と幸せをもたらした。それが今回の成果よ」
彼女の言葉に、耳を傾ける。
だがランボーは未だにソワソワしており、「なんかしなくては! 役に立たなくては!」と思っている事が、もうアリアリと窺える。
それはワーカーホリックなのか、愛情こじらせた承認欲求なのか。
「なに意味もなく歩き回ってるのっ! ウロチョロしないっ! クマかあんたは!
もうおしまいなのよ、おじさんっ!
トドメを刺すかのように、今日一番大きな声で言う。
けれど……彼はそれを受け入れず、なんと彼女に言い返して見せたのだ。
「 何も終わっちゃいないッ!! 何もッ!!
俺にとっての戦いは、今も続いているッ!!!! 」
子供に声を荒げるなど、彼らしくもない。きっとランボー自身も、こんな事したくは無いだろう。
でもこれは、感情の迸り。
寡黙で、滅多に胸の内を明かさない彼の、想いの排泄行為だった。
これはとても大切なことだと感じ、デカちゃんはじっと息を呑む。
「まだじゃないか!!
この町に来る前と、なんにも変わっちゃいない! ずっと童貞のままだッ!!」
でもしょーもなかった――――大事そうに見えて、ぜんぜん大したこと無いシーンだった。
真面目に聞こうとしていたデカちゃんの顔が、( ゚д゚)ポカーン みたくなる。
「君にわからせろと言われ! 抱こうと頑張ってはみたが! 結局出来なかったッ!!
確かに暴力は嫌だと、我が儘を言ったかもしれないが、これで終わりというのはあんまりだ!! 立つ瀬が無いじゃないかッ!
この消化不良をどうしたらいい!? やりきれない男心を、どうすれば良いんだッ!!
先の勘違いを含めれば、これで
「ここから出たら、どんな顔をしてあの子たちに会えばいいッ!?
きっとキラキラした顔で訊かれるッ! おめでとう、童貞をやめたんだな、ついにセックスしたんだなと、俺を誇りに思ってくれる事だろう!
でも俺は童貞のままだッ!! 一体なんて言い訳すればいいッ!?」
「でもみんなに、俺を責める資格があるのかッ?!
みんな可愛くて、将来きっとすごい美人になるッ! 性格も良く、まるでこの世界に愛されてるかのような、素晴らしい子たちばかりだ!*3
……だが俺は人見知りで、上手く人と喋れないクソ野郎だッ!!!!
彼女なんか出来るものかッ! 童貞でも仕方ないじゃないかッ!! 孤独に生きてきたよッ!!」
烈火のように燃え立つ、彼の憤怒。
別に誰に怒ってるワケでもないのだが、とにかく聞いて欲しかった。
人間そーゆー時もあるのだ。許してあげて欲しい。
「お、おじさん……みんなそーだよ。
誰だって人付き合いには、くろーしてる。
アタシもおーえんするし、勇気をだして、これからがんばっていけば……」
「――――ありがとうエイドリアンッ!! 君は俺にとっての光だッ!!!!(迫真)
なんで君は、そんなに優しいんだッ!? 俺みたいな男にッ!!
いつも感謝してるぞッ!!」
情緒不安定か――――もう怒ってるんだか、喜んでるんだか。
いったい自分が何を言いたいのか、もう本人にもよく分かって無いんだろう。
とりあえず、彼がデカちゃん大好きなことは分かる。
そして話は延々と続いていく。
「ガキの頃は、よく近所のおばちゃん達が『ジョン君は男前ねぇ~、モテるでしょ~?』と褒めてくれた! 俺はいつも、そんな事ないですよーと返したッ!」
「でも本当にモテない俺が、何故そんな謙遜しなくちゃならないんだッ!!(迫真)
いつも疑問だったッ! 正直メッチャつらかったんだッ!!
アイツら、わざと言ってるんじゃないか? 俺を傷つける為にやってるのか?
そんな風に、おばちゃん達を疑ってしまう自分が、情けなくてたまらんかったッ!!!!」
「バレンタインデーが怖かったッ! その日がやって来るのを、いつも恐れてたッ!!
放課後は学校に居残り、ワンチャン無いかを確かめたッ!
俺は部活もやっていないのにッ!! なんにも用事なんか無いのにッ!!
でも日が暮れるまで待っても、イベントは起きないんだぁぁぁあああッッ!!!!」
――――ボケカァァーース!! と置いてあったクッションを、ボコーンと壁に投げつける。
女の子(デカちゃん)を怖がらせたくないのか、声の割にはあんまり力をこめずにセーブしてた所が、さらに哀愁を誘う。
こんな時であっても、彼は優しい人だ。
「結婚するまでは、そういう事をしたくない、……と言い張った!
もちろん言うまでも無く、エロい事に興味深々だったが、素知らぬ顔を装ったッ!!
ハタチくらいの頃は、それでも通ったッ!
むしろ『この人は誠実なのね』って、かえって周りの評判が、妙に上がったりしてたッ!!」
「でも24になった頃には、『こいつには何かしらの問題があるに違いない』って、そう疑われるようになった! どんどん周りの目が、辛くなっていった!!
人見知りコミュ障のくせに、無駄にハンサムな顔してるのが、逆に俺の首を絞めたんだッ!!
神よッ! アンタは残酷だぞ!? かえって俺の駄目さが目立ったんだッ!!!!」
痛い痛い痛い。もう聴いててツライ。
デカちゃんは大丈夫だったが、こういうのを町の子たちには聞かせないで欲しいと思う。夢も希望も無くなってしまう。
ほんとアタシで良かったなーと、彼女は変な安心をした。
「変なヤツばっかりが寄ってくるッ!
メンヘラとか、ストーカーとか、ホモとか、ドSの風俗嬢とか、軽く浮気してみたい願望のアホ女とか、中二病患者やリストカッターの子達ばかりが、俺にすり寄ってくるッ!!
こいつも自分と同類だって、きっとそんな雰囲気が出てたんだろうと思う! 仲間だと思われてるんだッ!!!!」
「俺が気弱で、頼みごとをされたら断れないモンだから、ヤツラにとっては非常に都合が良く、いつも好き勝手なことを言いやがるんだッ!
こいつなら自由にできる、お手頃だと、なんか軽く見られているッ!
食い物にしてやろうって、そう思ってやがるのを、もうヒシヒシと感じるんだッ!!
あんた童貞なんでしょ? いーじゃんって!!!!」
「俺は『出来るだけ人に優しくしよう』と心がけている、そんな人間なだけであって、別にドMでも聖人でもないッ! 変人を救済する、善意のボランティアでもないッ!!
何をしても許され、何を言っても傷つかないワケじゃないんだッ!! むしろナイーブな方だッ!!」
「俺はッ……! 俺はッ!! 俺はぁぁぁあああッッ!!
――――お前たち変人共の受け皿ではないぞッッ!! お蔭で軽い人間不信だッ!!
すり寄って来るなぁぁぁッ!! この変態どもがぁぁぁあああーーッッ!!!!(迫真)」
なんか知らないけど、辛かったんだねおじさん――――
寡黙な人には、寡黙な人なりの苦労があるのだと、彼女は変な所で学習する。
やっぱ多少は自己主張とか意思表示しとかないと、悪い人ばかりが寄ってくるんだな~と。
いくら屈強な肉体を持っていようとも、コミュニケーション弱者は容赦なく食い物にされる。世知辛い世の中なのだ。
「みっ……惨め過ぎるッッ……!! なんでこんな事にッッ……!!
いつか結婚出来ると思ってたッ! 25くらいになったら、エスカレーターに乗るみたいに、普通に結婚出来るもんだと思ってたのにッ!!」
「みんなどこへ行った……? 夢を語り合った童貞仲間たちは、どこへ行ったんだ……!?
俺を残して消えるな……! 傍にいてくれ! もう32だぞ俺はッ!
一体こっからどう巻き返せば良い……? 教えてくれみんなッ……!!」
「空軍にも、仲間がいた……。そいつはなんと、女だった。
確かに人見知りだが、俺にもちゃんと、ガールフレンドがいたんだエイドリアン……!
女性に搾取されるばかりではない! 本当なんだ……!!」
「女なのに格闘技が好きなヤツで、屈強だった。
妙にウマが合って、よく二人で馬鹿話をしたんだ。
国に帰ったら、一緒にボクシングを観に行こう。
いつまでも筋トレを欠かさず、お互い体脂肪率13%を維持しようって、そう約束をしてたんだ……!」
「でもソイツ……いつの間にか
お互い人見知りっていう、よく分からん友情は、俺ひとりだけが感じてたのかもしれん……!!
恋人が出来た途端、見違えるようにフランクな性格になってたッ! 筋トレも辞めてたッ!!」
「そいつの結婚式に行った……。出産祝いにも行ったッ……。
旦那さんも元軍人だったので、俺にしては珍しく、すんなり仲良くなれた。
その家族と一緒に、何故か俺も遊園地に出掛けた。
なんだか知らないが、いつも『一緒に行こう』と誘ってくれるからなッ! 俺には断る理由が無かったッ……! 無碍には断れないッ……!」
「独り身の俺は、そいつ等からまるでお情けのように、幸せのおすそ分けをもらったッ……!
子供さんも、よく俺に懐いてくれたよ! おもしろいオッサンだな~と!
こう見えて俺は、結構ひょうきん者だッ!! 楽しい所もあるヤツなんだッ!! 子供好きなんだッ!!」
「ちっちゃい頃は良かった……! 掛け値なしに可愛かったッ! もう天使かと思ったよッ!! 遊んでやるのが楽しかったッ……!
でもその坊主が5才となり、6才になり、だんだん賢くなってくると、『なんでおじちゃんは結婚してないの?』と、ものすごーく純粋な目で、俺に問いかけて来るようになったッ!!」
「無邪気な顔で、言葉のナイフをぶっ刺してきやがるッ!!
天使かと思ってたのに、悪魔だったのか君はッ!? 俺を騙していたのかケビンッ!!!!」
「……どう答えれば良いのか、俺には分からなかったッ!
さぁなんでだろうなーと、表面上は取り繕っていたが、あの子の『キョトン?』とした目が辛かったッ!! もうこの世から消えてしまいたかったッ!!」
「意味も無く『すまん』と謝りそうになったッ!! 相手は6歳の子供なのにッッ!!
俺なんにも悪いことしていないのに! 何故こんな目に合わなくちゃいけないんだぁぁーッッ!!!!」
……
…………
………………
彼がエグエグしている。
大人なのに「おーいおい!」と泣いてる。
「こんな事が、この先も続く。
これからの人生で、ずっと俺を苛むんだ……!
独り身の変わり者だとッ……!」
「振り払えない……決して。なぜなら俺は童貞だからッ……! 30越えてるのに……!
人と関わることをせず、何か大切なものを軽んじて生きてきた、俺への報いなんだッ……!!」
それを物言わず、ただずっと見つめていた彼女が、おもむろに歩き出した。
情けなく床にへたり込み、膝を抱えて泣いている、彼の傍へと。
「うっ……ううッ……!!
助けてくれエイドリアン……。俺はッ……俺はどうすれば良いんだ……?」
「どうすれば、人に愛されるようになる……? 上手く接することが出来る……?
君たち子供と、胸を張って話せるようになるんだ――――」
縋るように、手を伸ばした。
彼女はそれをギュッと掴み、そのまま自分の方へと優しく引き寄せる。
大人なのに、子供なのに、男なのに女なのに。……そんな事はもう関係無い。
デカちゃんは聖母のような所作で、そっとランボーを抱きしめてやった。
「ねぇおじさん、知ってる?
ドーテーの人は、けしてメスガキには勝てないって……」
ふと、彼女が口を開く。
今日の戦いで見せたような嘲りでなく、とても優しい声で。
「これはもう、ルールなの。そーゆー決まりになってる。
アタシがグーなら、おじさんはチョキ。
あなたの中で、何かが変わりでもしない限り……、ケッカは分かりきってたの」
打ちひしがれ、自身のお腹に顔を埋めて泣くランボー。
デカちゃんは彼の頭をよしよしと撫でる。頑張ったこの人を、慈しむように。
「……でもね? そんなのより、もーっと強いルールが、この世界にはある。
“惚れた方の負け”って――――」
「思えば、貴方のおっきな背中を見た時から……。
アタシはとっくに、
メスガキじゃなくなった子が、あなたに敵うワケないわ」
思えば、彼女のこれまでの行動や言動は、どこかメスガキらしく無かった。
ランボーをこけ下ろす事もせず、いつも好意的に接し、敵対しつつも彼を支えて、気遣っていた。
今日の戦いでも、無理をして自分を奮い立たせ、メスガキというキャラを演じていたに過ぎない。彼が良心を痛めることなく、自分をわからせる事が出来るようにと、あえて悪い子になっていたのだ。
とっくに彼女は、メスガキでは無くなっていた――――
あの最初に出会った日に、恋に落ちていたんだから。
「だから、おじさんの勝ちなの。
ここに来たジテンで、ニンムはかんりょーしてたのよ」
「わからせる必要なんて、ない。
だってアタシは、もう心をうばわれてるの」
「むかえに来てくれて、ありがとう。
ずっとまってたよ――――アタシのおうじさま♥」
◆ ◆ ◆
「……と油断させておいてぇ、メスガキスパーーク!!!!!!!!」
「ゲェーーーッッ!!!!」
某キン肉星の王子とまったく同形の技が、ランボーに炸裂した。
「な゛っ……何故だエイドリアン。なぜ攻撃する……?(膝ガックガク)」
「ふははは、思い知るがいい♥
ょぅι゛ょの力は、まさに世界を支配するとゆーことを!」
ワケの分からん事を言いつつ、赤い髪をファサッとかき上げる。
「ごめんね、おじさん。
なんかアタシ、色々どーでもよくなっちゃって♪
とりあえずいっかい、空気こわしとこっかなって♥」
コキコキと首を鳴らしながら、拳もボキボキ鳴らす。
おおお……みたいな感じで、ヨロヨロと立ち上がるランボーを、じっとその場で待ちながら。
「メスガキとか、わからせとか、ゴチャゴチャしてるけどさ?
とりあえずおじさん、
かの有名な「うっさい! おっぱい揉んどけや!」ならぬ、「うっさい! ちんぽしとけや!」である。
「もうフツーにえっちしたらよくない? ムズカシーことはおいといてさ?
アタシねんがん叶ってハッピー♥ おじさんドーテー捨てられて幸せ♥
ほら、いい感じでしょ? もうしよーよおじさん♪ ちょーだい(はぁと)」
「ッッ!!??」
ヴァン〇レイ・シ〇バみたく手首をグニャグニャしつつ、彼女が「ちんぽしよ♪」と誘う。
そのあっけらかんとした、どこか姉貴肌な姿に、ランボーおじさんはポカーン。
「さぁ、エンリョしないで、こっちへ来なさいな、ドーテーさん♥
――――もうメスガキじゃなくなったわ。
ピキリ! と場の空気が凍った。
そのどこか挑発的な言葉に。
「おいでよおじさん……。ブーメランパンツなんか捨てて、かかってこいっ!」
「楽にソーシツしちゃ、つまらんでしょう?(※素人童貞、的な意味で)
ちんぽを突き入れ、アタシとらぶらぶえっちするのが、望みだったんでしょう?
そうじゃないのかぁ。おじさんっ」
「さぁ、息子さんを出せっ! 勃たせてやれっ!
チャンスをフイにしたか無いだろぉ!」
なんかランボーの身体が、プルプル震えてるような気がする。
それは一体、どんな感情からなのか?
いま俯き加減でいる顔からは、窺い知ることは出来ない。
そして、改めてデカちゃんが、「アタシ永遠のょぅι゛ょだからー! 法とかカンケー無いからー!」と再確認。
彼女は3桁才! 彼女は3桁才!(※大切な事なので二回)
「こいよ
「――――野郎・オブ・クラッシャーーッッ!!!!!(君を抱いてやるぞ! 愛している!!)」
◆ ◆ ◆
「あー、やっとるやっとる。これで一安心だなぁ」
「そーねー」
メスガキ署、6階の踊り場。
いまサリー大佐&メスガキポリスたちは、彼らの様子を確認しようと、ここまで上がってきた所だった。
「ドア越しだが、めっちゃ声聞こえるなぁ……。
同志エイドリアンも、ランボー様も、張り切っておると見える」
「まー念願叶って結ばれたワケだし、しょーがないったら」
「すんごい気合入ってるw どんな声量よコレw オペラかww」
「たぶんこれ、そとまでひびーてるね♡ とってもしあわせそう♡」
「ちなみに6階には、計46にもおよぶ隠しカメラを設置しておいた。
所謂、『こんな事もあろうかと!』というヤツ。後でみんなで共有」
今も向こうからは、まるで戦争でもやっているような物音と、二人が喚き散らす熊みたいな大声が、延々としてきている。
それを小学生の女の子達が、少し開いたドアの隙間から「じぃ~!」っと覗いている~、という構図だ。
「とりあえずは、これでめでたしめでたし、って感じだけど……。
でも色々難しいんでしょ? この町の事情って」
「案ずるな、同志ブルーよ。
その為の
ふふんと得意げに笑い、大佐ちゃんがブルーに流し目を送る。
この子の瞳には、もう未来が見えているのだ。みんなの幸せな明日が。
「おうじさまと結ばれた人魚姫は、
そうでなくては、おかしいんだ。必ず成して見せるさ――――」
その頃、相も変わらずランボーとデカちゃんは、どったんばったん大騒ぎであった。
「おっしゃー! アタシのど真ん中みたるわぁーっ!
こいおらーっ! メスガキなめとったら、いてまうどコラーっ!」
「――エイドリアーーン!! エイドリアーーン!!(意味深)」
「なんじゃあーっ! その犬みたいなヘッピリ腰はぁーっ!?
アタシがちっちゃいからって、テカゲンしとったら、ショーチせんどぉーっ!!
もっとこんかわりゃー!! このざこちんぽコリャー! C'moooooooon!!」
【野郎・オブ・クラッシャー】と【童貞喪失】って、言葉のニュアンスが近い気がする(確信)
映画本編のエピソードは、これにて終了です。
次回、エピローグ。