ランボー / 怒りのメスガキわからせ 作:エロスはせがわ
――――ちんぽは本当にあったんだ!
そうラピュタでも見つけたみたいに、メスガキ署のみんなが喜んだ一幕から、その後……。
「ちょっとおじさぁーん! うちのボス怒らせんの、やめてよねぇ~っ!
普段はやさしーけど、怒るとチョー怖いんだからぁ~っ!」
「……」
ここの所員であるメスガキポリスの4人に連れられ、ランボーは応接室にやって来た。
今はきゃっきゃと姦しい彼女達に囲まれながら、ソファーに座っている所である。
緊張でカチコチになりながらも、リーダーらしく率先して動く、メスガキブルー。
ランボーの腕に抱き着き、今も無垢な表情を見せている、メスガキブラック。
わたしもぎゅってしたいな……とモジモジこちらを窺う、メスガキピンク。
そして「あたいチビるかと思ったよぉ~!」と彼に苦言を呈している、メスガキイエロー。
そんな個性豊かな女の子達に囲まれ、ランボーは少し困り顔。
未だ子供に対して、どう接して良いのか分からない事や、この場にメスガキ刑事がいない心細さ。それらに加えて、ただでさえ少し人見知りの彼が、女の子にプリプリ叱られている~という状況なのだ。
もう何をどうして良いかわからん! みたいな気持ち。
戦場にでも居る方が、よっぽど気が楽に思えた。
「緊張してる? すごい汗」
「からだ、こわばってるよ?
おじさんは、おきゃくさまなんだし、らくにしてくださいねぇ♡」
「……うむ」
きょとんとした顔のブラックと、ほんわかした笑顔のピンクが、〈ぴとっ♪〉と肩をくっつけてランボーの両隣に座っている。
このソファーはとても大きいのだが、何故が二人ともぜんぜん間隔を空ける事なく、「パーソナルスペースなんて知りませーん☆」とばかりに密着。
それに加えて、今イエローの子までランボーのお膝に座り、「ぎゅーっ♪」とお腹にしがみついているものだから、もう身動きも取れない状態だ。
うさぎが沢山いるケージに、パンを持った手をひょいっと差し入れてみれば、きっとこんな風にもふもふする事だろう。
子供の体温が、すごくあったかい。
(えっ……!? 何でみんな、あんなガンガンいけるの!? 恥ずかしいとかないの!?)
そんな皆を余所に、ひとり給湯室にいるメスガキブルー。
彼女はティーカップの準備を行いながらも、驚きに目をひん剥いていた。
自分などはもう、男の人を前にしただけで足が震えるというのに、きゃつらは微塵の躊躇もなく、子供の権利を主張せんばかりに「~♥」と甘え倒しているのだ。とても信じられない事に。
(みんな『ほわわ~ん♪』って顔しちゃってるし……。
おじさんにひっつくの、そんな気持ちいいのかな……?)
カチャカチャと作業をしつつも、視線はずっとランボー達の方。
そんな……! あんな大胆に抱き着くだなんてっ……! えっちすぎでしょ!? と驚愕。
(体温を感じるという事は、
男の人とミッチャクなんて、それすなわち、せっくすでしょうがっ!!)カッ!
(あの子たちは! 今まさに! せっくすしているのよっ!!
ああなんてこと……!? あんなの入れてるようなモンだわ! ニンシンしちゃうったら!)
何を言うとんねん――――みたいな事だが、彼女は真剣だ。
ツインテの髪をフルフルしながら、口元に手を添えて「はわわわ……!」と慄いている。
おしゃまで、真面目で、リーダー気質の子ではあるが……メスガキブルーはムッツリさんであった。
「ところでぇ~? おじさんはどーやって、この町に来たのぉ~?
流れ者なんてぇ、一回も来たこと無かったのにぃ~♥w」
お膝に座ったまま、のび~っと仰け反ってランボーの顔を見上げる、メスガキイエロー。
彼の大きな身体は、リムジンのシートよりもガッシリと少女を包み込んでおり、とても居心地が良さそう。彼女もご満悦の様子。
「分からん……。
戦友の故郷へ赴いたハズが、知らぬ間にここへ来ていたんだ。
俺にも何がなにやら……」
「そーなのぉ~? ふしぎな事もあんだねぇ~☆
おじさんワープでも、しちゃったんじゃないの~?w」
ルンルンと身体を弾ませたり、身をよじらせてランボーの胸板にスリスリしたり。
両脇にいる女の子二人も、負けじと「ん~!」と身体を密着させる。おじさんは私のだーっ! と主張するみたいに。
別に甘えられるのは構わないのだが、自分は寡黙でつまらない男だし、こんなのにひっついて何が嬉しいんだろうか? と思う。
彼は筋金入りの朴念仁。乙女心など知る由もない。
(せっくすだわ! もうぬっぷぬぷじゃないの!
三人同時だなんて、アラブの大富豪かっ! とんだ
ちなみにブルーちゃんは、まだ一人でドタバタやっている。
もう顔が真っ赤になっており、気が気ではないようだ。
「つーかぁ? こ~んな女の子ばっかの町に来るなんて、おじさんヘンタイだよね♥
ろりこんのヘンシツ者じゃ~ん♪ ウケる☆www」
「ッッ!?!?」
その時、ランボーに稲妻走る――――
これまで心の片隅にありながら、ずっと考えないようにして来た事が、いまハッキリと白日の下に晒されたのだ。
もしかして俺、変に思われてやしないか……? これヤバい状況なんじゃないのか……? と。
「なんかキョドってるしぃ~、みょーに無口だしぃ~、あやしーよね~☆
ホントはちっちゃい子が大好きな、
「えっ。おじさんヘンタイさん……ですか?♡♡♡」
「へんたい?(キョトン)」
「――――ッッ!!!???」
ランボーの喉から「ふ゛お゛っ!(cvささ〇おさお)」の声が出る。本日三回目だ。
イエローはさも楽し気に、ピンクは少し不安げに、ブラックは無垢な瞳でこちらを見ている。
「どーてーのコミュ障♥ しかもろりこんって♥ ウケる☆www」
「おとななのに、ちいさいおんなのこがすき……なの?♡」トゥンク…
「恥ずかしがり屋の、へんたいペドちんぽ。チョウエキ300年♥」
「……ッ!! ……ッッ!?!?」
罵られる。ぎゅ~っと抱き着かれながら。
逃げようにも、マッチョな自分が暴れたりするワケにはいかないし……、コラと怒るなんてことも、出来ようハズがない。
彼はとても口下手で、どんな風にこの子達を諭せば良いのかなんて、見当も付かないのだから。
もうなすがままだ。
「きっとぉ~、ろりこんにしか見えない、ろりこんだけが開けられる扉があるんだよぉ~♥w
それ通って町に来たんでしょお~? 選ばれしロリコンじゃ~ん☆www」
「そんなに、ちいさなおんなのこと、あいたかったの……?
おじさんは、わたしにあえて……うれしい?♡♡♡」
「旅先でぱんつを収集するのが目的。
ょぅじょのシミ付きぱんつを、ペナントのように壁に貼るのが、彼の趣味♥」
「うわキンモー☆ 大人の女に相手されなくて、こんなトコまで来たんだぁ~☆
おじさんハンサムで超イケてるのにぃ~、なんでどーてーなのぉ~♥
ねぇねぇ、なんでなんでぇ~?www」
「あのね? わたしはへんたいさんでも……いいよ♡
ダメなおとなでも、がんばれ♡ がんばれ♡ って♪」
「仏教において、子供との姦淫を行いし者は、
肛門に熱した銅を注がれ、内臓を焼かれる苦しみを、8億年もの間あじわい続ける事となる。
さぁ、ちんぽして♥」
「……」
白目だ。
ランボーの瞳は、絵に描いたように、綺麗にひっくり返っていた。
もう息もしていないのかもしれない。
どれほど「助けてくれー!」と願おうとも、信頼するメスガキ刑事は今仕事中。まだ時間はかかるだろう。ここは戦場とは違うので、空爆砲撃などの支援もない。
けれど、彼の切なる願いが神にでも届いたのか、この場の状況に少し変化が訪れる。
「あんた達ぃーっ! くっちゃべってないで、なに飲むか言いなさいったら!
ほらぁ、おじさんにも何が良いかきいてっ! はやくするぅ!」
給湯室の方から、一人この場から離れているメスガキブルーが一喝。
三人はランボーいじりを止め、それぞれジュースだの何だのと、自分の希望を伝えた。
「す、すまない……。
助かったよ、君の名はたしk
「――――はぁ? 何いきなり話しかけて来てるわけぇ?」
斬ッ! と一刀両断。
藁に縋ってみたら、ブッチィー! といった感じだ。
ブルーちゃんは腰に手をあてて、「つーん!」と顔を背ける。青いツインテがファサッとなびく。
「ちょっとシカイに入れてあげたくらいで、チョーシに乗らないでくれる?
あたしと口をきこうなんて、なにさまのつもりよ。 お じ さ ん っ !!」
「……」
辛辣――――もうお手本のような“ツン”。
ランボーはポカンと口を開いたまま、暫しの間フリーズ。
(や、やっちゃった!? あたしもおじさんとお話したいのに、これじゃ嫌われちゃうったら! どどどっ……どうしよう!?!?)
そうブルーちゃんは内心慌てるが、それを外に出す事なく、言葉を続けていく。
この場を任された、メスガキポリスのリーダーとしての使命感か。
「そっ……そんなコトより、なに飲むのよおじさんっ!!
ざこ紅茶と、ざこコーヒーと、ざこグリーンティーもあるけどぉ?!」
「ざこッッ!!??」
聞いた事の無い、惨めな響きの飲み物たち。
いま聞いた名詞が信じられず、ランボーはまたアワアワ狼狽える。
「はやくしてよっ! もうカップあっためちゃったんだからぁ! このグズぅ!!
ざこドーナツと、ざこスコーンと、ざこよーかんもあるし! 好きなのえらびなさいよぉーっ!!」
「――――何故そんな物ばかりなんだッ?! 俺は歓迎されていないのかッ!?」
思わずツッコミを入れるが、もうブルーちゃんは「むきーっ!」と激怒している。ぜんぜん話を聞いて貰えない。
彼女は内心とてもテンパッていたのだが、そんなことランボーには分かるハズもなく、ただその勢いに圧倒されるばかり。ブチギレてる女の子、ちょーコワイのだ。
とりあえずは、誠に遺憾で意味が分からない所はあるが……、この場を収める為に、その“ざこ紅茶”とやらをお願いしてみる事とする。
「えぇ~っ! おじさん、
ざこざこじゃーん☆www」
「ふふ♪ おじさんよわよわだね♡ こーゆーのすきなの?♡♡♡」
「ざぁーこ、ざぁーこ、ざこ紅茶♥」
どうせぇっちゅーねん――――ランボーはこの世の理不尽に、憤死しそうになる。
そして、なんとなしに観察していれば、メスガキポリスの三人は普通にコーラとかオレンジジュースを受け取っているのが分かり、もっと憤死しそうになった。
俺は一体どうすれば良かったんだ……。どうすりゃ褒めて貰えたんだ……。
ランボーはそう思いながら、こちらにピトッとくっ付くメスガキピンクから「あーん♪」された“ざこ羊羹”をモグモグ。意外と美味しい。
(なによ……! なによなによっ!
みんなばっかりズルいし! あたしだって、おじさんに甘えたいのに……)
ざこ紅茶を飲まされたり、ざこナプキンで口を拭かれたりと、今もランボーは三人の女の子に、甲斐甲斐しくお世話されている。
もうハートマークが乱舞し、そこの空間だけ空気が桃色に見える勢いだ。
対面のソファーに座るメスガキブルーちゃんは、普通の美味しそうなケーキをパクパク頬張りながらも、「ぐむむ……!」とただその様子を見守る。
あたしもボディタッチしたい! 仲良くお話がしたいっ! でもあたしリーダーだし……。しっかりしなきゃだし……。
そうヤキモキと葛藤。かわいい欲求とだいじな責任の間で揺れる。
とりあえず、そのソワソワを打ち消すように、ブルーちゃんは飲み物やお菓子を準備したりと、給仕の仕事に勤しむ。
何はともあれ、ボスに仰せつかった役目は果たさなければ。とても真面目で良い子なのだった。
(あら? おじさんのカップが空になってるわね。ざこ紅茶のおかわりを……)
素直に好意を示せないのなら、せめてちゃんとおもてなしを――――
そうブルーちゃんがテテテッと近寄り、彼のティーカップを受け取ろうとした。
「……あっ!」
しかし、この場に小さくガン! という音。
上の空だったブルーちゃんは、テーブルの足の部分に躓いてしまい、フラッと大きく体勢を崩す。
バランスを失い、傾いていく視界。とても時間がゆっくり流れているように感じる。
「――――ッ!!」
「きゃっ……!」
だが、彼女が床に叩きつけられる事は無かった。
とつぜん何かがバッと視界を覆った、次の瞬間、気が付けば自分はランボーの腕の中。
彼が即座に反応して動き、ブルーちゃんをしっかり抱き留めたのだ。
ついでに言えば、いま彼女は“お姫様だっこ”の体勢でいる。
「無事かッ!? 怪我は!?」
「……っっ!」
ぱちくり、と瞬きを繰り返す。何度も何度も。
いまブルーちゃんの視界いっぱいに、とってもダンディでかっこいい男の人の顔がある。その人のおっきな胸に、ぎゅっと抱きしめられている。
やがて混乱から立ち直り、それをしっかりと認識した途端……さっきまでポカンとしていた彼女の顔が、林檎のようにカァ~っと赤く染まった。
逞しい、力強い、安心する。
そして……あったかい。
「――――こんなモン、せっくすでしょ!?!?!?」
「は……?」
ブルーちゃんが「きゅう……♥」とかわいい声を出した後、コテッと意識を失う。
ランボー&メスガキの3人が「わーっ!」と大騒ぎする中、一人とても安らかな顔で眠りに落ちた。
ありがとうございます、ちんぽのかみさま。
あたしは今日、りっぱにせっくすしました――――女になったわ♥
そして、とても幸せな夢うつつの中、『おぎゃあ! おぎゃあ!』と赤ちゃんの泣き声が聞こえた気がした。
よっし、ちゃんと孕んだわね(確信)