・男主視点。
・混部時空でのジョースター家について、捏造過多。
――空条承太郎だって、拗ねると子供っぽい行動を取る時があるはず。
別名、空条ゴーイングマイウェイ太郎。
バイト仲間に電話してシフトを変わってもらった後、ジョースター邸の皆さんと夕食を取る事になった。
現在。この家には主人公ズとディオ以外にも、前世でのジョナサンの両親に、ホリィさん、朋子さんがいる。
承太郎の父親である空条貞夫さんは、前世と同様にミュージシャンとして活躍中で、滅多に家に帰って来ないようだ。
それから、前世ではジョセフの不倫相手だった朋子さんの今世での夫だが……仗助が生まれたばかりの頃に、離婚したらしい。
前世といい、今世といい、朋子さん超苦労してるなぁ……
さて。ここで今世のジョースター家について、整理するとしよう。
まず、この豪邸の家主であるジョージ・ジョースターと、その家族。
ジョージさんの妻である、メアリーさん。前世では馬車の事故で亡くなっていたが、今世では生きている。ちなみに、かなりの美人だった。
それから、そんな2人の実の子供3人……大学生である長男のジョナサンと、次男のジョージ2世。高校3年である三男のジョセフ。
それに加えて、養子である大学生のディオと、中学3年であるジョルノ。……以上7名が、今世のジョースター家だ。
なお、今は家にいないジョージ2世……前世ではジョセフの父親だった彼は既に家を出ていて、なんと、恋人になった同い年のリサリサ(前世の記憶あり)と2人で暮らしているという。
ジョージ2世は前世ではディオが生み出したゾンビにやられて亡くなっていたし、リサリサと一緒に是非幸せになって欲しい。
次に、空条家と東方家。今世では、ジョースター家の遠い親戚扱いになっているようだ。
空条家は、貞夫さんとその妻のホリィさん。2人の子供である高校2年の承太郎と、その妹で中学2年の徐倫。東方家は朋子さんと、一人息子で高校1年の仗助だ。
……以上が、現在ジョースター邸に住んでいる方々である。前世と今世でごちゃごちゃになりそうだな。
そんな大人数で共に食事をするため、料理の数が多く、そして豪華だった。1人暮らしで自炊している俺は、食べながらも勉強させてもらった。
食後も気になる事があって、料理担当の女性陣にいろいろ話を聞かせてもらっていたのだが……
「……おい、シド。うちの図書室に興味があるんじゃなかったのか」
「いや、まぁ気になるけど、今はホリィさん達から料理の話を、」
「今からついて来ないと、貴重な本を読ませてやらねえぞ」
「なっ、何!?ちょっと待て。せめてもう少し、」
「カウントダウン。5、4、3、2――」
「――っだあぁもう!分かった、今行く。……すみません、皆さん。料理の話、また明日聞いてもいいですか?」
「え、えぇ、いいわよ」
「ありがとうございます」
「行くぞ」
「分かったから、押すな」
……という、承太郎の我が儘のせいで、続きは明日という事になった。てめぇ、次から空条ゴーイングマイウェイ太郎と呼ぶぞ、この野郎。
だが、我が儘に付き合った甲斐はあったな。ジョースター邸の図書室には旧図書館程ではないが本がたくさんあって、見た目は古いが貴重な本もあった。
ついテンションが上がって、承太郎に笑われた事がちょっと恥ずかしい。
「お前は、本当に本が好きなんだな。いつもは落ち着いているくせに、この時ばかりは年相応だ」
「そんな子供を見るような目は止め……って、そういえば、お前の中身は40過ぎのおっさんだったな」
「おっさん呼ばわりするな。今はこの通り、若々しい17歳だぜ。……シドは、何故そんなに本が好きなんだ?」
「別に特別な理由はねぇよ。小さい頃から、俺の主な娯楽が読書だっただけだ。……それに、どんな事であれ知識を得る事は損にはならねぇ。――時には、生き残る術を教えてくれるからな」
本当に、ガキの頃から本には何度も助けられている。
「……シド?」
「あ、……いや、何でもない。それより、承太郎のおすすめの本を教えてくれよ」
「それは構わねえが……なぁ、シド」
「ん?」
本棚の間の通路で承太郎が立ち止まり、後ろにいる俺の方へ振り向く。
「……お前は、あの日。海辺で俺が訳の分からねー話をしても、黙って聞いてくれたよな」
「……あぁ」
「そうして話を聞いてもらった手前、こんな事を言うのは、我ながら勝手だと思うが――俺はいつか、お前の昔の話を聞きたい」
「っ、」
「何故、高校に入学する前の話を詳しく話さないのか。何故、家族の話をしないのか。……何故、普段から目付きの悪さだけでなく、素顔も隠そうとしているのか」
うおぉう……こいつ、核心に迫ってやがる。なんて鋭さだ。
「……俺が自分の前世の話をするのが先か、お前が過去を話すのが先か……どちらが先になるかは分からないし、どちらが先になっても構わねえ。
分かっている事は、たった1つ。――俺が、園原志人の親友であり、親友の事をもっと知りたいと思っている事だ」
「――――」
「……どんな話を聞いても、俺はお前の親友であり続ける自信がある。なんせお前は、昔の俺も今の俺も、丸ごと受け入れてくれた男だからな。……俺だって、お前の事なら丸ごと受け入れるさ。当然だろ?」
こっ……こいつ、とんだ殺し文句を……!?
「……おい……おい、空条承太郎……!」
「あ?」
「てめぇ――そういうとこだぞっ!!」
「はぁ?」
「ちくしょう、この主人公属性が……!」
「……それは暴言か?褒め言葉か?」
その言葉には答えず、髪を掻き乱し、頭を抱えて、照れと喜びと少しの理不尽な怒りを紛らす。
「はあぁー…………もう少し、」
「?」
「もう少しだけ、待ってくれ。俺だって、親友のお前には話したいさ。でも、俺にはまだ勇気が足りない」
承太郎の前世と比べたら、俺の過去なんてちっぽけな物だ。ありきたりな、暗い過去。
しかしそれでも、今世の俺にとっては、ただ話す事さえも勇気がいる事で……
「だが、お前を信じて事情を打ち明けたいと思っている事は、確かだ。だから承太郎――待ってて、くれるか?」
「……あぁ、もちろんだ。いつまでも、何十年経っても待ってるぜ」
「はは、そんなに長くは待たせねぇと思うぞ。多分」
「それだけお前との友情が長く続くと、信じているだけだ」
「だからそういうとこだぞ!?俺だって信じてるけどな!」
「くっ、はははははっ!!そうかそうか。そいつは何よりだ!」
こいつの大笑いにも、さすがに慣れてきたな。良い笑顔で子供みたいに笑うんだよなぁ。中身おっさんのくせに。
―――
――――――
―――――――――
客室に戻り、1人になった俺は、部屋に鍵を掛けてからイージスを呼び出した。
「……イージス。お前に聞きたい事がある」
「うん?何かな?」
「話す前に、ちょっと試したい事があるんだが……例の事件の犯人と戦った時、俺のイメージで結界の性質を変えたよな」
「そうだね」
「じゃあ――結界で防音とか盗聴防止をする事も可能なのか?」
俺がそう聞くと、イージスはにっこりと笑う。
「もちろん、君のイメージ次第では可能だ。……いやぁ、志人なら気づくのも時間の問題だと思ってたけど、予想以上に早い。君が気づかなかったら、ずっと成長できないままだったと思う」
「その言い方だと、お前は俺が気づくまで何も言わないつもりだったのか」
「そうだよ。俺が親切に説明するのは初めての戦闘の時と、志人が俺の能力について自分で気づいた時だけにすると、最初から決めていたんだ。……何故だか、分かるかい?」
「…………俺の想像力や、発想力を鍛えるため?」
「正解!」
なるほど。納得した。さっそく俺とイージスを包むように結界を張り、とりあえず防音効果を期待して、結界自体を厚くするイメージで……
「……どうだ?」
「うん。ちゃんと防音できてるよ。今の声の大きさなら、部屋の外に会話が聞こえる事は無い」
「よし。これで、ようやく本題に入れるな。――お前は、俺に前々世の記憶がある事を知っているのか?」
「……あぁ。知っているよ。――君が前々世の記憶を持っているからこそ、俺はここに存在している」
「何だと?」
前々世の記憶があるから、イージスが存在している?……待てよ?それなら、俺が前世でスタンドの矢が刺さって死んだのは――!
「……前世では、前々世の記憶を思い出していなかった。だから俺は、スタンドの矢が持つウイルスに耐え切れずに死んだのか……!?」
「……そうだね。その解釈で、間違ってないよ。もしも志人が前世で、前々世の記憶を思い出していたら、矢のウイルスを克服するための土壌が整っていたはずだ。
前世でも今世でも、志人の状態は……例えるなら、2つの魂が混ざった状態なんだ。
承太郎達の世界の人間の魂と、別世界で生きていた人間の魂が混ざった存在……それが、園原志人として生きている。
しかし、前世では前々世の記憶を思い出していなかった君は、魂が不完全な状態だった。その時はまだ不安定な存在だったから、本来なら耐えられるはずが、ウイルスに適応できずに死んでしまった。
そして……前世で君がスタンドの矢に刺された時に生まれた俺は、今日君が覚醒するまで、ずっと君の中で眠っていたんだよ」
「……ずっと?」
「そう、ずっと。……君が学校でも、家でも辛い思いを抱えながら生きていた時も、呑気にずっと眠っていたんだ。志人が覚醒した時に、俺には前々世の記憶だけでなく、前世と今世の君の記憶も流れ込んで来た」
……そうだったのか。俺が知らなかっただけで、俺の中にはずっとイージスがいたんだな。そして記憶も共有している、と。
「……そりゃ、悪かったな。随分見苦しい様を見せてしまっ、」
「馬鹿。何で志人が謝るんだ。見苦しい訳ないだろ。君はずっと、ずっと一生懸命生きて来ただけだよ」
逸らした視線を元に戻すと、イージスは悲しそうな表情をしていた。
「何で、お前がそんな顔をする?」
「俺が君自身だから。……君が悲しいと、俺も悲しい」
「……確かに、悲しくないと言ったら嘘になる。だが、今は少し心境が変わった。……俺の中にはずっと、お前がいた。――俺は、知らなかっただけで孤独ではなかったんだ」
「――――」
「お前がいてくれて、良かったぜ。イージス・ホワイト」
今度はくしゃっと、泣き笑いのような顔になる。……俺も今、似たような顔になっているのだろうか?
「……俺だけじゃないよ」
「ん?」
「今の君には、不器用だけど優しい親友がいるだろ?」
「!!……っ、はは!あぁ、あぁそうだな……俺にはお前だけじゃなくて、あいつもいる」
「いつか、彼にも話せるといいね」
「……あぁ。承太郎には、知ってもらいたい」
もう少しだけ、待っていてくれ。親友。……俺の踏ん切りがつくまで、本当にあともう少しだと思うんだ。
※ジョナサンとディオの会話(ディオがかなり丸くなっています)
「…………」
「ディオ、何してるの?」
「!……ジョナサン」
「そこ、君の部屋じゃなくて園原君の部屋だよ?」
「……ふん。分かっている。俺は客人に用があるからここにいるのだ」
「駄目だよ、ちょっかいなんて出したら。……承太郎が牽制してたじゃないか」
「何だ。気づいていたのか」
「君の近くにいたから、偶然気づいたんだよ。彼、一瞬ディオの事を睨んでいた。……今までディオの事を気にしてなかった承太郎がそうする理由といえば、園原君の存在しか考えられないからね」
「ふっ……だからこそ、面白いじゃないか。奴をそうさせる程の"何か"が、この扉の先にいる客人の中にある」
「……駄目だよ?今は承太郎も落ち着いてるけど、下手に刺激したらどうなるか分からないんだからね?今度こそ財団から目をつけられて、ますます自由が無くなるよ」
「…………ちっ」
「うん、分かってくれて良かった!……でもね、ディオ」
「何だ?」
「園原君の方からディオに接触したくなるようなきっかけができた時は、関わってもいいんじゃないかなと思うよ」
「……ほう?」
「それなら、承太郎も渋々許しちゃうんじゃないかな?今日の様子を見る限り、園原君には甘そうだったし……」
「……確かにな」
「だから、時が来るまで待とう」
「……俺の方から、その時を待つ時間を縮める事もできるな」
「あ、それは駄目。ディオが少しでも意図的に行動したら、バレた時が怖いよ。承太郎は勘も鋭い」
「では、どうしろと?」
「だから待とうと言っている。偶然、その時が来るまで」
「……気の長い話だ」
「そうでもないと思うよ」
「何?」
「だって――"スタンド使いはひかれ合う"、だよね?案外、そう遠くないうちに機会が訪れるんじゃないか?」
「…………そんな楽観的な事を言うのは、貴様ぐらいだろうな。……まぁいいだろう。その話に乗ってやる。ありがたく思え」
「わー、ありがとう、ディオ」
「ふん!」