空条承太郎の友人   作:herz

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・第三者視点。

・承太郎のキャラ崩壊に注意。

・いろいろ捏造たっぷり。


 ――空条承太郎だって、友人とふざけて馬鹿笑いしたい時があるはず。




空条承太郎の友人は、旧図書館にいる

 

 

 

 とある教室にて。その日の授業が終わると、廊下側の後ろの席に座っていた花京院が立ち上がる。彼は窓側に向かい、目的の人物に声を掛けた。

 

 

「――承太郎」

 

「何だ?」

 

「さっきポルナレフとジョースターさんから、放課後何処かに遊びに行かないかって誘われたんだ。君も一緒に来ないか?」

 

 

 これは、彼らの間ではよくある事だった。

 

 誘いを掛けるのは大体、現在彼らが通っている高校の3年生である、ポルナレフとジョセフ。それとは逆に、高校2年である承太郎と花京院の方から、ポルナレフ達に声を掛ける事もある。

 途中で占い師の仕事をしているアヴドゥルも合流し、5人で何処かに出掛ける場合もあった。

 

 ――前世から転生し、その記憶を思い出した彼らは、あの旅の中ではできなかった事を、思う存分に満喫している。

 

 

 花京院は、承太郎は断らないだろうと思っていた。どうしても外せない用事があった場合を除いて、いつも二つ返事で了承するから。……しかし、

 

 

「……すまん。今日は他に行くところがあるんでな。遠慮する」

 

「……そうか……分かった。残念だが、ポルナレフ達にもそう伝えておくよ」

 

「あぁ。悪いな」

 

 

 承太郎は誘いを断り、一足先に教室から出て行った。置いていかれた花京院は、たまにはそういう事もあるだろうと納得し、携帯のメッセージアプリでポルナレフに承太郎の事を伝える。

 

 そこで、ふと思う。

 

 

(――そういえば。高2に進級してから、承太郎が僕達の誘いを断る事が少し増えたような……?)

 

 

 首を傾げて、最近の承太郎の行動を思い出そうとした時。ポルナレフから返信が来る。

 承太郎が来ない事について、わざとらしく泣き顔の顔文字を送って来た。それも、女子高生が使うような可愛い顔文字を。

 

 花京院はそれに対して、"似合わないから止めろ(真顔)"と返した。それから、ポルナレフとジョセフがいる3年の教室に向かう。

 

 

 承太郎の行動を疑問に思った事は、彼の頭の中からとっくに消えてしまっていた。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 承太郎達が通っている学校は中高一貫校であり、中等部と高等部で校舎が分かれている。それぞれの校舎は渡り廊下で繋がっていた。

 そんな2つの校舎から離れた場所に、年季の入った建物が一棟、ポツンと建っている。

 

 中高一貫校が設立された当初から存在している、旧図書館だ。

 

 現在は校舎内に新しい図書館が設立されているため、この旧図書館を利用する者はほとんどいない。それどころか、生徒の中には旧図書館の存在を知らない者もいる。

 学校の土地に植えられている木々によって隠されている事が主な理由だが、できる限り秘密にして欲しいという、旧図書館の管理人の意向がある事も、その理由の1つである。

 

 

 花京院と別れた承太郎は今、そんな旧図書館の入り口に立っている。扉をノックすると、中から誰かが出て来た。白髪がある中年男性だ。

 しかめっ面をしていた男性だったが、承太郎の顔を見て、その表情から僅かに険がなくなる。

 

 

「……お前さんか」

 

「邪魔するぜ。……あいつは?」

 

「もういるぞ。入れ」

 

 

 男性の後に続いて旧図書館に入った彼は、扉を閉めて入り口付近のカウンターに向かう男性を見送り、自身はさらに奥へと進む。

 古い本棚が並ぶ通路を歩き、最奥に到着した。読書スペースとして設けられているその場所で、高校の制服を着た青年がハードカバーの本を読んでいる。

 

 黒髪で、細身の男だった。前髪は長く眼鏡も掛けているため、顔が伏せられていると、彼がどんな目をしているのかが見えない。

 見た目だけなら根倉な男としか思えないが、承太郎は彼がそんな人間ではない事をよく知っていた。

 

 

「――園原」

 

「ん、……やぁ、承太郎くん。待ってたよ」

 

 

 青年――園原志人(そのはらゆきと)は、本に栞を挟んでそれを閉じ、顔を上げる。彼は明るく笑って承太郎を迎えた。

 

 承太郎が園原と出会ったのは、中等部から高校に進学して半年が経過した頃。偶然の出会いから知り合いとなり、彼を通じてこの旧図書館の存在を知った。

 それ以来、2人が直接会う時はこの場所を利用している。ここなら、行きと帰りに誰かに目撃されない限り、秘密裏に顔を合わせる事ができるからだ。

 

 この方法を提案したのは、園原だった。

 

 

「承太郎君ファンクラブの過激派に見つかったら、俺の身が危ない。いや、冗談ではなく」

 

 

 出会ったばかりの頃にそう言われた承太郎は、深く納得した。

 

 ファンクラブの危険性については、同じくファンクラブを持つ自分の血族の者達や、花京院達から聞いているし、自身もよく知っている。

 まだ中学生だった時にいろいろと事件が起こり、それに巻き込まれた事で、その危険性を理解せざるを得なかったのだ。

 

 園原と承太郎が友人になった際、ファンクラブ対策として、2人でルールを決めた。

 

 基本的に、顔を合わせる頻度は控え目に。会うとしても、週1回会うか会わないか程度に抑える。会う場所は学校内の旧図書館、もしくは学校の近辺を避けた、別の場所。

 主な交流方法はメッセージアプリや、電話での会話。学校では、互いを見掛けても他人のふりをする。

 

 そして、旧図書館の管理人である三谷――今カウンターにいる中年男性の事――を除いて、自分達が友人関係である事を誰にも明かさない。

 

 

 当時。園原は、自分の身の安全のために、面倒なルールを作る事になってしまったと、承太郎に謝っていたが、承太郎は全く気にしていなかった。

 彼にとって、園原は価値のある存在だった。園原との友人関係を守るためなら、それぐらいは造作もない事だったのだ。

 

 

「……ほらよ」

 

「おっ、本当に読み終わったんだ。さすが、早いなぁ」

 

 

 園原の隣に座った承太郎は、彼に1冊の文庫本を差し出す。先週、園原から借りた小説だった。それを受け取った園原は、大事そうに学生鞄に仕舞い込む。

 

 

「……で、ご感想は?面白かった?」

 

 

 わくわく、といった様子で承太郎を見つめる園原に対して、彼はさっそく口を開き――ちょっとした悪戯心から、こんな言葉を投げ掛ける。

 

 

「――その続きはどうなる?」

 

 

 きっと彼なら、気づくはずだ。……そう信じて反応を待つと、承太郎の言葉に面を食らった園原が、ニヤリと笑う。

 

 

「――あっと驚く展開が待っているよ」

 

 

 ほら、乗って来た。承太郎は思わず、僅かに口角を上げる。

 

 

「……気になるな」

 

「本当に?」

 

「――Absolutely(もちろん)

 

 

 この一連の流れは、園原が貸した推理小説の中で、探偵役と助手役が初めて出会った時の会話の一部だ。

 

 承太郎のセリフを最後に、一瞬、間が空く。

 

 

 

 

 

 

 ――そして、2人同時に噴き出した。

 

 

「ちょっ、はは、はははははっ!は、発音、あはっ、良過ぎ、っ、ひい……!!」

 

「くく、く……っ!おいおい、そんなに笑う事ねえだろ……!」

 

「だって、おま、っ、君から始めた事だろう!?」

 

「おう。よく乗ってくれたな。……関西弁じゃねー事が不満だが」

 

「俺にそこまで求めんといて!こちとら生粋の関東人や!」

 

「っ、ぶふ……話せる、じゃねえか……!」

 

 

 そのまま笑い続けていたら、カウンターから読書スペースにやって来た三谷から、静かにしろと叱られてしまった。2人揃って真面目な顔で謝ると、彼は呆れ顔で立ち去って行く。

 

 残された2人は顔を見合せ、今度は声を押し殺して笑い合う。

 

 

(――嗚呼、楽しい)

 

 

 承太郎は、心の底からそう思っていた。これだから、園原の友人は止められない。……もっとも、彼が園原と友人になる事を望んだ本当の理由は、別にあるのだが。

 

 

 一方、園原はこう思っていた。

 

 

(うん。原作(・・)と全然違うな、こいつ)

 

 

 やっぱり、"今の"承太郎と"過去の"承太郎を比べちゃ駄目だ。――転生者である園原は、内心でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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