・男主視点。
・今回、ジョセフの扱いが悪くなってます。
――空条承太郎だって、遊びに夢中になって、はっちゃける事があるはず。
青い空、白い雲――そして超強い日射し!暑い!!日焼け止め必須だわ、これ。
さて。朝から飛行機に乗って、やって参りました沖縄。空港からレンタカーに乗り、向かった先はジョースター家が所有する別荘。
別荘に到着し、車から降りた俺は一度伸びをして周りを見る。……別荘は海の側の高台に建てられているため、綺麗な海と地平線がよく見える。本当に良い場所にあるなぁ。
おっと、そうそう。……本日の俺のファッションは、ジョナサンのコーディネートだ。
白のカットソーの上に、七分袖の黒いサマーカーディガン。下は青いスキニージーンズ。……爽やかで、落ち着いた雰囲気が出る服装だ。
一言で言うと、ジョナサンらしい。この人ならこういう感じの服を選ぶだろうなぁ、というイメージ通りの服装。
俺の今の年齢を考えると、ちょっと背伸びし過ぎか?と思っていたが、昨日俺にこの服を着せたジョナサンが、よく似合っていると喜んでいたから、多分大丈夫なんだろう。
「……シド。荷物運ぶぞ」
「あ、悪い。今行く」
承太郎に呼ばれて、別荘の中に荷物を運ぶのを手伝う。……18人分の荷物だからな。運び込むのは大変だ。
実は今回の旅行。普段ジョースター邸にいない人達も同行している。……現在、恋人と2人暮らしをしているジョージ2世に、承太郎の父親の空条貞夫さんだ。
久々の家族団欒のためにと、元々話は通っていたらしい。ジョージ2世はともかく、貞夫さんの方は仕事が忙しい中でなんとか時間を作ってくれたそうだ。
それから、ジョナサンとジョージ2世とジョセフ、3人それぞれの恋人達まで同行している。
エリナさんに、リサリサさんに、スージーさん……原作のジョースター家の女性達まで勢揃いだ。なお、この中で記憶を取り戻しているのはリサリサさんだけである。
やはり、前世の記憶を取り戻しているのは、波紋やスタンドが使える人間のみのようだ。
さて。そんな彼らに、俺が加わって全18人――ではない。……1人足りない!と思った人は、大正解。そう、もう1人同行している。
しかもその人は、俺と似たような経緯でこの旅行に参加した人物――
「JOJOは……おっと。ここにいる間はジョセフと呼んだ方がいいか。
あいつが俺に詳しい事は何も言わず、この4日間は絶対に予定を入れるな!と念押ししてくるものだから、何か大事な用があって、俺の力が必要なんだろうと思っていたら、朝早くから呼び出されてハイテンションで沖縄行くぞ!と言われ、あれよあれよという間に飛行機に乗せられて今ここにいる。
俺は!何も!聞いてないっ!!何も準備していない!!それを訴えたら金は出すから現地で買えと言われ――ああぁぁ、クソ、あのスカタン!!」
「……た、大変でしたね。それはどう考えてもジョセフ先輩が悪い」
「だろ!?そう思うよな!ああ、まともな感覚を持ってる後輩が一緒で本当に良かった!!」
――という事で、こちら。ツェペリさん家のシーザーさんです。
いやあ、今日最初にシーザーを見掛けた時はびびった。なんせこの人、無言だったけど例の貧民街テンションの雰囲気をバリバリ出してたからな。
俺と同じく、ジョースター家の人間の友人という立場のこの人と一度話してみたいと思ったが、その時は怖くて話し掛ける事ができなかった。
だが、話し掛けるチャンスは早くにも訪れた。
俺と承太郎が別荘の入り口付近にいた時。外に出掛けていたシーザーが、両手に大きな買い物袋を持って帰って来た。
その際。彼はなんだかとても疲れた顔をしていて、それを心配した俺が部屋まで荷物を運ぶのを手伝おうかと声を掛け、承太郎もそれに付き合ってくれた。
……ちなみに。この別荘にいる18人の部屋割りは、以下の通り。
この別荘には本館と別館があり、本館の方にジョースター家の本家組とその恋人達が泊まり、別館の方に親戚組と俺とシーザーが泊まる事になった。
部屋は全て2人部屋なので、本館の方は夫婦同士、恋人同士でペアになり、余ったディオとジョルノが同室になっている。
別館の方は空条夫婦のペアは当然として、残った女性である徐倫と朋子さんが同室になる事も決まる。そして俺と承太郎、仗助とシーザーがそれぞれ同室となった。
現在。俺と承太郎は仗助とシーザーの部屋にいる。仗助も一緒になって、俺達3人でシーザーの愚痴を聞いていたのだ。
「……あのクソジジイ……何をやってるんだ。さすがに俺でも、シドを相手にそこまではやらなかったぜ」
「クソジジイはいつまで経ってもクソジジイかよ」
承太郎と仗助も呆れていた……って、承太郎くーん?てめぇとジョセフには前日にいきなり伝えるか、当日に伝えるかぐらいの違いしかねぇと思うぞ?大差ないだろ。
まぁ、前日に伝えてくれただけ、ジョセフよりもマシか。承太郎が空けておけと言った日も、余裕を持って5日間だったし。
「……承太郎の言葉から察するに、志人も俺と同じか?」
「あ、鋭い。そうなんですよ。俺もこいつに、旅行の前日まで内緒にされてたんです。
余裕を持って5日間を空けておけと言われたおかげで、旅行の準備は昨日のうちに終わらせる事ができましたけど、ジョセフ先輩の所業と大して変わらな、痛い」
隣から承太郎の手が伸びて来て、頭を軽く叩かれた。
「……確かに黙ってた事は悪かったが、お前だって楽しんでただろ?おら、ちゃっかり昨日ジョナサンが選んだ服を着てるしよ」
「やめろ、服を引っ張るな。せっかく俺のために選んでくれたんだから、着るのは当然だろ」
「俺が選んだ服も持って来てるんだろうな?」
「あるよ、あるある。旅行中にちゃんと着る」
「ちょ、ちょっと待ってください2人共!志人さんの服を選んだって、何の話っスか?」
何故か仗助が食い付いたので、昨日の買い物について説明する。……ディオとジョナサン、承太郎とジョルノが俺の服を選んだ話をすると、彼は大げさに嘆いた。
「俺も志人さんの服選びたかった!!」
「……あー、分かった分かった。今度一緒に買い物に付き合ってやるから」
「マジで!?よっしゃあ!!」
何がそんなに悲しいんだか。黒柴がしょげてたから、買い物に付き合ってやると言うと、すぐに復活した。尻尾振ってるなぁ。
「…………いいなぁ、志人は」
「あっ」
「シ、シーザーさん……」
「承太郎はお前の良い友達だな。ジョセフよりもちゃんと友達の事を考えて行動したみたいだし……あぁ、仗助にとってはデリケートな話題になってしまうが、言わせてくれ。
――承太郎と仗助は本当にあのスカタンの孫と息子だったのか!?どちらもよく出来た子達で奴とは比べ物にならん!!」
「…………ハハ」
珍しく、承太郎が空笑いをした。前世のジョセフに関するあれやこれやを思い出したのだろう。遠い目をしている。
「……はぁ……まぁ、とにかく話を聞いてくれてありがとう。多少はすっきりしたよ。ジョセフの事はさっき、スージーQや先生……リサリサさんも叱ってくれたし、奴も謝って来たからな。
しばらく根に持つつもりでいるが……一応、許してやろうと思っている」
懐の大きい兄弟子だな。ジョセフはこの人の事をもっと大切にした方がいいと思う。
「……いやァ、シーザーさん。それだとシーザーさんがずっとモヤモヤするだけじゃないっスか。――どうせなら、もっとスカッとする事、やりません?」
そう言って、仗助が悪い顔になる。おやおや?何か面白そうな気配がするぞ?
承太郎もそれを感じ取ったのか、俺を横目で見てニヤリと笑った。俺も、目を合わせて同じ顔で笑う。……ただ1人、シーザーだけが困惑していた。
―――
――――――
―――――――――
仗助の話を聞いたシーザーは、それはもう乗り気になった。俺と承太郎も、それに便乗させてもらう事にした。
シーザーにはいつも通りにジョセフと接して気を引いてもらい、その間に俺達は味方を増やそうと、ジョルノと徐倫に声を掛けた。……この2人を加えて、10代悪巧み同盟を結成するのだ。
「何ですかその面白そうな話は。もちろん参加しますよ」
「あたしも、さすがにひいお祖父ちゃんはやり過ぎだと思ってたし……というか楽しそうだし、やるわ」
そして2人も参加決定。あとは仗助、ジョルノ、徐倫に必要な物を好きに買って来てもらい、俺と承太郎はその間にとある人物に協力を求める。
「……という訳だから、一時的にジョセフからスージーさんを遠ざけて欲しい」
「お願いできますか?――リサリサさん」
「……いいでしょう。そういう事なら、彼女は私が引き留めておくわ」
「ありがとうございます!」
「助かるぜ、リサリサさん」
承太郎にロータッチを求められたので、それに合わせて手を打つ。……こいつ、ハイタッチはやらないけど、これなら結構やってくれるんだよな。
と、クスクスと笑い声が聞こえる。
「……リサリサさん?」
「……彼と仲が良いのね?承太郎」
「それはそうだろ。こいつは俺の親友だからな」
「ふふ……そう。大事にしなさい」
「おう」
……なんか、子を見る母親って感じの目だな。ちょっと気恥ずかしくなって来た。
さて、気を取り直して。準備を整えた俺達がやって来たのは――プライベートビーチ。別荘に残っている一部の人達を除いて、ジョースター家の人達は皆水着を着てここに来ている。
……リサリサさんがスージーさんの事を呼び寄せて、ジョセフが1人になった。
作戦実行。
「――っ、うわ、冷てえ!?」
「目標、ジョセフ・ジョースター!」
「総員、撃てえぇっ!!」
「ぎゃあああっ!?」
――3部から6部主人公とシーザーによる、一斉射撃の始まりだ。
仗助達が店で買って来てくれた水鉄砲は、海に囲まれた沖縄だからこそなのか、種類が豊富だった。様々な水鉄砲だけでなく、水風船バズーカなんて物まであったらしい。
それらの中から好きな武器を手に取り、俺以外の全員が近距離で撃ったり、遠距離から狙ったりしながらジョセフを追い掛け回す。
え?俺?……俺は水補給係だ。主人公ズやシーザーのように戦闘慣れしてない俺は、自主的にサポート役になる事にした。
余分にある水鉄砲や水風船にひたすら水を入れて、玉切れになった物と交換する。これなら攻撃が途切れる事はない。
「くく……なかなか愉快な事になっているな?園原」
「みんな楽しそうだね」
「ディオさん、ジョナサン。どうも。……ちなみに、この作戦はアイデア提供、東方仗助。作戦立案、空条承太郎でお送りしてまーす」
「あはははっ!」
「それはそれは……前世の息子と孫に見限られたか」
ニヤニヤしているディオと、ニコニコしているジョナサンが話し掛けてきた。2人も楽しそうにしてるな。
「……ちょっと意外ですね。てっきりジョナサンなら、"程々にね"と言うのではないかと」
「今回は止めないよ。……ジョセフには僕の前世の師匠の孫の事を、もっと気遣って欲しかったから。ああなっても仕方ないかな、と」
「、前世の師匠の、孫ですか?シーザー先輩が?」
危ない。一瞬頷きそうになって、すぐに軌道修正した。その話は、今世ではまだ聞いてない。
「うん。僕は前世で、シーザー君の祖父である、ウィル・A・ツェペリさんに波紋を教わったんだ。ツェペリ家とジョースター家は、昔から縁がある」
「へぇ……!じゃあ、前世の師弟の孫同士が、今世で友人になってる訳ですか。なんか運命的ですね」
「そうそう。僕も後で聞いたけど、ジョセフとシーザー君は前世では波紋の兄弟弟子になってたみたいだし……さらにその師匠は、前世ではジョセフの母親だったリサリサさんだとか」
「凄いな。何ですか、その繋がり。いくらなんでも縁が深過ぎ」
「ふふ、そうだね。僕もそう思う」
知らない体で話をしながら、水補給の手は止めない。……で、
「ディオさん、さっきからスマホで何やってるんです?」
「あの愉快な騒ぎを動画に収めている」
「最高です、ディオ様。もし良かったらそれ、後で俺の携帯に送ってくれませんか?」
「そうだなァ……明日、お前が私の選んだ服を着ると言うなら、送ってやろう」
「もちろん、着ますよ!」
「ふふ、いいだろう。では後程、送信する」
「ありがとうございます!」
送ってもらった物は、後で悪巧み同盟の皆で楽しむとしよう。……あれ?
(……ジョセフが徐々にこっちに近づいてる気がする)
気のせいか?……と思っていた次の瞬間、ジョセフが俺達と承太郎達の間に入るような位置取りをした。
「――イージス!バリア展開!!」
「任せて!」
咄嗟に、俺とジョナサンとディオを包むバリアを展開。……間一髪!ジョセフが避けた瞬間に飛んで来た大量の水が、バリアに直撃した。
「うわっ、志人さん!?」
「シド、すまん!」
「イージスが防いだから大丈夫!」
「……補給源を断つついでに、言い争いが起こるかもと期待してたけど……ンー、残念」
そんな事を呟いて、ジョセフがまた逃げていく。すぐに補給地点を狙うとか、さすがだな。それも仲間割れまで狙ってる。……やっぱり2部主人公は侮れない。
「イージス。また狙われたら、バリアを頼む」
「うん、分かった」
とりあえず、イージスはこのまま出てもらって――
「イージスが防がなければ、真っ先に水が直撃していたのは、ジョナサンだっただろうな。よくやった、園原」
「あ、はい……ありがとう、ございます?」
「ジョナサン。動画の撮影は任せる」
「あ、うん」
「園原。これは、どうやって使うんだ?」
「……それ、結構重いやつですけど、大丈夫ですか?」
「問題ない」
それならと、使い方を教えて試し撃ちも済ませる。……ディオが手にしたのは、現代の重装兵が使いそうなデザインの、大型の水鉄砲だった。
「さて――あの猿め。このディオが仕留めてやる」
悪巧み同盟に元魔王様が加入しました!!これで勝つる!!
「……よう。あんたも参加か?それなら、ジョセフを海側に行かせないようにしてくれ。波紋には水面を歩ける技もあるんだろ?」
「うん、あるよ。そっちに逃げられてしまうと、追い掛けるのが難しくなるね」
「なるほど。では、そうするとしよう」
バックパック型の水鉄砲を持った承太郎が水補給のためにやって来て、それと入れ替わるようにディオがジョセフのもとへ。……直後に、"何でディオの野郎まで!?"という悲鳴が聞こえた。
「……それで?何で急にディオがやる気になったんだ?」
「あー……さっき、ジョセフ先輩がわざとこっちに来て、同士討ちを狙っただろ?その時、俺とイージスが水を防がなかったら、ジョナサンに直撃してただろうなって言って……」
「それ以上は言葉にしなかったけど、あれは明らかにジョナサンのために動いたんだろうね」
「そうだな。ジョナサンのためとしか思えない」
「……そういう事か。気持ちはよく分かる」
「あ、やっぱりそういう事だったんだ。……僕の事は気にしなくてもいいのに」
俺とイージスの説明に、承太郎は深く頷き、ジョナサンは呆れたようにそう言った。……しかしその表情は笑っていたので、実は喜んでいたりするのか?
「……俺もディオに続くぜ。シドを狙った罪は重い」
「それ、俺の分までよろしくね承太郎。俺の本体を狙った罪は重い!」
「おう。任せとけ」
好戦的な笑みを浮かべた承太郎が、バックパック型から、ディオが持って行った物と同じタイプの水鉄砲に切り替えて、再び向かって行く。……あ。前線にいるディオと合流して挟み撃ちにし始めた。
すげぇ。3部主人公とラスボスが息ぴったり。持ってる水鉄砲も同じだから、バディ組んだ傭兵同士のコンビプレイにしか見えない。仲良しか。
……その後。へとへとになったジョセフは、"もう二度と同じ事はやらない。もっとシーザーに気を遣う"と誓った。シーザーもそれを受け入れたので、承太郎達もこれで勘弁してやろうと納得した。
これにて、悪巧み同盟によるジョセフ・ジョースター襲撃作戦は終了!
後に、ディオから送られて来た動画を承太郎達や、協力してくれたリサリサさんにも送り、笑いを提供した。
それに気づいたジョセフに消せと言われても、彼らはもちろん、拒否したという。
※3部主人公とラスボスの共同戦線(第三者視点)
――ジョセフ・ジョースターは混乱していた。
突然の水鉄砲による奇襲。味方は誰もいない。そして何よりも、敵が自らの血族と前世の兄弟子である事。……さらに、現在の状況。
(なーんでディオの野郎と承太郎が共闘してるのかなァ!?)
ジョセフは今、前世の孫とその宿敵によって追い詰められていた。
承太郎とディオは、共に同じタイプの水鉄砲を手にしている。現代の重装兵が使いそうなデザインの、大型の水鉄砲だ。
ジョセフを挟み撃ちにしている2人は、揃って無表情。真顔でひたすら撃ってくる。逃げる方からすれば、恐怖でしかない。
片方の攻撃をジョセフが避けると、もう片方はそれを予測していたのか、ジョセフが避けた位置に的確に攻撃してくる。
また、同時に攻撃して逃げ場をなくす事もあった。息ぴったりだ。
承太郎とディオは、アイコンタクトやハンドサインで互いの意思を確認し、即興のコンビネーションを行っている。
互いに利害が一致しているからこその、阿吽の呼吸だった。
承太郎は園原が、ディオはジョナサンが、ジョセフの策略のせいで被害に遭いそうになったため、その報復を行っているのである。
そんな2人が、目を合わせて一度頷く。
(そろそろ、終わらせようぜ)
(いいだろう。お前に合わせてやる)
言葉にするなら、おそらくそんな会話になっていたはずだ。
「承太郎ォ!お前、何でディオに味方して――」
「――オラオラオラオラァ!!」
「――無駄無駄無駄無駄ァ!!」
「うぎゃっ!?待っ、ちょ、わぶっ!?」
ラッシュの掛け声と共に、2人は一斉に水鉄砲の連続撃ちをして、ついにジョセフに膝を突かせた。
もはや、動く気力も無いジョセフを見下ろしてニヤリと笑い合った2人は、ロータッチで互いの健闘を称えた。