空条承太郎の友人   作:herz

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・男主視点。

・オリキャラが登場します。

・ご都合主義。捏造過多。


 ――空条承太郎だって、シリアスな場面でも笑ってしまう時があるはず。




空条承太郎の友人は、対峙する

 

 

 

 今まで正体不明だったスタンドを目撃した日から、数日後。ようやく敵のスタンド使いを特定した俺達は、そのスタンド使いを捕らえる作戦を実行する事にした。

 

 作戦の参加者は、俺を入れて7名。そのうち、俺を含めた5人が高校生、残り2名が中学生だ。

 俺と承太郎とジョルノが参加するのは最初から決まっていたのだが、残り4名の中で自主的に参加したいと言い出したのは、2名。

 

 まず1人目が、仗助だ。今回、俺と承太郎が敵の攻撃を受けたと知り、犯人が許せないと参加を強く希望したので、仲間入り。

 そして2人目だが……意外な事に、虹村――否、形兆が参加を希望した。

 

 形兆とは、実は今日に至るまでに何度か財団の支部で顔を合わせており、そのおかげで徐々に前世のトラウマを克服しつつある。

 今では背後や横合いから突然声を掛けられたり、物理的に距離を縮めたりする事さえ無ければ、ごく普通に会話をする事が可能だ。

 

 その形兆が、何故参加したのか。

 

 

「……別に。個人的に、犯人が気に食わないだけだ」

 

「兄貴は志人さんが犯人に攻撃されたって聞いた時、結構怒ってたんだぜぇ?ダチだから心配だって――」

 

「億泰っ!!」

 

「いってぇ!?」

 

 

 と、弟である億泰の頭に拳骨を落とす形兆。……否定しないって事は、そういう事なのだろう。そうか。俺の事を、ダチだと思ってくれてたのか。

 俺が一方的にそう思っているだけだと思っていたら……嬉しい誤算だな。

 

 ……で。作戦に参加する残りの4人のうちの3人目が、この億泰である。彼は自主的な参加ではない。仗助と形兆の間を取り持つために呼ばれた。

 この2人は表立って争う事は無いが、前世の俺が形兆に殺された件が原因で、あまり折り合いが良くない。仗助は形兆が側にいると、ピリピリしてしまうのだ。

 

 ……当初の予定では、これで参加者を締め切る予定だったが、俺がそれに待ったを掛けた。

 

 

「――1人、女性のスタンド使いにも同席して欲しいな。……相手のスタンド使いは女だから、男のみで囲うと無駄に警戒させてしまう。1人女性がいるだけで、少しはマシになるだろ」

 

 

 俺の提案は採用され、もう1人女性のスタンド使いに参加を求める事になった。……今回は、相手を捕らえて終わりではなく、話し合いもする予定だ。

 鋏のスタンドの詳しい能力や、彼女が今回の騒動を引き起こした理由について、話を聞く必要がある。

 

 彼女がこちらに協力的だった場合、財団に登録してもらって、構成員の監視の下で更生してもらう事も、視野に入れていた。

 

 さて。その最後の1人である女性のスタンド使いだが、徐倫で決定した。

 ちょうど、作戦決行日が徐倫以外の女性スタンド使いにとって都合が悪い日だったから、という理由もあるが……彼女は承太郎が被害にあったと聞いた途端、乗り気になったので……まぁ、そういう事だろう。

 

 

 そんな訳で、この7人が作戦に参加する。

 

 作戦を開始したのは、今日の放課後。犯人を指定の場所まで誘導する役割を担うのは……俺だ。

 彼女にこっそりと、"相談したい事があるので、2人きりになりたい。どうしても君にしか頼めない事だ"と話す。……すると、彼女はそれを快諾した。

 

 もしかしたら、俺を尾行していた件がバレていないと思い込んでいるのかもしれない。

 あの一件があった翌日以降も、俺を避けようとしなかったからな。むしろ向こうから話し掛けて来る始末。

 

 まぁ、俺達にとっては相手が無防備である方が都合が良い。そのまま勘違いさせておき、皆が待っている場所まで誘導する。

 到着した場所は、とある空き教室。中の窓も、廊下に続くドアにも遮光カーテンが掛かっており、中は真っ暗だ。先に彼女を入れて、俺も中に入った瞬間。教室の電気が点く。

 

 

「――あ、えっ……!?な、何で!?」

 

 

 そこには、作戦に参加している全員が勢揃いしていた。驚くのも無理は無い。ジョセフ以外のファンクラブ持ち4人が揃っているからな。

 驚く彼女を尻目に、出入口の近くにいる仗助と虹村兄弟のうち、虹村兄が素早くドアを閉めて鍵を掛け、遮光カーテンも閉めた。

 

 

「兵隊くん達は、もう外にいるのかい?」

 

「バット・カンパニーと呼べ。……既に配置済みだ」

 

「そっか、ありがとう形兆。外の見張りは君に任せるよ」

 

「…………その口調、どうにかならんのか?気持ち悪いぞ」

 

「あははは、大きなお世話だこの野郎。……彼女がいるからね。できる限り素顔は見せたくないんだ。俺の素顔を知るのは、君や承太郎達のような仲間だけでいい」

 

「……ふん!」

 

 

 あ、今ちょっと照れたな?このツンデレくん。

 

 例の王子扱いされた件のせいで、俺の名前と容姿は高等部全体に知れ渡ってしまった。

 この場にいる面子にもバレているし、もう猫を被っても意味は無いんだが……知り合い程度の、それも今回の事件の犯人がいる場所で素は見せたくない。

 

 

「それよりも、早くお前の仕事をしろ」

 

「あぁ、そうだった。……イージス・ホワイト。防音バリアを頼む」

 

「はいはい。任せて」

 

 

 彼女の横を通り過ぎながら、イージスを呼び出して教室内にバリアを張る。これで、外には音が漏れない。

 ……承太郎の隣に立った俺は、仗助と虹村兄弟が出入口を塞ぐのを確認してから、口を開いた。

 

 

「騙すような真似をして、ごめんね――」

 

 

 形だけの謝罪をした俺は、彼女の名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

「――火宮さん」

 

「……園原、くん?どういう事なの……?あの透明な壁と、その天使みたいな人は何!?それに、この人達と知り合いだったの!?一体どういう関係、」

 

「おっと!志人さんへの追及はそこまでにしてください。……何故こんな状況になっているのかは、ご自分がよく分かっているのでは?」

 

 

 と、ジョルノが意味深な笑みを浮かべ、彼女に声を掛ける。

 

 

「最近。この学校を騒がせていた、突然恋人同士や友人同士が仲違いする事件……その犯人が、あなたなのだから」

 

「なっ、……何の、話?」

 

「あなたが鋏のスタンドを所持している事は、既に分かっていますよ」

 

「すたんど……?」

 

「……おや?スタンドの事自体が、そもそも分からない?今あなたに見えている、天使のような人……志人さんのスタンドである、イージス・ホワイトというのですが、彼がそのスタンドの一種です。

 あなたの鋏も、イージスと同じくスタンドに含まれます。……そして、スタンドは基本的にスタンド使いにしか見えないというルールがありまして。

 

 イージスの姿や、バリアを目にする事ができるのは、スタンド使いである事の証明となります。つまり、あなたはスタンド使いだ。……ここまでは良いですか?」

 

 

 冷や汗を流した彼女は、黙ったまま、何も反応しない。

 

 

「……無言は肯定と取りますよ」

 

「……ジョルノ。ちょっと待って」

 

「徐倫?」

 

「いつまでも立たせたままだと、可哀想だわ。適当に座らせてあげましょう」

 

「……そうですね。確かに、その通りです。……火宮幸恵さん。どうぞ、好きな場所に座ってください」

 

「は、はい……」

 

 

 これは、元々打ち合わせしていた流れだ。唯一の女性である徐倫が彼女を気遣う事で、気を緩ませる。その方が、多少は口が軽くなるだろう。

 

 

「……さて、話を続けます。勝手ながら、あなたについて調べさせてもらいました。

 

 夏休みが終わり、新学期に入ってからすぐの事。あなたは恋人と些細な事で喧嘩になり、直後に別れていますね?

 さらに、それから間もなく。その元恋人と他の女子生徒が仲良く話していたところ、突然口喧嘩になり、破局したという小さな事件がありました。

 

 この出来事を皮切りに、仲の良い恋人同士や友人同士が突然破局するという事件が多発しています。……これらは全て、火宮さんがやった事ですね?」

 

「…………」

 

「……まだ認めませんか。僕達の中には、ある恋人同士が目の前で破局するのを目撃する直前に、鋏で何かを切る音が聞こえたと、証言した者が数名いるのですが……」

 

「…………」

 

 

 だんまり、か。……なら、あの日の事も話すとしよう。

 

 

「ジョルノ。代わってもいいかな?」

 

「……いいですよ。ここからは、志人さんに任せます」

 

「ありがとう」

 

 

 火宮さんの前に立つと、何故か彼女は安心したように笑った。……勘違いされてるなぁ。俺は君を庇うつもりは無いぜ。

 

 

「……ねぇ、火宮さん。俺はね、君や水野さんに出会った後から、度々妙な視線を感じていたんだ」

 

「妙な視線?」

 

「そう。なんというか――体に纏わり付くような、気持ち悪さが後に残る……そんな視線だった」

 

「…………」

 

「その視線は俺が水野さんに告白されて、それを断った日を境に、急に増えた気がしている。

 最初は告白騒動で俺に恨みを持った人達のうちの、誰かの視線だと思ってたんだよね。例えば、水野さんとか」

 

 

 そう。俺は最初、水野さんを疑っていた。俺に好意を持っている女で、振られた後も何か言いたい事があって視線を向けていたのではないかと、そう思っていたのだが……

 

 

「でも、数日前……鋏のスタンドに攻撃された日。水野さんは犯人では無い事が分かった。

 俺のスタンド、イージスが犯人の後ろ姿を目撃したんだけど、その特徴に水野さんは当てはまらなかったから。

 

 犯人の特徴は、制服を着た女子生徒。上履きの色は青、つまり高校2年。そして――長い黒髪を、ポニーテールにしている」

 

「っ!」

 

 

 俺がそう言うと、火宮さんの肩が跳ね上がった。……腰まで届く程の、長いポニーテールが揺れる。

 

 

 あの日。俺は犯人の女の特徴をもう少し絞るために、イージスに聞いてみた。……女はどんな髪型をしていたのか、と。

 イージスによると、低い位置で髪を結んでいて、長さは背中を優に越していたという。

 

 初めに長い黒髪と聞いていたから、肩を越す程の長さの黒髪を持つ、水野さんが犯人ではないかと疑っていたが……彼女よりも火宮さんの特徴と一致してしまい、首を傾げた。

 

 同じ学年の女子の中で、イージスが言う特徴に当てはまる人は、俺が知る限りでは火宮さんしか思い付かない。

 その後。承太郎や花京院、形兆の手を借りて、同学年の女子全員の容姿を調べてみたが、やはり火宮さん以外にその特徴と一致する女子はいなかった。

 

 水野さんよりはマシな女であり、大人しくて優しそうな……それこそ、虫も殺さないような顔をしている彼女が、今回の騒動を引き起こしたのだ。意外過ぎる。

 

 

「この特徴を持つ、俺と同学年の女子生徒は……火宮さん。君しかいないんだよ。……それに、この理由以外にも、犯人は君しかいないと決定付ける証拠がある」

 

「……証拠?」

 

「うん。――この学校には、中等部から高等部に掛けて、俺達の仲間のスタンド使い以外のスタンド使いは、君しかいないんだ。

 これは俺達全員が数日掛けて念入りに確かめた事だから、間違い無い」

 

「えっ!?」

 

 

 作戦決行日である今日が来るまでに、俺達は危険を承知で数日間。他の生徒や教師達の前で、頻繁にスタンドを出してみた。

 良い機会だからと、今回の犯人以外に、この学校にスタンド使いがいないかどうかを調べたのだ。……その結果。俺達以外のスタンド使いは、彼女しかいない事が分かった。

 

 

「もちろん、君の前にもスタンドは現れたはずだ」

 

「そ、そんな!?わたし、そんなの見てないわ!」

 

「いや、見ているよ。……そうだよね、形兆?」

 

「……ほーら、見ろよ。お前は数日前に、こいつを見たはずだ。……見覚えがあるだろ?」

 

「――あ……っ!」

 

 

 そう言う形兆の手の平の上には、バット・カンパニーの兵隊のうちの1体が乗っていた。それを見た彼女は、やはり見覚えがあったのだろう。口を両手で覆って驚いている。

 形兆は、火宮さんや水野さんのクラスメートだ。同じクラスの生徒や担任の前でバット・カンパニーを出した時、それが見えていたのは火宮さんだけだったと、数日前に証言していた。

 

 

「……これで分かったよね?俺達の仲間の中には鋏のスタンドを使う人間はいないし、人同士を突然破局させる能力を持つ者もいない。

 消去法で、あの鋏のスタンドを使う人は君しかいない、という結論になる訳だ。……ねぇ火宮さん。そろそろ、認めてくれないかな?」

 

「……なんで?」

 

「え、」

 

「なんでよ!どうしてわたしを疑うの!?酷い、酷いよ園原くん……!!」

 

 

 突如として、火宮さんがヒステリーを起こした。やれやれ、面倒な……いや、待てよ?これはチャンスか?

 

 

「……どうして、と言われてもね。犯人はどう考えても君しかいないよ。数日前に俺に攻撃して来たのも、君だろう?」

 

「知らない!そんなの知らない!!園原くんに攻撃なんかしてないし、そもそもあなたの後を追う事もしてない!」

 

「……へぇ?じゃあ鋏のスタンドの事は?」

 

「赤い鋏の事だって何も知らないわ!!それに、その天使みたいな人の証言だって、本当に信用できるか分からないじゃない!?」

 

「……何故そう思うのかな?」

 

「逃げた犯人の後ろ姿を見ただけでしょう?彼が犯人の容姿を見間違えてる可能性だって――」

 

「「――ぶふ……っ!!」」

 

 

 その時、2人分の噴き出す音が背後で聞こえた。次いで、大笑い。……承太郎とジョルノだ。

 

 

「くふっ、ふは、ははは、はははははっ!!」

 

「ゆき、と、さんっ、Bravo(素晴らしい)!!あははっ、はは……っ!!」

 

「……父さ、じゃない、兄さんもジョルノも、どうしちゃったの……!?」

 

「じょっ、承太郎さん……!?」

 

 

 俺と承太郎とジョルノ以外、全員が唖然としている。……そういえば、この2人が旧図書館組の面子以外の前で、こんなに腹を抱えて笑ったのはこれが初めてかもしれない。

 普段はグループの中でも草を生やす事が珍しくない2人だが、他の仲間達はそれを知らないからな……

 

 

「くくく、はは……!おいおい、シド!お前、よくもまあ、そいつに上手く墓穴掘らせたもんだな!」

 

「ふふ、本当に……いやあ、さすがですよ志人さん」

 

「……正直、上手く嵌まり過ぎて俺が一番驚いて、というか困惑してるんだけど?」

 

「っは!そうだな、違い無い。……さあて、未だによく分かってない奴らにも、分かりやすく説明してやるよ」

 

 

 承太郎が俺の隣に立ち、俺と一方的に肩を組む。……先程までの大笑いとは一転して、酷く冷たい表情で火宮さんを見下していた。

 もしや、これが俗に言う"養豚場の豚を見るような目"か……?リサリサさんが乗り移ってるぞ、親友。

 

 

「……てめえに聞きたい事は、3つだ。1つ目――何故、犯人がシドを尾行した事を知っている?」

 

「え……?」

 

「2つ目――何故、鋏のスタンドの色が赤である事を知っている?」

 

「……あ、」

 

「3つ目――何故、犯人が逃走した事を知っている?」

 

「…………そっ、それ、は、」

 

Answer(答え)――俺達以外に、犯人しか知り得ない情報を知っていた理由は、てめえ自身が犯人だから。……はい論破、ってな」

 

 

 ……そう。俺は今までの話の中で、尾行された事、鋏のスタンドの色、犯人が逃走した事を口にした覚えは無い。

 それを火宮さんが知っているという事は……後は、承太郎の言う通りだ。

 

 ヒステリーを起こしたのを好機と見て、口を滑らす事を期待したのは事実だが、墓穴を掘るのが早過ぎだろ。

 

 

「……火宮さん。君は何故こんな事をしたんだ?仲の良い人同士を意図的に仲違いさせるなんて、何故そんな事を?」

 

「――――他人の不幸は、蜜の味」

 

「……あ"?」

 

「わたしは、それが大好物なの」

 

 

 そう言って、女は醜悪な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

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