空条承太郎の友人   作:herz

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・最初は男主視点。途中から第三者視点。

・ご都合主義。捏造過多。

・not腐向け


 ――空条承太郎だって、大勢の前だろうが関係なく、親友に対して悪ふざけをする時があるはず。




ファンクラブ騒動
空条承太郎の友人と、一難去ってまた一難


 

 

「――緊急事態です。ジョナサンと兄さんも含めて学生組は全員談話室に集合。特に、志人さんと承太郎さんは強制参加で」

 

「え?」

 

「あぁ?」

 

 

 火宮さんによる縁切り騒動が解決した、その日の夜。俺は例の如く、ジョースター家で夕食を共にする事になった。

 だが、ジョースター家にお邪魔して間もなく、ノートパソコンを手にしたジョルノがそんな事を言い出した。とりあえず、呼ばれた全員で談話室まで移動。

 

 

「……とりあえず、これを見れば状況は把握できると思います。どうぞ」

 

 

 そう言って、ジョルノが俺達にノートパソコンの画面を見せる。そこには――

 

 

「――承太郎さんと、志人さんの写真……っスね」

 

「ついにバレたってことかァ……あちゃー」

 

 

 俺と承太郎が、一緒に写っている写真だった。……喧嘩の後、仲直りした時に撮られたのだろう。俺の笑顔と、承太郎の後ろ姿が写っている。

 ジョルノが見せたのは、学校の裏サイトだ。そこに何者かが盗撮した写真が載せられ、掲示板は荒れに荒れていた。

 

 水野さんが原因で、俺の存在は学校中で話題になっている。そんな中での、これだ。

 ……迂闊だったな。承太郎と仲直りできた事は良かったが、その代わりに一難去ってまた一難……あーあ。

 

 

「…………俺、来週学校行ったら承太郎のファンクラブに殺されるな……」

 

 

 明日、明後日と土日で、学校は休みだ。だが、来週に行けば間違いなく袋叩きにされるだろう。

 

 

「来週が命日か……」

 

「命日になんて誰がさせるかよ」

 

「そうよ志人さん!ジョルノが何のためにあたし達を集めたと思ってるの?この状況を何とかするためでしょう。……そうよね?」

 

「はい。そのために、ジョナサンと兄さんも呼びました。2人にも知恵を借してもらおうと思って」

 

「そういう事か。……いいだろう。協力してやる」

 

「とりあえず、掲示板から情報を集めてみようか。何か役に立ちそうな情報があるかもしれない」

 

「よーし。じゃあ全員まずは裏サイトに入って、それぞれ情報を集めようぜ。……あ、園原はうちの学校の裏サイトへの入り方、知ってるか?」

 

「はい。高1の時に、内部生のクラスメートから教えてもらいました」

 

 

 今は広く浅い付き合いをやっていたせいで、いろんな奴に顔を知られて面倒な事になっているが、外部から入学して来た当初は、この付き合いのおかげで裏サイトの事やいろんな情報を知る事ができた。

 よって、この付き合い方にも利点はあるが……これからは、狭く深い付き合いにシフトした方がいいかもしれない。

 

 王子サマ扱いされた事、告白騒動、そして今回の一件。……総合して、中途半端に顔が広いとろくな目に遭わないという事が、よーく分かった。

 

 さて、閑話休題。……自分のスマホで裏サイトに入り、掲示板の書き込みを見る。

 

 

「こいつら……っ!志人さんの事を好き勝手に馬鹿にしやがって……!!」

 

「仗助。ムカついても書き込んだら駄目ですよ」

 

「分かってる!」

 

 

 仗助が言うように、俺はボロクソ言われていた。承太郎に関係する事もそうだが、それとは関係無い事……水野さんに関係する事もいろいろ書き込まれている。

 大体が承太郎に馴れ馴れしく接している事の恨みや妬み、水野さんが告白した時に恥を掻かされたとか……これは間違いなくクラスメートの誰かだな。それから、

 

 

「……やっぱ、人間は顔が全てなんだな」

 

 

 "こんなモブ顔、ジョジョには相応しくない!"、"醜いガリ勉"、"これに惚れた女は眼科行け"、"承太郎様に近づくな不細工"……エトセトラ。

 

 そんな、俺の容姿に文句を言う書き込みが特に多い。……俺だって好きで顔隠してる訳じゃねぇよ。目付きの悪さでてめぇらを怖がらせないようにわざわざ!こんな見た目になってんだよ!

 

 

「あ?人間は中身だろうが」

 

「そうだそうだァー!」

 

「顔は二の次っスよ!」

 

「外面だけを気にする人間とはお近づきになりたくないですね。やはり、中身でしょう」

 

「女も男も中身よ、中身!」

 

「そこの顔面国宝級家族は黙らっしゃい」

 

「顔面、国宝級……?新鮮な言葉だね」

 

「園原はたまに、よく分からん言葉を口にするな……」

 

「そこの大学生組。他人事みたいな顔してますけど、俺はあんた達も含めて顔面国宝って言ったんですよ?」

 

 

 確かに俺も人間は中身だと思いたいが、それをジョースター家の人間に言われたくない。お前らは代々国宝級遺伝子を受け継いでるだろうが。

 

 

「それにしても……この人達は志人君の事をよく知らないくせに、本当に好き勝手に言ってるね。

 志人君の容姿だって、隠してるだけでその下はカッコいいのに……その事を知ったら、この人達はどんな反応をするかな?」

 

「!……ジョナサン」

 

「ん?何だい、ディオ?」

 

「――それだ」

 

「えっ?……どれ?」

 

 

 きょとんと首を傾げる、ジョナサン。その隣にいるディオは得意気な顔をして、俺達にある事を提案した。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 週の始まり。1人で学校に登校した園原は、前髪と伊達眼鏡で隠された眉間にシワを寄せていた。……周囲から自分に集まる視線が、煩わしい。

 

 

 裏サイトで承太郎と園原の写真が投稿された日から今日までに、その情報はほとんどの生徒に知れ渡っていたようだ。

 ファンクラブの生徒は園原に聞こえる程の声で口々に暴言を吐き、ファンクラブに入っていない生徒は園原に憐れみの視線を向ける。

 

 だが、当の本人である園原は背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を向いて歩いていた。周囲を気にしている様子は、全く見られない。

 その堂々とした姿に驚く者や、呆れる者、苛立ちを募らせる者がそれぞれいた。

 

 

 園原が下駄箱に到着し、自分の上履きが入っている扉を開けると、

 

 

「…………うわぁ」

 

 

 思わずそんな声が出てしまう程に、酷い状態だった。上履きはボロボロで、中は汚れやゴミだらけになっている。……周囲から、ひそひそと話す声や嫌な笑い声が聞こえた。

 

 念のために予備として自宅に残していた新品の上履きを、持参した袋の中から取り出し、それに履き替える。

 

 

「――こいつは酷いな」

 

「まさしく、いじめの典型例」

 

「ん?……あぁ、おはよう。承太郎、花京院」

 

「おはよう」

 

「おはよう、園原君」

 

 

 周囲がざわついた。……承太郎と花京院が何でもないように、ごく普通に、園原に話し掛けたからだ。園原自身も堂々としている事が、周囲を驚かせる。

 

 

「――よお、志人!」

 

「おっはよー、園原!」

 

「あ、おはようございます。ポルナレフ先輩、ジョセフ先輩」

 

 

 さらに。後からやって来たポルナレフとジョセフまで、親しげに話し掛けたものだから、周りは大混乱だ。

 何故、あんな冴えない男が承太郎やジョセフ、その周囲の人間に構われているのか。そして園原がそれを当然のように受け入れているのは、何故か。

 

 この状況を見ていたファンクラブの過激派は、混乱すると同時に激怒していた。

 今すぐにあの場から園原を引き離し、暴力によって黙らせてやりたい!そう考える者もいた。……しかし承太郎達が側にいる限り、それはできない。歯を食いしばって我慢するしか無いのだ。

 

 ついには、承太郎達が園原の下駄箱の片付けを手伝い始めてしまった。

 自分達が仕掛けたくせに、彼らに汚い物を触らせた園原に対しての憎しみが増していく。……当然だが、それは逆恨みである。

 

 

「にしても、誰だよ!こんなひでぇ事やったのは」

 

「さぁな。……だが、犯人は確実に――今この場にいる生徒達の中に紛れ込んでいるだろう」

 

 

 そう言って、花京院が周囲を見る。……彼の言う通り、その場で様子を見ていた者達が一斉に目を逸らした。

 

 

「へー?何でそう思うんだ?花京院」

 

「いじめをする人間は、いじめの対象の反応を見たがるものだ。どうせ、園原君の反応を見て陰で嗤うつもりだったんだろう。当てが外れて残念でした、ざまあみろ」

 

「…………花京院ちゃーん?何かお前、いつもより当たりが強くないかァ?」

 

「あぁすみません、ジョセフさん。……昔、似たような事をやられた記憶が甦ってしまって、つい」

 

「はぁ!?お前が!?」

 

「そうだよ、僕が!……といっても本っ当に、昔の事だ。かつての僕には人間の友達がいなかったからね。周りにはこういう事をしてくる奴らもいた」

 

 

 花京院が話しているのは、今世ではなく、前世の小学生や中学生時代の話だ。……彼の友達は、自身のスタンドであるハイエロファントグリーンだけだった。

 

 

「まぁ、だからこそ。僕には1つ、分かっている事がある。――こんな事をする奴らの心根は間違いなく、相当腐っているぞ」

 

 

 花京院が再び周りを見ると、周囲の生徒達は静かになる。

 

 

「……だからね、園原君。そんな奴らの言い分とかは、気にしないでいいんだよ」

 

「ありがとう、花京院。……大丈夫。俺もよーく、分かってるよ。そういう奴らは気にするだけ無駄だって事は、小学校と中学校で学んだから」

 

「……まさか、君も?」

 

「そうなんだよ!いじめってさ、大体やられる事決まってるなぁって思わないか?下駄箱汚すのは当たり前だろ?あと、どうせ教室行ったら机も汚れてるんだ、きっと」

 

「分かる!僕の時は机の中に生ゴミ入れられてた」

 

「俺の時は机の中に虫の死骸がたくさん入ってた」

 

「あるあるだね!それから机いっぱいに落書きされる悪口のオンパレード」

 

「そうそう。あれ、犯人達語彙力どうした?って心配になるぐらい悪口のレパートリーが少ないと思わない?」

 

「確かに。大体いつも書かれている事が同じだ」

 

「だよねぇ?」

 

「…………おい、てめえら。その辺にしておけ……」

 

「俺達が精神的に地味なダメージ食らってるから止めて!」

 

「いろいろ、チクチクと心に刺さる……!!」

 

 

 陰湿ないじめの経験者2名の話に、残りの3名は耐えられなかったのか、そんな声を上げた。……それから間もなく、下駄箱の片付けが終わる。

 

 

「手伝い、ありがとうございました。本当に助かります。何かお礼がしたいんですが……」

 

「そんなの気にすんなって!仲間助けるのは当たり前だろ?」

 

「そうだぜ、園原!お前は承太郎のダチらしく堂々としてろ!」

 

 

 仲間。承太郎のダチ。……そんなポルナレフとジョセフの言葉に、再び騒がしくなる周囲。

 

 あんな奴が彼らの仲間、ましてや承太郎の友人だなんて信じられない。似合わない。釣り合わない。相応しくない。

 ファンクラブの者達は、そんな事を小声で話しているが……それ以外で、この状況を冷静に観察している数人の傍観者は、既に察していた。

 

 ファンクラブの人間は、手を出してはいけない相手に手を出してしまったのだ、と。

 

 

「……シド」

 

「ん?」

 

「礼がしたいっていうなら、今からちょっと大人しくしてろよ」

 

「え?何?何するの?」

 

「心配するな。ちょっと生まれ変わるだけだ」

 

「はい?あ、ちょ!?俺の眼鏡!」

 

「花京院、これ預かってくれ」

 

「はいはい」

 

「ポルナレフ。シドを押さえてろ」

 

「おう、任せろ」

 

「先輩!?」

 

 

 と、何故か承太郎が園原から眼鏡を奪って花京院に預け、ポルナレフに園原を押さえさせる。ジョセフはそんな様子を、ニヤニヤしながら見届けた。

 それから、承太郎が鞄の中から取り出したのは……ヘアピンなど、髪を整えるための道具だった。彼はそれを使って、園原の髪型を勝手に整えていく。

 

 そして最後に、眼鏡を掛けさせた。……園原の顔を見たポルナレフが軽く口笛を吹き、同じく彼の顔を見た花京院が唖然とする。

 

 

「よし、完成。……お前、これからはその髪型で学校に来い。その顔出しておけば、やっかみもマシになるだろ」

 

 

 承太郎が離れると、周囲の人間にも園原の素顔が見える。――そこには、別人がいた。

 

 前髪の片側が耳に掛けられ、もう片方は横に軽く流されている。そのおかげで、彼の顔がよく見えた。

 綺麗に整えられた眉に、つり目。鼻筋が通っており、眼鏡を掛ける事で涼しげな印象が出ていた。……そんな顔立ちの男が眉を下げて困った顔をしているため、少々幼く見える。

 

 可愛い。いやいやカッコいいでしょ。いや、あれは可愛い。とりあえず美形。うんうん。正直、ジョースター家の人よりも好みかも……

 ……女子生徒達から、そんな声が上がった。とんだ手の平返しである。ファンクラブの人間も、思わず黙り込んだ。

 

 

「すげーな……髪型変えるだけで、こんなに違うのか」

 

「前髪上げて眼鏡外したところを見た時は、目付きの悪さ以外は承太郎並みの美形だと思っていたが……その目付きも緩和されると、本当にただのイケメンだな」

 

「花京院?それ、実は俺の事さりげなくディスってない?」

 

「そんな事は無いよ?爆発しろとか思ってない。思ってないから」

 

「それ絶対本気でそう思ってるやつだろ?なぁ?」

 

「いやいや」

 

「……シド」

 

「何?承太郎」

 

 

 花京院とじゃれ合っていた園原は、承太郎に呼ばれて振り向く。……じっと見つめられた。さすがに困惑して、園原が首を傾げる。

 

 

「何だよ?」

 

「いや――お前はやっぱり、顔を隠さない方がいいな」

 

 

 周りで女子生徒達の喜びの悲鳴が上がる。……普段、人前では滅多に無表情を崩さない承太郎が、園原の顎に指を掛け、優しい微笑みを向けたのだ。

 

 

「…………そうかな?ありがとう」

 

 

 と、園原もふわりと笑う。……さらに悲鳴が上がった。

 

 ……だが、そんな園原の表情が引きつっている事に気づいた人間は、彼女達の中にはいない。そして彼の引きつった表情を見て、一瞬ニヤリと笑った承太郎に気づいた人間も、いない。

 

 

(――アドリブ(・・・・)なんていらねぇよ!?わざわざ人前でそんなセリフ言ったり笑ったりする必要はねぇし男が男に顎クイとか何処に需要があるんだ!?)

 

 

 園原は、内心でそう叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

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