空条承太郎の友人   作:herz

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・第三者視点。

・キャラ崩壊。

・ご都合主義、捏造過多。


 ――ただし、この宴は断罪対象にとって地獄でしか無い。




ジョースター家と仲間達による、楽しい楽しい宴

「――昼休み中、失礼するぜ。……高校2年の空条承太郎だ。放送部には悪いが、今日は俺が放送室を使わせてもらう」

 

 

 それは、突然始まった。

 

 

 園原が熱射病で倒れ、病院に運ばれた日の翌日。昼休みにスピーカーから流れたのは、いつもの放送部による放送……ではなく。

 学内最大規模のファンクラブを持つ、空条承太郎の声だった。……彼のファンは皆、女も男も歓声を上げる。

 

 しかし。彼らは喜んでいる場合ではない。これから始まるのは――楽しい楽しい、断罪の宴なのだから。

 

 

「……さて。俺は回りくどいのは好きじゃねえ。さっさと本題に入るとしよう。――昨日の昼休み中、ある生徒が救急車で病院に運ばれた」

 

 

 承太郎がそう言った瞬間。放送を聞いていた者は皆、口を閉じた。……その話は、ほとんどの生徒が知っていた。

 

 最近、ジョースター家やその仲間達の輪に、新たに加わった生徒……園原志人。彼が、意識不明の重体で病院に搬送された事件。

 担架で運ばれる園原の側について、顔面蒼白で必死に園原の名を呼ぶ承太郎の姿は、何人もの生徒が目撃していた。

 

 ぐったりとした園原の姿を見て、いい気味だと嗤ったのは、ファンクラブの過激派。

 そして。顔面蒼白の承太郎を見て彼と園原を心配したのは、ファンクラブの穏健派と、ファンクラブに入っていない者達だ。

 

 園原の味方は、順調に増えていた。容姿もそうだが、彼の優しさや、ジョースター家とその仲間達に認められている事。それらの事実を受け止め、彼を認める者は決して少なくない。

 だが過激派のように、まだ園原を認めようせず、未だに彼をいじめている者も、少なくない。

 

 そんな中で、園原が病院に搬送され、さらに今日の承太郎による放送。――嫌な予感を感じた者は、大正解である。

 

 

「……その生徒は、昨日の炎天下の中。校庭の体育倉庫の中に閉じ込められ、重度の熱射病で意識不明の状態で発見された。

 生徒を発見したのは、うちのジョルノとその仲間達だ。その後に救急車を呼び、生徒に応急処置を施したのも、ジョルノ達だ。

 

 ……生徒の担当医によると、その応急処置が無ければ――あいつは今頃、死んでいた可能性が高い」

 

 

 ざわっ!と、生徒達に動揺が広がった。まさか、そこまで危険な状態だったとは思わなかったのだ。

 

 

「……ジョルノ、ミスタ、フーゴ、ナランチャ、トリッシュ。改めて礼を言わせてくれ。――お前達がいなければ、あいつは助からなかった。本当に、ありがとう」

 

 

 ……この放送は、中等部の放送室にいる徐倫のスマホを通して、そちらでも全体的に放送されている。

 

 放送室の外には、エルメェスとF・Fが待機しており、万が一誰かに妨害されそうになった時は、それを防ぐ役目を任されていた。

 また、高等部の放送室の前には、花京院とポルナレフが待機していた。こちらも、エルメェス達と同じ役目を任されている。

 

 ジョルノの根回しによって、中等部と高等部の教師達の許可を得た上で、この宴を行っているが……もしも生徒達の中で妨害しようとする者が出た場合は、彼らの出番だ。

 

 

「……まだ名前は言ってないが、病院に運ばれた生徒が誰なのかは、もう分かったよな?

 

 ――さあて、ここで問題だ。……俺達ジョースター家と、その仲間が、大事な仲間を殺しかけた相手の事を、許すと、思うか……?」

 

 

 おそらく、わざとだろう。承太郎は低い声で、何度か言葉を切りながら、ゆっくりと問い掛ける。

 

 

「答えは、もちろん――許さねえよ!クソ野郎共がぁっ!!」

 

「承太郎!うるさいぞっ!!」

 

「あ、すまん」

 

 

 マイク越しに叫ばれたら、文句を言われるのも当然だ。……スピーカーからドアを開く音と、花京院の声。それから素直に謝る承太郎の声が聞こえた。

 

 

「失礼、取り乱した。……続きを話そう。とにかく、俺達は犯人を許さねえ。

 さらに。今後俺達の仲間をこれ以上危険にさらさないためにも、良い機会だから一気に大掃除(・・・)する事を決めた」

 

 

 大掃除?……そう聞いて大半の者は首を傾げたが、一部の勘のいいガキ共は察した。――つまり、あらゆる意味で(・・・・・・・)園原に手を出した奴らを粛清するつもりだ、と。

 

 

「……俺達は全ての証拠を握っている。その犯人の名前も全員、分かっている」

 

 

 ……園原を倉庫に閉じ込めた3人の男子生徒の顔は、青ざめていた。一体何をされるのか、怖くて仕方ない。……自分達の行いを、今さら後悔しても、遅いのだ。

 

 しかし、そんな彼らに救いの手が差し伸べられる。

 

 

「……ここで突然だが、今は入院中のあいつから、こんな言葉を預かっている。

 "犯人達が、放課後に自分から職員室に行き、自分達がやった事を全て告白して反省してくれるなら、反省文を書かせるだけで許してやって欲しいと、先生達にお願いしている"……だとさ」

 

 

 3人の男子生徒の表情が明るくなった。やっぱり園原はお人好しだ。――馬鹿な奴。……それぞれ、似たような思考でそんな事を考えていた。

 

 水野が園原に告白した時。園原が彼女の告白を断った事、自分達や他のクラスメートに恥を掻かせた事に対して不満を抱いていた3人は昨日、ちょっとだけ懲らしめてやろうと、そんな軽い悪戯心で彼を倉庫に閉じ込めた。

 それがあんな大騒動となってしまい、自分達の行いがジョースター家の人間にバレる事自体は恐れていたが……園原に対しての罪悪感は、微々たるものだった。結果的に生きていたのだから、それで良いじゃないか、と。

 現に園原は、反省文程度で自分達を許してくれる、お人好しなのだから……と。

 

 

 ――だがしかし。……園原の親友である承太郎を筆頭に、その仲間達が彼ら3人の所業を許す訳が無い。

 

 

「……やれやれだぜ。本当に、あいつは――俺の親友は、お人好しが過ぎる。優しい奴だ。まぁ、そういうところがあいつらしくて、俺は結構好きだけどな」

 

 

 またざわりと、動揺が広がる。あまりにも柔らかな、優しい声。……承太郎が園原の事を、人前で親友と呼んだのは、これが初めてだった。

 ファンクラブの過激派が、怒りを募らせる。あんな奴が自分達のアイドルの親友?――論外!烏滸がましい!!奴に承太郎の親友という立場はもったいない!承太郎は、園原の偽善に騙されているのだ!!

 

 

「……そんな訳で、犯人達は放課後に全員、職員室に行けよ。

 さもないと――俺達ジョースター家は、ファンクラブを強制的に解散させるからな。もちろん、卒業したジョナサンとディオのファンクラブも、全てだ」

 

 

 一瞬、室内の音が全て無くなり――直後に、阿鼻叫喚の巷と化した。……自らの"推し"のファンクラブが無くなる。それは彼らにとって、何よりも耐え難い罰だった。

 

 

「恨むなら、俺達の仲間に手を出した犯人達を、存分に!恨めばいい。……ファンクラブが解散の危機にあるのは、あいつに手を出した犯人達の責任だ」

 

 

 承太郎の言葉に反応した、園原に手を出していない者達は、一気に殺気立つ。……犯人を探し出して、この怒りをぶつけてやりたい、と。

 

 そんな彼らの耳に、朗報が聞こえた。

 

 

「では今から、あいつを体育倉庫に閉じ込めた犯人達の名前を読み上げる――」

 

 

 ……名前を呼ばれた3人は血の気が引き、その周りの生徒達の血走った目が、彼らに集中する。

 

 しかし。それだけでは終わらない。

 

 

「――続いて、あいつにいじめ行為を行った者達、全員の名前を読み上げる」

 

 

 誰かが、えっ?と言っている間に、次々と列挙される名前。

 園原の下駄箱と机を汚す常習犯や、園原を階段から突き落とした者。さらに、裏サイトで誹謗中傷を行った者達……などなど。中学生から高校生まで、名前を呼ばれた生徒は様々である。

 

 その全員が、周囲から殺気を向けられた。

 

 

「……以上の生徒は、放課後に職員室へ行き、自らの罪を告白し、反省しろ。

 なお、罪の告白ができる時間は放課後のみだ。それ以外の時間は受け付けないようにと、教師達に頼んである。

 

 ――犯人達は放課後になるまで、他の罪のない生徒達の怒りを全て受け止めろ。それが、俺達からてめえらに与える罰だ!」

 

 

 ファンクラブの過激派や、ファンクラブの関係者ではないが、面白半分にいじめに参加していた者達の体が、震える。

 今まで園原にやった事が全て、倍となって自分達に返って来るであろう、その恐怖。……まぁ、自業自得なのだが。

 

 

「……おっと、悪い。もう1人粛清対象がいた事を、すっかり忘れていた。

 それも、ある意味一番罪が重い生徒――俺とあいつが一緒にいるところを盗撮し、その写真を大勢の目に晒した、全ての元凶の名前だ」

 

 

 名前を呼ばれたとある男子生徒は、自分のクラスの教室にいた。彼は勢いよく立ち上がり、廊下に出ようとする。

 

 

「――おおっと?……何処に行くつもりだ?貴様」

 

「ここは通さねぇよ。そうしろって頼まれてるからなぁ」

 

 

 そんな彼の前に立ち塞がる――虹村兄弟。彼は慌てて、もう1つの出口に向かう。しかし、

 

 

「……ごめん。ここも通さないよ」

 

「あんたの運命は、もう決まっているわ」

 

 

 そちらにも、康一と由花子が立ち塞がる。……そんな彼の背後に近づく、1つの影。

 

 

「最初に聞いた時は、耳を疑ったぜ……」

 

「あっ、ひぃ……っ!」

 

「まさか――全ての元凶が、俺のクラスメートだったなんてなァ……!!」

 

 

 怒り狂う狂犬黒柴――もとい、仗助が鋭い目で彼を睨む。

 

 

「ゆっ、許してくれ!オレは、オレは園原先輩に恨みがあった訳じゃないんだ!ただ、空条先輩のファンクラブの人達は、空条先輩の事なら何でも知りたがるだろうと思って、そう、オレは純粋な親切で!あの写真を裏サイトにあげただけで――」

 

「もういい」

 

「へっ?」

 

「何を言っても、てめえの運命は変わらねえんだよ」

 

 

 その言葉を裏付けるように、承太郎のこんな声が聞こえた。

 

 

「おら、仗助。……ここまでお膳立てしてやったんだから、俺達仲間全員の恨みを籠めて――思い切り!一発だけ!ぶん殴れ!!」

 

「――任されましたァーーッ!!」

 

「ぐぎゃあっ!?」

 

 

 渾身の、一撃。……仗助の拳は、全ての元凶の顔に綺麗に入った。

 

 

「いいぞ、仗助っ!」

 

「よくやった!!」

 

「ありがとう、仗助くん!」

 

「良いパンチだったわね。スッキリしたわ」

 

 

 億泰達4人が拍手すると、罪のないクラスメート達もつられて拍手する。確かに良いパンチだったと、誰もがが思った。

 

 

「これで俺も、初めての反省文かァ……でもまァ、志人さんの仇取れたし、超スッキリしたから結果オーライだな!」

 

 

 そう言って、仗助は良い笑顔で笑った。

 

 

「……さて。これで放送を終わりにするが……最後に言っておくぜ。

 今後、俺達の仲間に手を出す奴は――こんなもんじゃ、済まさねーからな。もう二度と、俺の親友に手を出すんじゃねえぞ。……返事は"はい"か"Yes"しか聞かねえ。以上だ」

 

 

 承太郎のそんな言葉を最後に、その放送は終わる。……彼の感情が乗っていない声を聞き、生徒達の誰もが恐怖で震えた。次は本当に、こんなものでは済まされないだろう、と。確信したのだ。

 

 

 ……その日。園原に手を出した犯人達は、放課後まで多くの罪の無い生徒達に責められる。今まで園原にやった所業が全て、倍以上となって自分達に返って来た。

 犯人達は疲労困憊といった様子で、放課後になるのを今か今かと待ち続けた。

 

 そしてようやく放課後になり、犯人達は我先にと全員職員室に向かう。

 その間。廊下ですれ違った生徒達に罵声を浴びせられたり、わざと足を引っ掛けられたり、散々な目にあっていた。

 

 だが。彼らは知らない。――本当の地獄は、ここからだという事を。

 

 

「――はァーい、いらっしゃいクズ共。……んじゃ、順番に罪を告白してもらうよン」

 

「今後の会話は俺達生徒会役員の手で、全て記録させてもらう」

 

「もちろん、これらの記録は今後の内申に響くから、覚悟しなさいね!」

 

 

 まず。高等部の職員室で待ち構えていたのは、ジョセフ、シーザー、スージーQの生徒会役員3名だった。

 ジョセフとスージーQは口元は笑っているが、目は笑っていない。シーザーは表情も目も冷たい。まるで、某師匠の某目付きのようだ。

 

 この3名は、沖縄旅行中に園原と交流した結果。園原の事を素直で可愛い後輩だと認識していた。……そんな可愛い後輩が死にかけた事を知れば、もちろん黙ってはいられない。

 

 ジョセフ達がジョルノから任されたのは、職員室に押し寄せる犯人達への対応である。

 素直に反省しているようなら、それで構わないが……反省が見られなかったり、未だに園原を恨んでいたり。そんな生徒達を見極めて、マークする。それがジョセフ達の役目だった。

 

 後に。マークされた生徒には、絶対にバレない手で、地味な嫌がらせを実行する事が決まっている。

 

 

 一方。中等部の職員室では――

 

 

「――ほら、さっさと吐いてください。後が詰まっているんですよ。無言は時間の無駄です」

 

「……早く言った方が多少は楽になるわよ。多少は」

 

「フーゴ。こいつ面倒臭いな!殴ったらダメ?」

 

「駄目に決まってるだろ、ナランチャ。……それは最終手段だ」

 

「じゃあ指詰めでもするか?」

 

「それはもっと駄目だろ、ミスタ!……時代が時代なら、やってやりたいところだが」

 

 

 中等部の生徒会役員である、ジョルノ、トリッシュ、フーゴに加え、役員ではないがナランチャとミスタ。この5人が、犯人達への対応を行っていた。

 

 ミスタ達4人は今朝、ジョルノから彼の新たな夢について聞いた。

 

 医者になって、前世で助けられなかった分、今世の誰かを助ける……そんな夢を語るジョルノの姿は、前世でギャングスターになる夢を持っていた時のように、輝いていた。

 彼らは、ジョルノの新たな夢を応援しようと決めた。……そんなジョルノに、その夢を抱かせるきっかけとなったのが園原である事も、彼らは知っている。

 

 ジョルノが園原を心から慕っていて、今回の一件に酷く憤慨している事も、よく知っていた。

 仲間の怒りは、自分達の怒りに等しい。それが前世の自分達を導いてくれたジョルノの怒りなら、尚更だ。

 

 だから彼らは、園原のためというよりも、ジョルノのためにこの報復作戦に協力している。

 

 

 高等部でも、中等部でも。犯人達はジョースター家とその仲間達によって、最後まで、徹底的に、きつく、絞られる事になる。

 こうして、彼らによる楽しい楽しい――犯人達にとっては地獄の――宴は、幕を閉じた。

 

 

 後に、事の経緯を承太郎達に嬉々として語られた園原は、顔を引きつらせてこう言った。

 

 

「――犯人達、生きてるよな……?」

 

 

 

 

 

 







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