空条承太郎の友人   作:herz

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・男主視点。

・ご都合主義、捏造過多。キャラ崩壊あり。


 ――曰く、空気清浄機。曰く、圧倒的光属性。




空条承太郎の友人は、パーティーに参加する

 

 

 

 

 都内某所。……日が沈んだ頃。その場所に1人で訪れた俺は、入り口に立っていた男性2人に招待状を見せる。

 

 

「……園原志人様ですね。確認しました。どうぞ、お通りください」

 

「ありがとうございます」

 

 

 2人が開けてくれた両開きの扉をくぐり、会場の中へ。そこには既に大勢の人がおり、賑やかになっていた。

 財団に登録してるスタンド使いって、こんなにいるのか……スタンド使いじゃない財団職員も混ざっているだろうが、それにしたって参加者が多い。

 

 周りをぐるっと見渡すと、広い会場の奥にある演壇の上。そこに掛かっている舞台看板には、SPW財団クリスマスパーティーと書かれている。

 

 

 学校が冬休みに入ったばかりの12月23日。東京支部主催、クリスマスパーティーが開かれた。

 

 クリスマス当日や前夜では無いが、そういう名目でパーティーが開かれている。

 24日か25日を開催日にしてしまうと、家族や恋人と過ごしたいという人達が参加できないだろう、という配慮から23日になったのだと、俺達に招待状をくれたスピードワゴンが言っていた。

 

 このパーティーは財団職員と、財団に登録したスタンド使いであれば参加できる。あと、波紋使いの面子も。……つまり、参加者のほとんどが前世の記憶を持っている人達である。

 パーティーは立食形式。ドレスコードは無い。入退場も自由だから、パーティーが終わるまでに入れ替わり立ち代わりでいろんな人達が来るかもしれない。……その方が、俺達にとっても都合が良い。

 

 今日の俺達の行動の一つひとつが、今後のディオとジョルノの立場の改善に繋がる。

 そして彼らが本当の意味で自由になれたら、承太郎が抑止力として扱われる事も無くなる。あいつが周りに背負わされている責任を、たった1つだけでも軽くする事ができるんだ。

 

 

 ……さて。承太郎達が来るまでは、あの人の所にいるとしよう。俺に紹介したいって言ってた人も、一緒にいるだろうし。

 スマホを取り出して、メッセージアプリに会場に入った事を知らせる。……すぐに返事が来た。会場の窓側の隅にいるらしい。

 

 そちらに向かい、目当ての人を見つけて声を掛けた。

 

 

「――アバッキオ!」

 

「おう」

 

 

 以前ある任務中に、彼……レオーネ・アバッキオの護衛を担当した。その依頼の後に夕食を奢ってもらった時以来、彼とは何度か顔を合わせている。

 

 今世のアバッキオは個人で探偵業をやっており、その仕事の最中に護衛が必要だった場合、財団を通して俺に指名依頼を出すのだ。

 アバッキオ曰く、俺のスタンドは役に立つし、俺とアバッキオの相性も悪くない。何より、彼自身が俺の事を気に入ったから、今後は護衛が必要な時は俺を指名する、との事。

 

 今日に至るまでに数回、アバッキオに指名されて彼の護衛を担当している。仕事の後はいつも飯を奢ってくれるので、俺にとってはとても良い依頼人だ。

 

 

「……お前、今日は承太郎と一緒じゃねーのか?」

 

「あいつは後で家族と一緒に来る」

 

「……ジョルノもそう言ってたな。てっきり、志人もそっちに混ざるんじゃねえかと思ってたが」

 

「何でだよ。ジョースター家の人達とはありがたい事に仲良くさせてもらってるが、あの一家の人間じゃない俺が一緒に入場したら、変に注目されるだろ」

 

 

 俺は今後の行動で、間違いなく視線を集める事になるはずだからな。ジョースター家がいない今だけは、自由にさせて欲しい。

 ……実を言うと。承太郎には一緒に行こうと誘われたんだが、それを拒否したら期末試験の結果で勝負して、俺が負けたら要求を呑めと言われ……という話は、思い出すと疲れるし、止めよう。

 

 

「お前はジョースター家の身内だって聞いたぞ」

 

「は?誰に?」

 

「ジョルノ」

 

「…………あいつは、全く……!それは誤った情報だから、鵜呑みにしないでくれ」

 

「なんだ。お前が養子にでもなるんじゃないかと思ったぜ」

 

「無い無い。……確かに定期的に夕食一緒に食べるし、最近はジョースター邸にお邪魔する事も増えたが、それは俺が1人暮らししている事を心配して、向こうが頻繁に呼んでくれるってだけだから」

 

「…………おい。お前それ、もしかしなくても外堀、っ、いや、何でもねー」

 

「んん?」

 

「――Guardare e non toccare è una cosa da imparare……だな」

 

「えっ、急なイタリア語止めて?何て言ったんだよ」

 

「さあな」

 

「ええー……?」

 

 

 これは教えてくれないやつだ、と察していたら、アバッキオと一緒にいた人がくつくつと笑う。

 

 

「思っていた以上に、彼を気に入ってるんだな。アバッキオ」

 

「あ?……そうか?」

 

「生意気そうなガキは嫌いなんだろ?それも、まだ出会って数ヶ月しか経ってない相手なのに、随分仲が良さそうじゃないか」

 

「…………まぁ、あんたがそう言うなら、そうなんじゃねえの?」

 

「くくっ……!」

 

 

 おや、アバッキオが照れてる。珍しいな。

 

 

「園原志人、だったな。――ブローノ・ブチャラティだ。よろしく」

 

「はい、こちらこそ」

 

 

 前世ではジョルノの仲間の1人で、護衛チームのリーダーだった男。

 アバッキオには大分前から彼を紹介したいと言われていたが、互いになかなか予定が合わず、今日になってようやく会えたのだ。

 

 

「君の事は、ジョルノとアバッキオからよく聞いているよ。……大分前の話だが、熱射病で倒れて大変だったそうだな?その後の体調は大丈夫だったか?」

 

「えぇ。2日入院した後、すぐに学校に行けましたし、今も元気です。……ジョルノやミスタくん達は、前世ではブチャラティさんの部下だったと聞きました。彼らのおかげで、本当に命拾いしましたよ」

 

「ああ。トリッシュだけは、護衛対象だったから部下では無いが、仲間の1人だ。……俺の仲間達が協力して1人の命を救った事は、とても誇らしい」

 

 

 そう言って、彼は嬉しそうに笑う。……この人、本当にジョルノ達が好きなんだな。アバッキオも含めて、彼らがこの人を慕う気持ちがよく分かる。

 

 

「……前世で助けられなかった人が100万人いたとして、今世ではその倍の人数を何らかの形で助けられたとしたら、前世の未練なんてどっかにすっ飛ぶ……だったな?ジョルノが医者を目指すようになったきっかけは」

 

「えっ。……ちょっと待ってください。もしかしてジョルノやつ、いろんな人にその言葉言い触らしてるんですか!?」

 

「少なくとも、俺の部下達は皆知っているぞ?」

 

「他には言わないでくださいよ!?恥ずかしいから!」

 

「ははははっ!」

 

 

 笑い事じゃねぇんだよ!くそう、ジョルノにも言い聞かせておかないと……!!

 

 

「ジョルノが言うには、君はこの言葉を何気ない様子で口にしたようだが……投げやりな気持ちで言った訳では無いんだろう?」

 

「はい。……あいつにそれを強要するつもりは無く、前世の未練に決着を付ける方法の一例として、提案しました。

 100万人という数は我ながら極端過ぎたなと思っていますが……ジョルノはデカい目標さえあれば、それに向かって迷い無く突き進む事ができるんじゃないかと思って、そう言ってみたんです」

 

「……なるほど。確かに、あいつは前世でもギャングスターというデカい夢に向かって突き進んでいた。

 それと同じぐらいデカい夢を持った今、迷いが消えたという事か。……志人君はそこまで考えていたのか?凄いな」

 

「いや、そうなれば良いなーっていう漠然とした気持ちだったんですけど……まさか、それであいつが医者を目指すようになるとは……」

 

「思考がぶっ飛んでるなぁ」

 

「ぶっ飛んでますねぇ」

 

「……前世でも、あいつはたまに突拍子も無い事をやってたからな……」

 

 

 いろいろ思い出したのか、ブチャラティは遠い目をしている。……お疲れ様です、リーダー。

 

 

「……しかし、俺にとっても君の言葉は参考になる。――今世では、警官をやっている身だからな。

 俺も前世で救えなかった分、警官として今世の誰かを助ける事ができたら……いろいろ、スッキリするかもしれない」

 

 

 けいかん。

 

 ……警官?警察官!?ブチャラティが!?今世のアバッキオが警官じゃなくて探偵になったと思いきや警官になったのはあんたの方かよ!?

 

 

 でも、待てよ?ブチャラティが警官、か……

 

 

「――似合う」

 

「えっ?」

 

「交番の前に立って、通学路を歩いている小学生とか、その地域のお爺さんお婆さんに笑顔で挨拶してるイメージが頭に浮かびました。……似合いますね」

 

「――――」

 

「……ブチャラティさん?」

 

「……初めて言われたぞ。そんな事」

 

 

 余程驚いたらしく、まだ少し呆然としている。

 

 

「君のイメージ通り、今の俺は交番に勤務している。だが、ミスタやナランチャには意外だとか、なんとなくしっくり来ないとか言われたんだ。

 俺は交番勤務よりも、犯罪捜査をする刑事の方が似合うんじゃないか、とも言われた事がある」

 

「そうなんですか?俺としては物騒な事件の捜査をするよりも、地域の人達に寄り添って、お悩み相談とか受けてる方がそれっぽいなと思いました。……まぁ、ただの勘ですけど」

 

 

 原作……否、前世ではカタギの人間から声掛けられたりとか、何か相談を受ける事もあったみたいだし、交番のお巡りさんなら案外似合うと思ったんだよな。

 

 もちろん、マフィアらしい冷徹な一面もあったが、仲間想いの優しい一面もあった。

 そういう二面性を持つ男だが、彼の過去……幼い頃から父親に寄り添い、父親を守るために必死になっていた事を考えれば、本来のブチャラティは心優しい人だと思う。

 

 

「……というか、刑事の方が似合うってちょっと酷くないですか?

 もちろん、ミスタくん達にそんな気は無かったと思いますが、刑事の人達だって好きで物騒な事件を捜査してる訳では無いと思うんですよね。

 

 それが似合うと言われたら、俺だったらなんか悲しくなるというか……え、何ですか?」

 

 

 急に、頭を撫でられた。……俺の周りには何故か、突然俺の頭を撫でたがる人が多い。普通は俺の目付きの悪さに一度は怯むはずだが、ジョジョの登場人物達はそれにもお構い無しだ。

 

 ……実を言うと、撫でられるのは嫌いじゃないから、それは構わない。だが理由が分からないし、自分よりも身長が高い人に撫でられた時は複雑な気分になってしまう。

 ブチャラティは俺よりもほんの少しだけ背が高い程度だからまだ良いが、承太郎やアバッキオに撫でられると、身長寄越せって言いたくなる。

 

 

「……アバッキオが、たまに君の頭を無性に撫でたくなる時があると言っていたが……そうか、これだな」

 

「はい?」

 

「ありがとう、志人君。君は優しい子だな」

 

「はぁ……?」

 

 

 ニコニコと笑顔を向けられても、俺は首を傾げるしかない。

 

 

「――何だこのマイナスイオン空間……2人揃うと空気清浄機になるのか、お前ら」

 

「……マイナスイオン空間?」

 

「空気清浄機……?」

 

「…………いや、気にするな。戯れ言だ」

 

 

 そう言うと、アバッキオは片手で目を覆って項垂れた。……今度はブチャラティと顔を合わせ、2人で首を傾げる。

 

 と、その時。会場が急にざわざわし始めた。

 

 

「……お、来たぜ」

 

「全員揃うと壮観だな……」

 

「顔面国宝級家族ですからね。あそこは」

 

「字面が凄いな」

 

「……言い得て妙だ」

 

 

 ジョースター家7名様、ご案内ってか。……分かってはいたが注目度が高いな。見知らぬ女性達がキャーキャー言ってるぞ。

 

 

「……意外だな。前世のジョルノの父親も参加しているのか。前世でジョースター家や財団と敵対していたという話は聞いたし、財団主催のイベントには来ないだろうと思っていた」

 

「確かに、そうだな」

 

 

 ……まぁ、ディオも最初は嫌がったが、今後の立場改善のために仕方なく参加している。

 

 

「……志人。あっちと合流しないのか?」

 

「今注目の的になっている中で話し掛けろ、と?無理に決まってるだろ。……それに、行くにしてもあの人が離れた後の方がいい」

 

「あの人って……」

 

「……今、彼らに話し掛けた男か?ボディーガード付きの」

 

「そうですよ。……あの人が、ロバート・E・O・スピードワゴンさん。SPW財団のトップです」

 

「「何っ!?」」

 

 

 ぎょっとした顔で、2人がスピードワゴンさんを凝視する。あ、やっぱり顔見た事なかったんだな。

 あの人は普段アメリカにいるから、今世の日本の支部に所属している者達の中で、彼の顔を見た事がある人は少ないらしい。それこそ、ジョースター家の人間や財団職員ぐらいだとか。

 

 

「あれが、財団の創設者……」

 

「……ちょっと待て、志人。何でお前が財団創設者の顔を知ってる?知り合いか?」

 

「いや。承太郎に教えてもらっただけで、顔を会わせた事はまだ無いぜ」

 

「ああ、そういう事か……」

 

 

 はい、嘘です。……今世の俺がスピードワゴンの顔を初めて知ったのは、例の極秘任務の時だ。あの任務について関係者以外には誰にも話せないから、顔合わせはまだ、という事にしておかないと。

 

 

「……またざわざわし始めたな。今度は何だよ?」

 

「…………へえ?どうやら財団のトップは、ジョルノの前世の父親に好意的ならしい」

 

「え?アバッキオには会話が聞こえたのか?この距離で?」

 

「本人達の会話は聞こえねーよ。その周りがひそひそと話している内容の断片を聞き取り、それを繋げて大体の事情を把握してるだけだ」

 

「アバッキオは耳が良いからな。……探偵になってからは、その聞き耳の技術がさらに上がっている」

 

「……すげぇ」

 

 

 要は盗み聞きだが、探偵には必要な情報収集の技術だよな。

 

 

「…………ジョルノとその前世の父親は、確か今世ではジョースター家の養子だったな?」

 

「あぁ」

 

「財団のトップは例え養子でも、2人の事もジョースター家として扱っているらしい。……財団の行動理念に従って、今後もサポートするつもりのようだ」

 

「そうか……ジョルノはともかく、ジョースター家と敵対していた父親の方は、周囲の反感を買いそうだな」

 

「…………そういう声も、確かに聞こえる。だが……財団のトップが認めたのであればと、納得している声も少なくないな」

 

 

 よしよし、さっそく効果が出てるぞ。

 

 

 ディオとジョルノの立場を改善するための、最初の布石。――財団創設者が、公の場で2人の存在を認める事。

 ジョースター家のサポートを、重要な行動理念としている財団。そのトップが、ディオとジョルノもジョースター家の一員だと見なしている事は、非常に大きな意味を持つ。

 

 今後、ディオとジョルノに対する誹謗中傷は、ジョースター家の人間に対する誹謗中傷になってしまうのだ。

 

 財団に登録しただけのスタンド使い達にとってはあまり関係無いだろうが、財団職員にとっては違う。……財団創設者の意向に、その財団の職員達が逆らう訳にはいかないからな。

 そう――これは、2人の事を敵視し、承太郎の事を勝手に抑止力扱いしている、一部の財団職員への牽制だ。

 

 既にディオ達の事を疑っていない大半の職員も、これで彼らの事をジョースター家の人間として正式に認めるはず。

 その流れに逆らう職員は、他の職員達から厳しい目で見られるだろうな。

 

 

 しばらく承太郎達の様子を見ていると、スピードワゴンが離れて行った。それからジョセフ、仗助、徐倫も離れて行く。

 ジョセフ達はそれぞれ、自分の仲間達の下へ向かうのだろう。……彼らにはディオの事で、仲間達に質問攻めにされる未来が待っているはずだ。頑張れ。

 

 4人が離れると、承太郎が懐からスマホを取り出して操作し、耳に当てる。

 

 

「――っ……おっと」

 

 

 あいつの電話の相手は俺だったらしい。アバッキオ達に断りを入れて、電話に出る。

 

 

「もしもーし」

 

「今何処にいる?」

 

「会場の窓側」

 

「早くこっちに来い」

 

「……なぁ。俺、どうしても行かなきゃ駄目か?そんな目立つ場所に行きたくねぇ」

 

「駄目だ。来い」

 

「えー……?」

 

「……ディオとジョルノのためだぞ」

 

「分かってる。俺もそれはどうにかしたい。……でも、さっきの財団のトップの行動のおかげで、ますます視線集まってるだろ、そこ」

 

 

 

 

「……その電話相手、承太郎か?」

 

「そうなのか?なら、行ってくれば良いじゃないか。親友なんだろう?」

 

 

 と、アバッキオ達が言う。……あっ、そうだ。

 

 

「悪い、ちょっと待っててくれ。……アバッキオ」

 

「あ?」

 

「――一緒に行こうぜ♪」

 

「あ"ぁ!?」

 

 

 1人が心細いなら、道連れを用意すれば良いじゃないか!

 

 

「俺は行かねーよ!」

 

「前に承太郎とは話が合いそうだって言ってただろ?紹介するぞ」

 

「それは今じゃなくていい!」

 

「1人じゃ心細いからついて来てよ兄貴!」

 

「それが本音か、てめえ!?」

 

「ははっ!ははははははっ!!」

 

「ブチャラティ!あんたも笑ってないでこいつを止めろ!!」

 

「くふ、くくく、はは……っ!しょうがないなぁ。じゃあ志人君。アバッキオの代わりに、俺が一緒に行ってあげよう」

 

「はぁ!?」

 

「良いんですか!?」

 

 

 これは意外な展開。まさか、ブチャラティがそう言ってくれるとは。

 

 

「あそこにいるジョルノの様子が気になるし……前世のジョルノの父親、いやディオ・ジョースターがどんな人物なのか、興味があるんだ。少し話してみたい」

 

「っ、おいおいおい!それ、マジで言ってんのか、あんた!?」

 

「ああ、本気だ。……だって、今世のジョルノが兄と慕う人物だぞ?あの(・・)ジョルノが、だ。……気になるだろ?」

 

「…………それは、まぁ……」

 

「ふふ、お前も来るか?」

 

「…………行く」

 

 

 わーい、道連れが2人になったぁ……って、アバッキオ。あんた、いくらブチャラティが相手でもチョロ過ぎないか?……いや、彼が相手だからこそ、か?

 

 

「……待たせて悪い。ちょっといろいろ話してた」

 

「……揉めていたようだが、何があった?」

 

「あぁ。……1人だと心細いから、アバッキオについて来てもらおうと思ったら拒否されて、そしたらブチャラティさんがついて来てくれる事になって……結局アバッキオも一緒に来る事になった。このままそっちに行っていいか?」

 

「アバッキオとブチャラティも?」

 

 

 ……すると、今度は向こうが何か話し合っている様子。こっちよりも短い時間でそれが終わると、承太郎がこう言った。

 

 

「ジョルノが早く来いって言ってるぜ。2人にディオを紹介したいと」

 

「了解。すぐに行く」

 

 

 電話を切った後に3人で移動し、承太郎達と合流。……周りがまたうるさくなったが、無視!

 集まった面子で、まだ顔合わせしてなかった者達が自己紹介。それが終わると、さっそくブチャラティがディオに声を掛けた。

 

 

「ジョルノから、あなたの事はよく聞いています。とても良い兄だと」

 

「ちょっと、ブチャラティ?」

 

「……ほーう?ジョルノがそんな事を?」

 

「はい。前世では先に亡くなってしまった父親でしたが、今世では本物の兄で、接する機会が増えて嬉しいとか、」

 

「ブチャラティ!!」

 

 

 おお、珍しい。ジョルノが目に見えて焦ってるし、照れている。それに対して、ディオは嬉しそうにニヤニヤしているし、ブチャラティもニコニコだ。

 

 

「……ところで、ブチャラティ。貴様は私が怖くないのか?……私は、前世では吸血鬼だった男だが」

 

「今世では人間で、ジョルノの兄でしょう?なら、怖くありませんよ。……あ、でも、」

 

「ん?」

 

「前世の吸血鬼がどんな存在だったのかは、ちょっと興味がありますね。どんな感じでしたか?」

 

 

 ……これまた、珍しい。ディオが小さく口を開けて唖然としている。

 

 

「……クッ――ハハハハハッ!!俺にそれを直接聞くか!なかなか肝が据わっている!」

 

「そうですか?ありがとうございます」

 

「ふふふ、クク……ッ!なるほどなるほど、よく分かった。――お前は、園原と同じタイプか」

 

「え?俺と?」

 

「……どういう事ですか?」

 

 

 そういえば、アバッキオにも同じ事を言われたような……?

 

 

「園原は前に聞いたはずだ。……我々のように、前世の因縁に区切りをつけ、今世を生きたいと願う人間にとっては、お前のような人間が、他の誰よりも必要なのだろう、と」

 

「……確かに、そう言ってましたね」

 

「ブチャラティも、その類いの人間だ。……お前達の存在は、我々のような人間の心を救うのだよ」

 

 

 心を救う……?

 

 

「いやいや、むしろ――」

 

「そうだな。むしろ――」

 

「「――救われているのは、こっちの方」」

 

「だと思います」

 

「だろうな」

 

 

 ブチャラティと顔を見合せて、頷き合う。俺は承太郎達の存在にいつも助けられているし、きっとブチャラティも俺と同じで、仲間達に助けられているんだろう。

 

 

「救うよりも、救われる方が多いと思います」

 

「俺もだ。アバッキオにも、ジョルノ達にも。いつも助けられているし、感謝している」

 

「俺もそうです。承太郎達がいなかったらトラウマ乗り越えられなかったし、ジョルノ達がいなかったら、あの日熱射病で死んでたかもしれないし」

 

「俺も前世でジョルノがいなかったら、早々に死んでいたはずだ」

 

「皆に感謝しか無いですよねぇ」

 

「本当に感謝しか無いなぁ」

 

 

 ブチャラティとは気が合うかもな。仲良くなれそうだ。

 

 

「――空気清浄機……」

 

「っ、やっぱりお前もそう思うか!?」

 

「ああ、思うぜ。あいつらの周りだけ、マイナスイオンが発生している」

 

「俺もさっき、全く同じ事を考えた」

 

「……あんたとは気が合いそうだな、アバッキオ」

 

「今世でお前が成人したら酒飲みに行こうぜ、承太郎」

 

「おう」

 

「空気清浄機、ですか……的を得ていますね」

 

「別に光ってる訳じゃないのに、こう……眩しく感じるのは、何でだろうね?」

 

「圧倒的光属性。……ジョナサンもそっち側ではないかと思っていたのですが、実際は黒い、」

 

「何か言った?ジョルノ」

 

「アッ、何でもないです……」

 

 

 ……ジョナサンとジョルノの会話はともかく、いつの間にか、承太郎とアバッキオが仲良くなっている。

 

 

「…………貴様らはそれぞれ、自身の影響力の強さを早く自覚するがいい。貴様らに振り回される周囲の人間達が不憫だ」

 

 

 最後にそう言って、ディオが苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 




 今回登場したアバッキオは、シリーズの番外編から逆輸入されています。
 男主とアバッキオの出会いが気になる方は、こちらをご覧ください。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17393180


※高校の期末試験の結果が出た時の、園原と承太郎の会話(キャラ崩壊あり)

「さーて、結果はどうなったか、な……?」

「…………」

「…………」

「――っ、よし!勝ったぁ!!というか承太郎と一点差じゃん!危ない……!」

「…………」

「……ん?承太ろ、っ、いたたたた!?待って、それ、前に止めてって言ったよね!?頭ぐりぐりしないで、痛い痛い痛い!!」

「…………」

「分かった、分かったから、悔しいなら言葉で言えよ!?俺に八つ当たりするなぁぁっ!!」

「俺の上に行くんじゃねえ」

「理不尽だな!俺にテストで本気出せって言ったのは承太郎の方だろう?」

「…………」

「ちょっ、正論言われたからって俺の耳引っ張ろうとするの止めよう?ねぇ、止めよう?……とにかく、勝負は俺の勝ちだよ。君の要求は聞かないからね」

「…………ちっ」
 
 
 
 
 
 
「…………ところで、そこの学年1位と学年2位」

「んん?」

「あ?」

「学年3位の僕から進言させてもらうが、君達――ここが廊下だって事を忘れて無いか?試験結果が貼り出されている場所だから、同級生達が周りにたくさんいるんだが?」

「「あっ」」


※実は近くで一部始終を見ていた花京院の、冷静なツッコミ。

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