・男主視点。
・ご都合主義、捏造過多。キャラ崩壊あり。
――ディオ・ブランドーだって、分不相応だと、自虐してしまう時があるはず。
アバッキオとブチャラティも交えて、7人で立食と会話を楽しむ。だがしばらくすると、彼ら2人はそろそろ帰ると言い出した。
「明日からまた仕事があるんだ。……警官の休みは、ほとんどあって無いようなものだからな」
「俺も、明日は朝早くから依頼人が来る予定なんだよ」
「…………お勤めご苦労様です。でも帰る前に、一度ミスタ達に会って行きませんか?僕も今から行くつもりなので」
「ああ、それはもちろん」
「……正直、気が合う奴との会話が楽し過ぎて忘れてたぜ」
「こらこら、アバッキオ。そんな事を言うな」
そんな会話の後、ジョルノ達3人が去って行く。……続いて、承太郎とジョナサンもそれぞれ仲間の下に向かうという。
「……そろそろ、あいつらも事情が気になり過ぎて限界が来る頃だろ。こっちに突撃される前に、行って来るぜ」
「僕もそうするよ。……志人君はどうする?」
「お前も、俺と一緒にあいつらのところに行くか?」
「いや。俺はディオさんと一緒にいるぜ」
「ん、分かった」
「じゃあ、また後でね」
会話を終えて、承太郎とジョナサンも立ち去る。こうして、俺とディオの2人きりになった。……実はこの状況も、スピードワゴンがやった牽制ほどではないが、大きな意味を持っている。
ジョースター邸での作戦会議中。スピードワゴンから聞いた話によると――俺の存在は財団内部で、ある意味ジョースター家と同じくらい重要になっているらしい。
そんな馬鹿な、と。最初は冗談だと思っていたが、冗談じゃなかった。
ジョースター家と関係が深く、彼ら全員と友好的な関係を築いている俺は、"ジョースター家のお気に入り"と呼ばれている……との事。
もしも俺の身に何かがあったら、ジョースター家から何を言われるか、彼らがどんな行動に出るか……財団内部はそれを恐れているという。
もちろん。仕事の依頼は俺自身の能力に合わせて、適任と言えるものを任せているようだが、それ以外では俺に見えないところでかなり気を使っていたそうだ。
「……さすがに、そこまで怖がる必要は無いのでは?俺の身に余程の事があったとか、財団側に明らかな非が無い限りは、財団の皆さんを酷く責める事は無いでしょう。
ジョースター家の皆だって、財団にはお世話になってるはずですし……そうですよね?」
「……あー、うん。そ、そうだなァ!」
「……無い、と思うぜ」
「……そうですね。大丈夫だと思いますよ」
「……うん、大丈夫!」
「……おそらく、無いだろう」
「待て。何で誰も俺と目を合わせてくれないんだ?なぁ??」
当時、その場にいた1、2、3、5部ジョースター+元ラスボスさんに問い掛けると、一斉に目を逸らされて滅茶苦茶不安になった事をよく覚えている。
閑話休題。……とにかく、"ジョースター家のお気に入り"である事に加え、今世で初めてスタンド使いになったばかりの未熟な少年()である事。
そのせいか、俺はまだ"守られるべき対象"として見られる事が多いようだ。
ジョースター家の人間……それも、前世でディオと直接対峙したジョナサンと承太郎が、そんな"守られるべき対象"をディオと2人きりにした上で、立ち去ってしまう。
ジョナサンと承太郎が、ディオを信頼しているからこそ、この状況になる事を許した。……と、周りがそう見てくれたら御の字。
スピードワゴンによる最初の牽制を、この行動で駄目押ししているのだ。
「……ところで、ジョルノから聞いたぞ。図書館司書を目指しているそうだな?」
相変わらず周囲から刺さる視線は気にせずディオと会話していたら、そんな話題になった。
「最初はジョナサンと共に驚いたが、よく考えたら我々5人の中でも一番の本の虫であるお前が、それを目指さないはずが無かったな」
「本の虫って……止めてくださいよ。確かに本は大好きですけど、ずっと読んでばかりって訳じゃないです。むしろバイトしてる時間の方が多い」
「では、ビブリオマニアか?」
「それは常に本を読むか集めるかしないと死んじゃう病だろうが!?違うっつの!」
「お前は冗談に対してまともに突っ込んでくれるから、面白いよなァ」
「すいませんね、性分なもので!」
「ククク……ッ!!」
……最近になって気づいたが、ディオは自分の冗談に対して誰かが突っ込んでくれると、機嫌が良くなる。……構ってチャンかな?言わないけど。
「さて、冗談はここまでにしておくか。……真面目な話だ。司書を目指す事にしたきっかけは何だ?」
「え?ジョルノから聞いて無いんですか?」
「……聞いたのだが、それはお前に直接聞いて欲しいと言われた。特に、私はそうした方が良いと」
「……そうですか」
わざわざディオにそう言ったという事は……父親の件は俺から説明した方がいい、って事か。
「一番大きなきっかけは、承太郎に司書にならないのか?って聞かれた事ですね」
「ほう?」
「ですが、大元は……父親の一件が解決したから」
「!」
承太郎とジョルノに話した内容を、ディオにも説明する。……彼は眉間にシワを寄せて舌打ちした。
「全く、度し難い人間だな。あの男は……やはり、あの時。一度殴っておけばよかった」
「いえ。俺はあれで充分だったと思いますよ。あんなの殴ったら、ディオさんの手が汚れてしまう。……でも、そうか。
あの時。ディオさんがあいつを追い払ってくれたおかげで、俺の中にあった父親への恐怖心が薄れた。
それが無かったら、奴が俺達に接触する事は二度と無いと分かっていたとしても、恐怖心が邪魔をして、安心して夢を追い掛ける事ができなかったかもしれない」
そう言って顔を上げると、ディオは大きく目を見開いていた。俺は笑って、ディオにお礼を言う。
「――ありがとうございました。……あの時、あいつを追い払ってくれた人がディオさんで、本当に良かったと思ってます」
「…………はあぁぁ……」
「ディオさん?」
「お前、……お前な!そんな顔を俺に向けてどうする……!?」
片手で顔を隠して項垂れた男は、深くため息をついてそんな事を言う。
「そんな顔って、どんな顔です?」
「……心底安心しきった顔だ。悪人である俺を相手に無防備が過ぎるぞ、貴様」
「それは前世の話でしょう?今世は違うから大丈夫です。俺、ディオさんの事信頼してますから」
「だから……!あー、いや、もう良い。お前はそういう奴だな、ああ……ああ、そうだ。うん――敵わない」
元ラスボスに敵わないと言われてしまった。
「……俺のこんな無様な姿を見れば、ジョジョのやつは一体何と言うか――」
「――皆様、お待たせいたしました!これより、クリスマスプレゼント抽選会を行います!!」
「ん?……あぁ。スピードワゴンが言っていたイベントか」
「そうみたいですね」
会場のスピーカーからそんな声が聞こえたので、演壇の方へ目をやると、演壇の上からスクリーンが下がって来た。
クリスマスパーティーらしいイベントとして、抽選会をやるという話は、スピードワゴンから聞いていた。俺達に配られた招待状にはそれぞれ番号が振られており、それが抽選番号になるという。
スピードワゴンが抽選番号が書かれた紙が入った箱の中から1枚引き、その番号の招待状を持った人に壇上へ上がってもらい、さらに別のくじを引いてもらう。
そして、そこに書かれた番号に割り振られた景品をもらう事ができる……という流れで進むらしい。
何の番号がどんな景品なのかが分かるように、スクリーンには全ての景品が表示されていた。パーティーの参加人数が多いせいか、その分景品も多い。さすがSPW財団。太っ腹だな。
「最新ゲーム機に、最新家電。高級肉のセット。大人気テーマパークのチケットに、海外旅行のチケット、エトセトラ……ふーん。すご、って、あっ!図書カード一万円分!あれ欲しい!」
「っふ……!最新ゲーム機やら、海外旅行やらには反応が薄いくせに、図書カードに食い付くとは……欲があるのか、無いのか。面白い奴だな」
「えぇ?じゃあディオさんは、あの中なら何が欲しいですか?」
「ンー…………図書カード、だな」
「ほらぁ!人の事言えないですよ!」
やっぱり、本好きには図書カード一択だろ。
景品も分かったところで、抽選会が始まった。もしも抽選番号に該当する人がこの中にいなかった場合、景品のくじもスピードワゴンが引いて、後日その景品を本人の自宅に送るという。
次々と人が壇上に呼ばれ、景品のくじを引いていく。呼ばれるのはジョジョの登場人物の誰かだったり、見知らぬ人だったり。
個人的に面白かったのは、ジョセフが抽選に当たって、景品のくじで海外旅行チケットを手に入れた時だ。
ジョセフはそれが当たったと知ると、壇上からシーザーの名前を呼び――
「この旅行、一緒に行くかァ?」
「誰が行くかこのスカタン!!お前は大人しくスージーQと2人で行け!このリア充がァッ!!」
――と叫び返され、会場中が笑いの渦に包まれた。俺とディオも大いに笑わせてもらった。
「さて、次の番号は……107番!抽選番号107番の者はいるか!?」
抽選会の終わりが近づいて来た頃。スピードワゴンのそんな声を聞いてぎょっとする。慌てて招待状を取り出した。
「園原?お前、まさか……」
「――107番でーす……嘘だろ」
「何をしている?早く行け」
「いや……このまま行かないで終わらせます。1人で壇上に上がるとか、無理無理。ただでさえ今日は超目立ってるので、スピードワゴンさんに景品のくじも引いてもらえば良い」
きっと俺以外にも、同じような事を考えてあえて前に出なかった人もいると思うんだよなぁ。
「……1人じゃなければいいんだな?」
顔を上げると、ディオの背後にザ・ワールドが出て来て――瞬きの間に、目の前にスピードワゴンさんがいた。はぁ!?
「お、おお!?ディオじゃないか。どうした」
「園原が107番だ。連れて来た」
「ははは!そうだったのか!……確か、園原志人君だったね?初めまして」
「あ、はい、初めまして……」
"表"でスピードワゴンと顔を合わせたのは、これが初めてだからな――って!!
「ディオさぁぁん!?わざわざ時止めてまで連れて来るとか何考えてんだよ!!」
「1人は嫌だと言ったじゃないか」
「言ったけど!!」
あぁ、ほら!会場が一気にうるさくなったし視線は痛いしもう!!
「あー、もういいや!とりあえずさっさと引いてさっさと戻らせてもらいます!」
「くっくっ……!分かった分かった。さっそく引いてくれ」
小さな箱の中に手を入れて、さっと紙を取り、スピードワゴンさんに渡す。
「…………おや!」
「え?」
「いやあ、君がこれを引くとは!運命だな!」
「はい?」
「おーい!21番の景品を持って来てくれ!」
スピードワゴンの言葉に、先程とは違った意味でざわざわし始める会場。……財団職員の1人が持って来たのは、小さなジュエリーケースだった。
それを受け取り、スピードワゴンから開けるように言われたので、ケースを開く。
「――ブローチ?」
「……ほう?」
銀色のブローチだ。西洋の盾に槍が重なっているデザイン。俺の肩口あたりに顔を寄せ、それを見たディオが興味津々だ。
「これは……本物のシルバーか。それにこの刻印は、イギリスの有名ブランド……」
「さすがディオ、お目が高い!確かにそのブローチはブランド品で、なかなかの値打ち物だよ」
「ふん……あのブランドなら、大体5、6万かそれ以上だろう」
「ひえっ」
見た目はシンプルだけど絶対高いだろうなと思ってたら、案の定だ!何でこんな扱いに困る物を当てちゃったんだよ、俺!!
「で、園原がこれを当てたのが運命だ、というのはどういう事だ?」
「あぁ、そうだった!……このブローチのデザインは、とある神話を元に考えた物でね」
「神話……?」
デザインは西洋の盾と槍。そして俺が当てたのが運命。……という事は、
「――ギリシア神話の戦女神、アテナが持つアイギスの盾がモチーフになっているのだよ。……スタンドの名前は、イージス・ホワイトだったな?
イージスという名前もそうだが、誰かを守る事が得意なスタンドを持つ君にはぴったりだな!」
やっぱりか。すげぇ偶然。……でも、なぁ。いくら共通点があったとしても、ブランド品は俺には分不相応なんだよなぁ。
しかもシルバーアクセサリーは、ちゃんと手入れをしないとすぐに駄目になるって話をどっかで聞いた事がある。
スピードワゴンさん曰く、"俺とブローチの運命"に盛り上がる会場はさて置き。壇上から下りて元の場所に戻った俺は、改めてブローチを見る。
それから、隣に立っているディオと見比べて……うん、こっちだな。
「ディオさん。このブローチ、貰ってくれませんか?」
「何?」
「どう考えても、俺には似合わないし分不相応です。それに、自分がこれを付ける姿よりも、ディオさんがこれを付ける姿の方がイメージしやすい」
「……いや、駄目だ。それはお前が持っていろ」
「でも、手入れとかしないとすぐに駄目になるんですよね?俺、毎回それをやれる自信が無いし……ディオさんの方が大切に扱ってくれるでしょう?」
「確かに、手入れは必要だが……」
……何だ?いつもより歯切れが悪い気がする。様子が変だな。
「志人さん、兄さん」
「ん?」
「……ジョルノか。どうした?」
「さっきのブローチに興味があって、見せてもらおうと思って来たんですけど……」
そこへ、ジョルノがやって来た。彼は訝しげな表情でディオさんを見る。
「……兄さん、何か気掛かりな事でもあるんですか?」
「…………」
どうやら、俺の勘は当たっていたらしい。ジョルノに図星を突かれたのか、ディオは黙り込んで困った顔になる。
「ディオ兄さん?」
「…………似合わない、だろ」
「えっ?」
「――女神の盾をモチーフにしたブローチなんて……それこそ、私の方が分不相応じゃないか。……悪人である私よりも、悪とは無縁の園原の方が相応しい」
「「――は?」」
思わず、ジョルノと口を揃えて呆れてしまった。何言ってんだ、この人。ついさっきも悪人だったのは前世の話で今は違うって言ったばかりなのに!
「……志人さん。ちょっと」
「ん?」
ジョルノにある事を耳打ちされた俺は、彼と頷き合い、さっそく行動に出た。
ディオの手を掴んだジョルノが、彼の手を引いてずんずんと歩き出し、ディオの背後に回った俺が彼の背を押す。
「おい、何をするんだ貴様ら!?」
「いいから黙ってついて来てください」
「あんたに拒否権無いので!」
俺達を見てざわつく奴らの間を突っ切り、目的の人物達がいる場所へ。
「承太郎さん、ジョナサン」
「あ?」
「あれ?3人共、どうしたの?」
事前に打ち合わせしていなかった行動なので、2人は驚いていた。彼らの周りには1部と3部の仲間達がおり、全員がディオを警戒している。
とんでもないところに爆弾を持って来てしまったような気分だが、今はそれどころでは無い。
「これ、さっき俺が当てた景品なんだが」
「……ああ、見てたぜ。ブランド物なんだろ?」
「それがどうかした?」
「俺が付けるよりも、ディオさんの方が似合うよな?」
そう聞くと、2人はブローチとディオを交互に見て、それから頷く。
「そうだな。ディオが付けた方がしっくり来る」
「うん。志人君には悪いけど、さすがにこれは背伸びし過ぎかな。ディオならぴったりだよ」
「ですよね?……ほら、兄さん。2人もこう言ってますよ」
「全然、分不相応じゃないです!」
「……何の話だ?」
俺が承太郎とジョナサンに事情を説明すると、2人もディオの言葉に呆れたらしい。
「馬鹿だな」
「馬鹿だね。それも大馬鹿」
「誰が馬鹿だって!?」
「ディオしかいないだろ。本当に何言ってるんだか……」
「てめえが悪人だったのは前世の話だ。今世は違う。……女神の盾がモチーフだろうが何だろうが、お前は分不相応じゃねえよ」
「さっきも言った通り、それはディオにぴったりだ」
「…………だが、俺は、」
「――前世で君と戦って、君の凶悪さを深く理解した僕と承太郎がそう言ってるんだよ?……今世の君は、その美しいブローチが似合う程の男に生まれ変わった。僕達は、そう認めている」
「俺もジョナサンに同意するぜ。……ディオ・ブランドーは確かに、ディオ・ジョースターに生まれ変わったんだ」
……ジョナサンと承太郎の言葉に息を呑んだのは、ディオだけではない。1部と3部の仲間達と、周囲の野次馬。全員が一斉にそうしたせいか、その音はよく聞こえた。
「……ディオさん」
「園原……」
「このブローチを当てた時に俺が引いた番号、何番だったか覚えてますか?」
「番号?確か……21?」
「そうです」
その番号は、ディオと深い繋がりがある。
「以前、アヴドゥルに占いをしてもらった時。タロットカードに興味を持って、ちょっと調べたんです。そうしたら……アヴドゥル!」
「な、何だ?」
「タロットカードの大アルカナ。その21番は?」
「21番、は――世界。……っ、
その場にいた全員の視線が、ディオに集まる。……そう。ディオのスタンドの名は、ザ・ワールド。
「俺とこのブローチの繋がりを運命と言ってくれたスピードワゴンさんには、大変申し訳ないですけど――本当の運命はディオさんにあったのだと、俺は思います」
「――――」
「女神の盾を持つのに、今のあなたは決して分不相応じゃない。……これはきっと、ディオさんの下へ導かれたんだ」
ディオの手を取り、そこにブローチを乗せて、握らせる。……彼はそれを、徐に自分の服に取り付けた。
「……どうだ?」
「お似合いです!」
「――――ふふ……っ、そうか」
その時。ディオが見せた無邪気な笑顔は、文字通り世界を止めたんじゃないかと思った。
……後に。1部と3部の仲間達がディオを警戒するのを止めたのは、この笑顔がきっかけだったのだと、ジョナサンと承太郎は語る。
※本編最後、ディオ視点(独白。キャラ崩壊)
神話の戦女神が持つ、魔除けの盾をモチーフにしたブローチ。
そんな神聖な物が、俺に似合うはずがない。分不相応だと……そう、思っていた。
「――前世で君と戦って、君の凶悪さを深く理解した僕と承太郎がそう言ってるんだよ?……今世の君は、その美しいブローチが似合う程の男に生まれ変わった。僕達は、そう認めている」
「俺もジョナサンに同意するぜ。……ディオ・ブランドーは確かに、ディオ・ジョースターに生まれ変わったんだ」
前世の宿敵達は、そう言って俺を認めた。
「女神の盾を持つのに、今のあなたは決して分不相応じゃない。……これはきっと、ディオさんの下へ導かれたんだ」
今世で出会った子供は、そう言って俺にそのブローチを手渡す。……そこでようやく、分不相応では無いのだと、納得する事ができた。
子供の手が引き寄せた、21番という番号。タロットカードの大アルカナでいう「世界」――ザ・ワールド。……俺のスタンドの名前だ。
それとブローチを結び付け、本当の運命は俺にあったのだと、その子供が言った。
――否。正確に言えば、番号と俺のスタンドの繋がりだけでなく……子供の存在もまた、俺の運命だったのだ。
あの時。俺がお前を、壇上まで無理やり連れて行かなかったら?
お前の手が、21番を引き寄せなかったら?……このブローチは、俺の手に渡らなかっただろう。
ブローチが俺の下へ導かれたと、お前は言ったな。
――そうなるように導いてくれたのは、間違いなくお前だ、園原志人。
(……お前には本当に敵わないな。しかし何故か、それが嬉しくて仕方ない)
自然と、笑みがこぼれた。