空条承太郎の友人   作:herz

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・最初は承太郎視点。途中から男主視点。

・ご都合主義、捏造過多。キャラ崩壊。


 ――空条承太郎だって、親友のために最高に良い思い出を作ってやりたいと思うはず。




空条承太郎の友人は、親友に祝われる

 

 

 

 

「――お前、誕生日はいつだ?」

 

 

 高1の頃。まだ前世の記憶を取り戻していなかったシドに、そう聞いた時があった。

 

 俺の問いに、シドはゆっくりと瞬きをして、にこりと笑う。それはどう見ても作り笑いで……あいつが、初めて俺を拒絶した瞬間だった。

 

 

「――今日かもしれないし、明日かもしれないね」

 

「…………はぁ?」

 

「まぁ、何でもいいじゃないか。……悪い。今ちょうど盛り上がってる場面だから、読むのに集中していいか?」

 

「……ああ」

 

「ごめんね……ありがとう」

 

 

 そう言って、シドは再び本に集中する。……何も聞かないでくれ、という意思表示だろう。その気持ちを考えて、それ以降は話題に出さないようにした。

 だが、誕生日がいつなのかは分かった。俺がそれを聞いた日の日付は、2月28日。そして"今日かもしれないし、明日かもしれない"という曖昧な言葉。

 

 つまり――閏年の、2月29日。……それが、シドが生まれた日だ。

 

 去年は閏年ではなかった。だから2月29日も無かった。それが、"今日かもしれないし、明日かもしれない"という言葉の意味。

 2月28日か3月1日が、誕生日の代わりだと言いたかったのだろう。

 

 しかし何故、普通に答えようとしなかったんだ?それを答えたくなかった理由は、何だ?

 

 

 ……その疑問が解決したのは、今世のシドの過去を聞いた後だった。

 

 

「…………高1の頃。俺の誕生日はいつかって聞いてきた時があったよな?」

 

「……"今日かもしれないし、明日かもしれない"。その言葉の意味は、2月29日が誕生日だという事だな?」

 

「はは、やっぱり気づいたか。そりゃ、お前なら気づくよなぁ」

 

「……あの日。シドが正直に答えようとしなかった理由は、お前の過去と何か関係があるのか?」

 

 

 俺がそう聞くと、シドは小さく頷いた。

 

 

「……父親のせいで、俺も母さんも自分達の誕生日を盛大に祝う事ができなかったんだ。

 金は全部父親が管理してたから、俺達に与えられたのは必要最低限の金だけ……俺がバイトを始めるまでは、その金で生活するのに精一杯で、誕生日を祝う事なんてできなかった」

 

「…………」

 

「まぁ。その後に俺が稼いだ金は、父親から逃げる計画のために全部貯金してたし、父親と学校の教師にバイトしてる事を隠すのに神経使ってたから、そもそも誕生日を祝う余裕も無かったんだよな。

 そして余裕が無かったのは、母さんも同じだ。俺の分まで父親からの暴力に耐えていたし、仕事もしてた。……自分の誕生日がかなり過ぎた後にそれを思い出すのが、当たり前になった。

 

 でも……中3の時に突然、母さんが父親の目を盗んで、俺の誕生日を祝ってくれて――」

 

 

 その日。バイトから帰って来たシドに、サプライズで誕生日を祝ってくれたそうだ。

 正直に言って質素な誕生日パーティーだったが、ちょうど閏年で、記憶にある限りでは初めての誕生日パーティーだったから、それはもう喜んだという。

 

 

 しかし――母親は、その数週間後の卒業式の翌日に、首を吊って自殺している。

 

 

「母さんはきっと、死ぬ前に一度だけ、息子の誕生日を祝ってやりたかったんだ。俺に、喜んでもらいたかったんだろう。

 

 ――そんな事よりも、生きていてくれた方が、嬉しかったのにな……」

 

「――――」

 

「誕生日の祝いなんていらねぇから、ただ……ただ、母さんに生きていて欲しかった。高1の時に、お前の問いに答えなかったのは、これが理由だ。

 誕生日が近づくと、どうしても母さんの事を思い出して、辛くなる。だから忘れようとしたんだが……あの日。お前がちょうど28日にそれを聞いてきたから、思い出してしまった。

 

 あの拒絶は、聞かれたくない事を聞かれた俺が、承太郎に八つ当たりしてしまった結果なんだ。……本当に、悪かった」

 

 

 ……その全てを聞いた俺は、決意した。

 

 

(来年は、こいつの誕生日を盛大に祝う!)

 

 

 ジョースター邸にいる家族も全員巻き込んで、シドの誕生日パーティーを開くのだ。

 金が足りなくて誕生日を祝えなかった?そもそも祝う余裕が無かった?初めて母親が祝ってくれた誕生日も、良い思い出が無い?

 

 

 ――上等じゃねえか。シドが何と言おうが、絶対に、祝ってやるぜ。……最高に良い思い出にしてやるよ!

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 その日は休日で、バイトは午前中のみ。ジョースター家からは例の如く、夕食を食べに来いと誘われたので、夜はそっちに行く予定だ。

 午前中のバイトが終わり、午後からは家でのんびり本を読んでいた。……ちょうど一冊読み終わった時点で、既に夕方。

 

 

(――あ、そうだ)

 

 

 早めにジョースター邸に行って、夕飯を作る手伝いをしよう。とりあえず女性陣の誰か……そうだな、徐倫の携帯に電話掛けて確認してみるか。

 

 

「……も、もしもし」

 

「徐倫ちゃん、今話しても大丈夫か?」

 

「ええ、大丈夫。どうかしたの?」

 

「良かったら、そっちに早めに行って夕飯作るの手伝おうかと思って電話したんだが、」

 

「えっ」

 

「んん?」

 

「ああ、いえ!何でもない。……人手は足りてるから、志人さんは家でゆっくりしてて良いわ」

 

「本当か?いつも忙しそうなのに?」

 

「だ、大丈夫よ!こっちが呼ぶまで待ってて。ね?」

 

「いや、だが……」

 

 

 何もしないで待ってるだけ、というのは申し訳ないからな……こっちは定期的に夕食食べさせてもらってる身だし。

 

 

「……あ、ちょ、父さん!?」

 

「……シド。ちょっといいか?」

 

 

 あれ、承太郎もその場にいたのか。

 

 

「何だ?承太郎」

 

「時間があるなら、ちょうど相談したい事があってな……お前の家に行ってもいいか?」

 

「相談?……そっちの料理の手伝いはしなくても大丈夫なのか?」

 

「ああ。今日は本当に人手が足りてるらしいぜ」

 

「そうか……分かった。待ってる」

 

「ん、ありがとな。今からそっちに行く」

 

 

 そこで電話が切れたので、承太郎が来る前に何か飲み物でも用意しようと立ち上がった。……相談って何だろうな?声音からして、深刻な悩みでは無さそうだったが。

 

 

 しばらくして、自宅にやって来た承太郎を招き入れ、2人でテーブルを挟んで座る。イージスに防音バリアを張ってもらい、本題へ。

 

 

「それで、相談ってのは?」

 

「……ジョルノは医者。シドは図書館司書」

 

「ん?」

 

「じゃあ、俺は?……そう考えた時に思い浮かべたのは、やはり海洋学者でな」

 

 

 なるほど、今世の将来の話か。

 

 

「……だが。本当にそれでいいのか、と。少し迷っている」

 

「というと?」

 

「昔と全く同じ道に進んでいいものか……それを、迷っているんだ。といっても、それ以外の別の道は何も浮かんでいないんだが」

 

「ふーん……」

 

「……そもそも、承太郎って前世では具体的にどんな事をやってたの?」

 

「あ、そうそう。それは俺も知りたい。海洋学者で、ヒトデの研究してたって話はちょっと聞いたけどさ。他にはどんな事やってたんだ?」

 

 

 イージスの問いに乗っかって、俺もそう聞いてみた。イージスは俺と前々世の記憶を共有しているから、原作の事も知っている。

 だが。ヒトデの研究で博士号を取った事以外、詳しい描写が何も無いため、それ以外では何をしていたのかが分からない。

 

 

「主な専門は海洋生物学だった。ヒトデの研究を中心にやっていたが、イルカやクジラやシャチ、それからサメ……その他諸々の海洋生物の研究をした事もある」

 

「へー……って、それだけ?」

 

「それだけしか、できなかった。……40過ぎたばかりの頃に死んだからな。それに、財団からの依頼を受ける事もあったし」

 

「あっ、そうか……」

 

 

 それもそうだよな。本格的に海洋生物の研究を始めたのが、おそらく20代半ばから後半だとして……40代で死ぬまでの間は、20年にも満たない。

 その間。4部の杜王町の事件に関わって、他にも財団からの依頼を受けて……それ以外の時間で研究をしていたとしても、そこまで長い時間を掛けられなかったはず。

 

 

「……だったら、昔と全く同じ道、にはならないんじゃねぇか?」

 

「……どういう事だ?」

 

「それを説明する前に。……自分で"それだけしかできなかった"って言っただろ?何故、できなかった事をそのまま放置しようとする?」

 

「!」

 

「お前、実はその事が少し心残りになってんじゃねぇか?ジョルノが前世でいろいろ中途半端のまま転生して、それが未練だと言っていたように」

 

 

 はっと顔を上げた承太郎に続けてそう言うと、こいつは目を見開いて、それから少し考える。

 

 

「…………どうやら、そうみたいだな。別の道を考える事ができなかったのは、おそらくその心残りのせいだろう」

 

「って、自覚無かったのかよ」

 

 

 だが、そういう事なら問題は早めに解決しそうだ。

 

 

「で、さっき言ってた"昔と全く同じ道"にはならないとは、どういう事だ?」

 

「あぁ……要は、俺がジョルノに言った事と同じだ。前世の未練が気になるなら、今世でそれを果たせばいいって事」

 

「……前世ではできなかった研究をやれ、と?だが、それにしたって同じ海洋学者の道だ」

 

「海洋学って言っても、細かく分けたら生物関係以外にも何か別の物があるはずだろ?海水そのものを研究したり、海底の何かを研究したり」

 

「海洋物理学や海洋化学に、海洋地質学か」

 

「正式名称は知らないが、まぁそんな感じで海洋学にもいろいろある訳だ。だから、やろうと思えば全く同じ道にはならない。

 それに。同じ海洋生物学をやるとしても、主な研究内容をガラッと変えたらその時点で別の道だと言える。……少なくとも、俺はそう思うぜ」

 

「……お前は、そう思うのか。俺が前世と同じ海洋学者になったとしても」

 

「同じなのは表面上……肩書きだけだろ?実際にやってる事が前世と違うなら、それは別の道に進んでるって事だ。

 

 そう思うのはきっと俺だけじゃない。旧図書館組の面子は確実にそうだろうな。あの3人は外面だけでなく、中身もちゃんと見てくれる。

 何故なら。お前と同じく、前世ではなく今世の自分を見て欲しいと考えているから。……彼らならきっと、何も言わなくても分かってくれるだろう」

 

 

 極端に前世だけを見る奴なら、今世も同じ道に進んだと勘違いするかもしれない。だが、勝手に勘違いしている奴は放置すればいい。

 大事なのは、前世とは違う道に進んでいるのだと、承太郎自身がちゃんと認識する事だ。

 

 

「……そう、だな。……とりあえず、お前やジョルノ達が分かってくれるなら、それで良いか」

 

 

 1つ頷いた承太郎は、きりっとした表情で俺を見る。どうやら、今世で進む道を決めたようだ。

 

 

「まずは、何処かの大学の海洋学部入学を目指す。そこで勉強し直して、海洋生物学以外に興味を持つ分野を見つけたらそっちに進み、見つからなかったらまた海洋生物学を専門にする。……そして、前世とは違う研究をしようと思う」

 

「おう、いいじゃねぇか。それで行けばいい。――前世で散々責任押し付けられた分、今世ではそんな事気にせず、思い切り好きな事をやれよ。……承太郎には、それが許されるはずだ」

 

 

 お前は今世で存分に幸せになればいいんだよ、と。俺は笑う。

 

 

「つーか、それを許さねぇ奴がいたら俺がそいつのところに殴り込みに行く。ジョルノとジョナサンとディオさんに言えば絶対に協力してくれるはずだから、4人で行ってやる」

 

「わあ、過剰戦力……相手が可哀想になるね」

 

「何だよ。イージスは反対か?」

 

「まさか!承太郎のためなら殴り込み大賛成!」

 

「だよなぁ。やっぱりお前は俺だわ」

 

 

 我ながら最強の布陣だと思って、イージスと頷き合っていたら、承太郎が突然大笑いし出した。え?何か笑える要素あったか?

 

 

「く、はははっ!はは……っ!!そうか。俺は、自分の好きな事をやっていいのか!」

 

「いいんだよ。俺達が許す!」

 

「くくく……!よーし、分かった。――頼りにしてるぜ?親友」

 

「任せとけ、親友」

 

 

 ……しかし、そうか。大学……こいつなら、レベル高いところに行くだろうな。進む道も俺とは違うし――

 

 

(――承太郎と一緒に学生生活ができるのは、あと1年だけか……)

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 相談事が解決したところで、承太郎の携帯に電話があった。……夕食の準備が出来たらしい。承太郎と共に家を出て、ジョースター邸に向かった。

 

 

「……にしてもお前、本当に忘れてるんだな」

 

「あ?何が?」

 

「いや……気にするな。いずれ分かる」

 

 

 ジョースター邸に到着すると、ジョルノが出迎えてくれた。

 

 

「おかえりなさい、Fratelli(兄さん達)。さぁ、志人さんは先に中へどうぞ」

 

「えっ?な、何だ何だ?」

 

「まぁまぁ、そのまま進んでください」

 

 

 ジョルノにぐいぐいと背中を押され、リビングに続く扉の前へ。言われるがままに扉を開けると――立て続けに、破裂音が聞こえた。

 

 

「っ!?何――」

 

「――ハッピィバースデェェッ!!」

 

「志人さん、誕生日おめでとうございまーす!!」

 

 

 ジョセフと仗助のそんな声を始めとして、ジョースター家の皆が次々と祝いの言葉を口にする。

 

 

「なっ、え、……あ、今日28日……!?」

 

「そう。お前の誕生日……の、代わりの日だ」

 

「今年が閏年では無い事が残念ですが、お祝いはしなければ」

 

 

 振り返ると、承太郎とジョルノが小さく笑っている。……そうか。承太郎が彼らに教えたんだな?

 

 

「……承太郎。悪いが、俺は、」

 

「ほら、進め進め。今日の夕飯は豪華だぜ」

 

「後でケーキもありますから」

 

「待てっ、おい!?」

 

 

 ジョルノに手を引かれ、承太郎に背中を押され、仕方なく料理が並べられた席へ向かう。……確かに豪華だ。それも、ほとんどが俺の好物。

 

 周りを見れば、リビングの派手な飾り付けが目に入った。

 

 壁には"Happy Birthday"という文字のアルミバルーンと、ウォールステッカーが貼られている。

 ペーパーフラッグのガーランドが壁から壁に掛けられ、ペーパーフラワーが天井から吊るしてあったり、至るところでカラフルなゴム風船が浮いていた。

 

 

 何じゃこりゃ。承太郎の誕生日の時も飾り付けはあったが、こんなに派手じゃなかったぞ!?

 

 

「ククッ!いい顔をしてくれるなァ、志人」

 

「サプライズ大成功だね!」

 

 

 ディオとジョナサンが笑ってそう言った。……サプライズ?

 

 

「って事は、さっき承太郎が俺の家に来たのは時間稼ぎか?」

 

「まぁな。だが、相談したいと言ったのは本心だぜ。おかげで悩みは解決した。……騙した事は謝る。悪かったな」

 

「いや、それは気にしてないけど……俺は誕生日に良い思い出が無い。その事は話したはずだろ?」

 

「ああ。だからこそ、シドのために誕生日パーティーを開いてるんだ。――お前にとっての誕生日を、最高に良い思い出にするためにな」

 

 

 ニヤリと笑う承太郎に唖然としていると、ジョージさんが飲み物を持って立ち上がった。

 

 

「それでは、志人くんの18歳の誕生日を祝って――乾杯!」

 

 

 それからは、全員で飲んで食べての大騒ぎだ。数多くの料理も、10人以上で楽しく会話しながら食べればすぐに無くなる。

 

 夕食後に出て来たのは、18本の蝋燭が立てられた、かなり大きなホールケーキ。それも、ジョースター家全員の手拍子と歌付き。

 待ってくれ、イケボやら癒しボイスやらが混ざってとんでもない事になってるって!!何だこの高級感溢れるバースデーソングは!?

 

 

「志人さん、早く火を消して!ほら、"フーッ"って!」

 

「思い切りっスよ!」

 

「遠慮せずに、さあどうぞ!」

 

「…………はいはい、分かったよ……」

 

 

 年下組3人の言葉に呆れて笑い、火を吹き消す。……全ての火が消え、皆が盛り上がる暗闇の中。泣きそうになっていた俺は、必死に涙を堪えた。

 

 

「そんじゃ、お待ちかねのプレゼントターイム!!まずは俺からだ!開けていいぜ!」

 

 

 ケーキを食べ終わると、ジョセフがそう言って小さな包みを俺に渡す。……その中身は、

 

 

「眼鏡ケース?しかもデニム生地……おしゃれで良いですね」

 

「そう!伊達眼鏡を外してる時は、良かったらこれを使ってくれ。これならバックに入れても嵩張らないだろうし、持ち歩きも楽だろ?」

 

「はい。……ジョセフ先輩、ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」

 

 

 青いデニム生地がおしゃれで、持ち歩くのに便利。とても良い物だ。

 

 

「はいはい!次は俺っスよ!どうぞ、開けてください」

 

 

 次に渡されたのは、仗助のプレゼント。その中身は、黒地に青のラインが入ったウエスト・ポーチ。ポケットの数が多く、全てチャック付き。

 

 

「志人さんって普段うちに来る時、スマホとサイフを服のポケットに入れて来てるっスよね?それが何というか……言い方悪いっスけど、危なっかしく見えちゃって」

 

「あっ。あー、なるほど……ありがとな。これは助かる。色もデザインも好みだし、気に入った。次から使わせてもらうぜ」

 

「へへっ、良かった!」

 

 

 今まであまり気を使ってなかったが、確かに服のポケットに貴重品を入れて歩くのは、落としたり盗まれたりしやすいし、端から見ればかなり危なっかしいよな。

 照れ臭そうに笑う仗助の頭を軽く撫でてやれば、すっかりご機嫌だ。

 

 

 次は、徐倫からのプレゼント。

 

 

「いつもバイト頑張ってる志人さんが、家でリラックスできるように、それにしてみたんだけど……どう?」

 

「ビーズ・クッションのミニサイズか……四角い形のなんてあったんだな」

 

「丸っぽいやつだと、男の人が使うのは抵抗があるかもと思って」

 

「確かにな……うん。これ結構良いぜ。触り心地も良いし、疲れも飛ぶかもな。ありがとう、徐倫ちゃん」

 

「ふふ、どういたし、……まし、て」

 

「あ」

 

 

 思わず仗助とかジョルノにやるノリで、女の子の頭を撫でてしまった!

 

 

「わ、悪い!つい、妹みたいな感覚で――」

 

「っ!!」

 

「あれ、徐倫ちゃん……?」

 

 

 徐倫は俺に背を向けて駆け出し、側にいた承太郎の背の後ろに隠れる。

 

 

「…………すまん。さすがに嫌だっ、」

 

「嫌じゃねえよッ!!」

 

「え?」

 

「心配するな、シド。……この子はお前に妹と呼ばれて照れただけ、」

 

「うるせえクソ親父!!」

 

「えっと……?」

 

「ふふ、ふは……っ!ま、まぁまぁ志人。徐倫の事は、今はそっとしておいて。はい、これ。開けていいよ」

 

 

 ジョナサンが笑いを堪えながらプレゼントを渡して来たので、とりあえずその包みを開ける。

 

 

「革製のブックカバー……!」

 

「もしかしたら、既に他の誰かからもらってるかもしれないけど、本が大好きな志人なら、いくつあっても困らないだろう?革製なら本が型崩れしにくいし……良かったら、使ってみて」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 これは重宝決定だな。大事にしよう。……と、ジョナサンの横からひょっこりと顔を出したジョルノが、俺にプレゼントを渡す。小さな包みを開けて、中をみると……

 

 

「置時計?……フレームが木製か。これも良いな」

 

「以前。志人さんの家にお邪魔した時に、時計がない事に気づいたので、それを選びました」

 

 

 あー、そうそう。時間ならスマホを見ればいいと思って、時計は買わなかったんだよな……よく気づいたな、ジョルノ。

 

 

「ありがとう、ジョルノ。大事にする」

 

 

 そう言って頭を撫でると、無意識なのか何なのか。俺の手に頭をすり寄せて来た。猫ちゃんかな?

 

 

「ほら、次は私からだ。開けてみろ」

 

 

 ジョルノの次は、ディオだ。この人は基本センスが良い。何が入っているか、楽しみだな。

 ドキドキしながら中身を見ると……意外な事に、シンプルなステンレス製のマグカップだった。ただし、側面に英語の筆記体でメッセージが記されている。

 

 

「それは二重構造でな。保温も保冷もできる。そして、側面のメッセージだが……読めるか?」

 

「May all your dreams and wishes come true――あなたの夢と願いが、全て叶いますように……?」

 

「正解だ。……文面ではただの願いだが、それは激励の意味を籠めている。貴様の夢も、願いも。全て自分の手で叶えてみせろ」

 

「……はい。必ず、叶えてみせます」

 

 

 ディオの目を真っ直ぐに見つめて、そう宣言した。俺は必ず、承太郎が言ったような最高の図書館司書になってやる。

 

 

「ふっ……いいだろう。励め」

 

 

 彼は満足げに笑って、俺の頭を撫でてから離れていく。……そんなディオと入れ替わるように、承太郎がやって来た。

 無言で渡されたのは、四角い、厚みのある包み。……承太郎の顔を見ると頷いたので、さっそく開けてみる。

 

 

「……スクラップブックか?これ」

 

「ただのスクラップブックじゃねえよ。中身を見ろ」

 

 

 リングタイプのページをめくってみると……それの正体が分かった。

 

 

「――アルバム……」

 

「そう……沖縄旅行から、最近までの写真が貼られている。うちの家族や高校に通ってる奴らから写真のデータをもらって、現像してそこに貼った」

 

「…………」

 

 

 別荘にいる時の写真。プライベートビーチでの写真。美ら海水族館や琉球村、国際通りの写真。

 夏休み中に承太郎達と遊んだ時の写真、学校の屋上で仲間達皆と撮った写真。ブックフェスの時や、クリスマスパーティーの時の写真。

 

 他にも、たくさんの写真が――思い出が詰まっている。

 

 

「……ふふ、……はははっ!」

 

「シド……?」

 

「何だ、これ……最高じゃねぇか」

 

 

 耐えきったと思った涙が、また溢れそうになる。

 

 

「ジョースター家と一緒の写真が、多いな」

 

「……そうだな。うちの連中が、お前が映っている写真をたくさん持ってたから。……それがどうかしたか?」

 

「いや……大した事じゃ、ない。ただ、」

 

 

 嗚呼、駄目だ。勝手に涙が落ちた。せめて……笑おう。悲しくて泣いてる訳じゃないのだと、皆に分かってもらえるように。

 

 

「俺が――まるで、お前らの本当の家族みたいだなって、そう、思って……」

 

「――――」

 

 

 視界が滲んで、今のお前の顔がよく見えないけど。それでも精一杯、笑ってやる。

 

 

「――ありがとう、承太郎。今日一番の、最高のプレゼントだ……!」

 

 

 また涙が落ちて、視界がクリアになった瞬間。横合いから誰かが俺を強く抱き締めて来た。

 

 

「まるで、じゃねェよ!!お前はもううちの子だろうがァッ!!」

 

「じょ、ジョセフ先輩……!?」

 

 

 おいおい泣きながら抱き締めて来たのは、ジョセフだった。ちょ、待って。締まる締まる。

 

 

「う"う"う"!志人さぁぁん!!俺、志人さんの弟になるっスゥゥ!!」

 

「あたしが妹になる!!」

 

「俺がお兄ちゃんになってやるからなァァ!!」

 

 

 仗助と徐倫まで泣きながら抱き着いて来たから、既にぎゅうぎゅう詰めだ。息苦しい。

 

 

 ついにはホリィさん達大人組まで集まって来て、俺はもみくちゃにされた。

 承太郎達、旧図書館組の面子やイージスが救出してくれなかったら、窒息して危なかったかもしれない。

 

 

「ちょっと皆!うちの子を殺す気か!?」

 

「この愚か者共がァッ!!」

 

「感極まったからってやって良い事と悪い事の区別ぐらいつかないんですか馬鹿ですね!!」

 

「全員揃ってオラオラの刑にしてやろうか」

 

「すみませんでしたァッ!!」

 

「反省してるっス」

 

「ごめんなさい……」

 

「志人、生きてる?大丈夫!?」

 

「むり」

 

「しっかりして本体!!」

 

 

 

 

 

 






※誕生日当日、サプライズ準備中(キャラ崩壊あり)

「こっちの風船はこんなもんかァ?……そっちはどうだ?」

「あともう少しですね。これが終わったら次はガーランドを取り付けて、ペーパーフラワーも天井から吊るして……」

「あはは、やる事がたくさんだね。大変だ……」

「その準備が楽しいんじゃないスか!」

「……それもそうか。志人が喜んでくれるといいね」

「ふっ……あの子の驚いた顔が目に浮かぶな」

「おい。お袋達の料理とケーキの準備も、もう少しで終わるらしいぜ」

「おォ、それは朗報!じゃあこっちも早く終わらせ……ん?誰か、携帯鳴ってないか?」

「あ、ごめん、あたしだわ――って!?」

「徐倫?どうかしたか?」

「ゆっ、志人さんから電話来たァ!!」

「何ィッ!?」

「全員静かに!……徐倫、出ろ」

「分かった。……も、もしもし?……ええ、大丈夫。どうかしたの?……えっ……ああ、いえ!何でもない。……人手は足りてるから、志人さんは家でゆっくりしてて良いわ。……だ、大丈夫よ!こっちが呼ぶまで待ってて。ね?」
 
 
 
 
「……あァ、いつものお人好しな性格から来る行動だな?なるほど理解。……志人ちゃん優し過ぎィ」

「最近は他人に対してお人好しになる事は減ったはずなんスけど……」

「一度気を許した相手に対しては、変わらずお人好しのままですからね」

「でも、このままだと本当に来てしまいそうだよ?どうする?」

「ふむ……承太郎。お前の言う事なら、志人も素直に聞き入れるんじゃないか?」

「……ちょうど、足止めする方法を思い付いたところだ。行って来る」

「ああ、頼んだ」
 
 
 
 
「徐倫、携帯貸せ」

「あ、ちょ、父さん!?」

「シド。ちょっといいか?……時間があるなら、ちょうど相談したい事があってな……お前の家に行ってもいいか?……ああ。今日は本当に人手が足りてるらしいぜ。……ん、ありがとな。今からそっちに行く」

「……何とかなった?」

「おう。こっちを怪しんでいる様子は無かった。……あとは俺が時間稼ぎしてやるから、お前らで早く終わらせろよ」

「了解っス!」

「さァ急げ急げ!この際スタンドも使って超特急で準備終わらせるぞォ!!」

「最初からそうすれば良かったわ……」

「準備に必死になり過ぎて忘れてました」

「…………僕、スタンド無いんだけど」

「貴様はそもそも波紋以外では自分の肉体が武器だろうが。地道にやれ」

「はーい……」
 
 
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