空条承太郎の友人   作:herz

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・男主視点。

・ご都合主義、捏造過多。書きたい部分を書いただけ。

・キャラ崩壊注意!!


 ――空条承太郎だって、親友に無茶振りする事があるはず。




空条承太郎の友人と、体育祭

 

 

 

 

 

 ――さて。今年もやって参りました、体育祭。

 

 この学校は中学と高校、それぞれ土日で2日に分けて体育祭が行われる。初日は高校、2日目は中学の体育祭だ。

 高校の体育祭では、赤、白の2つのチームに分かれて競い合う事になっていた。1つの学年から3クラスずつ、それぞれのチームに分かれる。

 

 つまり、うちの高校は一学年につき6クラス。そして中学も同じく、6クラス。ちなみにどちらも、一クラス大体40人ほど。

 中学と高校全部を合わせると、とんでもない生徒数になる。だから、学校の敷地もかなり広いのだ。

 

 

 今回、前世の仲間同士で上手い具合にチームが分かれた。

 

 俺と承太郎に、ジョルノ達5部の面子が赤組。花京院と形兆に、仗助達4部の面子が白組。……と、綺麗に2つに分かれている。

 競争意識が高まっており、体育祭当日よりも前から燃え上がっていた。やる気は充分だ。

 

 

 体育祭当日。登校し、体育着に着替え……赤いハチマキを巻いた俺と承太郎は、校庭に向かう。

 その途中で、ジョルノ達5部組とばったり出会った。さらにその直後、別の方向から来た花京院と形兆、仗助達4部組が現れ――

 

 

「……よう、花京院。負ける準備はいいか?」

 

「君こそ、足を掬われないようにね?承太郎」

 

 

 3部相棒組を中心に、現在互いの間で火花が散っております。……おお、怖い。

 俺以外は全員、前世でそれぞれ苦しい戦いを乗り越えて来た面子だからな。勝利への執念は強いし、勝負事に関しては誰もがマジになる。

 

 

「……おい」

 

「ん?……形兆?どうかした?」

 

「お前はあっちに混ざらないのか?」

 

「えぇ……?無茶言わないでくれ。あんな闘気の高まってる場所に行ったら火傷するよ」

 

 

 承太郎達が睨み合っている場所から少し離れた場所に立っていたら、わざわざ形兆が声を掛けてくれた。

 

 

「……お前も、そこまでやる気があるわけでは無いんだな」

 

「いや、あるよ」

 

「何?」

 

「彼らと俺のやる気は、ちょっと違う」

 

 

 お前"も"という事は、形兆にはあまりやる気が無いのかもしれない。だが、俺は少し違うのだ。

 

 

「承太郎達のやる気は、"勝ちたい"だけど――俺のやる気は、"勝たせてやりたい(・・・・・・・・)"」

 

「!」

 

「親友と弟分があんなに気合いを入れてるし、だったら俺もあいつらのために勝ちたいな、と。そう思ってるんだよ。

 お前は?弟とその仲間達を勝たせてやりたいと、少しでも思わないか?」

 

 

 そう問い掛けると、形兆は目を見開き……ニヤリと笑った。おや、レア顔。

 

 

「なるほど……そういう考え方もある、か」

 

「おっ?やる気出た?」

 

「…………まぁ、億泰は負けたらしばらく落ち込んで、うざったらしい事になりそうだからな……それは面倒だ」

 

 

 相変わらず、素直じゃないツンデレ兄貴だな。

 

 

「それに、」

 

「んん?」

 

「あの人――花京院さんが勝ちたがってるしな」

 

 

 おやおや?……そういえば。最近は昼休み中に屋上にいる時、花京院と2人で話している姿をよく見るし、仲良くなってる?……へぇ?

 

 

「……おい、何だその顔は!?」

 

「別に何もないよ?」

 

「嘘つけ、そのニヤついた顔は絶対に余計な事を考えているだろ!?」

 

「いやいや」

 

 

 形兆が順調に幸せになっているようで、何よりです。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 体育祭が始まる前から、校庭には生徒の保護者達が集まり、賑やかになっている。

 

 ジョースター家の人達がいる場所は、すぐに分かった。なんといっても目立つ。とにかく、目立つ。

 卒業したジョセフとジョナサンとディオがいるし、明日の中学の体育祭に参加予定の徐倫もいるからな。ファンクラブの人間の注目が集まっていた。……そういや、去年もあんな感じだったか?

 

 

 そして始まる体育祭。……全体的になかなか面白い事になっていたが、その全てを語ると切りが無い。よってここからは、印象に残った種目のエピソードを語っていこう。

 

 

 まずは、女子の100メートル走。ちょうど赤組のトリッシュと、白組の由花子が競い合う事になった。

 この2人も、始まる前から火花を散らしていたな。片や、元マフィアのボスの娘。片や、ヤンデレ女子高生。……下手したら男同士よりも、女同士の方が怖いかも。

 

 彼女達の対決が始まるや否や、他にも走っていた女子生徒は一気に引き離され、2人がトップを独走する展開となった。……結果はギリギリで、赤組トリッシュの勝利。

 

 その後。観客席ではジョルノ達5部組に祝福されるトリッシュと、恋人の康一に泣きつく由花子の姿が見られた。

 由花子はそんなに悔しかったのか。大袈裟だな……と思っていたら、これが康一のやる気に火を付けたらしい。

 

 

「え、康一くん凄いな!?大活躍じゃん……」

 

「……あいつは普段は大人しいが、やる時はやる男でな。……昔から、なかなかの根性を持っている」

 

「へぇー……」

 

 

 承太郎の言う昔とは、前世の事だろう。確かに、承太郎は彼に一目置いていたようだし。

 

 

 康一が大活躍した種目は、騎馬戦だった。乱戦状態の中、赤組の生徒が付けているハチマキを次々と奪っている。

 

 まともに組み合うのではなく、相手の隙をついてハチマキを奪っているようだった。……さらに騎馬役は仗助と虹村兄弟という、豪華な面子。

 体格の良い奴らが騎馬役になっているため、それがぶつかっただけで相手の騎馬を崩す事もある。

 

 だがしかし。そんな快進撃を止めるために、立ちはだかる者達がいた。

 

 

「あっ、ジョルノ達とぶつかった!」

 

「ほう……面白くなってきたな」

 

 

 実は、騎馬戦にはトリッシュを除いた5部組も参加していた。騎手はナランチャ、騎馬は他3名だ。……てっきり、騎手はジョルノになるのではないかと、この時はそう思っていた。

 

 後にジョルノに話を聞いたところ。身長差を考えて、4人の中で一番身長が低いナランチャに騎手になってもらったらしい。

 それから。自分が騎馬の先頭になって指示を出した方が、騎手として他3人に指示を出すよりもスムーズに動けた、との事。……あと、もう1つ理由があった。

 

 それは――戦闘時の勘の良さは、ジョルノよりもナランチャの方が上である事。

 

 

「……ナランチャのやつ、避けるのが上手いな」

 

「うん。……康一くんの手が何処に伸びるのか、それを察知してるみたいだね」

 

 

 前世ではお世辞にも頭が良いとは言えなかったが、戦闘での立ち回りには目を見張るものがあった。今世でも、それは健在のようだ。

 結局、康一はナランチャにハチマキを取られてしまい、退場。……しかし、それまでに康一が勝利した回数の方が多く、そのおかげなのか最終結果は白組の勝利だった。

 

 なお。観客席に戻った康一は、感極まった様子の由花子に抱き着かれていた。片方はヤンデレだが、微笑ましいカップルだ。

 

 

 そしていくつか競技を挟み、次に印象に残ったのが……二人三脚。赤組からはミスタとフーゴ。白組からは仗助と億泰が出場したのだが、この4部相棒組が凄かった。

 

 

「――行くぜ億泰ゥッ!!」

 

「おう!!」

 

 

 観客席まで聞こえるような大声でそう言うと、2人は全速力で走り出した。

 全く足並みが乱れず、転ぶ事なく、そのままゴールしてしまったのだから驚きだ。観客席も白組側は大歓声、赤組側はざわざわしていた。

 

 相当練習したんだろうなぁ。さすが、4部勢を代表する相棒同士だ。

 ……ちなみに。ミスタとフーゴの方は、仗助達の次に走ったのだが、ちょっとしたアクシデントが起こって転んでしまい、フーゴがぶちギレていた。ミスタ、ご愁傷様。

 

 

 さて、再びいくつか競技を挟んだ後の――

 

 

「――今だッ!承太郎さん!!」

 

「オラァッ!!」

 

「っ、この馬鹿力がァァッ!?」

 

「承太郎さん強過ぎっスよォォッ!?」

 

 

 ――綱引き。赤組、ジョルノと承太郎に、他の多数生徒達。白組、花京院と仗助に、他の多数生徒達。

 結果、赤組の圧勝。……頭脳派元ギャングスターが的確な指示を送り、195センチ&筋肉ムキムキの男が、最後尾で思い切り縄を引っ張るだけの、簡単なお仕事です。

 

 

 はい、次。

 

 

「承太郎、眼鏡預かってて。さすがに危ないから」

 

「おう。……1位以外は認めねーぞ」

 

「やめて、プレッシャーかけないで。……まぁもちろん、全力でやるけどさ」

 

 

 出場者、赤組からは俺。白組からは康一。種目は――障害物競争。

 康一とは、直接競い合う事になった。他にも赤組と白組の生徒が数人いる。……こいつらを全員抜いて、1位か。頑張ろう。

 

 

 スタートラインに立ち――空砲が鳴り響いた瞬間、走り出す。

 

 初めの直線で、できる限り競争者達を引き離す。それから1つ目の障害物……ハードルで数人に追い付かれ、2つ目の障害物である跳び箱を飛んだ後に抜かれてしまうが……問題無い。

 3つ目と4つ目の障害物は、体育祭が始まる前にコツを調べたからな。

 

 3つ目、網くぐり。……これはあえて、競争者のうちの1人を先に行かせる。その1人が網を上げた隙間を上手く抜けて、再び1位になった。

 

 4つ目、平均台。高さが違う物が3つ、低い順に直線に並べられている。……ここで、他の競争者達を一気に引き離す。

 

 

「えっ――ええェェッ!?」

 

 

 本来なら速度を落としてバランスを取りながら進むものだが、それだとこの後にある最後の障害物で、余裕が持てない。

 だから。思い切って平均台に飛び乗り、速度を落とさずに走り抜ける!……その方が意外と、バランスも保てるのだ。

 

 後ろから康一のすっとんきょうな叫びが聞こえたが、気にせず最後の障害物……借り物競争に挑戦する。

 コースの途中に置いてある紙を拾い、その中に書かれたお題の物、もしくは人を連れて審判の生徒の下へ行き、お題が認められたらゴールだ。

 

 素早く1枚の紙を拾う。人だと探すの面倒だから、物であってくれ!

 

 

「っ、これは……!」

 

 

 お題は面倒な事に、人だった。……これ、どうしよう?俺の頭の中には1人しか浮かんでいないが、審判に合格をもらえるかどうかが分からない。

 あいつはおそらく、周囲からはそんなキャラじゃないって思われてるだろうし――っ、ええい!どうにでもなれ!!

 

 

 目的の人物がいる場所まで、一直線に走った。

 

 

「――ジョルノ!来い!!」

 

「っ、はい!」

 

 

 観客席が一気にざわつく中、駆け下りて来たジョルノと手を繋ぎ、審判の下へ。お題が書かれた紙を渡した。

 

 

「えー、お題は――学校一可愛い弟、もしくは弟分……?」

 

 

 マイクを使って話す審判が首を傾げ、観客席からも困惑の声が多数聞こえる。

 やっぱりそうなるよなぁ!こいつは普段の振る舞いから、ジョースター家以外では弟って印象無いだろうし。

 

 選んだ理由を答えて欲しいと、マイクを向けられたので、怪しまれないように堂々と話した。

 

 

「ジョルノはジョースター家の末っ子で、可愛がられてるし――俺にとっても、可愛い弟分だから」

 

 

 そう言うと、横からするりとジョルノが抱き着いて来た。それにぎょっとしていると、彼はマイクに向かってこう話す。

 

 

「――僕は志人お兄ちゃん(・・・・・)の可愛い弟分ですが、何か問題あります?」

 

 

 女子生徒達が一斉に黄色い声を上げた。多分、ジョルノのファンクラブだ。……その勢いと、ジョルノの笑顔の圧に押された審判が合格判定。無事に1位を勝ち取った。

 

 

「フォローありがとう。でも、抱き着く必要あった?」

 

「仲良しアピールですよ、志人お兄ちゃん(・・・・・)

 

「その呼び方やめろ。いつも通り志人さんか、Fratello(兄さん)でいいから」

 

 

 その後。観客席に戻った俺は、承太郎から頭をぐしゃぐしゃと撫でられながら労われ、ジョルノは5部の仲間達に笑われていた。

 

 

「くく、っ、ジョルノ、お前!弟って柄かよ!?」

 

「ええ、そうですよ。僕は志人お兄ちゃん(・・・・・)の可愛い可愛い弟分です」

 

「あははははははっ!!」

 

「ど、ドヤ顔……!ぶはっ!?」

 

「だからその呼び方やめろって言ってんだろ」

 

 

 ……午前の部が終わり、今は昼休憩の時間だ。その間はさすがに競争意識も何も無いため、赤組白組の前世の仲間達が集まり、1つの場所で仲良く昼飯を食べる……はずだったのだが。

 

 何故か、仗助がムスッとした顔で俺を見つめている。

 

 

「……仗助?何だよ、その顔は」

 

「あはは……えっと、さっきの借り物競争で、志人さんがジョルノくんを連れて行った事に、納得がいって無いらしくて……」

 

「……弟分なら俺を選んで欲しかったっスねえ」

 

 

 康一の言葉に続いて、仗助がボソッとそう呟いた。そんな事言われても……

 

 

「だって仗助は今回白組だし、味方の赤組じゃなくてそっちに行くのはちょっとな……」

 

「そりゃあそうっスけど……」

 

「それに、お題は学校一"可愛い"弟、もしくは弟分だったから」

 

「へ?」

 

「――学校一"カッコいい"弟、もしくは弟分だったら、お前を連れて行っただろうな」

 

「なっ――だあァァッ!!これだからこの愛すべき爆弾魔はァッ!!」

 

「はぁ??」

 

 

 愛すべき?爆弾魔??なんじゃそりゃ。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 午後の部が進み、いよいよ最後の種目である男子リレー走。……ここまでの得点で、赤組は少し負けている。リレーで何とか逆転したいところだ。

 出場者は赤組と白組からそれぞれ4名で、赤組のうち2人は俺と承太郎、白組のうち2人は形兆と花京院。俺と形兆が第三走者、承太郎と花京院がアンカーである。

 

 "勝ちたい"者と、"勝たせてやりたい"者が互いに競い合う事になるのか。良い展開だな。

 

 

「どっちが勝っても負けても恨みっこ無しだよ、形兆」

 

「ふん……そういう奴に限って、案外簡単に負けたりするんじゃないか?お前なら確かに、恨みはしないだろうが」

 

「フラグだって?あはは。そんな、まさか」

 

 

 第三走者の待機場所で形兆と話していると、空砲と共に第一走者が走り出し……え、

 

 

「――嘘だろ」

 

「あー……お前の言う"フラグ"とやらはよく分からんが、あれの事か?」

 

「……ハハ」

 

 

 赤組の第一走者が、盛大に転んだ。白組と差が開く。……思わず空笑いが出た。

 さらに、第一走者は動揺してしまったのか、第二走者へのバトン渡しにも失敗した。白組との差がまた開いてしまい、赤組観客席からのブーイングが聞こえる。

 

 

「……もはや、勝負にならないかもしれないな」

 

 

 そう呟いた後、形兆は第二走者からのバトンを受け取って走り出した。……勝負にならない、だと?馬鹿を言うな。

 

 ――勝負は、ここから始まるんだよ!

 

 白組に遅れて、第二走者からバトンを受け取り、思い切り地面を蹴った。形振り構わず手と腕を動かし、一心に走る。

 ようやく、形兆の背中が見えた。向こうも俺の追い上げに気づいたのだろう。スピードが上がった。……悔しいが、形兆には勝てない。

 

 だが、第三走者の仕事は勝つ事ではなく、アンカーにバトンを託す事。……俺は"勝ちたい"ではなく、承太郎を"勝たせてやりたい"んだ。

 

 既に、形兆と花京院はバトンパスを開始している。俺の方もそろそろ、次の走者が走り出す場所に掛かるが……その時。俺を呼ぶ大声が聞こえた。

 

 

「――志人ッ!!全力で!走れェェッ!!」

 

 

 承太郎がそう叫び、ゆっくりと走り出す。おい待て。予定よりも走り出しが早過ぎるぞ!?

 

 あぁくそ!やればいいんだろ!?やれば!!

 

 

「――上等だァッ!やってやるよォッ!!」

 

 

 気合いを入れるためにそう叫び返し、後の事を気にせずさらに速度を上げて走った。急速に、承太郎の背中が迫る。

 ……あいつ、もう俺に背を向けてやがる。そこまで信頼されたら、応えないわけにはいかねぇだろうが!!

 

 

 それから手を伸ばし――バトンを渡せる範囲内ギリギリで、なんとか託す事ができた。

 

 

「――いっけえェェッ!!」

 

 

 勢い余って転がってしまったが、それに構わずすぐに体を起こし、そう叫んだ。

 赤組と白組の観客席からも、それぞれ声援が飛ぶ中。承太郎は花京院と並び……ゴールの手前で、彼を抜いてトップになった!

 

 

「っ――負けるかァァッ!!」

 

 

 だが、花京院の追い上げも凄かった。抜かれた途端にスピードが上がり、再び承太郎と並ぶ。そして――

 

 

 

 

 

 

 ――テープを切ったのは、両者だった。……審判も同着と見なし、結果はドロー。

 

 勝敗は、つかなかった。……悔しいなぁ。勝たせてやりたかったなぁ。

 

 

 両膝に手をついて、まだ完全には整わない息を落ち着かせようとしていると、影が掛かった。……顔を上げた先にいたのは、俺と同じく"勝たせてやりたい"という気持ちを持っていた男で。

 

 

「……なに?形兆……俺、疲れてて、今話せる余裕が、」

 

「――悪かったな」

 

「……はい?」

 

「俺は園原を甘く見ていた。……だから、謝っているのだ」

 

 

 目を限界まで見開いて、形兆の顔を見る。目を逸らされた。

 

 

「もしかして、"勝負にならないかもしれない"って言った事を気にしてるの?」

 

「…………」

 

「……ふふ、別にいいよ。――だって俺、あの一言のおかげで火が点いたからね。逆にお礼が言いたいところだよ」

 

「――――」

 

「ありがとう、形兆」

 

「…………っは!このお人好しが!」

 

「いててて、ちょっと、頭押さえるの止めろよ!?」

 

 

 体勢が低いままなのに、上から頭をグリグリと押さえられた。痛いって!……でもなんとなく、形兆も笑っているんだろうなと思った。

 

 

 リレー選手が全員退場し、観客席に戻る。……先に戻って赤組の皆に囲まれて歓迎されていた承太郎を呼び、こう言った。

 

 

「俺にここまで全力出させたんだから、後で高級アイス奢れ!!」

 

 

 すると。一瞬唖然とした承太郎は、続いて大声で笑った。今度は周囲が彼を見て唖然としている。

 

 

「お前なぁ!?無茶振りされて怒るどころか、求める報酬が高級アイスって……!はははははっ!!」

 

「何?別におかしくないよね?」

 

「あー、いや、もう気にすんな。お前はそういう奴だよな、ああ……分かった分かった。後でいくらでも奢ってやるよ!」

 

 

 承太郎に無理やり肩を組まれてぐしゃぐしゃと頭を撫でられていると、俺まで皆に囲まれた。

 口々に何かを言って来て、誰が何を言ってるんだかよく分からなかったが、とりあえず俺も褒められている事だけはよく分かった。

 

 

 リレーで同点という事で、最終結果は白組の勝ちとなってしまったが、赤組の奴らは承太郎も含め、あまり悔しがっていないようだ。

 承太郎達が何やら満足しているようだし、俺もリレー頑張ったし結果オーライか、と。納得する事にした。

 

 

 そして後日。学校新聞で、このリレーの出来事が大きく取り上げられる。

 承太郎や花京院だけでなく俺にも注目が集まり、ついには俺のファンクラブを立上げたいという血迷った事を言い出す生徒が現れ、俺が丁重にお断りするという珍事件が起こったのだが……それは、また別の話。

 

 

 

 

 

 

 




 pixivの番外編にて。6部女子組が登場する中学体育祭編を公開しています!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17664690


※応援中の1部、2部、6部、元ラスボス(本編の二人三脚、綱引き、障害物競走、最後のリレーの話。キャラ崩壊あり。長い会話文)

「――おおおォォッ!!仗助と億泰すげェェッ!!」

「二人三脚が、二人三脚じゃないわ……あれ、どうなってるの?」

「息ぴったりだね!承太郎と志人みたいだ」

「あの2人は……身長さえ近ければ、同じ事ができただろうな。おそらく」

「あはは……確かに、承太郎が大き過ぎるかな」
 
 
 
 
 
 
「…………花京院さんと仗助も叫んでたけど、兄さん強過ぎじゃない?」

「ジョナサンが高校生の時に綱引きをやった時も、あんな状態だったな……覚えているか?」

「もちろん、覚えてるさ。――だから、承太郎にも綱引きのコツを教えてあげたんだ!」

「な、何だと……?」

「…………つまり。あの惨状にはジョナサンも間接的に関わってると、そういう事ネー……?」
 
 
 
 
 
 
「さて!次は志人ちゃんの活躍をしっかりカメラに収めないとな!」

「録画は準備できてるよ!」

「……写真を撮ったら、例のアルバムに貼ってくれるだろうか?」

「連写しなきゃだわ。……あ、始まった!」

「…………ハードルと跳び箱で追い付かれちゃったね」

「抜かれちまったぞ!」

「いや……わざとだろう」

「……おォ、本当だ!志人を抜いた奴にネットの隙間を作らせて、自分が通りやすいようにしたんだな!」

「よし!これなら1位にもなれるかも――って!?」

「すっ、すげェ!?今の撮ったか!?」

「撮ったわ!」

「平均台の上なのに、一気に走ったね!落ちなくて良かったよ……」

「素晴らしいバランス感覚だ。……さて、借り物はどうだ?」

「……何を引いたのかしら。一瞬固まってなかった?」

「……おっ!?」

「ジョルノを連れて行ったな。借り物は人だったのか」

「…………学校一可愛い弟、もしくは弟分」

「クク……!なるほど、それはジョルノだろうな。志人にとっては」

「けどよォ、他の生徒にとってはそんなイメージじゃ――ぶぶっ!?」

「あはっ!ははははははっ!!」

「志人お兄ちゃんって、ちょっと、ジョルノ……!!」

「普段そんな呼び方しないくせに、あいつめ、っ、クク、ハハハハハッ!!」
 
 
 
 

  
「ふむ。これで最後の種目か……」
 
「今のところ、赤組がちょっと負けてるみたいだね」

「兄さんと志人さんがいる赤組に勝って欲しい……」

「お、始まっ……あちゃあ、これは痛いなァ」

「ちょっと!何転んでんのよあいつ!!」

「まぁまぁ、徐倫。落ち着い……あ、」

「バトン渡しも失敗か」

「…………僕も彼を殴りたくなっちゃったなぁ」

「落ち着け、ジョナサン。そろそろ志人が走るぞ?撮らなくていいのか?」

「ああ、そうだった!」

「志人ォ!頑張れェ!!」

「……あ、志人さん速い!」

「形兆に近づいた!いけいけェッ!!」

「さすがに追い付くのは無理があるだろうが……承太郎が花京院を抜いてくれるかもしれんな」

「――って、兄さん!?走り出すの早過ぎじゃない!?」

「全力で走れって、っ、だはははははッ!!承太郎ちゃん、無茶振りィッ!!」

「あれではバトンを渡せる範囲を越えてしまう――っ、いや!」

「さっきより速くなった!志人も無茶するね!?」

「志人さん!!」

「届け届け届け届け――ッ、届いたァ!!」

「承太郎、頑張れ!!」

「兄さん走って走ってェッ!!」

「――抜いた!!」

「うおおォォッ!!承太郎ォォッ!!」

「あっ、花京院君が追い付いた!?」

「承太郎!もう一回抜けェッ!!」
 
 
 
 
 
 
「――あァー!兄さん惜しいッ!!」

「もう少しで抜いてたかもしれないのに……残念」

「こんなに盛り上がる最後は、なかなか無いだろうな」

「そうだなァ!良い勝負だった!」

「……途中で録画よりも応援に夢中になり過ぎて、ちゃんと撮れてるかどうか分からないなぁ……あはは」

「あっ!あたしもゴールした瞬間、写真撮って無い!!」

「そこは抜かり無い。私が撮っておいた。――さらに言うなら。志人と承太郎の、バトン受け渡しの瞬間も収めたぞ」

「うそっ!?ディオさん、ナイスッ!!」

「お前すげェな!?よくやった!!」

「……あ、録画もギリギリ綺麗に撮れてたよ!」

「よっしゃァ!ジョナサンもナイス!」

「後で皆で見ましょう!」
 
 
※この日の夜。ジョースター家+園原の観賞会は大いに盛り上がった。

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