空条承太郎の友人   作:herz

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・男主視点。

・ご都合主義、捏造過多。書きたい部分を書いただけ。

・キャラ崩壊注意!!


 ――空条承太郎だって、ノリノリでコスプレする事があるはず。




空条承太郎の友人と、文化祭

 

 

 

 

 

 体育祭から数ヶ月経過し、季節は秋。……文化祭の時期がやって来た。うちの学校の文化祭は一般公開されるため、体育祭以上に人が集まる。毎年大盛況だ。

 中学から高校まで出し物が様々で、去年も承太郎達と一緒に見て回り、文化祭を大いに楽しんだ。

 

 

 さてさて。今年の出し物はどうなったのか……とりあえず花京院と形兆のクラスや、ジョースター家の面子のクラスがどうだったのかを紹介しよう。

 

 まずは、花京院達のクラス。

 

 

「――お帰りなさいませ、ご主人様」

 

「……どうぞ、こちらの席へ」

 

 

 にっこりと笑う王子様系イケメンと、無表情の強面系イケメンが、燕尾服を身に付けて接客している。……彼らのクラスの出し物は、執事&メイド喫茶だった。

 おそらく偶然だろうが、彼らのクラスには花京院達も含めて、基本的に顔が良い男女が揃っている。それを活かした出し物にしようと考えた結果が、この喫茶だったとか。

 

 一番驚いたのは、花京院と形兆が大人しく燕尾服を着て接客している事――ではなく。

 

 

「形兆って、髪全部下ろすとそんな感じなんだね!?」

 

「……お前、普段からそのままにしとけばいいんじゃないか?」

 

「じろじろ見るな!」

 

 

 形兆がいつもの髪型を崩して、サラサラヘアになっていた事。長い髪は、後ろで緩い三つ編みにされている。

 

 

「…………花京院さんが、無理やりこの髪型に……」

 

「ほう?……良いセンスだな」

 

「花京院、グッジョブ!形兆がいつも以上にカッコよくなった!」

 

「ふふ、そうだろう?燕尾服を着るなら、絶対にこっちだなと思ったんだ。クラスの女子にも女性客にも、大好評だったよ」

 

 

 いつもの近寄りがたい雰囲気が、髪型のおかげでかなり緩和されている。そりゃあ女にモテるよな。俺と承太郎が店にいる間も、何度か女性客に声を掛けられていたし。

 それに戸惑う形兆を、花京院が上手くフォローしていた。……逆に、花京院が客にしつこく話し掛けられていた時は、形兆が睨みを利かせて救出する。

 

 あの2人、なかなか良いコンビになって来たなぁ。

 

 

 次に、仗助と億泰のクラス。このクラスの出し物は、縁日だった。

 輪投げとヨーヨー釣りという懐かしい遊びと、ダーツやモグラ叩きといったゲーセンにある遊び。俺と承太郎も、ちょっと遊ばせてもらった。

 

 

「承太郎さん、すげぇなぁ!ダーツが全部ど真ん中だ」

 

「君の命中率どうなってるの?俺、全然中心に当たらないんだけど」

 

「お前は力が入り過ぎだ。もっとリラックスして投げてみろ」

 

 

 承太郎はダーツも得意だった。このハイスペック博士め。……そんなこいつの隣で拍手するパグもとい億泰の側に、仗助の姿は無い。多分、そろそろ戻って来ると思うが……

 

 

「――お待たせしました!たこ焼き出来たっスよ!」

 

 

 そこへ、教室の外から2人分のたこ焼きを持った仗助がやって来る。

 このクラスでは縁日の懐かしい遊びだけでなく、別室で調理したたこ焼きの販売もしていた。仗助は俺と承太郎がそれを頼むと、すぐに作って来ると言ってバタバタと出て行き、今戻って来たばかりだ。

 

 

「どうっスか?」

 

「ん、美味い!」

 

「美味いぞ」

 

「よっしゃ!」

 

 

 尻尾を振る黒柴を横目にたこ焼きを完食し、仗助達と別れて次に向かった先は、ジョルノとミスタのクラス。……彼らのクラスの出し物は、ちょっとした変わり種だ。

 

 

「――忍者探し?」

 

「おう。高校の校舎の何処かにいる、忍者達を探すゲームだ」

 

「……何故、忍者?」

 

「発案者曰く、ただの人探しだと定番過ぎて面白く無いので、忍者という設定で数人に変装……忍者以外の格好をさせたり、隠れさせたりして難易度を上げてみたらどうか、との事です」

 

「ルールは簡単だぜ。探し当てた忍者達からスタンプをもらい、最終的にそれを持ってこの教室に戻って来ればいい。

 忍者達にはそれぞれ難易度が設定されていて、難易度が高い程ポイントも高い。で、そのポイントの合計でもらえる景品も変わるんだ」

 

 

 ミスタの説明によると、難易度が低い者は忍者のコスプレをしていて分かりやすいが、難易度が高くなると一般人に変装していたり、本気で身を隠していたりするため、分かりにくい。

 もちろん、ノーヒントではない。挑戦者には、変装している者の変装前の写真や、隠れている者の隠れ場所のヒントが書かれた紙も一緒に渡される。

 

 それから大ヒントとして、忍者達には全員に共通する特徴があるらしい。……ふーん。

 

 

「どうする?さっそく挑戦するか?」

 

「……挑戦したいのは山々だが、時間がちょっとな」

 

「うん。……俺達、自分のクラスの出し物のシフトがこれからだから、あまり時間取れないんだ。徐倫のクラスも見に行く約束してるし……せっかく説明してもらったのに悪いけど、遠慮させてもらうね」

 

 

 俺達は午前中に自由時間をもらったため、午後になったら教室に戻らなくてはいけない。特に、承太郎には大事な役目があるからな。

 

 

「ええ?何だよ、つまんねェな……」

 

「ごめんね、ミスタくん。……あ、でも――忍者達全員の共通点は分かったよ」

 

「ああ、それは俺も分かったぜ」

 

「っ、何だと!?」

 

「いきなりですね。……ちょっと、端の方に行って聞かせてもらえませんか?周りのお客さんに盗み聞きされないように、小声で」

 

 

 4人で教室の端に移動し、小声で話す。

 

 

「……忍者達の共通点は――指輪、だろ?この教室にいる忍者の格好をした数人の生徒達は全員、何処かしらに玩具の指輪を付けている」

 

「そう!俺もそれに気づいた。指輪が小さ過ぎて、分かりにくかったけど」

 

「…………正解だ。鋭いなァ、あんた達」

 

「お見事です」

 

 

 この教室に入った時から、忍者達一人ひとりを観察してみて気づいた事だ。最初はそれもコスプレかと思ったが、ミスタから忍者達に共通点がある事を聞いて、おそらくこれがそうだろうと考えた。

 

 それから、もう1つ気づいた事がある。

 

 

「忍者の格好をした人以外の生徒達は、その指輪を付けていない。でも……この教室には1人だけ、忍者じゃなくても指輪を付けている生徒がいる」

 

「!」

 

「……くくっ!ああ、いるな。――俺達の目の前に」

 

 

 俺と承太郎は、ジョルノに目を向ける。……彼は観念したようにため息をつき、右手をヒラヒラと振った。その人差し指には、玩具の指輪が付けられている。

 

 

「……おいおいおい。困るぜ、お2人さん!ジョルノは最高難易度の忍者だぞ!」

 

「えっ?そうだったの?」

 

「さっき説明し忘れたが、最高難易度の忍者は顔写真も無いトップシークレット扱いでな。探し当てた忍者達からヒントをもらって、ようやく発見されるっていう設定だったんだよ!」

 

「……それは、すまなかったな」

 

「あはは……ごめんごめん。周りには内緒にしておくから」

 

「当たり前ですよ。忍者の頭領の存在は、そう簡単にバレてはいけないんです」

 

「ふっ……マフィアのボスから、忍者の頭領に転向したのか?」

 

 

 承太郎がそう言ってからかうと、ジョルノはキリッとした表情でこう言った。

 

 

「――このジョルノ・ジョースターには、忍者の頭領になるという夢がある!」

 

「ちょっ、ぶはっ!?ジョ、ジョルノ、ってめェ、笑わすな……っ!!」

 

 

 忍者の頭領……もとい、元マフィアのボスの悪ふざけによって、元部下の腹筋が死んだ。ギャングスターになる夢をネタに使うなよ。俺まで笑いそうになっちまった。

 

 

 さて。最後は徐倫達、6部女子組3名がいるクラスだ。

 

 

「いらっしゃいま――っ、志人さん!兄さんも来てくれたのね!」

 

「やぁ徐倫ちゃん。よく似合ってるね、それ。ツインテールも」

 

「ふふ、ありがとう。……兄さん、これどう?」

 

「ん。可愛いぞ」

 

「うえっ!?……ま、まさかそんなストレートな感想が返ってくるとは……!」

 

「モテる男は違うなぁ」

 

「?……妹を褒めるのは、兄として当然だろ?」

 

「あ、なるほど。ただのシスコンか……」

 

 

 徐倫ちゃんの格好は、よくあるカフェ店員の格好――の上から、猫耳カチューシャと尻尾。髪型はいつものお団子頭ではなく、ツインテールだ。

 

 このクラスの出し物は、猫耳カフェだった。男も女も、全員が猫耳と尻尾を付けている。

 最初は女子のみメイド服を着せられそうになったらしいが、徐倫達が猛反対してそれは無しになったとか。

 

 

「おーい、そこの妹ネコ!オニイチャンと憧れのオニイサンが来て嬉しいのは分かったから、尻尾振ってないで働けー!」

 

「誰が尻尾振ってるって!?エルメェス!」

 

「とりあえず、席に案内する……にゃん」

 

「……無理に語尾を付けなくてもいいんだよ?フーちゃん」

 

 

 ひょっこり現れたF・Fのぎこちない喋り方に、苦笑いを浮かべた。

 

 以前聞いたのだが、彼女は見た目は女囚エートロの姿のままで、フー・ファイターズという人間の女性として転生したという。スタンド能力であるプランクトンの力は、そのまま使えるらしい。

 ただ、性格の方は元々の性格とエートロに成り済ましていた時の性格が混ざりあって、口調と共にいろいろ落ち着いたようだ。

 

 今では周囲に、見た目は可愛いけど不思議ちゃん、という印象を与えている。

 なんというか、F・Fからは心を学び始めたアンドロイドのような気配がするんだよな……いや正真正銘、人間だけど。

 

 

 席に座って飲み物を注文すると、エルメェスが持って来てくれた。エルメェス兄貴の猫耳と尻尾……

 

 

「……何だよ、園原さん。どうせあんたも似合わないって思ってんだろ?」

 

「うーん……正直に言うと、ドレッドヘアとは合ってないかな?エルメェスちゃんなら、それを下ろしたり結んだりすれば可愛いと思うよ」

 

「…………」

 

「……え?どうかした?」

 

「いや、あー……何でもない。ただ、やっぱりあたし達を"ちゃん"付けで呼べるのはあんたぐらいだろうなと、改めて思っただけ」

 

「前にも言ったけど、嫌なら呼び方を変え、」

 

「あんたはそのままで良いんだよ!」

 

「わ、分かった」

 

 

 以前、最初にちゃん付けで呼んだ時。F・Fもエルメェスも固まってたんだよな。……何故か、徐倫は爆笑してたが。

 

 

「くふ、ふふふ……!エルメェスってば、普段あまり女の子扱いされないからって、動揺し過ぎじゃない?」

 

「おそらく、園原が下手に取り繕う事もなく、真面目な感想を返したから動揺したのだろう。笑えるわ」

 

「うるせえ!!」

 

 

 ……そんな事をやっているうちに、俺達のシフトの時間が近づいて来た。徐倫達と別れて、自分達の教室に向かう。早く着替えなくては。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「――船長!飲み物持って来ましたよー」

 

「……ん、ご苦労だったな副船長。船内の様子に変わりは無いか?」

 

「異常ありません!」

 

「そうか。引き続き業務に当たれ。客と余計なトラブルを起こさないようにしろよ」

 

「アイアイサー!」

 

 

 

 

「――ぶはっ!?」

 

「おま、えら……っははははは!!」

 

「ノリノリだな……」

 

「似合っている、似合っている、が……っ、ノォホホ……ッ!!」

 

「…………承太郎さんのノリの良さが意外だ」

 

「いやいや、形兆。普段俺達2人でふざける時は、大抵こいつから始まるよ」

 

「やめろ、俺の中のイメージが崩れる……!」

 

 

 俺達の教室には現在、スタクル面子+形兆が遊びに来ていた。……本当はイギーにも会いたかったが、さすがに校内には入れないので、ポルナレフの実家でお留守番しているという。

 さっきからホリィさん達や、ジョナサンとディオとプッチ、それからアバッキオとブチャラティを含めた元護衛チームなど。ひっきりなしに人が訪れては去って行く。

 

 そんな俺達のクラスの出し物は――海賊喫茶。

 

 クラスメイト全員、俺も含めて海賊船の船員の格好をして、接客する。そんな出し物である。……ただし、承太郎は接客しない。"船内の一角で寛ぐ船長"という、オブジェクト扱いだ。

 こいつは今、船内……教室の一番後ろに設置したソファーに寝転び、本を読んでいる。船長のコスプレが嵌まり過ぎて、本当に映画のワンシーンを切り取ったかのような光景だな。

 

 俺は基本、別室での調理担当で稀に接客をする程度。……それなのに、何故か副船長扱いされている。

 最初に呼び始めたのは承太郎で、それに影響されたクラスメイトまで俺を副船長と呼ぶようになってしまった。何故だ。

 

 

「しかし……船長、か」

 

「ン?どうした、アヴドゥル」

 

「なんか気になる事でもあったか?」

 

「いや。大した事ではないさ、ポルナレフ。――昔の、香港からシンガポールへ、船で移動しようとしていた時の事を思い出しただけだ」

 

 

 あっ。ダークブルームーン戦……

 

 

「…………おい、アヴドゥルてめー……嫌な野郎の事を思い出させるんじゃねえ」

 

「ああ、すまない!そんなつもりは無かったんだが……」

 

「……前世の話か?」

 

「……そうだよ。僕達は例の旅の途中で船を使ったんだが、DIOが送り込んだ敵のスタンド使いが、その船の船長を殺してすり替わっていてね……そいつは結局、承太郎が倒したんだけど」

 

「ほう……」

 

 

 花京院が小声で形兆に説明した通り、ダークブルームーンという半魚人のようなスタンドを使っていた偽船長は、承太郎によって倒されている。

 その偽船長と、自分が海賊船の船長になっている事を結び付けてしまったのか、承太郎は心底嫌そうな顔をしていた。

 

 おっと。こいつのやる気が無くなる前に、軌道修正しないとな。

 

 

「承太郎が前に話してくれた時、そいつはチャーター船の船長に化けてたって聞いたけど……今の承太郎は海賊船のカッコいい船長じゃん。そいつとは違うだろ?」

 

「……そうか?」

 

「そうだよ。――本を読みつつさりげなく船員達を見守っていて、いざという時は助けに入ろうとしている、不器用だけど優しい我らが船長!でしょ?」

 

 

 実は、こいつ。ただオブジェクト役に徹しているわけではなく、船員……クラスメイト達が客とトラブルになっていないかどうか、こっそり見守っていたのだ。

 気づかれると思っていなかったのだろう。承太郎は思わず身を起こしかけて、中途半端な位置で止まり、再びソファーに寝転んだ。……それから、船長の帽子を顔面に被せる。

 

 

「あはは、図星?ねぇ、図星?」

 

「…………いいからとっとと調理に戻りやがれ、副船長」

 

「はーい、船長!」

 

 

 親友の照れ隠しにニヤニヤしながら、俺は教室の外に出た。

 

 

 

 

 

 

「……なるほど。さすが、副船長だね」

 

「ご機嫌取りをするだけでなく、船長の意を正確に酌んでいる……」

 

「承太郎さんをあんな風にからかっても怒られないのは、園原だけだろうな」

 

「承太郎ちゃん、かわいいー!そんな事考えてたんだなァ?」

 

「ちっ……黙れ、ジョセフ」

 

「船長の鑑じゃねぇか、なぁ?」

 

「ポルナレフもニヤニヤしてんじゃねえ。殴るぞ」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 スタクル面子と形兆が去った後。俺は引き続き調理中心でやっていたので、教室にはあまり顔を出さなかった。……そして久々に、教室に顔を出した時。

 

 

「……いいところに来たな、シド。悪いが、少しの間船長代理を頼んだぜ」

 

「えっ?ちょ、ちょっと、承太郎?」

 

 

 一体何があったのか、かなり不機嫌そうな様子の承太郎が、俺に船長の帽子を被せて上からコートも羽織らせて、教室から出て行ってしまった。

 さすがに床に引きずる程ではないが、俺にとっては大き過ぎるコートだ。

 

 

「……ねぇ、何があったの?」

 

「それが――」

 

 

 クラスメイトの1人によると、女性客の中にかなりしつこく絡んで来る奴がいて、つい先程なんとか追い払ったばかりらしい。

 それで不機嫌だったのか。席を外したのは、頭を冷やすためだろうな。……それなら仕方ない。船長代理を引き受けるとしよう。

 

 帽子とコートはそのままで、ソファーに寝転ぶ。……その直後、入り口辺りが騒がしくなった。そちらに目を向けて――思わず帽子で顔を隠し、内心で叫ぶ。

 

 

(――アイエエエ!?アナスイとウェザー!?アナスイとウェザー、ナンデ!?)

 

 

 6部の徐倫の仲間達が、エンポリオ以外勢揃いしている!!文化祭は一般公開されてるし、もしかしたら来るかもと思ってはいたがマジで来た!!

 

 きっと、承太郎に会いに来たのだろう。あいつがいない今、彼らに話し掛けられるのは間違いなく俺だ。落ち着け落ち着け。

 

 

「……もしや、園原か?」

 

「……そうだよ、フーちゃん。承太郎はちょっとしたトラブルがあって不機嫌になっちゃってさ。今は頭を冷やすために席を外してる。その間、俺が船長代理」

 

「ああ、だからその格好だったのね。……志人さんも似合うわよ」

 

「ありがとう、徐倫ちゃん」

 

「船長役は承太郎さんだって聞いてたから、一瞬あの人が縮んだんじゃないかと思ったわ。やけに小さくてな」

 

「小さくて悪かったね、エルメェスちゃん。でも、これでも男の平均身長を越えてるんだけど?」

 

「それは見れば分かるけど、細っこいからなあ」

 

 

 失礼な、これでも腹筋ちょっと割れてるんだぜ。……そう思いながら身を起こすと、彼女達の後ろにいるアナスイとウェザーが、同じ方向に首を傾げていた。

 

 

「徐倫ならちゃん付けは分かる、が…………フー、ちゃん?」

 

「エルメェス、ちゃん……?」

 

「おう、お前ら。言いたい事があるなら言ってみろよ、すぐに殴ってやるから」

 

「……えっと、そちらの2人は?」

 

「今紹介するわ。あたし達の仲間で、髪の長い方がナルシソ・アナスイ。帽子を被っている方がウェス・ブルーマリン。彼の事はウェザーって呼んであげて。ちなみに2人共、大学生よ」

 

 

 徐倫に紹介され、互いに自己紹介を済ませる。……前世やスタンド能力についての話は、ここで詳しく話す訳にはいかないので、また後日という事になった。

 前世ではプッチと双子の兄弟だったウェザーは、今世での繋がりはどうなっているんだろうか?気になるが、何も知らないはずの俺ではプッチとウェザーにそんな話は聞けないし……

 

 

「ところで、園原」

 

「はい」

 

「――テメーは、徐倫の何だ?」

 

「え?」

 

「ちょっと、アナスイ!」

 

「あ、始まった」

 

「いつものあれ(・・)ね」

 

「……アナスイ、あまり怖がらせるなよ。相手は年下だぜ」

 

 

 6部面子の反応から、なんとなく事情を察する。……前世のアナスイは、徐倫との結婚を望む程に彼女を愛していた。ただし、終盤に至るまでは彼の一方通行である。

 今世での2人の関係は不明。何が目的でそんな事を聞いてきたのかも、不明。……だが、彼女と俺の間に恋愛感情は無いため、正直に答えても問題無いだろう。

 

 

「俺は徐倫ちゃんの先輩ですよ。彼女の事は、いい後輩だと思っています。妹分のような存在ですね」

 

「そうよ、アナスイ。あたしにとって、志人さんはもう1人の兄のような存在なの!」

 

「…………」

 

 

 アナスイが、じっと俺を睨んで来る。元殺人鬼の鋭い眼光は怖いが、目を逸らしてはいけないと直感し、俺も彼の目を見たまま動かない。

 

 ……やがて、彼の目付きはほんの少しだけ優しくなった。

 

 

「確かに、徐倫に対して邪な感情は無さそうだ。許してやろう」

 

「いや、何様だよお前……園原さんは何も悪くないのに」

 

「いつも思うが、自分が一番邪な感情を抱いているくせに、何故この男はこんなにも偉そうなのだろうか……?」

 

「はぁ……悪い、園原。アナスイが迷惑を掛けた」

 

「いえ、構いませんが……今の質問の意図は?」

 

 

 頭を抱えるウェザーに問い掛けると、答えたのは彼ではなく、アナスイだった。

 

 

「恋敵かどうかを確かめるためだ。俺はいずれ徐倫と結婚する。そのために障害は排除しなくてはならない」

 

「――なお、最も大きな障害は承太郎オニイサマである」

 

「ぶふ、っ、こら、笑わせんじゃねえよ、F・F……!!」

 

「アナスイにとっては、笑い事では済まされないだろうがな……」

 

 

 あ、なるほど把握。つまり、前世の終盤で徐倫との結婚について承太郎と問答したあれが、今世でも続いているって事だな。……しかし、徐倫の気持ちはどうなんだ?

 

 

「……徐倫ちゃん、彼と付き合ってるの?」

 

「いえ……そもそも、交際すっ飛ばして結婚しようとしてるのよ、アナスイは」

 

「は?それって、徐倫ちゃんの気持ちを無視してるって事?」

 

「そ、そうじゃないわ。……あたしだって嫌ではないのよ。でも……押しが強過ぎてちょっと困っているというか……あー、できればゆっくりとお付き合いから始めたいけど今さら自分から申し出るのは恥ずかしいというか……その、うん……」

 

 

 誰にも聞かれないように、こっそりと徐倫に聞いてみると、そんな答えが返って来た。……確かに彼女は嫌がってはいないようだが、結局アナスイの押しが強過ぎるのが悪い、と。

 

 つーか。いくら精神年齢が大人でも、今世の徐倫はまだ中学3年生だぞ?結婚できる年齢に達していないし、まだまだ若い少女だ。

 そんな彼女に大学生の男が迫ってるって、どう考えても事案じゃねぇか。それは承太郎が許さねぇわ。ブチャラティさん、こっちです。

 

 ……"万が一の時は、ブチャラティさんに相談すれば?"って承太郎に言ってみようかな。今世では現役お巡りさんだし、きっと頼りになるはず。

 

 

「そうだ、園原!お前も協力してくれ。徐倫が言うように、お前が本当に承太郎の親友なら説得もできるだろ?」

 

「はぁ?な、何を言って、」

 

「頼む。俺と徐倫の幸せな未来のために協力すると言え」

 

 

 突然、アナスイがそう言って俺に迫って来た。頼むと言っておきながら命令してんじゃねぇか。何だこいつ。マジでブチャラティ呼び出すぞ、こら。

 

 

「アナスイ!志人さんを巻き込むのは、」

 

「おっと、待て。徐倫」

 

「え、ちょ、ウェザー?」

 

 

 と、アナスイの後ろで徐倫がウェザーに引きずられて離れていく。いつの間にか、エルメェスとF・Fまで離れていた。

 

 俺、見捨てられた?……と思っていたら、

 

 

「――俺の親友に何やってんだ?てめえ……」

 

「じょっ、承太郎、っ、さん……!?」

 

 

 こわーい黒豹様がこんにちは。……そうか。ウェザー達は承太郎が戻って来た事に気づいて、避難したんだな。

 

 

「……やれやれだぜ。今までは徐倫が本気で嫌がらない限りは、俺もこれ以上強く咎めるつもりは無かったんだが――俺の大事な大事な親友まで巻き込もうとするなら、話は別だな」

 

「あ、その、これは、」

 

「副船長。お前には本っ当に悪いが、船長代理をもうしばらく継続してくれ。俺はこいつと、ちょっっとお話しなきゃならねえんだ。……頼めるか?」

 

「…………あ、アイアイ、サー……」

 

「ん、ありがとよ。……おら、てめえはこっちだ。来い」

 

 

 承太郎はアナスイの首根っこを掴んで引きずり、再び教室から出て行った。

 

 アナスイに、合掌。

 

 

 ……その後。承太郎と共に戻って来たアナスイは、魂が抜けたようになっていた。そんな彼を、ウェザーが俺と承太郎に何度も謝りながら回収し、立ち去って行く。

 今世のウェザーは苦労人か?前世で暴走していた時のあれが嘘のようだ。

 

 

「……徐倫ちゃん達は、アナスイさんの事心配しなくてもいいの?」

 

「問題ない。奴の自業自得だ」

 

「馬鹿やったなあ、とは思うが、心配する程では無いな」

 

「志人さんを巻き込んだんだから、ああなって当然よ。ちゃんと反省してくれるなら許すけど」

 

「そ、そうか……」

 

「あの犯罪者予備軍はどうでもいい。そんな事より、副船長。代理業務ご苦労だったな。代わるぜ」

 

「あっ、ハイ船長。どうぞどうぞ」

 

 

 内心で、再びアナスイに合掌した。……今世のアナスイの扱い、割と雑だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

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