空条承太郎の友人   作:herz

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・男主視点。

・ご都合主義、捏造過多。書きたい部分を書いただけ。

・キャラ崩壊注意!!


 ――空条承太郎だって、涙腺崩壊でダウンする事があるはず。





空条承太郎の友人は、卒業する

 

 

 

 

 

 この学校の卒業式は、学校の敷地内にある大きな講堂で行われる。高校の卒業生と在校生が全員出席するため、それなりの規模だ。

 中学の卒業式は高校の卒業式から数日後に行われるため、本来なら中学生は誰もいないはずだが……今日は中学の卒業生と在校生も複数、講堂の外で待機している。

 

 そのほとんどが、承太郎のファンクラブの人間だ。この機会を逃したら、承太郎の姿を学校で見られなくなるからな。

 最後に一目見たいとか、あわよくば何か思い出を作りたいとか、それぞれ思惑があるんだろう。

 

 ――まぁ、卒業式が終わったら、それらの思惑をガン無視して逃走するんだけどな!

 

 花京院と形兆も一緒に、修学旅行の時と同じ撒き方で逃げて、ゲームセンターに遊びに行く予定である。後に他の学生組も合流して、全員で遊びまくるのだ。

 

 

 そんな、後のお楽しみは置いといて。

 

 

「――園原志人」

 

「はい」

 

 

 現在、卒業式の真っ只中。卒業証書授与が始まっており、俺の名前を呼ばれたところだ。

 俺の前に承太郎が壇上に立った時は、ボリューム小さめの黄色い声援が上がっていた。ファンクラブもこういう時は控えめにしてくれるらしい。

 

 壇上に上がり、卒業証書を受け取って一礼。後ろに振り返って顔を上げ――

 

 

「――――」

 

 

 ……ある一点を凝視して固まり、すぐに我に返って壇上から下りた。自分の席へ戻り、片手で顔を覆う。……信じられない物を見た。

 

 

 卒業式が終わったら、遊びに行ってる場合じゃない。――あの場所(・・・・)に、行かなくては。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「シド。花京院達と合流するぞ」

 

「…………」

 

「……おい、シド!」

 

「っ、あ、悪い!ぼーっとしてた。……合流するんだよな?分かった」

 

「…………行くぞ」

 

 

 卒業式が終わり、講堂の外に出る前に承太郎から声を掛けられ、花京院達と合流する。

 それから、追い掛けてくるファンクラブの生徒達から逃げて、物陰でイージスの不可視のバリアを発動。……生徒達がいなくなるのを待ち、こっそりと学校から出た。

 

 

「……これでよし、と。僕達が逃げ切った事はグループに報告したよ。仗助達も、何人かを足止めしてくれてたみたい」

 

「そうか……追い掛けて来る生徒が予想よりも少ないと思っていたが、道理で。あいつらにしては、よくやった方だな」

 

「素直じゃないなぁ、形兆君は。もっと褒めてあげたらいいのに」

 

「…………これでも褒めている」

 

「はいはい分かってるよ。……さて。さっそく遊びに行こうか!」

 

「……高校生活の最後だ。遊びまくろうぜ」

 

「おや。珍しく乗り気だね、承太郎」

 

 

 賑やかに話しながら先を歩く、俺以外の3人。……彼らには申し訳ないが、俺はここまでだ。

 

 

「……3人共、悪い。俺、用事があってさ。先に行っててくれないか?」

 

「ああ?」

 

「えっ?……どうしたんだい?園原君、あんなに楽しみにしてたのに」

 

「そうなんだけどな……行かないといけない場所ができたんだ。後で必ず合流する。じゃあな」

 

「おい、園原!?」

 

「園原君!?」

 

 

 呼び止める声を無視して、走り出す。……早く、行かなければ。

 

 

「――待て!志人!!」

 

「っ、」

 

 

 しばらく走ったところで、後ろから肩を掴まれる。振り向くと、息を整えている承太郎がいた。

 

 

「……何やってんだ。花京院達と一緒に行けよ」

 

「後からシドを連れて合流すると言っておいた。そんな事よりお前だ。……何があった?

 卒業証書を受け取った後に一瞬固まってたし、卒業式が終わってからも、ずっと様子がおかしかったよな?」

 

「…………」

 

「…………ああ、分かった。質問を変える。お前が言う、行かないといけない場所に、俺がついて行ったら駄目か?」

 

「それ、は、」

 

「志人。……正直に言え。――1人がいいのか、1人は嫌なのか」

 

 

 …………そんな事聞かれたら、答えるしかないじゃねぇか。

 

 

「――1人は、嫌だ」

 

「……よし。それでいい」

 

 

 ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。……泣きそうになって、困る。

 

 

「で、何処に行くんだ?」

 

 

 俺が"行かないといけない場所"を教えると、承太郎は目を見開いた。

 

 

 ……ありがたい事に。目的地に向かうまでの間、承太郎は何も聞いて来なかった。お互いに無言のまま歩き、向かった場所は――母と祖母が眠る、墓の前。

 白い花を供え、ロザリオを取り出して祈る。……イージスが勝手に出て来た。

 

 こいつが勝手に出て来るのは、大体が緊急時か……もしくは、俺が精神的に不安定になっている時だ。

 

 

「…………卒業証書をもらった後に、後ろに振り返ったら……いたんだ。――母さんと、婆ちゃんが」

 

「っ!!」

 

「講堂の奥の、入り口の前に立ってて……笑って、手を振ってくれた。次に瞬きした時には、もういなかったけどな。

 きっと、俺の願望が見せた幻覚なんだろう。それは分かってる。でも……居ても立ってもいられなくなって、それで、」

 

「志人、もういい。……ああ、勘違いするなよ。もう聞きたくないって訳ではなく、お前が無理に話す必要は無いって事だ」

 

「……うん」

 

 

 俯くと、跪く俺の隣に承太郎もしゃがみ込んだ。肩に腕を乗せられる。

 

 

「……重い」

 

「これぐらい慣れてるだろ。……幽霊なら、前世で一度女の幽霊を見た事がある。お前も住んでいた杜王町にいたんだぜ」

 

「え、」

 

 

 ……杉本鈴美の事か。

 

 

「仗助とその仲間達も知っている。……今世では前世の記憶は無く、スタンドを持っていない普通の人間として生きているようだが、彼女もまた、仗助達の前世の仲間の1人だった」

 

「…………」

 

「前世で実際に見た奴がいる。それなら――今世にもきっと、幽霊は存在する」

 

「――――」

 

「お前が卒業するのを、わざわざ天から降りて見に来てくれたんじゃねえか?……幻覚だとか、予防線を張る必要もねえだろ。

 お前が見た物が全てだ。少なくとも、俺はお前が見た物を信じる」

 

「…………そう、か」

 

「……俺も、志人が見た物を信じるよ。だって俺が……スタンドがこの世に存在するんだから!幽霊だって絶対にいるよ!!」

 

「……うん、……そう、だな……!」

 

 

 涙が止まらない俺に、承太郎とイージスが寄り添ってくれた。

 

 

「……母さん。婆ちゃん。来てくれて、ありがとう……!」

 

 

 ――"幸せになってね"と、誰かに言われた気がする。……幻聴では無いと、信じる事ができた。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「園原君、どうした?その目……」

 

「腫れてるぞ」

 

「いや……大丈夫だ。気にしないでくれ」

 

「……承太郎、園原君は……」

 

「……何があったんだ?」

 

「本人が気にするなって言ってんだ。深くは突っ込むな」

 

 

 ゲーセンで合流した花京院と形兆には、涙で腫れた目の事を真っ先に指摘されたが、母と祖母の幽霊の事は、承太郎以外には話さないと決めている。承太郎にもさっき口止めした。

 一度話して、ちょっとでも否定されたらと思うと不安だからだ。俺は母さんと婆ちゃんが本当に卒業式を見に来てくれたのだと、そう信じたい。

 

 その後。既に花京院達と合流していた仗助、ジョルノ、徐倫とそれぞれの仲間達にも目の事を心配されたが、追及されても何も話さなかった。

 

 

「志人さん達はどれで遊びますか?」

 

「あたし達は大体遊んだわ」

 

「まだ時間あるし、承太郎さん達が好きなゲームをやった後に、予約しといたカラオケに行こうかって話してたんスよ」

 

「あー、そうだな……どれにしよう?」

 

「……シド、あれ」

 

「んん?……おっ!ここにもあるのか」

 

 

 筐体が大きい、ダンスゲームの機械。一昨年、俺が使い方を教えて、承太郎が初めて遊んだ機械と同じ物だ。

 

 卒業する前。たまに承太郎とゲーセンに遊びに行った時はよく使っていた。

 どうやら承太郎も俺に影響されて嵌まったらしく、今では俺並みの高得点を簡単に取れるようになってしまった。ちょっと悔しい。

 

 

「たまには2人でやるか。記録更新目指そうぜ」

 

「……そうだな。お前の個人記録を抜くのはまた今度にしてやる」

 

「うわ、やだー。俺いつ抜かれるかってびくびくしてんのに……」

 

「えっ。承太郎さん達、ダンスゲームなんてやるんだ!?」

 

「い、意外……!」

 

「会話からして何度かゲーセンに来てるっぽいのがそもそも意外なんだが」

 

「動画を撮ってもいいか?」

 

「撮るな」

 

 

 俺も承太郎も動画はお断りして、レッツプレイ!

 

 

「お――おおッ!?」

 

「本格的だ!?」

 

「何だあれ、本職のダンサー並みか?」

 

「え、やば。あたしの兄さん達カッコ良過ぎかよ!」

 

 

 機械の上で俺が前に、承太郎が後ろに立ち、ステップを踏む。

 最初の頃は互いの腕や足がぶつかってしまう事がよくあったが、今ではもう慣れたもの。ぶつかりそうになっても上手く避けられる。

 

 

「――よっしゃあ!」

 

「記録更新!」

 

 

 いつもよりテンション高めのロータッチをして周りを見ると、盛大に拍手された。前世の仲間達だけでなく、一般客も集まっていたようだ。

 

 これは……さすがに目立ち過ぎたな。

 

 

「志人のアニキかっけぇ!!」

 

「承太郎さんもすげえ!!」

 

「今度俺にもダンス教えてくれ!」

 

「カッコよかった!!」

 

「はいはい分かった分かった」

 

「喧しい」

 

 

 黒柴とパグや、何人かの後輩達の興奮を宥めながら、一般客の間で騒ぎになる前に、全員でその場から離れてカラオケ店へ向かった。

 ……実は。俺はあまり歌う事が好きじゃないのだが……それはさて置き。

 

 

 承太郎と形兆はあまり歌ってくれないが、それ以外の面子は大盛り上がりだ。

 

 例えば、6部女子組が香水の英語がグループ名の、某女子3人グループの曲を歌ったり。4部の恋人組が某有名アニメ映画で、主人公とヒロインが魔法の絨毯に乗って歌う曲を歌ってたり。

 例えば、形兆が億泰に頼まれてやる気無さそうにデュエット曲を歌ってたり、花京院に頼まれて一緒にアニメの主題歌を歌っていたり。

 

 例えば、トリッシュと承太郎がそれぞれ有名な洋楽を歌い、抜群の歌唱力で俺達を黙らせたり。

 仗助と5部の男子4人が、とある天候がグループ名の某男子5人グループの曲を歌ったり――豪華声優陣による歌番組のようで、超楽しい。

 

 

 俺は歌の合間に、後輩達と一緒に写真を撮らせてもらっている。

 もちろん、あのアルバムに貼るためだ。……そろそろいっぱいになるんだよな、あれ。新しいのを買わないと。

 

 

「…………ところで、てめえら。気づいているか?」

 

「え?」

 

「何がですか?承太郎さん」

 

「――俺達の中で、まだ一度も歌ってない奴が1人だけいる事に」

 

 

 あっ、やばい。……気配を消して逃げようとしたら、スタプラさんに首根っこを掴まれました。

 

 

「……ああッ!!」

 

「た、確かに!園原さんがまだ歌ってない!」

 

 

 くそう!上手くステルスしてたのにバレた!!

 

 

「……俺は結構前に気づいて、今までずっと黙ってやってたんだがなあ……そろそろいいだろ?」

 

「い、いや、だってさ。お前ら歌上手いしそんな中で俺が歌っても何処にも需要がないし下手な歌を聞かせるとか恥ずかしいし、」

 

「いいから歌え」

 

「アッ、ハイ」

 

 

 強面に凄まれたので、仕方なく歌います。……やけくそ気味に、高1の時のクラスメイト達とカラオケに行った時。俺が歌ったら何故か全員固まってしまった曲をわざと選んで入れた。

 あれ以来。俺は次に誰かとカラオケに行った時は、ステルスしてできる限り歌わないようにしようと心に決めたのだ。

 

 あれってつまり、固まってしまう程に歌声が酷かったって事だろ?自分は普通に歌っていたつもりだが、やっぱり他人に聞いてもらわないと分からない事もあるよな。

 でも、学校の音楽の授業中は歌っても何も言われなかったから、音痴では無いはずなのに……

 

 そもそもカラオケ店に行く事も避けていたのだが、今回は後輩達との思い出作りのためにと我慢した。

 ちょっとだけなら歌ってもいいかなと、最初は思っていた。しかし、こいつら全員歌が上手過ぎてそんな気は早々に失せた。

 

 だから気配を殺して歌わないようにしてたのに、くそう。

 

 

 なお。選んだ曲は果物の名前がタイトルになっており、法医解剖医が主人公のとあるドラマのエンディング曲だ。

 あのドラマも曲もまぁまぁ有名だし、皆知っているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ちょっ!?何で泣いてるんだ!?」

 

「ぐすっ……!むしろ泣かないはずが無いだろうッ!?君は何故それを選んだ!?」

 

「ある意味選曲ミスだ馬鹿め!!ジョースター家の人間が軒並み崩れ落ちたぞッ!?」

 

「な、何で……?」

 

「自分の境遇を忘れたのか貴様ァッ!?」

 

「いや、歌詞に感情を籠め過ぎて境遇を知らない人でもかなりのダメージになってるよ!

 ジョースター家以外も泣いてるし泣いてない奴でも固まってるじゃないか!!くそ、涙が止まらない……!」

 

 

 俺が歌い終わると、大体が泣いてるわ、泣いてなくても固まってるわ、カラオケルームが大変な事になっていた。

 そして泣きながら叫ぶ花京院と、涙目の形兆の2人に怒られる俺。解せぬ……

 

 

 

 

 

 

 






※本編後。ジョースター邸に帰って来た3、4、5、6部。強制連行されて来た園原。5人を出迎えた1部、2部、元ラスボスの会話。(キャラ崩壊注意!)

「おう、お前ら!お帰り――って、おいおい……」

「えっ、皆どうしたの!?」

「……随分と目が腫れているぞ。何があった?」

「あァー、もしかして卒業式で皆で泣いちゃった?」

「いえ、違います。それではありません」

「あん?」

「あんた達も道連れにしてやるっス」

「志人さん、お願い」

「…………マジでやらないと駄目か?」

「駄目に決まってんだろうが。俺達を泣かせた罰だと言っただろ」

「……泣かせたのは志人だったのか?」

「本当に何があったの……?」

「俺メロディーと歌詞がないと無理、」

「メロディーは既にスマホで準備完了です。いつでも再生できます」

「ほら。歌詞もあたしのスマホの画面に出したから、これ見てね」

「…………せ、せめて聞かせるのはお前らとジョセフ先輩とジョナサンとディオさんだけで!ホリィさん達は呼ばないでくれ!」

「……まあ、いいだろう。確かにお袋達がいたら、喧しくなるしな」

「それじゃあ、談話室使います?あそこならリビングから離れてるし、多分聞こえないと思うっス」

「よし、そっちに移動だ」

「何なんだ?一体……」
 
 
 
 
 
 
(園原がカラオケで歌った曲を、ジョナサン達にも歌って聞かせた後)

「――――シィィザァァ……ッ!!」

「う"う"っ、ぐす……うわぁぁ……!!」

「…………」(無言でジョナサンを慰めつつ、自分も涙目のディオ)

「こ、効果抜群っスね……うぅ……ッ!」

「どうしよう、何度聞いても泣いちゃうぅ……」

「道連れは成功しましたけど……駄目ですね、これは。僕達まで巻き添えに……」

「……これで分かったな?シド。さっきも説明したように、お前の歌は全く下手じゃない。むしろ、人の心を強く揺さぶって泣かせる程に上手過ぎるんだ」

「おう……」

「だから、今後お前が人前で歌うのは明るい曲だけにしろ。別れの歌とか悲しい曲は絶対に歌うんじゃねえぞ。いいな!?」

「わ、分かった」
 
 
※ステルス園原被害者の会に、プラス3名加入。

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