英雄と饅頭とアカデミア 作:パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ..
郊外のとあるビルの地下1階にて、少年は1人座っていた。
その部屋はまるで会議室のように机が輪を作るように置かれているが、その部屋にいるのは少年ただ1人であった。
時折、壁にかかった時計を眺め、周囲を見渡す動作をしている。
日は既に沈んでおり、彼の周りを包むのは静寂のみである。しんとした部屋に机を指でコツコツと叩く音が響く
「遅れましたー。」
突然扉がガチャリと開き、桃色の髪のボーイッシュな少女が1人入ってきた。
「おせえんだよ!!」
少年はキレた。
「集合時間6時って言ったじゃん!外見てみろよ真っ暗だよ?!春に近づいて来て明るい時間も長くなってきたけど真っ暗なんだよ!!」
「お待たせしましたー!」
また1人部屋に入ってきた。茶髪の好青年で、どこか狐を印象させる見た目をしていた
「いやぁ、北○無双がフィーバー入っちゃって..」
「パ○ンコ行ってんじゃねえよ!!」
「まあまあそんなおこらないで下さいよ、仮にも教祖様じゃないですか」
「そうッスよ、むしろ幹部の懐があったまったんだから喜ぶべきッスよ」
教祖様と呼ばれる男は頭を抱えてしまった。
「それにほかの人たちは?ギルザレンとか環がいないのはわかるけどほかの人たちも来てないんですか?」
「任務中だよ暇なおめえらと違ってなあ!!」
男はまだキレていた
「...あとギルザレンばどうせ見てるだろ多分」
「んじゃ、始めますか、虚空教幹部集会」
「ほとんど揃ってねぇんだよなあ...」
◆◆◆◆◆◆◆
「なぁんでアラームがなってないんだよぉーー!!」
叫びながら街中を疾走する少女。その速さはお世辞にも早いとは言えないが、本人は必死である。
なぜなら、今日は雄英高校の登校初日。あの倍率300倍の試験をくぐり抜け、合格を勝ち取った彼女にとっては、最初の1歩を踏み出す重要な日である。
しかし、あろうことか彼女は寝坊していた。
「まずいまずい、初日から遅刻なんて絶対まずいよ!初日から先生に怒られたくねえ!同級生にいじられるのも嫌だ!かと言って個性は使えないし..」
「おやおやぁ?天下の雄英高校の生徒ともあろうお方が登校初日に遅刻ですか?考えられませんねぇ、」
少女は驚きながら声の聞こえてきた方に目を向ける。失礼なことを言ってきた奴は自分よりもはるかに背が高く、金髪に碧眼でガタイのいい、かなり目立つ見た目をしていた。
そして何より、自分と同じ雄英高校の制服を着ている
「まあ、僕もなんですけど」
「おめぇどの立場で言ってきたんだよ!」
頭が混乱している少女を、金髪の少年は追い越していく
「まあ、僕は遅刻しないと思いますけど、あなたのスピードだと厳しいんじゃないですかね。まあ、せいぜい頑張ってくださいよw」
そういうと少年はさらに速度をあげて少女を抜き去っていってしまった
「あんのやろう...『スピーダー』」
周囲を見渡し、ボソリ、と少女は呟いた。すると彼女の周りに風が起こり、彼女を包み込んでいく。
先程までのスピードとはうってかわり、まるで風と一体になったような速さで走り出した。
1分もしないうちに、先程の金髪の少年の背が見えてくる。
「悪いねえ先輩、先に行かせてもらいますよ!」
「はっ?!なんで急に、速く走ってるの!?ずるじゃん!」
騒ぐ少年を背に、彼女はさらに速度を上げる。
(よし、この分なら間に合うだろ。てか、さっきの人年上だよね?1年生で遅刻するやつなんて他に居ないと思うけど...)
そんな考え事をしてるうちに雄英高校が見えてきた。この雄英高校は、日本トップクラスの学校であり、有名なプロヒーローを何人も排出している、いわゆるエリート高である。
「うわぁ、でっけぇー....って!早く入らなきゃ!1年A組ってどこだよ....」
「えっ、あなたもA組なんですか?」
振り向くとそこには金髪がいた。
「あなたもって...てことは先輩も?」
「そうなりますね。俺はエクス・アルビオって言います」
「うぇっと...アルス・アルマルです...」
「まあ今朝のことは水に流してあげるので早く行きましょ。もう時間ないですよ」
「あぁ..うん...って、最初に仕掛けてきたのおまえじゃねぇかよ!!」
◆◆◆◆◆◆◆
「「ギリギリセーフ!!」」
2人が教室の扉を開けると同時に始業のチャイムがなる。クラス中の視線が痛い。
「登校初日から遅刻ギリギリなんていい度胸だな 。それも2人揃って」
クラスの中にいる小汚い謎の男からお叱りを受ける。まるでそうは見えないが、状況から察するに担任であろうか。
「...アルスさん、なんでヒーロー科に不審者がいるんですかね。入試の時みたいなもう始まってるパターンみたいな?」
エクス・アルビオは小声で呟いてきた。
隣のアホは男が誰かよくわかってないらしい。困惑の表情を浮かべながらケータイを取り出し、どこかに電話しようとまでしている。
「おい待てエクス、そのケータイで何をしようとしている」
「110番ですけど..」
「俺は担任だ、だからそれを早くしまって席につけ。」
アホはしぶしぶと言った様子で席に着いた。ぼくもそれに続いて席に着くと、担任が咳払いをひとつして話を始めた。
「んじゃ、改めて担任の相澤消太だ。よろしくね。
早速だがこれを着てグラウンドに出ろ。」
◆◆◆◆◆◆
更衣室に入ると、エクス・アルビオは数人の生徒に絡まれていた。
「おまえエクス・アルビオっつうんだっけ?俺、瀬呂範太!んで、なんでいきなり遅刻ギリギリで来たんだ?」
「めちゃくちゃ寝坊しましたね。昨日ゲームやりすぎたのが原因じかと思います。」
「俺!切島鋭児郎!エクスすごい体だな!なんかスポーツとかやってたのか?」
「いや、普通に帰宅部でしたね。気づいたらこんなんなってたんで個性が関係してるのかな。」
「そんなことより、なんでアルスさん?と一緒にきてたんだ?あ、俺上鳴電気ね」
「アルスさんは登校中に後ろから絡んできまして、まあ華麗に抜いてったんですけど、さすがに校門のところで待ってあげてましてね。まあ舎弟みたいなもんですかね。」
「君達!親睦を深めるのは構わないが、早く着替えた方がいいぞ!」
メガネのクラスメイトに注意され、ようやく着替えを終わらせた。グラウンドに向かうと既に相澤先生は来ており、早くしろと目で訴えてきていた。
「これで全員だな。それでは、今から個性把握テストを行う」
「「「個性把握テスト!!?」」」
「入学式とかガイダンスは!?」
「雄英高校は自由な校風が売り文句。当然、先生側にもそれは適応される。そんじゃエクス、お前中学の時ソフトボール投何mだった」
「72mですね」
「..チッ」
トゲトゲの少年に舌打ちされた..こわぁ...
「んじゃ、個性使ってやってみろ、円から出なきゃ何やってもいいぞ 」
「了解でーす」
ボールをもらい、円の中心に立つ。息を整えて個性を発動させた。
「エェェェェェックス!!」
いつものように個性を発動させると、腕が青白く光だし、表面に稲妻のようなエネルギーが走る。そのエネルギーをボールに流しながらボールを全力で投げると、その風圧によって周りに土埃が起こり、当たり一体が覆われた。
土埃が晴れた頃、相澤が持っていた記録系を皆に見せた。
「1076m!?すげぇな!個性使えるってめっちゃ面白そうじゃん!!」
先程話しかけてきた切島さんが大声でそう言うと、相澤の表情が変わった。
「面白そう...か、ヒーローになるための3年間、君たちはそんな腹づもりで過ごすのかい?」
声のトーンがさがり、全員に緊張が走る。
「よし、トータル記録最下位のものは除籍処分にしよう。」
「「「はあああぁぁ!?」」」
クラスに絶叫が起こり、先生に抗議するものも現れた。その中をかいくぐって元の場所に戻り、アルスさんの隣に座った
「改めてこれから3年間よろしくお願いしますね、アルスさん」
聞けば雄英高校にはクラス替えというものが無いらしいので、長い付き合いになるであろうアルスさんに挨拶をして見たのだが、何やら驚いた情報を浮かべ、すぐに呆れた顔へと変わった
「それはいいけどさぁ...エクス先輩ちゃんと聞いてた?最下位は除籍なんだよ?」
「もちろん聞いてましたけど、俺やアルスさんはあんま関係ないじゃないですか、あんなすごい個性なんですから。」
当然だ。この英雄の走り(本気では無い)を追い越せるだけの力があるのだ。上位に入り込めるかはともかく、最下位になんてなるわけが無い
「はぁ..能天気だなぁ..まあ、確かに緊張してパフォーマンスを発揮できないよりも、肩の力抜いて頑張った方がいいよね。んじゃこちらこそよろしくね。エビ先輩。」
呆れた目は変わったものを見る目に変わっていた。講義したい気持ちはあるが、その中の好意のようなものも感じれたため許そう。だがそれよりも...
「....えっ?今なんて?」
「エクス・アルビオだから略してエビじゃん、あ!エビオの方いいかも?」
「こいつ!!あーもー覚悟しろよ?!そのうちヴォゴヴォゴにしてやるからな!?」
「ヴォゴヴォゴww」
◆◆◆◆◆◆
第1種目 50m走
【アルス】
「『スピーダー』」
アルスはスピードの補助魔法を唱えてスタートラインに立つ。ちなみに中学の記録は9秒13だった。
「5秒41!!」
「グシ!」
それがほぼ半分にまで縮まってアルスはご機嫌であった。
【エクス】
先程のエネルギーを全身に行き渡らせ、少し足に集中させる。
「3秒48!」
中学の時は6秒49。こちらも約半分まで縮まった。
「ところでアルスさん、グシ!ってなんですか?」
「はあ?そんなの言ってねぇよ!」
第2種目 握力
【アルス】
「ふんぎゅあ''ぁ''!!」
記録28kgw。ちなみに中学は19kgw。今回の記録は『パワード』を使ってこの記録である。
「wwwwアルスさんザッコwww」
「うるせぇよお''ぉ''!!」
【エクス】
「バグれ!!!」
記録138kgw。中学では54kgw。
第3種目 立ち幅跳び
【アルス】
「『フリー グラヴィティ』!!」
魔法を唱えるとアルスは中に浮かび、自由に動き出した。
「ええぇぇぇ!?アルスさんすっご!?」
「おいアルス、その状態でどのくらい持つ」
「1時間くらいです。」
「じゃあ約∞で、早く降りてこい」
「グシ!」
【エクス】
「おっりゃあああああああ!!!」
記録、9m28cm
第4種目 反復横跳び
【アルス】
「あ''あ''あ''あ''ぁ''ぁ''ぁ''!!!」
記録67回。『スピーダー』を使ったが、細かい切り返しは経験がなかったのと、体力不足ためこの記録
【エクス】
「エエエェェェェェックス!!」
記録131回
第5種目 ボール投げ
【アルス】
アルスが円の中に経つと、彼女を中心にして風が集まってきた。集まった風はやがて、彼女の正面に、球体となってとどまっていった。
「『ウィンドブレイク』!!」
球状の風にボールを乗せ、一気に発散させると、ボールは目にも止まらぬ速さで飛んで行った。
「アルス・アルマル、記録702m。」
「....師匠あんなのもできたんですか?」
「あんなのって?あと師匠?」
「攻撃魔法みたいなやつかっこよすぎませんか!?師匠と呼ばせてください!!」
「えっ?お、おう?」
いまいち考えの読めないエクスに詰め寄られ、うっかり師匠呼びを許可してしまった。
【エクス】
最初にやったためなし。
記録1076m
◆◆◆◆◆
「おいどーいうことだコラ、説明しろ!デク!!」
見ればトゲトゲ頭の少年が、デクと呼ばれたもじゃもじゃ頭の少年につかみかかろうとしていたため、担任の相澤によって止められたいた。どうやら相澤先生はちゃんとプロのヒーローのようだ。少なくとも不審者ではない
この後、長座体前屈、上体起こし、長距離と測った。
エクスは長座体前屈以外平均よりもやや上の記録をたたき出した。
アルスはどれも平均よりも下を行く結果となっていた。主に体力不足が原因である。
「んじゃ、パパっと結果発表するぞ」
トータル最下位が除籍の結果を簡単に発表しようとしていた。アルスとエクスは両者とも、最下位はないと感じ取っていたが、このクラスから早くも除籍者が出てしまうと考えると、緊張せずにはいられなかった。
「ちなみに、除籍は嘘な。君らの可能性を引き出すための、合理的虚偽」
嘘らしい。その報告に周囲は1部を除いて驚いていた。
ちなみに結果はエクス1位、アルス 5位だった。
エクスの個性の見た目はデクと似た感じをイメージしてます。
道具にもパワーを流すことができ、性能が上昇します。
アルスは魔法です。MP的なものを消費しています。