英雄と饅頭とアカデミア   作:パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ..

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強敵と戦いますが英雄なので負けません!あと師匠も!

 

 

2試合目は、俺も師匠も無事突破できた。師匠は塩崎さん相手に炎魔法で牽制しながら場外へ追い出し無事勝利、俺は芦戸さんが相手で、普通に酸を避けながら場外へ放り投げた。かなり相性がよかったと言えるだろう

 

問題なのは次の試合だろう。師匠の相手は氷結の弱点を克服した轟さん、聞いた話だと緑谷さんが頑張ったんだとか。行動がすごくヒーロー的である。彼はいづれなにかすごいことを成し遂げそうな気がする

 

ただ別に師匠と轟さんの相性は悪くないと思う。

入学当初と違い、師匠は炎魔法を扱えるようになっており、1回戦で見せたあの大氷壁だけでは沈まないだろう。炎に関しても風で吹きとばせそうだ

 

懸念点としては、師匠は個性の行使に詠唱が必要であり、轟さんはノータイムでそれができる点だろう。

一瞬の隙を突かれて敗北する確率は決して低くは無い

 

まあ何とかなるでしょう。俺の次の相手は爆豪さん。

俺が警戒しているのはあの大爆発だ。スタートと同時に打たれたら結構やばい。ただ今までの試合を見ても使っていたのは麗日さんとの勝負の終盤

 

このことから俺は、あの技を使うには一定時間のチャージが必要だと考える。てかそうであって欲しい。

初手であれを食らうのが今んとこ1番の負け筋だ

 

 

 

 

 

______裏を返せばそれ以外で負ける気はしない

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「アルス、悪ぃが本気を出せるか分からねぇ」

 

 

ステージ上で向かい合ってすぐに、轟くんはぼくにそう言った

 

 

「本気って...炎は使わないってこと?」

 

「..分からない。緑谷と戦ってから自分がどうすればいいのか、何が正しいのか分からなくなっちまってんだ」

 

「別に好きなようにすればいいと思うけど...どうしてそれをわざわざぼくに?」

 

「お前は騎馬戦の時に、俺に対抗意識を持ってるみたいなこと言ってなかったか?」

 

「あぁあれね。別に今すぐじゃなくてもいいよ。それに尚更、今悩んでる相手に勝ったって嬉しくないし」

 

「....」

 

「でもさ、悩んでるってことは、何かを掴みかけてるってことじゃない?」

「掴みかけてる...のか」

 

「うん。ぼくはそう思う。すぐにそれを自分のものにするのは難しいかもだけど、この戦いを足掛かりにするくらいの気持ちでかかってきなよ。

 

 

 

 

ぼくは全力でそれに答えるよ」

 

「....!やっぱこのクラスのやつはお人好しが多いな」

 

 

『お話は終わったか?それじゃあ準決勝、アルスアルマルVS轟焦凍!!スタートォ!!!』

 

 

轟くんは開始と同時に、1回戦で見せたような氷を生み出した。規模感こそ1回戦よりは小さいものの、それはステージ上の半分を埋めつくしており、傍から見ればぼくが飲み込まれたように見えるだろう

 

 

『おぉっと!?いきなりかましたぁ!?早くも勝者は決まったか!?』

 

 

ちょっとまてよぉ!?まだ終わってねぇって!!

 

 

「『ノヴァフレイム』!!」

 

 

大氷壁の内側からドーム状に炎が広がり、氷を溶かし尽くす。危なく負け判定食らうとこだった。轟くんは氷を溶かされても表情を変えずに、次の氷を作り始めていた。大氷壁を打ち破られることは想定済みみたいだ

 

 

「『ウィンドランページ』!!」

 

 

今日何度も使っている風魔法で生成途中の氷ごと轟を吹き飛ばすが、器用に背後にU字の壁を作りその上を滑って、勢いに乗ったままこちらへと向かってくる

中距離戦はぶが悪いと考えたのだろう

どうやら近距離戦に持ち込むつもりのようだ

 

 

「『パワード』!『スピーダー』!『ガードナー』! 」

 

 

ならばこちらも補助魔法を全開にして対応しよう。この2週間ぼくは魔法の練習に使った訳では無い。えび先輩に頼んで近接戦闘の基礎を教えてもらったのである

 

この2週間で学んだことを活かすチャンスだ!轟くんが間合いに踏み込んできたのを確認して、こちらも構える

 

相手の攻撃を躱す、攻撃が頭に掠る。攻撃を躱す、頭に掠る。躱す、掠る.....

おかしい。タイミングは完璧なはずなのに何故か絶妙に避けきれない....

 

 

「頭がでけえって言いてえのかあああぁぁぁぁ!?」

 

「うおっ!?」

 

 

怒りに任せて攻撃を叩き込むが防御され、受け流される。やっぱり付け焼き刃じゃできるのはここまでのようだ...

 

もう一度魔法を放ち距離をとり、空中へと浮かぶ

 

 

「悪いけどもう決めさせてもらうよ」

 

 

こちらを見あげる轟くんに対し、次で決めると宣言する。直訳すると、全力で受け止めて見せろ。だ

 

 

「....こっちの気持ちも知らねえで勝手なことを、

(こっち)はまだ加減がわかんねえけど、後悔すんなよ!」

 

 

轟くんは悪態をつきながらも口元に笑みを浮かべていた。悩みが晴れたわけでもないのだろう。これから清算すべきこともあるのかもしれない。ただ、今日再び、彼は悩みを忘れることができたみたいだ

 

 

「望むところだよ!!

『ウィンドエクセキューション』!!」

 

 

ぼくが使える風属性魔法の中でもっとも威力が高いものを放った。 それに対して轟くんは左半身に炎を纏い、拳を握りしめ、殴りつけるように炎を放った。彼の父親のエンデヴァーが使う技の中に同じようなものがあったはずだ

 

 

「いいぞ焦凍おぉぉぉぉ!!!!いけええぇぇぇぇ!!」

 

 

観客席からエンデヴァーが叫んだらしいが、僕らには届かなかった。荒ぶる暴風と限界を超えた炎は、ステージの中央でぶつかり合い拮抗した

 

 

「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

 

お互いに1歩も引かず、会場の温度はどんどん上昇していくが、誰も不満を漏らさない。風と炎の美しくも、荒々しい押し合いに心を奪われ、静かに、しかし拳を強く握り目締めながら決着を見守っていた

 

永遠かと思われたその時間は、時間にしてみれば数秒で、その拮抗に乱れが現れた。炎が一瞬大きく揺らめいたかと思うと、徐々に風に押されはじめ、ついにその灯火は潰えてしまい、轟は場外へと投げ出された

 

 

「...!勝者!アルス・アルマル!!」

 

 

「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」」

 

会場の割れんばかりの声援を背に受けながら、ぼくはそのばから去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ど、どうしよ....魔力使い切っちゃった....

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

ええええええええ、師匠強すぎない!!?何回俺の想像超えてくるんだ!?え?俺あれに勝てんのかな?!

おおおお、落ち着け、俺は冷静沈着エクスアルビオ。

まずは目の前の試合に集中...

 

 

「えび先輩!」

 

「エェェックス!?」

 

 

いきなり背後から声をかけられ思わず飛び上がってしまった

 

 

「えなにその驚きかたキモ..」

 

「いやいやいやなんの用ですか師匠!?」

 

「あー、試合場今修復中だから次の試合10分くらい遅れるって。やっぱり聞いてなかったでしょ」

 

 

言われてモニターを除くとセメントス先生がボロボロになったステージで復旧作業を行っていた

 

 

「あぁありがとうございます師匠!それとさっきの試合めっちゃ凄かったです!」

 

「フフん、まあね!ぼくにかかればあのくらい造作もないってことよ!!」

 

「あれだけやってまだ余力を残してるってことですもんね!ちょっと強すぎません?」

 

「ギクゥ!?」

 

「ギクゥ?」

 

「いやいやいやなんでもないよ!?とりあえずぼくは向こうの控え室行くね?!頑張ってきて!!」

 

「あっはい」

 

 

なんかすごい早口で捲し立て、早足で去っていってしまった。早くも決勝へ向けて精神統一をしているのかもしれない

 

 

 

 

『控え室のエクスアルビオー、復旧作業が終わったって放送聞こえなかったかー?』

 

いつの間にか復旧作業も終わったようなので、会場に向かって長い廊下を急ぎ足で歩いてると、客席のヒーロー達の盛り上がりがここまで聞こえてきた。既に時間はたっているがまだ興奮が冷めて居ないらしい

 

まあ気持ちはわからなくもない。まだヒーロー免許を取ってない学生が、あれだけのものを見せたのだ。

将来有望なんてもんじゃないだろう。

そしてその期待はそのまま次の俺達の試合に引き継がれる

 

....爆豪さんはともかく、俺はあそこまで派手なこと出来ないんだよなぁ...会場めちゃくちゃ盛り下がったらどうしよ...

 

そうこうしてるうちに、ステージにたどり着いた。爆豪さんは既に着いていたらしく、狂人的な笑みを浮かべ、こちらを睨んでいた

 

 

「遅かったじゃねぇかクソ鎧...」

 

「爆豪さんって意外と真面目って言うかみみっちいですよね」

 

「時間を守んのは社会人の基本だろうがぁ!!」

 

 

ここまで真面目なのに、なぜ発言はここまで残念なのか、ギャップ萌え...というやつを狙っているのだろうか

 

 

「あの大福頭を倒して、完膚無きまでの1位をとるんだ。そのためにクソ鎧、てめぇをぶっ殺す!!」

 

「その子供じみたプライドはデメリットの方がでかい気がするんよなぁ..」

 

「あ''ぁ''!?」

 

「まあだから、ここでバキバキにへし折ってあげますよ。爆豪さんなら糧にできると信じて」

 

「...やってみろやクソ鎧がっ!!」

 

 

『ハイスタート!!...あぶねえ、あと一歩遅れてたら勝手に始められてた..』

 

『ダメじゃないか?それ』

 

 

爆豪さんは開幕同時に爆風ターボを決めこちらに突っ込んでくる。良かった。これで負け筋はほぼ消えた。

となるとやはり、チャージか時間経過で威力が上がって来るのだろうか

 

勢いに乗ったままこちらにつかみかかってくる爆豪さんの手を、姿勢を低くし爆発を避けながら掴み、投げ飛ばす

 

爆豪さんは空中で爆発を起こし、体をこちらに向けてきたので、それにドロップキックを合わせる

 

「んがっ!?、チィ...」

 

さすがにこれだけで倒れる爆豪さんではなく、すぐに体勢を戻し、再びこちらへと爆速で接近する

初動と同じ動きかと思えたが、掴みかかる直前で爆発をひとつ起こし、俺の背後に回り込み、奥襟を掴もうとした

 

俺はそれを姿勢を低くして回避し、振り向きざまにドロップキックを食らわせる

 

 

「...んでだよ!!クソがぁ!!」

 

 

地面を転がった爆豪さんは三度こちらへ接近する、

ただそのスピードは先程よりも遅く、踏み込みも浅いため、麗日さんとの戦いで見せた、中距離からの爆発に切り替えたようだ

 

爆豪さんの射程距離に入り、爆発を誘発する。

爆豪さんと俺の間に爆発が発生するタイミングで、それを飛び越え、爆豪さんの背後へと降り立つ

 

「んな!?」

 

あの爆風の中でもしっかりとこちらを視認していたらしく、驚いた表情を浮かべつつも、爆豪さんは振り向きながら攻撃に移ったので、回転の際に不安定になった軸足を払い転倒させる

 

マウントを取ろうかと思ったが、爆豪さんはこれを驚きの反射神経で爆発を起こしながら回避。再び距離を取られた

 

「ハァ....ハァ...クソがっ...!!」

 

(動きを全部見切ってやがる、不意打ちも効かねぇ、数打とうにもその前に潰される!!

それになにより...!!)

 

「てめぇ....!!なんでまだ個性を使いやがらねぇ!!舐めてんのか俺を!!!」

 

「あー、やっぱわかっちゃいますかこれ」

 

 

別に悪気はなかったのだが、ただ何となく個性は使ってなかった。師匠からも言われていたが、2試合目も使うタイミングがなかっため、せっかくだからどこまで行けるのか試していたのだ

 

 

「さすがにちょっと失礼ですもんね。じゃあ、次はこっちから行きます」

 

 

勝手に始めた縛りをやめ、全身にエネルギーを行き渡らせる

 

軽くジャンプし調子を確かめて、爆豪さんに接近する

爆豪さんはこちらに身構え爆発を起こすが、ドロップキックでごり押す。爆発のダメージは食らってしまうが、こちらの攻撃を当てることにも成功した

 

間髪入れずにもう一度接近を試みるが、爆煙の中から再び爆発が起きた。爆風が晴れた場所に爆豪さんはおらず、周囲を見渡しても姿を見つけることは出来ない

つまりは...

 

 

「上...だ!!!しねぇ!!!!」

 

 

見あげると真上から爆豪さんが両手で大爆発の構えを取っていた...やべぇ!

 

 

「うおおおおおおおお!!」

 

 

エネルギーを全開にし、全力で宙返りをしながら蹴りを放つ。放たれた蹴りは、爆豪さんの両手のすぐ下を通りすぎる。一見空ぶったかのように見えたそれは、空気を動かし、爆豪さんの両手は風圧によって角度が変わっていた

 

大爆発が起こるギリギリで両手を弾かれたことによって、発生した爆発は俺のギリギリ後ろを破壊した。

爆発を起こした爆豪さんはその反動により、場外へと吹っ飛び、そのまま意識を手放した

 

俺のドロップキックを食らった時点でギリギリだったらしい。最後の気力を振り絞って攻撃を仕掛けてきたのか...

 

彼の自尊心をいい具合にへし折ることは出来ただろうか?まああの天才なら放っておいても成長するだろう

俺も少し天狗だったかもしれない

次の師匠との試合に備えなくては...

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

アカーン!!!魔力がっ....魔力がぁっ....!!

どうしよどうしよどうしよ....!?

えび先輩の試合終わっちゃったし、20分のインターバルはさんだら始まっちゃう!!?

 

 

やばいやばいやb...

 

「いたっ、」

 

「あぁすまないすまない、周りを見てなかったもんで...大丈夫かい?君は...あぁアルスくんじゃないか、試合見てたよ」

 

 

若干高めの男性の声に、顔をあげてみると、そこには紫色の肌の大男がいた。どこかのヒーローであろうか

 

 

「...おや?なにやら様子が変だねぇ...もしかしてさっきの試合で力を使い切ってしまったのかい?」

 

「えぇっ!?なんでわかっ......はい。実はそうなんです」

 

「それは困ったねえ。なにか方法はないのかい?」

 

「えぇっと...他の人から魔力を吸収する魔法とかもあるんですけど...友達には頼みづらくて...」

 

「ならヴァン...おじさんから吸ってきなよ」

 

「えぇ!?いいんですか!?」

 

「もちろんもちろん、次の試合も楽しみにしてるよ?」

 

「ああぁありがとうございます!!」

 

 

なんて親切な人なんだ...た、助かった...

 

 

「うん、じゃあヴぁ..おじさんはこれで...」

 

「あの!お名前を!!」

 

「なま、名前かぁ...えーと...剣持刀也(けんもちとうや)だ」

 

「剣持さん...ありがとうございました!!この御恩は忘れません!!」

 

「いいってことさ!それじゃあ頑張ってね!」

 

 

...にしてもあのおじさん..見たことないヒーローだったな...剣持..?それに、魔力吸収したのに全然つかれてないし、めちゃくちゃ強いのかな...指名来たら行ってみようかな...

 

そろそろ次の試合の準備しなきゃ..!

 





ギルザ...なんだただの剣持か...
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