英雄と饅頭とアカデミア 作:パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ..
励みになります!!!!
雄英体育祭の疲れも癒え、2日後
俺はいつも通り師匠と学校へ向かっていた
「え、えび先輩いつまで落ち込んでんのさ、いい加減機嫌治してよ、ぼくもわるかったって!」
「いえ師匠、俺が色々と未熟だっただけです...わざわざ気にかけて貰ってすみません...」
「ふえぇ....」
本当はもう立ち直っているのだが、オロオロする師匠が面白いのでもう少しだけ落ち込んでるフリをしておこうと思う
...それにしても、なんだか今日は道行く人達がこちらをチラチラと見てくる気がする
「あっ!エビマルだー!!」
すると小学生くらいの子供がこちらに指をさしてそう叫んだ
「えび....?」「....まる?」
エビマル...そういえばプレゼントマイクが実況でそんなこと言ってた気がしなくも無い
「体育祭見たよ!」「凄かったよ!!」「決勝戦はアレだったけど」「てえてえ!」「これからも頑張れよ!!」
小学生の声を皮切りに、周りにいる人々から応援の声が届いた。ほんの少しだけ恥ずかしい気持ちもあるが、さすがに嬉しい気持ちが勝っていた
「ありがとうございます!頑張ります!!ほら師匠も」
「えぇっと、頑張ります!!」
その後も街行く人に声をかけられながら、遅刻ギリギリで雄英に到着した
どうやら他のみんなも声をかけられながら登校したらしく、クラスはその話題で盛り上がっていた
「おはよう」
しかし、あれだけ騒がしかった教室も、相澤先生が入るとピタリと静かになった
「相澤先生包帯取れたのね、良かったわ」
「婆さんの処置が大袈裟なんだよ。んな事より、今日のヒーロー情報学ちょっと特別だぞ」
相澤先生の言葉に、クラスに緊張した雰囲気が走る。
経験上、この流れは抜き打ちテスト等の嬉しくないイベントが待ち構えている。
みなが覚悟を決めた面持ちで相澤先生を見ていた
「コードネーム。ヒーロー名を考えてもらう」
「「「胸ふくらむヤツきたあああああ!!」」」
想像を良い方向に裏切られたので、クラスは一気にお祭りムードになった
「というのも、先日話したプロからのドラフト指名に関係してくる。これがその集計結果だ」
黒板に映し出されたそれを見ると、
師匠がトップで約3,000票
俺が四位の約1000票だった
体育祭3位の轟さんと爆豪さんにも負けているため、やはりあの決勝が尾を引いているのだろうか
「えび先輩だいぶ下がってんね」
「まあ妥当じゃないすかね」
「これを踏まえて、指名の有無関係なく職場体験に行ってもらう。そこでヒーロー名が必要になってくる訳だが、これはあくまで職場体験用の仮のヒーロー名で構わない。ただ、適当なもんは「付けたら地獄を見ちゃうよ!!」」
相澤先生の発言に被せながら、ミッドナイトがクラスに入ってきた
「この時に付けた名前がそのまま世に認知され!プロ名になってる人多いからね!!」
「まあそういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。将来自分がどうなりたいのか、名をつけることでイメージが固まりそこに近付いていく。それが名は体を表すってことだ。『オールマイト』とかな」
それから15分程たって、大体の生徒のヒーロー名は決まった。残っているのは俺と師匠と緑谷さんと飯田さん。あと爆殺王。
とは言ったものの、俺はもう決まっていたりする。出ていこうと思ったタイミングが他の人と被って残ってしまった。俺以外の人はまだ考えているようなので、先に行かせてもらう
みんなの前に立ってフリップを裏返し、ヒーロー名を公開する
「あら...あなたも名前なの」
そう。俺のフリップには『エクス・アルビオ』と本名のみが書かれれていた
「俺は、昔からなりたいヒーロー像は固まっています。俺が俺に出来ることを全力でやる。そこに名前は関係ありません。だから、好きに呼んでください」
「かっこいいぞエビオ!」
「そういう考えもあるのね、エクスちゃん」
「名前思いつかなかっただけじゃないのかえび男!」
....ちょっと待て!えび男は違うだろ!?百歩譲ってエビオはわかるけど、いやわからんけど!
...まあいいや、好きに呼べって言ったしな!
あっ、師匠行くんだ....って、師匠も『アルス・アルマル』だ
「まあ考えつかなかったってのもあるんですけど、えび先輩の話聞いて結構共感できたので、ぼくも自由に呼んでください。プロになるまでにいい名前思いついたらそれにするかもだけど、この名前で定着しても後悔はないです」
「いいぞーツルツル饅頭!!」
「うるさいぞ養殖エビ」
ようやく全員のヒーローネームが決まったところで、相澤先生が起き上り、寝袋からはい出てきた
「よし、全員終わったな。それじゃ、時期外れではあるが、今からこのクラスの副担を紹介させてもらう」
「「「副担任!?」」」
「いたのかよ!?」「どうしてこの時期なの?」
「それは本人に直接聞け。んじゃ入ってこい」
教室のドアがガラリと開き、茶髪の好青年が入ってきた
「ピーッス!伏見ガクッス!サクッとガク先生って呼んでくれよな!ヒーロー名はガッくんなんでよろしくな!」
「てことでプロヒーローガクがお前らの副担だ」
「ガッくんです」
「ガクに質問のあるものはこの時間にしてしまえ」
「なんでエンデヴァーとか堅物系ヒーローはガッくんって呼んでくれないんですかね」
「すっ凄い、本物だ!?最近デビューした若手ヒーローだけど、その実力はトップクラスであのエンデヴァーからもサイドキックに誘われるくらい炎系の個性を使いこなしてるあのガッくんが雄英の教師だったなんて....」
「なんで先生だけこの時期に顔合わせなんですか?」
「いやー、3月くらいから凶悪なヴィランを追っててね。特別休暇をもらってたんだ。最近になってようやく捕ま得ることができたんすよ!」
「先生の個性ってなんですか?」
「炎系っすけど、詳しくは次の授業で見せますね」
「彼女いるんすかー?」
「上鳴くんは後で職員室来てくださいね」
「え?」
その質問を最後に授業終了のチャイムが鳴り、先生達は退出して行った
◆◆◆◆◆◆
「師匠職場体験どこ行きます?」
「悩んでる...えび先輩は?」
「俺も悩み中です...てかヒーロー詳しくないんですよねー。オールマイトぐらいしか知らないです」
「あー、えび先輩も?実はぼくも全然詳しくなくてさ、
ケータイで調べてんだけど、如何せん数が多くてね...」
「そやったら、デクくんに相談してみたら?デクくんヒーローめっちゃ詳しいよ」
話を聞いていた麗日さんがアドバイスをくれたので、2人で緑谷さんの机へ向かう
「_______ってことなんですけど、アドバイス貰えませんかね」
「なるほど、僕でいいなら全然構わないよ!それじゃあ2人ともどこから指名来てるのか見せてもらってもいい?」
言われた通りに、資料を緑谷さんに渡すと真剣な表情になって眺め始めた
「...さすが体育祭1位と2位だけあって有名所が勢揃いだ...アルスさんならここと....ここも捨てがたいか...エクスくんは.....エクスくんにとって学びのある場所ってどこなんだろ...って、ええ!?」
緑谷さんは小声で独り言を話し続けたかと思うと、急に立ち上がって驚いた
「ひ、ヒーロー事務所ド葛本社!?」
「そんなに驚くとこなんですか?」
「いや、この事務所はサイドキックをとらないことで有名なんだ。元々やしドラっていうコンビで活動してたんだけど、ある時期になってメンバーがふたり増えてド葛本社に名前が変わったんだ。このド葛本社っていうのは所属してる4人のヒーローの頭文字をとったもので、ヒーロー業界で最も仲のいいグループ論争で長年プッシーキャッツと対抗馬に出されてるくらい中がいいことで有名で、ていうかなんなら同じ事務所でシェアハウスをしているんだって。1部に人達からは結婚してるんじゃないかとか、元々家族だったんじゃないかとか、やし、きず別人説っていう考察も飛び交ってるくらいで...」
「師匠、どうします?」
「どうするって、止めれると思う?」
「やしきずとドーラは元々雄英高校出身で、同じクラスだったんだよ。ちょうどさっきのぼくら見たくヒーロー名を決める時に、やしきずがすごく悩んで、それを見たドーラがやしきずのヒーロー名をオタクくんにして提出しようとしたってエピソード聞いたことない?他にもね...」
「ストップです緑谷さん。その話は後で師匠が聞くので、一旦話を戻しましょう」
「え?!」
師匠から送られる抗議の視線を黙殺し話を続ける
「あぁごめんね、すごくレアな光景だから興奮しちゃって...でもぼくはここも結構おすすめだよ」
「理由を聞いてもいいですか?」
「まずこの事務所はヴィラン退治はもちろん、災害現場からの救助、パトロール、 メディア進出等の様々な現場で活躍してるんだ」
「なるほど...」
「それにやしきずさんは、アルスさんに近い個性で、中遠距離の戦いを得意としてるよ」
「おぉ...」
「だから僕のイチオシはここかな。他にはね...」
この後休み時間いっぱいヒーローの話をされた
放課後、今日は体育館が使用中だったので大人しく帰ることにした
「師匠結局どこにしますか?俺は緑谷さんイチオシのド葛本社にしてみようかなって思ってるんですけど」
「えぇー、えび先輩も?ぼくもそこにしようかと考えてたんだけど」
なんだかことある度に師匠と行動している気がしなくもないが、被ってしまったものはしょうがない。
職場体験先をズラす理由もないので同じところに出すことにした
「エビマルがまた浸透しちゃうじゃねえかよ...」
「そういえば師匠、あの件どうなりました」
「あの件って?」
「ほら、俺の記憶を何とかする魔法を師匠に覚えてもらう話ですよ」
体育祭の昼休憩の時に、師匠に実家で記憶関係の魔法を探してもらう話をしていた。休み時間にこの2日間で
1度実家に帰った話をしていたので聞いてみたのだ
「あぁそれね....実はあったにはあったんだけど、お前にはまだ早いってさ、危険が危ないって止められちゃった」
「あぁー、そうでしたか。まあほかの方法を探しますか」
「いや、あのね.....」
「ん?」
急に師匠がモジモジしだした。ポンポンペインペインなのだろうか
「..お父さんがえび先輩を家に連れてきたらその魔法を使ってくれるって....」
「マジですか師匠!!いつ行けます!?」
「ふえぇ...いやまって、ち、近い..」
思わず師匠の肩を掴んで聞いてしまった。でもそんなに露骨に嫌がられると少しクルものがある...
まあそれは置いておいて..
「えぇっとね、夏休みでもいい?雄英休み1日しかないし、次まとまった時間がとれるの夏休みだから..」
「はい!そうしましょう!いやー、楽しみだな師匠の家行くの、早く夏休みなんねぇかなあ」
(だ、大丈夫かな?..友達が記憶喪失って言った時はお父さんすごい心配そうな顔してたけど、えび先輩って伝えた時すごい表情なってたんだよね...)
そんなアルスの不安をエクスが知るわけもなく、自身の記憶を取り戻す手がかりを得た英雄はスキップで帰って行った
◆◆◆◆◆◆◆
「_____テ、ことなんですケド!なんかいい個性ないですカ?」
とあるビルの一室で、剣持はレヴィに詰め寄られていた
「なるほどねぇ....確実そうなのはないんだよなぁ..」
「エェ!?そんなァ....」
「ああ落ち込まないで?良さげなのはあるからさ..」
「ホント!?」
剣持は喜ぶレヴィの前に手を差し出し、白い固形物を生み出した
「これは『記憶共有』っていう個性。レヴィちゃんが体験してきた記憶を彼に見せれば、何かしらは効果はあるんじゃないかな」
「ナルホド〜!!じゃ!早速いってきまス!!」
「待って!!先に他の仕事があるから、それは今度にしてくれない?」
「エェ〜...」
「機会は絶対作るからさ、お願い」
「分かりましタ...」
渋々といった表情でレヴィは了承し、部屋から退出した
「はぁ、ここからが勝負だ....」
剣持が意味深に呟いた言葉を拾うものは存在せず、深いため息が虚空に溶けていった
「何カッコつけてんだおめえ」
ということも無く、空間に現れた窓から顔を出したギルザレンに茶々を入れられた
「帰れ!!」
誤字報告ありがとうございますm(_ _)m