英雄と饅頭とアカデミア   作:パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ..

19 / 19
ちょっと(3ヶ月)遅れましたね


お疲れ様です師匠!夜の部行ってきます!

「パトロールの目的は大きく分けて2つ、 ヴィラン犯罪の早期発見と抑制じゃ」

 

 

えび先輩達と別れ、ぼくたちはパトロール午前の部に向かった

 

ここ神奈川県虹美市は全国でもヴィラン犯罪の発生率が高いことで知られている

ド葛本社が虹美市にヒーロー事務所を構えてからそれは減少傾向にあるが、それでも他の市に比べるとまだまだ多い

 

様々な専門家達がその理由を考察しているのだが、未だに核心をついた考察はされていない

そんな肩書きのある市だから市民が引越しちゃうかと思いきや、虹美市の人口は横浜に次いで2番目だ

 

ある時某テレビ番組が虹美市の市民に対してなぜ虹美市に残り続けるのか、該当調査を行ったらしいが、多くの人が口を揃えて「他の市より安全」と答えたらしい

 

この街の顔であるド葛本社が、市民に信頼されている証拠だろう

ちなみに先程のアンケートのグラフで、2番目に大きかったのは「てえてえ」だったらしい

 

そんな市民に愛される実力派ヒーローは、どんなパトロールをしているかと言うと...

 

 

「ドーラー!お茶飲むかー!!?」

 

「飲まんわバカタレ!!さっさと会社に行けぇ!!」

 

「ぽんぴまーん!!写真撮ってー!!」

 

「ええでー!もっとこっちおいでー!!」

 

 

市民に囲まれ、仲良く交流をしていた。

 

 

「えぇっと...ドーラさん?パトロールはいいんですか」

 

「お?...ああ説明が不十分じゃったかな。さっき言ったパトロールでのヴィラン犯罪の早期発見の優先度は低くてな。というか索敵ができる個性でもない限りそうそう見つけられん。だからメインになるのは抑制の方じゃな。ヒーローが日常に紛れていると、なかなか犯罪を犯す気にはならんじゃろ?」

 

「なるほど...」

 

 

ヒーロー学の授業でも学んだ内容だが、こうして体験してみるとその大切さがわかるような気がする。

 

 

「それにな、これは自論じゃがワシらヒーローがなんのために存在するのか決して忘れないようにするためでもあるんじゃよ」

 

「なんのために....?」

 

 

ドーラさんの含みを持たせた言い方に少し引っかかる。普通に考えればヒーローは人々を守るためにいると思うけど..?

それ以外にもなんかあるのかな

 

 

「いまいちピンと来てないって顔じゃな。まあまだ職場体験は始まったばかりじゃから、自分なりによく考えてみなさい」

 

「わかりました...」

 

ドーラさんの言葉について考えていると突然放送機器からブザーのような音が響いた

 

『西区田角公園付近にて強盗事件発生!現在確認されているヴィランは4名!!ヒーローは至急現場に向かってください!周囲の一般市民はすみやかに避難してください!』

 

その内容はヴィラン出現を知らせるものだった。

 

 

「オラおまえら!今の聞こえたじゃろ!ちょっと道をあけんか!」

 

「がんばれよー!」「応援してるよ!!」「雄英の子もがんばれよ〜!!」「ドーラー!お茶飲むかー?」

 

 

ドーラの一言であれだけ集まっていた人達が離れていった。彼等にとっては慣れしんだ日常のようである。

 

 

「移動しながら説明するから、頑張って着いてきてな。ああそれと、プロヒーローぽんぴまんの名において、アルスアルマルの個性使用を許可します。一応これ言わんとアルスちゃん個性使えんから気をつけといてな」

 

ぽんぴまんがそういうと、2人は放送で指示された方向へと走り始めた。慌ててスピーダーを使い後を追いかける

 

 

「やしきずの個性を応用してな、この市内で起きた犯罪は即発見されて放送されんねん。それを聞いた近くのヒーローが現場に向かう感じや。便利やろ?」

 

「市内全域に及ぶ個性....スゴすぎません?」

 

「そういうのは本人に言ったげてな。多分喜ぶから。

ほら、もう見えてきたで」

 

 

ぽんぴまんが指さす方向を見ると、コンビニから大袋を持った男達が出てくるところだった

 

 

「白昼堂々とようやるわ。アルスちゃんは一旦見といて?プロの仕事がどんな感じか見せたげるわ。ドーラが」

 

「オラお前らァ!その持ってる物置いて大人しく投降しろォ!」

 

「んな!?もうヒーローが来やがった!」

 

「ちくしょう!大人しく捕まってたまるか!鎌田!」

 

「任せろ!喰らえ全身鎌だらけタックル!!」

 

男達の内の1人が、全身から鎌の刃を生やしドーラに向かって駆け出した。それをドーラは避ける素振りも見せず仁王立ちしていた

 

「ッ!ドーラさん!!危ない!!」

 

「フンッ!」

 

 

しかし、男の全身から生えた鎌はドーラも肌にカスリ傷も付けれずに根元から折られてしまった

 

 

「「「え!?」」」

 

思わず口から驚きの声がもれ、ヴィランとハモってしまった

 

「....いやいやいやいやおかしいだろ!?かぼちゃもスパッと切れる自慢の鎌だぜ!?刺されよ人間として

ヘブッ!?」

 

「ごちゃごちゃうるさいわ!アルス!この男縛っといてくれ」

 

「あっ..はい...『バインド』..」

 

ドーラは慌てる男に右ストレートを打ち込み気絶させた。

唖然としながら足元に転がされた男を縄で拘束していると、仲間の男達がこちらに向かって駆け出してきた

 

「鎌田をよくも!!」

「怯むな!相手は所詮女3人!俺らが負ける訳がねえ!」

「一斉にかかれ!」

 

絵に書いたようなチンピラムーブだ。どこからその自信が湧いてくるのだろうか

というかド葛本社を知らないのかな、なんでヴィランって犯罪犯す前に周辺で活動してるヒーローを調べたりしないんだろ

 

「行くぞ八蜘蛛!豆筒!いつものだ!」

 

「任せとけ!」

 

リーダー格の男の号令で蜘蛛の異形の男がドーラの足元に糸を吐き、豆筒と呼ばれた男が両手をこちらに向け大豆を射出してくる

 

「ドーラさん危ないっ!」

 

火竜の吐息(ドラゴンブレス)!!」

 

ドーラの吐いた炎は足元に撒き散らせれた糸、高速で飛来する大豆、そしてヴィランを纏めて包み込んだ

 

少しして炎が消えると、そこには少しだけ焦げたヴィランが残っていた

 

「とまあ、こんな感じじゃな。本当は何もさせない内に捕らえるのがベストではあるんじゃが、後手に回る場合もある。その時も落ち着いて対処するのが大事じゃよ」

 

「はぇー....」

 

そんなことをあっさりと言ってしまうが、ぼくに同じことをしろと言われたらできない。炎魔法は使えるが、糸と豆は一瞬で灰にし、ヴィランには軽い火傷で済ませるなんて離れ業は今のぼくには不可能である。あのクオリティの火力調整を一瞬でやってのけるあたり、プロヒーローと学生の差を感じさせられた

 

「どや、うちのドーラはすごいやろ」

 

「なんでぽんぴまんが得意げなんじゃ。次はちゃんと参加してくれ」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「..みたいな感じで、ぼくらが捕まえたヴィランを警察に受け渡しして、そのあとは落し物探したり、ファンサービスしたりしたよ」

 

 

昼の部が終わり、師匠達がパトロールから帰ってきた。疲れてはいるもののどうやら消化不良の様子。ドーラさんたちのヴィラン捕縛の手際があまりに良かったため、特にすることがなかったそうな....まあこの後の戦闘訓練で嫌という程消化させられそう

 

 

「いやーでも、アルスちゃんの個性のおかげでめっちゃ助かったわ!落し物探す魔法...さーちらてりらる?やっけ?あれで一発で見つかったもんな!」

 

「サーチマテリアルじゃろ?でもほんとに便利じゃよなアルスの個性。戦闘訓練で確認はするが体育祭の時みたいな戦闘もバッチリできるんじゃろ?.....アルス、卒業したらうちに来んか?」

 

 

ドーラさんはわりと真剣な表情で師匠を勧誘していた。勧誘を受けた側の師匠も満更では無い顔をしている

 

 

「いやいやいや、それで言ったらうちのaboも負けてねーよ?半分本気の俺に一発当てたし、ゲームも上手い!近接ゴリラ枠としてうちに採用するか検討するべきじゃないでしょうか!」

 

 

葛葉さんはからかうような口調で僕のことを褒めだしたが途中で不味いことを口走っていたような気がする

 

 

「....ゲームが上手い?どういうことじゃあ?葛葉??どのタイミングでエクスのゲームの上手さを確認したんじゃ??」

 

「アッヤッベ...ッスゥー...やしきずが持ってきたんだよなーabo」

 

「...は!?おいこら葛葉!?お前なに言って..」

 

「まあ嘘は言ってないですね」

 

「エクスまで!? 」

 

 

仕方がない。やしきずさんには尊い犠牲になってもらおう。

彼のことは決して忘れない。採用枠がひとつ増えそうだ

 

「嫌がる俺らを無理やりやしきずは....」

 

「嘘つくなよ!?...なあ待てドーラこれには深いわけが...」

 

「深いわけが?」

 

「.....ない」

 

「....はぁ、まあどうせ葛葉とエクスを仲良くさせるためにやったんじゃろ?オタクくん昔から仲良くなりたい相手をゲームに誘うよな」

 

「お、オタクくん言うな!その呼び方、職場体験中は控えてくれっていったろ!」

 

 

と思ったらドーラさんはやしきずさんの考えなんてお見通しだったようだ。世間ではやしどら結婚してる説があるらしいが(緑谷談)2人のやり取りを見てるとあながち間違いじゃない気がする

 

 

「ぽやじぃ、いいから早くパトロール行こうぜー?エクスも暇そうにしてるしよー」

 

「わかったって、ただその前に1つ。夜のパトロールは昼に比べてヴィラン遭遇率が高い。だから最初から個性使用許可は出しておくが、基本的には俺と葛葉の指示に従うように。」

 

「はい!」

 

やしきずさんは真剣な顔でそう語った。

 

「安心しろってエクス、おめーはつえーから。それに何かあってもやしきずが守ってくれるって」

 

「そんときはお前もやるんだからな葛葉?んじゃエクス、準備はいいか?」

 

「いつでも大丈夫です」

 

 

よっしゃー行くかー!と葛葉さんを先頭に部屋を出ていった。

僕も後を続こうとしたが、師匠に服の裾を掴まれ止められた

 

 

「?、どうしたんです師匠。早くしないと葛葉さんたち行っちゃうんですけど..」

 

....ってこいよ

 

「はい?今なんて」

 

「気をつけて行ってこいよ。ばか弟子」

 

どこかぶっきらぼうな言い方ではあるが、僕を心配して声をかけてくれたようだ。

 

「安心してください師匠。英雄はしなないので」

 

「なんだよそれ。行ってらっしゃい」

 

「はい!行ってきます!」

 

師匠に見送られ今度こそ出発した。思いのほか気合いが入った。今ならヴィラン50人位捕まえれそうだ

 

 

 




ドーラのお茶を飲むいじりは、いつの間にか世間に浸透しており、出処は不明
しかし、ドーラとやしきずは犯人を確信している様子
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。