英雄と饅頭とアカデミア   作:パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ..

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俺は見逃さなかった。一瞬だけ性能が3倍になっていたのを。(評価バー赤くなってました、本当にありがとうございます)


僕は思いませんけど

ヴィランに襲撃された翌日は急遽臨時休校となり、クラスは不安な夜を過ごした。

幸い、相澤以外大きな怪我をしたものはなく、すぐに登校が再開された。

 

 

「師匠」

 

「あっ!みんなおはよう、昨日は大丈夫だった?」

 

「師匠」

 

「昨日不安でちゃんと休めなくてさー、相澤先生大丈夫かなぁ?しばらく学校来れなかったりして」

 

「師匠」

 

「み、みんなどうして離れていくの?お茶子ちゃん!?梅雨ちゃn」

 

「師匠」

 

 

だんだん大きくなる声とは反対に、クラスは静かになっていくクラスの視線は、青筋を浮かべアルスにゆっくり近づくエクスと、逃げられないことを悟りあたふたしだすアルスに向けられていた

 

 

「....なにか俺に言うことは?」

 

「....本当にすみませんでした」

 

 

アルスは潔く土下座をした。

エクスはあの後保健室で目を覚ました。聞けばもう全ては終わっており、みんな帰ったあとだったという。

 

 

「え、えーと2人とも、席につきたまえ...朝のHRがまじまるよ」

 

 

学級委員である飯田が、普段よりも少し控えめに注意してきた。

エクスとアルスが席につくと、入口のドアがゆっくりとスライドした

 

 

「お早う」

 

「相澤先生復帰早えええええ!!!」

 

そこには全身に包帯をまかれ、足取りが不安定ながらも、しっかりとみんなに挨拶をする相澤先生がいた

 

「先生!無事だったのですね!!」

 

「いやどう見ても無事ではないだろあれ」

 

「俺のことはどうでもいい。何より_____

 

 

 

 

まだ戦いは終わってねぇ」

 

 

相澤のその一言でクラスは静まり返った。相澤の不安を煽る一言に、みな先日の出来事を思い出しているようだった

 

 

「雄英体育祭が迫っている!」

 

 

「「「くそ学校っぽいの来たああああああああ!!!」」」

 

雄英体育祭、雄英高校において毎年行われる恒例行事にして、かつて個性が世間に浸透する前に行われていた、オリンピックに匹敵する程の一大イベントである。

 

ヴィランに侵入されたばかりで開催できるのか?といった声が上がるが、相澤曰く、開催することで雄英の警備体制が磐石であるとアピールする目的もあるらしい。

 

そして何より、この雄英体育祭は、後に控える職場体験の体験先の判断材料となるため 、開催しないメリットよりも、デメリットの方が大きいのである

 

 

「あとエクス、選手宣誓はお前だから、考えとけよ」

 

「えぇ...」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

放課後皆が帰る準備をしていると、何やらクラスの前が騒がしくなっていた。

 

 

「えぇ何怖っ!?師匠先に行ってください、後ろは僕が守るんで」

 

「何言ってんだよお前が先に行って師匠を守れよぉ」

 

「てか何しに来たんだよ、出れねえじゃん」

 

足元を見れば峰田が困った表情で呟いていた

 

 

「敵情視察だろザコ」

 

 

するといきなり後ろから爆豪が暴言を吐きながら出てきた。 面白いから何かを訴える顔でこちらを見ないで欲しい

 

 

「ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭の前に見て起きてえんだろ

 

 

 

 

意味ねえからどけ、モブ共」

 

 

「ほんとに発言がこの前の三下みたいですね」

 

「あぁ!?なんだとクソ甲冑コラ!!」

 

「って師匠が言ってました」

 

「あぁ!?」

 

「言ってねぇよ!?」

 

 

キレ散らかす爆豪の前に、1人の少年が人混みの中から出てきた。

 

「どんなもんかと見に来てみれば、ヒーロー科はこんなんばっかなのかい?」

 

「あぁ!?」

 

「爆豪さんあぁ!?しか言ってなくないですか?」

 

「あぁ...うるせぇぞゴラ!!」

 

 

「こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ、」

 

 

先程出てきた少年が、爆豪に向けて呟いた

 

 

「普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴結構いるんだ。知ってた?体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科への編入も検討してもらえるらしいよ。....その逆もまた然りらしいよ...」

 

「らしいですよ、気を付けてくださいね師匠」

 

「エビ先輩こそ、体育祭中の流れ弾に気をつけなよ」

 

 

「...敵情視察?少なくとも普通科は、調子乗ってると足元ごっそり掬っちゃうぞっつ_________

宣戦布告しに来たつもり」

 

「そうですか、じゃあ頑張ってください。師匠行きますよ、....皆さん避けてもらっていいですか?」

 

 

エクスは何事も無かったかのように少年の横を通り抜け、人混みを抜けようとする

 

 

「おいお前、馬鹿にしてんだろ、普通科にそんなことできるけないって」

 

 

少年は激昂しエクスの肩を掴んだ。周りが慌てて少年を止めようとする中、エクスは真顔で振り返った

 

 

 

「え?いや応援してますよ?ヒーロー科に転入できるかもしれないんですよね?ヒーロー科が増えたら、プロヒーローになれる可能性のある人が増えて、苦しむ人が減るじゃないですか。だから僕は応援してますよ」

 

 

エクスは少年の目をじっと見つめ、そう答えた。

少年はハッとした表情を浮かべ、肩を掴んでいた手を離し、頭を搔きはじめた

 

 

「...あんた名前は?」

 

「エクス・アルビオです。皆エビオとか呼んでるんで好きに呼んでください」

 

「じゃあエビオ、俺は必ずお前と同じ場所に立つ。だから間違ってもヒーロー科から落ちたりすんなよ」

 

 

宣戦布告した時の、暗い表情とは違い、軽く晴れやかな表情を浮かべた少年はエクスにそう宣言した

 

 

「大丈夫、僕最強だから」

 

 

エクスは謎のポーズを決めながら少年に答え、アルスを連れてその場を去った。

 

 

 

 

 

 

「まあ先輩僕にやられてるけどね」

 

「え?しばきますよ?」

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

あっという間に2週間はすぎ、迎えた雄英体育祭当日

 

一年A組の控え室では、皆それぞれ精神を統一していたり、周りの人とおしゃべりをしていたりと、それぞれの時間の過ごし方で開会式を待っていた

 

そんな中、轟が緑谷に近づいていった

 

「緑谷」

 

「轟くん....何?」

 

「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う。」

 

「へ!?うっ、うん..」

 

「おまえ、オールマイトに目ぇかけられてるよな.....お前には勝つぞ」

 

 

宣戦布告である。大体2週間前にも同じような光景を見た気がする。

 

 

「.....師匠、実力は俺の方が上です」

 

「は?」

 

「師匠だけには勝ちます」

 

「ぼくもお前だけはやってやるからな」

 

 

緑谷が轟の宣戦布告に答えている間。暇だったエクスが、雑にアルスに絡んだ

 

 

「1年A組!そろそろ入場の時間だ!移動するぞ!」

 

 

 

 

 

 

『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!どうせてめーらアレだろこいつらだろ!!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!ヒーロー科!!1年!!!

 

 

A組だろおぉぉぉ!!!?』

 

 

 

プレゼント・マイクによる実況を受け、会場のボルテージは1段階上昇する。周囲360°からの声援を全身に受け、言語化できない高揚感が体を包み込んだ。

 

 

『B組に続いて普通科C・D・E組...!!サポート科F・G・H組も来たぞー!!!そして経営科.....』

 

 

1年の入場が終わり、整列が終了したタイミングで主審である18禁ヒーローミッドナイトが登場した

 

 

「選手宣誓!!1-Aエクス・アルビオ!!」

 

 

ミッドナイトに呼ばれ、エクスが壇上へと上がって行く

 

「エビオ何話すと思う?」

 

「普通の選手宣誓じゃねのか?」

 

 

『ヒーロー科以外の人でこの体育祭にやる気を出している人は何人くらいいますか?多分数えるくらいしかいないと思いますけど』

 

なんの脈絡もなく、唐突にエクスは宣誓を始めた。それも、ヒーロー科以外の生徒を煽るような始まり方で

 

『私たちヒーロー科にとってこの体育祭は、職場体験に繋がる大切な行事です。逆に言えば、この体育祭はヒーロー科のためにあると言っていい』

 

既に会場のものは皆エクスを見ていた。中でもヒーロー科以外の生徒の多くはエクスのことを睨んでおり、ヒーロー科のものも、エクスが言っている内容を許すことができないものが大半だった。

 

 

『この体育祭において、主役私達はヒーロー科で、それ以外の皆さんは、私達を目立たせるための捨て石で、私達の活躍のための脇役で、私達をプロの世界に繋げるための引き立て役です。

...そう思いませんか?

 

 

普段と変わらぬ調子でヒーロー科以外をバカにするエクスに、会場ではブーイングが鳴り響き、多くの生徒たちがエクスの発言に憤っていた。エクスは会場の全ての者が自分の発言を聞くようになったタイミングで言い放った

 

 

 

『僕は思いません』

 

 

その一言で会場は静寂に包まれた。エクスは真剣な表情で続けた

 

『普通科の方の大半の生徒は、ヒーロー科から落ちた人だと聞いています。そんな皆さんに聞きたい。

もうヒーローになるのを諦めてしまったんですか?たった一度の失敗ぐらいで諦められるくらいの夢だったのなら、なぜ雄英に入ったんですか?』

 

もうエクスを睨むものも、ブーイングをするものもいなくなっており、皆エクスの言葉に集中するようになっていた

 

『....この体育祭の結果次第では、ヒーロー科への編入が検討されるようです。雄英高校に合格するまで努力できた皆さんなら、ここで踏ん張るくらいわけがない、チャンスを掴めないわけがないはずです。

ヒーローを本気で目指していたものならば!これくらいの壁を越えられないはずがない!

先生方の目に留まるよう醜くていいから足掻いてください

皆さんはまだ、ヒーローになれる!』

 

 

奇しくもオールマイトが緑谷にかけたのと同じ言葉に、普通科の生徒は拳をあげ叫んだ。入試に落ちた苦しみを、先程のエクスに対する怒りを、諦めきれないその夢を拳に乗せ、叫んだ

 

 

『そしてサポート科や経営科の皆さん、自分は関係ないと思ってませんか?皆さんだってヒーローなんです。ヴィランを倒す者がヒーローじゃない、困っている人を助けるのがヒーローです。サポート科の皆さんは、開発した物で人々を、経営科の皆さんだって、会社や事務所を通して人々を助けるヒーローです。

みんな誰かのヒーローになれるんです

 

 

その言葉に、サポート科と経営科の生徒の目に闘志が宿る

 

 

『そしてこれは体育祭、お祭りです。みんなで楽しまなきゃそんでしょ?みんなでぶつかりあって、楽しんで、盛り上げて行きましょう!!!!

 

 

以上を宣誓とさせていただきます。選手代表1-Aエクス・アルビオ』

 

 

エクスの言葉に会場の心は一つとなり、会場は熱狂に包まれた。

 

 

 

 

雄英高校体育祭、スタート

 

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