英雄と饅頭とアカデミア   作:パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ..

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障害物競走は大得意なんですよ、やったことないけど

第1種目の障害物競走の会場に移動していると、アルスがエクスに小走りで近寄っていった

 

 

「先輩ってあんな熱いこと言えたんだね。好感度稼ぎ?」

 

「失礼な。あれは割と本心ですよ。ヒーローが多ければ、助かる人も増えるでしょうし..」

 

 

アルスには、そう呟くエクスの顔に、影がかかっているように感じた

 

「...先輩なにかあっ」「あっ!あれがゲート......師匠!ちょっと相談があるんですけど..」

 

 

相談をアルスに持ちかけるエクスの顔にはもう影がなく、いたずらっ子のような悪い笑みを浮かべていた

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

『スタ━━━━━━━━━━━━━━ト!!!!』

 

プレゼント・マイクの声と同時にゲートが開いた。生徒達は一斉にゲートに走り出す

 

 

『さーて実況開始していくぜ!Are you ready?ミイラマン!』

 

『無理やり呼んだんだろうが...』

 

プレゼント・マイクと相澤による実況が始まったその時、

 

 

「痛ってえぇぇぇぇ!」

 

「なんだこれ!?凍った!?」

 

 

スタート地点の地面一体が凍りついた。犯人は間違いなく轟だろう。しかし、このことを予期していたヒーロー科の生徒達等は各々の方法でこれを回避した

 

 

 

 

「クラス連中は当然として、思ったより避けられたな。.....!!」

 

 

その瞬間、凍った生徒達の上から声が聞こえて来た

 

 

「危なかった!!師匠と組んでなきゃ終わってた!ラッキー!!!」

 

「いいから前見ろよぉ!!あと絶対離すなよ!?」

 

 

アルスを小脇に抱えたエクスが、生徒の頭上をものすごい速さで飛んできていた

 

 

『なんだありゃー!!?あんなのアリかよ!?』

 

『別に誰かと組むのは反則じゃない。なんでもありって言ってたろ』

 

 

 

時は少し遡り

 

 

 

「師匠の飛ぶ魔法って俺にかけれますか?」

 

「えっやだよ?確かにできなくはないけど、1人にしかかけれないから、えび先輩にかけたら僕が使えなくなっちゃう」

 

「いや!それで大丈夫です、あそこをよく見てください師匠」

 

そう言ってエクスはゲートの方を指さした

 

 

「横幅がめちゃくちゃ狭いので前が詰まると思いませんか?」

 

「だからそれを避けるために僕の魔法を使えって?そしたら僕が行けなくなっちゃうだろ」

 

 

エクスはアルスの顔の前に指をもっていき、左右に振る

 

「チッチッチ、話は最後まで聞くものですよ師匠、師匠が1人で個性を使った場合、浮くだけで前に進めない、もしくは余計に魔法を使わなければいけない。浮く魔法は

魔力消費が激しいらしいじゃないですか。俺も1人で飛び越え用よとしたら、体が重くて途中で落下します。そこで、協力ですよ師匠」

 

「協力?」

 

「師匠は俺に魔法をかけて、俺は師匠を抱えます。すると俺は自分の半分以下の重さで飛べば良くなって、確実に飛び越えることができます。師匠はじっとしているだけで集団を超えれます。どうですか?」

 

「...えび先輩って頭良かったんだね。それでいこう」

 

 

2人は集団の最後尾で、悪い顔をしながら握手を交わした

 

 

 

 

 

時は戻り、集団の最前線にエクスとアルスは着地する

 

 

 

「大成功だね先輩!じゃあここからは別々で頑張ろ!」

 

「.....」

 

「えび先輩?もうはなしていいよ?なんか恥ずかしくなってきたし」

 

「.....」

 

「先輩?」

 

 

しかしエクスはアルスを離さないまま走り続けた

 

 

「..師匠の魔法って便利ですよね、ほんと」

 

「えび先輩?さっきより抱える力が強いんだけど!?まさかこのまま行くの!!?」

 

「役割分担です。俺が走るんで師匠はサポートしてください。それで1位なれます」

 

「いやだー!!てかよく考えたらこれ放送されてんじゃん!僕の親だって見てるんだぞ!?」

 

 

アルスはエクスの脇に抱えられたままじたばたと抵抗するが、楽して勝てる方法を見つけたエクスは離そうとしなかった

 

「おいエビオてめぇ!羨ましいことしてんじゃねえぞ!!喰らえオイラの必殺...ブベッ!?」

 

エクス達にもぎもぎを投げつけようとした峰田が、巨大なアームで横に吹っ飛ばされた

 

 

『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始めに、 第一関門!!ロボ・インフェルノ!!』

 

「入試の時の0ポイントヴィランじゃねぇか!?」

 

「多すぎて通れねえ!?」

 

 

目の前の広場に、 巨大仮想ヴィランが所狭しと並べられていた

 

 

「師匠!前の2体の動きを一瞬だけ止めることって出来ますか?!なるべく派手に!! 」

 

「あぁもう分かったよ!!『フェイクサンダー』!!」

 

 

やけくそになったアルスが、正面を塞いでいた2体のロボに魔法を放つ。アルスの放った雷撃は、2体のロボの体を激しい光と音を出しながら包み込み、その動きを停止させた

 

 

「おいあそこの2体が止まったぞ!!」

 

「あそこなら通れる!!」

 

 

後ろを走っていた何名かが、エクスとアルスの後ろを走り出す

 

 

「今の魔法は?フェイクってついてますけど」

 

「昔雷の出力をあげようとしてた時に作った失敗作の魔法。見た目と音の出力だけ強くて、威力が弱すぎたんだよね、電子機器を一瞬止める程度の威力しかないんだよ」

 

 

「んな!?」

 

「へぶしっ!!」

 

 

アルスが語り終わると、動きを止めていた2体は再び動き出し、後続の妨害を再開した

 

 

『1-A エビマルペア!攻略と妨害を一度に!しかも誘い込むような方法で!こいつはシヴィー!!』

 

『エビマルってなんだ、雑にコンビ名をつけてやるな、広まったらどうすんだ』

 

『それに同じく1-A轟も、後続の妨害をしながら突破!おいおいイレイザー、お前のクラスどうなってんだ?どんな教え方したらあんなのが多くなるんだ!?』

『俺は知らん、あいつらが勝手に高めあってるだけだ』

 

 

「師匠、酔いませんか?酔わないならもっと速度あげてもいいですか?」

 

「全然平気だよ、確かに走らなくていいから楽だわこれ。んじゃ先輩頑張ってね。『スピーダー』」

 

 

エクスの体を風が包み込み、更にスピードは上がる

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

『さて、かなりの人数が第一関門を突破したところで、戦闘は既に第二関門に到達してるな!! 第二関門!!!落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォール!!!』

 

 

第二関門では、巨大な窪みの中に足場が点々とあり、その足場同士がロープでつながれていた

 

 

「来ましたよ師匠!またゲートの時みたいに、浮遊の魔法をください!飛び越えます!」

 

「ちょ、ちょっと待って先輩...ウェップ、た、たんま..」

 

 

抱えられているアルスを見ると、顔を真っ青にしながら口を手で抑えるアルスがいた

 

 

「ちょっ師匠!?さっき聞きましたよね!?大丈夫かって!!」

 

「いや、加速した後の揺れがすごくて..さっきから我慢してたけどもう限界かも...」

 

「そ、そんな...あぁっ!?轟さんが見えてきましたよ!?」

 

「だ、だって先輩の腕だけで抱えられてるからもろに振動が!」

 

 

エクスがグロッキーな顔で蹲るアルスの背中をさすっていると、轟が追いついてきた

 

 

「....何してんだお前ら」

 

 

止まっている2人を、不思議なものを見るかのような目で轟が見ていた

 

 

「「...お気になさらず」」

 

「そうか、じゃあな」

 

 

そう言い残すと轟はロープに向かってしまった。後ろを振り向くと、爆豪を筆頭とした後続達がどんどんと追い上げてくる

 

 

「っ、こうなったら!」

 

「え?えぇっ!?何すんのえび先輩!!」

 

 

エクスはアルスの背中と膝に手を入れ、抱き抱える形でアルスを持ち上げた。俗に言うお姫様抱っこというものである

 

 

「これでいくらか振動はマシになるはずです!」

 

「おおおおおぉおまええぇぇぇ!?!?いや、これだって、えぇ!?」

 

 

普段のアルスの真っ白な肌は赤く染っていた。顔だけにとどまらず、手足まで真っ赤である

 

 

「とにかく師匠魔法ください!あと気持ち悪いのは我慢して!」

 

「気持ち悪いだなんて別に..ああぁそっちか!じゃなくて!えぇっと!『フリーグラヴィティ』!!」

 

 

完全にパニックになりながら、アルスは魔法を唱えた。 後日談ではあるが、アルマル家では、一同あらあらまあまあな雰囲気だったという。父親を除き。

 

 

アルスを抱えたエクスは、足場を飛び移りながら反対岸へとたどり着いた。アルスはエクスの腕の中で、手で顔を覆っていた

 

 

「覆いきれてないですよ?」

 

「うるせぇよぉ!!」

 

エクスは先頭を走る轟の背を追いかけた

 

 

 

 

『さあ先頭は既に最終関門に到達しているぞ!最終関門は、一面地雷原!怒りのアフガンだ!!どこに埋まっているかがよく見れば地雷の場所はわかるようになってるぞ!』

 

 

「師匠!そろそろ目つぶってないで!周り見といてください!」

 

「そうだバカップル共、周りちゃんとみろクソが!!」

 

 

頭上を見上げると爆豪がこちら目掛けて手を振りかぶっていた

 

「やばっししょ「カップルじゃなねぇよ!!!」

 

爆豪が2人に向けて爆破を放った

 

 

『おいおいいきなり爆破したぞ!?2人は無事か!?』

 

『ああ見えてあいつは冷静だ。少し吹っ飛ぶ程度の威力に抑えれている。だが今回はアルスがしっかりしてたな』

 

 

2人が爆破された次の瞬間、爆豪の体が後ろに放り出された

 

 

「んな!?今のは..俺の..」

 

「やば師匠!さすがすぎる!何やったんですか!」

 

「『リフレクト』っていう飛び道具とか反射する壁を作る魔法、最近作ったの。てか早く進んで」

 

 

一刻も早くエクスに降ろしてもらいたいアルスは淡々と魔法の説明をした。

 

 

「任せてください師匠!」

 

 

エクスは答えると地雷原へと走り出した。それもひとつも地雷をふむことなく。不思議に思ったアルスはエクスの顔を見た

 

 

「えぇなんで目光ってんの。キモ...」

 

 

見ればエクスの瞳は青白く発光していた。

 

 

「ええめっちゃ悪口言うじゃないですか。これは最近わかったんですけど、僕の個性目とか耳の性能もあげてくれるんですよ。なんで目にめっちゃ集めて地雷避けてます」

 

「待てやコラァ!! 」

 

「後ろ気にしてる場合じゃねえなっ!!」

 

 

後ろを振り向くと、轟と爆豪の2人がエクスに迫って来ていた。

 

 

「やばいです師匠!俺の個性目に使ってるんでこのままじゃ追いつかれます!」

 

「了解!『スピーダー』」

 

再びアルスの補助魔法をもらい、2人と互角のスピードで走るエクス。3人は肩を並べながらのデットヒート状態へと差し掛かった

 

 

『ひゅー!喜べメディア!お前ら好みの熱い展開だ!』

 

 

BOOOOOOOOOM!!!!

 

 

並んだ3人がゴールを目前としたその瞬間、後ろで大爆破が起こった

 

『A組緑谷!爆発で猛追....つうか!抜いたあああぁぁぁぁ!!!!』

 

 

先頭を走っていた3人の上を緑谷が通過し、更に持っていた金属板を地面へと叩きつけた

 

 

「!?っ、『リフレクト』!!」

 

 

再び大爆発が起こった瞬間アルスは爆風から身を守るために壁を貼った。緑谷は反射された爆風によってそのままゴールへと飛んで行った。

 

『緑谷間髪入れずに後続妨害!!なんと地雷原を突破しその勢いのままゴールだ!!!イレイザー!お前のクラスほんとどうなってんだよ!』

 

『だから俺はなんもしてねえよ』

 

『更に後ろに続いて、アルス・アルマル、エクス・アルビオ、轟焦凍、爆豪勝己の順でゴールだ!!!』

 

 

 

 

「すみません師匠、俺のせいで1位逃しちゃいました」

 

「別にいいよ、僕だけだったらこんな順位は高くなかったし、それに最後僕からゴールさせてくれたしね」

 

「感謝するんだったら焼肉とか奢ってください。もし次も組めたら一緒にやりません?」

 

「奢んねーよどんだけ焼肉食べたいの..組むのは..まあ、いいけど...」

 

 

2人は次の競技に備えて休憩に入った。アルスはあとからゴールしたクラスメイトにめちゃくちゃいじられて顔を真っ赤にした

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

第1種目終了時、観客席にてとある3人が競技を見ていた。

 

アァァァァァ!?エクス君負けちゃっタ!!!!」

 

 

「あぁうるさい!耳元で叫ばないでくれ!ああもうなんでヴァンパイアが子供のお守りなんかしなきゃないんだよ全く」

 

「まあまあギル様、普段仕事しないんですからこれくらいはやってくださいよ」

 

 

一人は悪態をつきながら、売店で買ってきたポップコーンを食べ、一人は画面を見ながら叫び、一人はそれを微笑みながら見ていた

 

「アァァァァドウしよ!エクス君3位じゃん!!」

 

「ああもうまだ第二種目もあるから!落ち着きたまえよ全く..」

 

「アハハハハハ」

 

ピンク色の髪の少女はお腹を抱えて笑っていた

 

 

 

 

 

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