エルも同一だったのでNHKマイルを予定よりしっかり目に書きたいとは思ってます。なにか意見等あれば言ってください。
ああ、皐月賞。負けてしまったか。俺も君の悔しさはよくわかる。やはり、セイウンスカイは恐ろしい。彼女の才能は何度見ても恐ろしい。
まあほんの数回しか見たことないんだけどね。しかし、このままではいけないね。彼にもどうしたものか……
「よお、元気か?」
「誰だ!?」
何故ここに他人が踏み込める? ありえないことだ! こんなのはおかしい!
「テメェみたいなやつが何でここに嫌がるんだぁよお〜〜」
本当に誰なんだ『彼女』は、いや『彼』なのか? どっちなんだ。一切の概要が掴めない。こんな芸当ができるやつなんて俺は知らない、いるはずもない。
「テメェ、質問には答えろよ」
「そんなことより君は誰だ!」
その瞬間だろうか、目の前の奴はキレた
「質問をォォ、質問でェェ! 返すなや!俺はおまえみたいな回答をするやつが死ぬほど嫌いなんだよォこの馬鹿タレが!」
突然殴られたような痛みだった。まずい、消されるなんてことはなくともかなり痛い!
「待ってくれ! 君が殴り続ければ俺以外にも危険は及ぶ。これは脅しでもなんでもない。純然な『事実』だ!」
「……ソイツは悪いことはした。仕方ねぇ。今ぐらいは見逃してやってもォ構わねえ。ただし! いずれ貴様の尻尾掴んでやらよ。ミスターゴースト」
──Make up your mind
はは、覚悟を決めろだって? そんなものこうなる以前の問題だよ。
◆◆◆
ヒノマルが目を覚ますとなぜか違和感を感じた。筋肉痛とかではない原因不明の違和感が何処からともなくあった。木場に相談するべきか悩んだが特に困ったこともないので放置することにした。
今日は皐月賞があったこともありトレーニングが一切ない日になった。とはいえ暇で仕方がなくやることもない。エルはNHKマイルが控えていてグラスも療養中。同じ皐月賞を出たメンバーも予定が合わない。となれば唯一誘えそうなのが彼女になった。
「ということでどこかへ行きませんか、エレジー先輩」
後輩が誘ってくるなど予想もしていないエレジーはさぞ困惑したが彼女も同じく暇であった。断る理由もないのでついていくことにした。
◆◆◆
ヒノマルはグラスが選んだ七分丈の和服の上着を着ていた。下半身は青色の少々大きめのもので全体的にゆったりとしていた。そしてエレジーは赤いスカーフを巻き、白と黒のストライプ入った下地に黄色い半袖を重ね着しいた。ズボンはヒノマルと対照的なぴっちりとした黒いタイトパンツだった。その二つは見事に身長168cmという女性としては高身長な体の魅力を最大限に引き出していた。ただ一点、頭のハリボテを除いて。ちなみにエレジーのこのファッションセンスは普段は意味を持たない。私的な目的で外に出ることが少なく、普段着は学校指定のジャージ。色々と素材がもったいない。
二人はかつてヒノマルがファストフード店で火を吹いたショッピングモールに着いた。
今回は特に用もなく適当に寄っただけなのでこれといった店に行かずに早速フードコートに向かった。しかし開幕すぐにそこで何をするというのだろう。二人は出会った時のような気まずい雰囲気になった。ヒノマルは申し訳なさを覚えて謝った。
「無理矢理連れ出してすみません。あと、あのとき勝手に同情なんてしてそれも謝ります」
エレジーは耳を少しだけ動かした。
「ほら、エレジー先輩と初めて合同で練習した時あったでしょう。あの時あなたの真実を知って見勝手な同情をしました。本当に申し訳ないです」
なんと真摯なやつなんだ。エレジーは別にそんなことは気にしてない。正確には『慣れた』というべきだろうか。この身体能力で生まれた以上、できることは普通のウマ娘より少なかったしそのせいで気味が悪いと騒がれたこともあった。しかしなにより多かったのが同情だった。初めはこっちの気も知らないでと言いたくなったがタキオンと出会ってからは余りそう思うことは少なくなった。彼女はこのまま頭を下げられても困るので筆談を始めた。
「顔を上げろ。私は気にしてない。」
「そうは言われても俺自身の納得の問題ですから……」
「顔を上げろ。」
メモ帳を思いっきりぶつけられた。かなり痛かったが彼女からは怒りとかそんなものはなかった。
「かつて君に言った『トレーナーは信頼できる』という言葉は覚えているか。」
「ええ、はい」
「君は彼についてどう考える。
簡単な質問だ。ヒノマルは木場仙太郎をどう見る?」
あの日にエレジーは木場を信じろと言ってきた。あれから一年近く経つが未だにヒノマルは彼のことはどうも理解の範疇にいなかった。
「どうと言われましても、彼は確かに信頼できますよ。それに献身的で、色々おかしいところもありますけど尊敬はしてます」
タキオンのモルモットになったり誘拐したり勤務中にタバコは吸うし、悪いところあったがそれでも木場はいいトレーナーだ。ヒノマルはそれを理解してきた。初めは信頼のかけらすらなかったが今なら近くにいると安心感を得るほどの存在になってきた。
きっかけはデビュー後のあのちょっとした口論だ。あの時の木場は本当に優しかった。自分を認められなかったヒノマルの心を、自分を厄病神と信じていた心を、溶かした。あの時からパーチのメンバーのことは家族のように思っていた。彼は木場を父親のように感じるようになっていた。それが先ほどの安心感へとつながるのだ。
「エレジーさんはなにがあいつを信頼させたんですか?」
「長くなる。」
「構いません」
そう言われたエレジーはメモ帳ではなく携帯電話を聖なるもののように高々と取り出した。いきなりなにをするんだと思いながらもヒノマルはピコンという音を逃さなかった。急いで確認すると自分の端末からだった。中身を開くとなかなかの分量であった。
「えぇ〜と、『私はかつて恨みやら呪いやらを生きる希望をそんなものにしていた。それほどまでに荒んだ理由は無論知っているだろうが、もちろんこの身体だ。私はなぜ同じ変異種でもここまでの違いが出るのか理解できずに彼女たちを呪った。だが、その運命を変えたのがタキオンだ。彼女から始まりそれはトレーナに至る。
彼女と会わなければ私は永遠に動かぬ妄言創造機に過ぎないやつだった。つまり、私がなぜ木場仙太郎を信頼しているかというとそれは『タキオンの』トレーナーだからだ。もちろんトレーナー本人も信頼している。しかしそれは後からであって、最初に彼を信頼したのは他人を基とした危険なものなんだよ。』」
これだけ長い文章を送ったエレジーは疲れた様子でのけぞり手を伸ばした。
ヒノマルはちょっと信じられなかった。彼は木場の行動や性格から信頼を始めたが、エレジーは『タキオンの』という要素で信頼した。一体過去になにがあったのだろうか、それを知りたくなりもっと踏み込もうした。どんな出会いで、どんな会話で、どんな形で、気になって仕方がない。
しかし、それを知ることは出来なかった。
「すまない、お手洗いに行ってくる。」
彼女はそれをメモ帳に書き写すとすぐにそっちへ向かった。
「……なにがあったのだろうか。色々無関心そうな人になのに」
「そりゃ、みんな知りてぇと思ってるぜ」
突然、ドスのきいた声が降ってきた。振り返るとそこには時代錯誤もいいところの立派なリーゼントをこさえたウマ娘、チョクセンバンチョーがいた。
みなさんは私のオリトレーナーの木場についてどう思いますか。
性格がわからない。もっと出番を増やしてほしい。掘り下げをしろ。などの意見あれば感想、DM寄越してください。活動報告もほぼ内容同じですけどよければ見てください