86-エイティシックス-新人類への置手紙   作:Gfish

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プロローグ

星歴2149年、モルフォをはじめとするレギオンの猛攻でサン・マグノリア共和国は滅亡。しかし、ギアーデ連邦に亡命したシイエイ・ノウゼンらに率いられた精鋭部隊の活躍で撃退、モルフォについては破壊に成功した。この後部隊は再編制され、かつてサン・マグノリア共和国軍でシンたちを「人間」として扱い、指揮してきたヴラディレーナ・ミレーゼの指揮下に置かれることになった。

 

同じころ、所属不明の人型兵器と思しき物体の目撃が相次いでいた。前線に介入することがなかったので「亡霊」として片付けられたが、ある者はこういった。

 

「あの黒い巨人には動物としてすら扱われなかった者の思念が渦巻いている」

 

「あの白い巨人は優しく、暖かく、悲しく、そして恐ろしい」

 

「背中に背負っている壁のようなものから殺意がにじみ出ている」

 

 

やがて戦場に顔を出したのは遥か大昔に戦いを繰り広げたという伝説の巨人、「ガンダム」だった。

 

「ガンダム」は「新人類」に何を伝えようとしているのか、何をみせるのか、或いは牙をむくのか。

 

いずれにせよ、「ガンダム」の存在は彼らにはあまりにも酷なのかもしれない。

 

 

ある者は黒い巨人を見た後に悪夢にうなされたと言った。

 

 

 

冷え切った宇宙空間、要塞化した小惑星がおびただしい悲鳴と一緒に光に包まれて消滅する瞬間を観戦するかのごとく見る「巨人」の操縦者。そして、仲間を全て失い、「安定剤」もきれ、己を崩壊させながら漆黒の宇宙の中で花火となる....。

 

 

 

ある者は白い巨人をみた後に奇妙な夢を見たといった。

 

 

 

殺すことに何の躊躇もなく、そこにはただ冷静さがあるのみ。そんな戦慄とは裏腹に星を滅ぼそうとしていた隕石を温かな光に包み込みながら押し出し、自らもその生贄となって散った。

 

 

ある者は背中に何かを背負った巨人をみた後、悪夢にうなされたといった。

 

意気揚々と戦場に出ても、みるみる内に肉体から精神まで蝕まれていく。自分の本体が分からなくなり、気が付いたころには頭の中に戦い以外の全てがなくなっていた。そして自分も誰かが分からなくなり、気が付く暇もなく相手の光の刃で存在が無に帰した。

 

 

そしてある者はこうもいった。

 

 

異能を持つ我々を検査し、審判をくだすのではないかと。

 

無論、そんな噂が信じられるはずもないが、少なくとも審判を受けるに値する状況は確かにできていた。今は亡きサン・マグノリア共和国、国が滅びてなお侮蔑と憎しみが絶えることを知らない地のとある会議室に1つの立て看板があった。

 

「青き清浄なる世界のために」

 

 




次回:黒い巨人
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