エヒト「まあ、いいや。我なら大丈夫、問題なーし(フラグ)」




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4月1日なので初投稿。


エヒト「あっやべっ……召喚ミスった」

 

 

 

 この物語は地球ではなく、異世界トータスから始まる。

 トータスにはエヒトルジュエという神がいて、最も数の多い人間族や少数ながら個々に強力な能力を持つ魔人族から唯一神として崇められており、意図的に両者を争わせることで信仰を得る紛うことなき邪神である。

 元は別世界で生まれた才能のある人間だったが、なんやかんやあって神の如き力を手に入れ、滅んだ世界を脱して現在はトータスで神をしているのだ。

 

 

 

 何千年、何万年と生きる中でいつしか新しい肉体が欲しくなり、神の身体に相応しい存在を探すがどんなに探しても全く見つからない。

 それならば自ら“私の考えた最強の肉体”を造ってしまえば良いと実行に移したが、造った人形は残念ながら神の如き力に耐えられず敢えなく爆発四散してしまう。

 これには流石のエヒトも己の強大過ぎる力を賛美しながら完全な被造物では神の力に耐えられないと悟り、天然素材として地上に才能ある人間が現れるのを只管待ち続ける過酷な厳選の末に漸く見つけた素体を可能な限り強化して、いつか己の身体とするためにじっと成長を見守った。

 しかし、その努力は実ることなく、丹念込めて強化した素体は邪神の存在と悪しき思惑に気が付いた真に勇気ある者の手によって、嘗て神に反逆した者が造り出した迷宮へと隠されてしまった。

 神の目を掻い潜って行われた犯行に未だ経験したことのない怒りに襲われ、エヒトは憤怒の衝動のままに首謀者の一味を壊滅させた上で、素体の代わりにもならないが腹いせに身体を乗っ取るほどに怒り狂った。

 

 

 

 けれど、時と共に怒りとは冷めるものであり、何処に隠されたのかわからない素体を探すよりは新たな素体を探す方が建設的であると考えて、ふとエヒトはいっそのことトータス以外の世界も観察してみれば効率が良いのではないかと閃いた。

 この閃きの結果として、たったの三百年程度の短期間で嘗ての最高傑作には幾らか劣るが、神の視点から見ても及第点の素質を持つ存在を地球にて発見することが出来た。

 あとはその人間に強化を施すのは当然として、嘗ての過ちを再び起こさないために、人間族の中でも宗教の総本山があることから国王を筆頭に狂信者たちが集まるハイリヒ王国に召喚することを決めた。

 これならば今度の計画は確実に成功する、勝ったなガハハと慢心したエヒトはいざ召喚した際に幾つかのミスをしてしまったことに気が付く。

 

 

 

 一つは単純に勇者として召喚する素体候補と意図せず巻き込んでしまった有象無象を強化し過ぎてしまったのだ。

 どうして素体以外も強化したのかという疑問はあるかもしれないが、これはエヒトが横着して召喚陣に強化の術式を施すことで召喚と同時に強化も行おうとした結果、ただ巻き込まれただけの面々も強化されることになった。

 元々予定していた状態と比較して約三倍と言った強化率になっており、特に素体候補や他の素質ある人間に至っては約五倍という誤差では済まないような魔改造になってしまっている。

 これでは人間族と魔人族の戦力比が間違いなく人間族側に有利な形に傾いてしまう我困ったどうしよう、と悩むが再び脳裏を稲妻のように駆け巡る閃き。

 それは人間族側に滅茶苦茶に強い勇者を召喚してしまったのであれば、魔人族側にも強力な勇者、もとい魔王的な存在を召喚すれば良いだけじゃね? という徹夜明けのナチュラルハイが如き短絡的かつ悪魔的な思考だった。

 

 

 

 更には幸か不幸か、実際にはこれもミスの一つなのだが、勇者召喚を行って地球から素体候補たちが神隠しのように唐突に姿を消してしまったのが昨日のことにも関わらず、何故か彼等がトータスに召喚されるまでに一ヶ月程度のタイムラグが発生してしまっている。

 エヒトとしてはそのようなタイムラグが発生するように仕向けた訳でもなく、全く謎の現象なので少し気味が悪く感じたが、総じて今の状況だと少しでも時間的猶予が増えたのは不幸中の幸いと言うのが正しいだろう。

 斯くして、またしても異世界ウォッチングをする羽目になったエヒトだが、神の肉体を確保するための素体探しと異なり、どうにも余りモチベーションが続かなくて一向に対象が定まらない。

 なんかもう面倒になったエヒトは適当に目に付いた素質があるのかないのかハッキリとしない人間を選び、前回の失敗を考慮して改良した召喚陣によって対象となる男一人だけを見事召喚することに成功した。

 

 

 

 しかし、またしてもエヒトは知らずミスをしていた。

 十人以上の勇者組に対して魔王候補は一人だけなので強化率を素体候補と比較して二倍、つまり当初の十倍まで引き上げていたことは問題ない。

 ただどういう訳か、確実に召喚が成功した手応えはあったにも関わらず、魔王候補となる人間はトータスには召喚されてきておらず、勇者組のように一ヶ月後くらいにズレてしまった訳でもない。

 忽然と姿を消してしまった対象を可能な限り探したエヒトだったが、暫くして我もう知ーらないと全て放り投げて不貞寝を始めた。

 丁度その頃にオルクス大迷宮にて勇者組から憐れな犠牲者(南雲ハジメ)も出たのだが、素体候補以外のモブキャラ(エヒト視点)には興味がないので完全にスルーしてゴロゴロと怠け続けた。

 

 

 

 神を騙る元人間(エヒト)は知らない。

 自らの肉体とするために召喚した勇者が想定を超える力を付けて、嘗ての反逆者たちの如く己の前に立ち塞がる大きな障害と成ることを。

 

 

 

 神を騙る元人間(エヒト)は知らない。

 素体候補の召喚に巻き込まれただけの者たちが、神の権威を脅かす程の力を得ることを。

 

 

 

 神を騙る元人間(エヒト)は知らない。

 大迷宮で死んだ筈の全く興味の欠片もなかったモブキャラ(南雲ハジメ)(エヒト視点)が、完全イレギュラーの化物となって奈落の底から這い上がってくることを。

 

 

 

 神を騙る元人間(エヒト)は知らない。

 既に過去の遺物となった筈の一人の解放者(ミレディ・ライセン)が、千年の時を超えて虎視眈々と神殺しの機会を待ち続けていることを。

 

 

 

 神を騙る元人間(エヒト)は知らない。

 バランス調整のために適当に選んで召喚した魔王が実は生まれる世界を間違えたような規格外な人間で、真に魔王の如く神である筈の自分を引き摺り下ろし、完膚なきまでに踏み潰そうとするような天敵であることを。

 

 

 

 何なら彼等全員が結託し、徒党を組んで自宅(神域)に突撃訪問からの無双ゲームの如く眷属という名のガラクタを蹴散らした上で神である己を囲んで嬲り殺し(リンチ)にしてくることなんて知る由もない。

 エヒト的には威厳も何もない程の勢いでフルボッコにされるので、いっそのこと知らない方が幸せだろう。

 まあ、その幸せもいずれ訪れる滅びの前にある束の間の平和でしかないため、最終的には過去の悪行に利子をつけて精算される訳だが、それもこれも正史に比べて慢心とうっかりが多いエヒトの自業自得である。

 そんな可哀想なエヒトくんが無事死亡した暁には、折角なのでみんなでこう言ってあげましょう。

 

 

 

 

 

 ──『おお、かみよ! しんでしまうとはなさけない!』

 

 

 







続かない。



エイプリルフールということで記念投稿。
感想100件と評価赤色になったら続くかも?(続かない)
まあ、宝くじで一等に当たるくらいあり得ないことなので問題ないな!

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