【ライダー】負けたら陵辱される変身ヒロインものエロゲーの世界の竿役モブに憑依した挙句、忍者の仮面ライダーになっていた【助けて!】   作:ヌオー来訪者

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 長すぎるので分割。


オレたちのスタート2008/変身①

 

 

 眼前で繰り広げられた一連のやり取りを見ていたタカマルはポカンとしていた。

 それは1号の他にあんな仮面ライダーがいたことに対する驚愕なのか、それともあの半分こ怪人的フォルムに驚いているのか。

 多分おそらくきっと両方だろうが。

 

「あれは彼らが名乗った通り仮面ライダーW。風の街、風都に蔓延るドーパントと戦う二人で一人の仮面ライダーだ」

 

「どうした急に。二人で一人……? だから声が二人分聞こえてきたのか」

 

 急にしゃべり出したことに驚いたのか、タカマルがギョッとした顔で真太郎を見る。

 説明を聞いても納得がいかなさそうなのはやはり突然何の前触れもなく天井から落ちてきたからだろう。今のWはサプライズニンジャ理論の権化だ。とはいえ今目の前で起きていることは現実だ。

 

「そう。自称ハードボイルド探偵の左翔太郎と魔少年フィリップの私立探偵コンビが、ガイアメモリと呼ばれる地球の記憶を内包したUSBメモリ型のアイテムと今腰に巻き付いているW型のベルトことダブルドライバーを使い変身する。今の形態はサイクロン・ジョーカー、武器は持たないが基本形態でありながらも高いスピードと格闘戦を得意とし、蹴りをメインとした徒手空拳で戦う。特筆すべき点は戦闘で巻き起こる風を取り込んでスタミナを回復するという継戦力に優れた特性を持つ。フィリップの頭脳と左翔太郎の学生時代から喧嘩で鍛え上げたその格闘力を活かすことで唯一無二の力を発揮する。右側はサイクロンの他にヒート、ルナ。左側はジョーカーの他にメタル、トリガーの記憶を内包したガイアメモリを切り替えて状況に応じた形態変化を可能としており、どんな敵だろうとも臨機応変に立ち回ることができる。それだけではなく彼らにはメモリガジェットというアイテムを有しており……」

 

「えらい早口……つまり、あの仮面ライダーは凄いってことか!」

 

「そう、凄いってことだ! ゾクゾクするねぇ!」

 

 フィリップの真似をしながらオタク特有の早口をさらすやたらテンションの高い真太郎に釣られてノリノリのタカマルは小学生並みの感想を背にWが戦闘を開始していた。

 先陣を切ったのはどこからともなく現れた怪人ゲニンだ。「ヌンジャ」と鳴きながら殺到するそれをWはカウンター気味に回し蹴りを叩き込み1体目を倒す。

 

 次に現れたゲニンは太刀を振り回すが、最低限の動きでこれを回避。

 太刀を持つゲニンの腕をWは腕で止め、またも蹴りで吹き飛ばす。サイクロンの力が籠っているのだろう。スバル目掛けて吹き飛んでいく。

 だがしかし受け止めもせず、スバルは手に持った刀、雹で一刀両断してしまった。2等分にされたゲニンだったものは黒い靄となって消えていく。

 

 Wに限界以上のダメージを与えられたゲニンも同じように壁際でうめきながら消え失せた。

 

「どんどん行くぜ?」

 

 おそらく翔太郎の方だろう。余裕綽々の一言を溢し左手首をスナップさせてから次のゲニンを倒していく。近くに居たゲニンを掴み、軸にしてからポールダンスの要領で周囲に群がった個体たちを次々と蹴り倒していく。

 そして一頻り蹴り飛ばした所で着地。先ほどまで軸にした個体をぺちっと顔を上げさせてから――

 

「この、小童がぁ!」

 

 小童扱いしながら赤子の手をひねるようなノリでアッパーカットを叩き込み、ゲニンは空中で縦回転しながら頭から床に落下した。

 ……少なくともノロイ党の出自から察するに翔太郎の方が圧倒的に小童なのは突っ込んではいけない。

 

 それにしても清々しい暴れっぷりだ。テレビの向こう側で見ていた光景が今目の前で繰り広げられている。そのことも相まって手の中は汗だらけであった。

 

「タカマル様!」

 

 一連の無双っぷりに見とれていた真太郎とタカマルだったが、そんな中でハルカの声がしたことでハッと我に返る。

 流石に分断されたとはいえ、ある程度まで位置を把握していたのだろう。既に忍者装束を纏ったハルカが即座に真太郎の足の氷を砕く。

 流石にノロイの氷とはいえ閃忍の力であれば砕くことは簡単なのだろう。とはいえタカマルの中には懸念があった。

 

「ハルカさん!? でも前の戦闘でダメージはまだ……!」

 

 ハルカが乱入したことで状況が好転するわけではない。スバルにこっぴどくやられた事で傷は完全に癒え切っておらず、ドラクエで言うMPにあたる淫力も復活しきっていない現状で満足に戦えるわけではない。

 今の迷いのある状況でスバルと戦おうなら確実に負ける。

 

「大丈夫です……!」

 

 やせ我慢なのは明白であった。ハルカの顔には脂汗のようなものが浮かんでおり結界をこじ開けるために相当の体力を使ってしまったようだ。

 それでも前に出ようとするのは使命感が故か。Wが打ち漏らしたゲニンが迫るものの、ハルカはクナイの滴を一閃させるが、それでも一撃で倒すには至らない。

 

「くぅっ……!」

 

 見るからに本調子ではない状態でなおも戦い続けている。今はWがスバルの相手をしているがここでWがやられれば今度こそ終わりだ。

 視線を再びWの方に戻すと、Wが腰に巻かれたW型のベルト、ダブルドライバーの右サイドに装填されたUSBメモリ型のアイテム、サイクロンメモリを引き抜き右腰につけられた装置、マキシマムスロットに挿入。スイッチを叩くように押した。

 

『翔太郎、あの戦闘員の性質はダスタードに近い。スピードも相応、このまま数で押されると厄介だ』

 

「あぁ、分かってる。一気に決めるぜ」

 

【Cyclone・マキシマムドライブ!】

 

 Wの足元に緑色の風のようなオーラが放たれ、ゲニンの群れに向かって床を蹴る。1歩、2歩、3歩と踏み出した瞬間、Wの体がふわりと宙を浮き文字通り『飛んだ』。

 その足にまとわりつく風のオーラをそのままゲニンたちに通り抜けざまに斬るように叩き込み、床に着地したその瞬間、通り過ぎた跡にいたゲニンたちは爆発四散した。

 

「ヘッ……決まったな」

 

『決めてる所悪いけど――来るよ翔太郎!』

 

 フィリップの警告と同時にスバルの斬撃が衝撃波となってWに迫る。それを避けた瞬間瞬時にスバルはWの目と鼻の先まで迫り、その緑と黒の体を袈裟懸けに切り裂いた。

 次にジョーがルリーを操り、指先から生成したエネルギー状の赤い爪を振るい、怯んだWに次々と斬撃を浴びせる。いくらWとはいえネームド2体は手こずるようだ。

 本編通りならばメモリチェンジして臨機応変に戦うのだろうが、その隙を与えない連続攻撃がWを襲う。挙句倒したはずのゲニンたちが矢継ぎ早に新たに表れてWに向かってくる。

 

「野郎……キリがねぇ!」

 

「……Wと言ったな! 貴様の体を2つに引き裂いてくれる!」

 

「綺麗な薔薇には棘があるなんてよく言うが、言っていることが棘通り越して刃物だぜ……! フロスト・レディ……!」

 

 スバルの物騒な物言いに対し、翔太郎の悪態をつく声を聴きながら真太郎は「くそっ」と声を上げる。

 いくらWでも泥仕合は見えていた。アナザーアギトの時は後れを取っていたが今度は物量で圧殺するつもりなのだろう。

 挙句、スバルは地面に雹を突き立て、この寺の室内を凍り付かせる。まるで冷蔵庫のように室内を変容させたことにより彼女の動きはさらに素早く、鋭くなっていく。

 

 そんな不利な状況下、背後からまた違う声がした。

 

「頭領殿、これを」

 

「え?」

 

 ハルカを追って現れたのだろう。上弦衆の忍びがタカマルに何かを差し出す。

 促されるがままにそれを受け取るのを見た真太郎はその手元に目をやるとそこには銀色の瓢箪がタカマルの手の中に収められていた。

 

「これは――志藤さんの瓢箪」「斉藤です」

 

 もう意識せずともツッコミが出来るようになってきた己に真太郎は呆れながらも、忍びの話に耳を傾けた。

 

「黒鉄殿から言伝があります。これをどうするかは戦部、お前に任せる、と」

 

 アキラの言葉を聞き終えたと同時にハルカや真太郎より前に出る。そしてそのまま瓢箪を前方に突き出した。その動きは完全に真太郎が顔を隠した状態で変身をするときの仕草そのものであった。

 

「……あ、おい……まさか」

 

「俺が戦う。ハルカさんは本調子じゃないし、内藤さんも辛い思いをしてきたんだ。だったら俺が――」

 

 真太郎の制止を振り切りタカマルは瓢箪の栓を引き抜こうと指に力を籠める。籠める……籠める!

 額から青筋が立っている。栓をつまんだ指はプルプル震え肌は少しずつ赤くなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んごごごごご……あ、あかね……」

 

 結論から言えば真太郎ならば開けられた栓はびくともしなかった。ジャムの瓶の如く固く閉じられたそれにぜえぜえ言いながらタカマルは頽れた。

 それでもなお開けようとするタカマルに真太郎は手で制した。

 

「気持ちはありがたい。けど変身すべきじゃない。この力は本来あるべき、『正しい歴史』に存在すべき力じゃない」

 

「それってどういう」

 

 呆気にとられるタカマルを前に真太郎は諭すように続ける。

 

「この力は少なくとも外側の――存在しない歴史のものだ。その結果この世界に多分――異変が起きている」

 

「異変……あの仮面ライダーたちが現れたりすることか」

 

 タカマルも何か心当たりがあるのか、記憶の彼方にあるナニカに思いをはせていた。真太郎は頷き言葉を紡ぐ。

 

「俺もこのライダーたちの力が果たしていい方に作用するかどうかは分からない。もしかしたらこの力もあの仮面ライダーもこの歴史の歪みに加担していたとしたら……元居る世界の人間がそれに加担するべきじゃあない……!」

 

「でも……ここで戦わないと……!」

 

 瓢箪を握る力が強くなる。タカマルからすればここで戦わなければハルカも皆やられてしまう。転移術を使おうにも連中に見つかっている状態で使おうなら司令部まで逆探知されてジ・エンドだ。

 だがもしシノビの力が滅びを加速させていたとしたら。そう思ってしまうのだ。

 そう言った話には前例がある。そう――仮面ライダーディケイドだ。ディケイドの存在は世界の歪みを加速させていた。本来その世界にはあり得ない結果を齎すことで世界を歪ませているのだ、と。

 瓢箪に手を伸ばし、タカマルの目を真っ直ぐ見据えて真太郎は口を開く。ただ――訴えかけるように。

 

「俺が……変身する。歪みは歪みの原因が使うのが一番だ、悪者が分かりやすい」

 

 それは責任だ。この世界を歪ませたのは誰だ、と言われたときに本来居るべきタカマルが指をさされるなどということは避けたい所だ。

 自分が変身した結果の歪みだとしたのならば自分の罪だ。体の主まで道連れになるのは忍びないので出来れば自分一人が消えられたらそれが一番いいのだが。

 『元凶』を背負うのは、今は自分一人でいい。

 

 その真太郎のやや投げやり気味な言葉に何か思うところがあったのか、眉間にしわを寄せた。どう見ても納得をしている人間の顔ではない。

 

「悪者ってなんだよ……さっきから歪み歪みって……確かに変だなって思ったことはあるけど何が歪みなのか、何が正しいのか俺には分からないよ」

 

 今この瞬間生きている人間からすればそれはきっと正しい歴史という言葉は押し付けに他ならなかった。

 それで納得しろということ自体、仮に大局的に正しかろうが不愉快でしかない。

 

「それに誰がその正しいってものを決めたんだ? その歪みが起きていることそのものだってもしかしたら歴史の一部なんじゃないのか。歪ませるためにあんたは戦っていたのか?」

 

 それは違う。

 真太郎が首を横に振ろうとした矢先、タカマルがその意志を読み取ったかのように言葉を続けた。

 

「きっと違うはずだ。どうするべきかとか歴史とかそんな話じゃなくて――あんたはどうしたいんだ? どうしたかったんだ?」

 

 正しい歴史と断じたのは真太郎含めた歴史の外側の者たちだ。

 けれどもタカマル当人からすれば正しい歴史なぞ知ったことではない。目の前で起きていることこそが現実であり、それがこの世界に生きるタカマルと、どうあがいても外側の者でしか居られない真太郎の差であった。

 今この瞬間どうするべきか――なんかじゃなく。 

 

「俺は――さ。皆が笑顔で幸せに帰れればそれでいいと思ってる。ハルカさんも、上弦衆の皆も――あんたも。だからこの瓢箪を手に取ろうと思った。……何故か栓が抜けないけど」

 

 道を示すかの如くタカマルは自らが背負う思いを口にする。そこに一寸の迷いらしきものはなかった。性格で見るならば彼の方がきっと、ライダーに向いているだろう。

 ここまで相手に言わせておいて自分は何も言わないのはアンフェアだ。タカマルの意志表示に真太郎もまた返す刀でただ一つ、これまで戦いで瓢箪を握りしめてきた自らの手に込めた思いをぽつり、ぽつりと言葉にし始めた。

 

「嫌だったんだ、俺は。自分が何か誰かのために出来るかもしれないって時に、あのゴーオカってデブに鷹守さんがいいようにさせられるのが。だって戦部君と話している時の鷹守さん、楽しそうだったから。それが曇るのが嫌だったんだ。それだけじゃない。夕飯に頭を悩ませたり、部活したり、仕事したり、友達と遊んだり。その瞬間瞬間を生きていくその日常をあいつらの勝手な理屈で壊されてそのまま放置しておくのが胸糞悪かったんだ。俺のやったことが、誰かの明日の平穏につながるのなら……って」

 

 言い切ったとき既に気づけばタカマルが持った瓢箪を真太郎は無意識的に掴んでいた。

 その手元を見たタカマルは「そっか」とどこか満足そうに、そして彼は背中を押すように屈託のない笑顔を見せた。

 

「いいじゃないですか、それで。今は。もし世界が歪んでいるとしてもそん時は俺もあんたと一緒に何とかする。だって俺、頭領だし。もしかしたら上弦衆の技術なら何とか出来るかもしれない。あんまり権力を笠に着たくはないけどこういう時だけはビバ・権力だ」

 

――それが権力!僕の求めていた力!

 

 何故か一瞬、闇堕ちしたころの養豚場の豚を見るような目をした呉島光実の姿が脳裏をよぎったので押しのけつつ、真太郎は掴んだ瓢箪を引っ張るがタカマルは離さない。意地でも自分が変身するつもりなのだろう。その頑固さは一体どこから来るのか。

 けれども譲れないものは同じだ。

 

「――俺がやるよ。俺は頭領を護る忍びで。一応、仮面ライダー……やってるからさ」

 

 本当に選ばれた者かは分からない。何者かの思惑があって託された力の可能性は高い。けれども――曲がりなりにも自分を信じてくれる者がいる。

 完全に押し負けたのか、タカマルの手が緩んだ。瓢箪が手に収まったその時、真太郎は無造作に栓を引き抜いた。それは風呂の栓を抜くかの如くあっさりと引っこ抜け、瓢箪を逆さにする。

 すると液状のものが零れ出て真太郎の腰に巻き付きベルトの形を成す。

 

「化身などさせるかぁッ!!」

 

「しまった!」

 

 スバルの叫びとWの声で真太郎の顔が上がる。

 するとそこにはWの妨害を免れたスバルが、雹を片手に重力を無視した跳躍を繰り出し、真太郎とタカマル目掛けて迫る。

 

「くっ!」

 

 ゲニンを抑えるのに手いっぱいな状態のハルカでも割り込む余裕はない。あとは真太郎が――シノビがどうにかしなければならない状況にあった。

 

「……ノコノコと瓢箪まで持ってくるとはな!」

 

 ノロイ党からすれば鴨が葱を背負って来るようなものだ。スバルは嘲笑と共にシノビに迫る。邪魔しようと割り込んだ上弦衆の忍びはあっさりと裏拳で跳ね飛ばされ、氷漬けの床をゴロゴロと転がる。

 そして真太郎目掛けて雹が――振り下ろされた。

 多少痛めつけてでも連れて帰るつもりだろう。多少ケガしたところでノロイ党も再生術を持っていることを考えればこっちが多少苦しもうが関係ない。

 が、死なれてはきっと困るはずだ。故に――

 

――前に、出ろッ!

 

 真太郎はあえて踏み込む。恐怖はあれど考えない。ただ目の前の敵に距離を詰めることだけを意識する。

 そしてスバルの斬撃を、彼女の腕から受け止めた。シノビドライバーの力で多少筋力は上がっている。手加減した彼女の一閃程度受け止めるのも容易いものであった。

 

「なにッ!?」

 

 想定外の抵抗だったのだろう、驚愕する彼女を他所にメンキョカイデンプレートをベルトに叩き込み間髪入れずに回す。

 同時にスバルによる妨害の蹴りが入り内臓を押しつぶされる感覚と、昼に食べてきた牛丼が逆流しそうになる。唾を飲み込み押し返しながら吹っ飛ぶ体を足でブレーキをかけ、強化された脚力で地面を力強く蹴り飛ばす。

 

 スバル目掛けて直進しながらプレートの手裏剣を回転させ、拳を突き出す――

 

 もう、他人事じゃない。

 この力に責任を持つ。どちらにせよ行使してしまった以上、この世界にとっては自分自身が仮面ライダーシノビなのだ。正しい歴史ならば違う。けれどもタカマルの言う通りこの世界にとって正しい歴史なぞ知ったことではない自分がそうであるという認識を持たせてしまった以上――責任は。

 

 

 まずは突き出された拳からアーマーが装着され、飛び込んできた真太郎の拳をスバルが雹で受け止める。岩すら砕くその拳は鉄も切り裂くその刃とぶつかり合い大きく火花を散らす。

 そして二撃目と放ったもう片方の拳にもアーマーが。そして腕から徐々に侵食するようにシノビのアーマーが装着されていく。

 無我夢中とはこのことか。スバルの斬撃はほぼぎりぎりのタイミングで避け、時には腕で受け止めていた。生死と背中合わせでいると極限まで集中力が高められるらしい。

 

 一瞬の隙をついてスバルに拳を一撃入れ、怯ませた時には既にシノビの装甲は首から下まで覆いつくされていた。

 

「――変身!」

 

 絞り出すように。叫ぶと顔は瞬時に深紫の仮面で覆われる。

 初めてだった。真っ当に変身と口にすることは。無意識下で力を拒絶していた。本来あるべき者に返すべき力だ。本来ならば。だから仮面ライダーではないと予防線を張り続けてきた。

 けれどもこの世界ではその自身の感覚は通用しない。無意味だ。ただの――逃避だ。

 

 だから背負うと決めた。『仮面ライダー』を。自分が愛した存在を。

 背負って、ノロイ党の暴虐に抗って、抗って、抗い続けて。一人でも多く誰かの明日が救えるのならば。

 そして仮面ライダーがこの世界を歪ませ、壊すのならば最後に痕跡も消す。おそらくこの世界のどこかには瓢箪はもっとあるはずだ。それも回収してあるべき場所に還す。

 

「俺は――」

 

 そう、たとえ相手がノロイ党だろうが、この世界に侵食する仮面ライダーだろうが、滅ぶ世界の運命だろうが――

 

「俺は戦うッ!!」

 

 

 凍てついた寺の中、背負いし白銀に輝きし忍びの小太刀引き抜き、その身を鋼より強固なる鎧を纏い、狼の如く吠え、闘志を見せし、深紫の戦士。

 その名も――

 その名も――

 その名も――

 仮面ライダーシノビ、ここに在り。




 覚悟完了。あとは、勇気だけだ。


 取り合えず爆弾としてミスチルのフェイクを聞きながらお待ちください。
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