【ライダー】負けたら陵辱される変身ヒロインものエロゲーの世界の竿役モブに憑依した挙句、忍者の仮面ライダーになっていた【助けて!】   作:ヌオー来訪者

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オレたちのスタート2008/変身②

 

「凍てついた寺の中、背負いし白銀に輝きし忍びの小太刀引き抜き、その身を鋼より強固なる鎧を纏い、狼の如く吠え、闘志を見せし、深紫の戦士。

 

 

 その名も――その名も――その名も――仮面ライダーシノビ、ここに在り。

 

 仮面ライダーの力を受け入れたことによりその力を増幅させ、この世界に根を張った。その結果『存在』が確立し、その力は下手な化け物どもを凌駕する……!」

 

「……怪忍!?」

 

 謳うような物言いだった。後方でシノビに変身した真太郎を見送った矢先に聞こえてきた声はタカマルを身構えさせるには充分過ぎるものだった。

 タカマル自身武術に嗜みがあったこともあり、咄嗟に構えを取るもののその声の主は構えを取ろうともしてなかった。

 だが――こいつは今『右手に銃を持っている』。

 

 黒を基調に銀色の装飾がついた――普通の拳銃にしては大きなソレはパッと見オモチャだ。。しかし見掛け倒しではないと思わせるだけの凄みを放っていた。それでいて珍妙奇怪なことにこの男は一般的に言う『虚無僧』と呼ばれる出で立ちであった。

 虚無僧がオモチャみたいな銃を持っている。そんなこと、何も知らない人間に伝えたら完全に頭を疑われること間違いなしだ。

 

 警戒をするタカマルに虚無僧は「フッ」と鼻で笑う。

 

「あんな下衆な連中と一緒にしてほしくはないな。この物語の元主人公くん?」

 

「?」

 

 口を動かすたびに自身の理解を超えてくるのはなんなんだ。

 虚無僧の言動全て、タカマルの内なる何かが警戒する。背筋がまるでざわついていることを自覚した瞬間、握り拳がこれ以上にないほどに強く握りしめられていたことに気づいた。

 それにこの男物言いが少し真太郎と似ている気もしなくもない。真太郎はモブだとか自虐していたが。

 

「アンタ……何かを知っているな?」

 

 仮面ライダーという名を吐ける人間は今この瞬間においてかなり限られていると言っても過言ではない。真相がこの男が握っているのだとしたら、なんとしてでも聞き出してやる。

 そんなタカマルの思考でも読み取ったのか、虚無僧はヘラヘラと嗤い始めた。

 

「なに、仮面ライダーの観測者であり導き手と言った所かな? あくまで僕は物語の刺身のつまだよ」

 

「…………」

 

 何言ってんだコイツは。

 文言だけ見れば卑下しているだけに見える。けれどもタカマルの耳朶を打ったその言葉そのものに卑下らしきものを感じなかった。

 

「導くってのは――何処に?」

 

「この世界は滅びたがっている、ゆえにそれを救った仮面ライダーシノビの世界、だ」

 

 やはり聞いても無駄らしい。抽象的な答えしか返ってこない現状にタカマルは諦めを込めて大きなため息をついた。

 この世界が滅びたがっているなんて言葉もだ。この世界が生きていくのはこの世界の一人一人が必死に生きて決めていくことだ。その滅びたがっているという意志はどこからくる?

 

「まぁ、元主人公は大人しく引っ込んだ方が良い、まぁ頑張ればラスボスにはなれるんじゃないかな。さて、仕込みは上々、僕は帰らせてもらうよ」

 

 当人からすれば馬鹿にしているつもりなのだろう。だが、タカマルからすれば話の内容が素っ頓狂すぎて怒る気にもなれず返すべき言葉はただ一つだった。

 

「主人公だのモブだの、そんなことはどうだっていい。重要じゃないんだ、俺にとって。俺は……俺なりのやり方でこの街を、世界を守っていく」

 

 都合のいい幻に縋らず、それでいて安易に絶望もしない。ただ出来る事をやる。

 それが頭領として選ばれた者の責任だ。――そう、タカマルは信じている。

 

「せいぜい頑張るといい。エボルトじゃないが……チャオ」

 

 虚無僧はどこからか1枚のカード状の何かを取り出す。そしてその右手に持った黒と銀の銃身に差し込む。

 その様を見たタカマルは咄嗟に銃口の先を注視する。もしかしてあのカードが銃弾だったりするのか、だが砲身は丸い。

 

 床に向けられていた銃口は徐に持ち上がり、横に飛び除けようとしたもののタカマルなど最初から眼中になかったと言わんばかりにそのままタカマルの体を素通り、天井へと向く。

 そして――虚無僧の姿がフッ、と消え失せた。

 

「――消えた!?」

 

 まるで、魔法のように。跡形もなく。

 上弦衆やノロイ党の持つ転移術ともまた性質が違うものだ、とタカマルは確信していた。なにせこの耳が捉えていたのだ。

 

 アタックライド・インビジブル。と。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

46:名無しの観測者 ID:xpZmaMBhM

 あれからイッチ何してんだろうな

 闇落ちスバルとやり合ってそれっきりっぽいけど

 

 

49:名無しの観測者 ID:qyBRn+kkQ

 >>46

 タヒんだんじゃないの~?

 

 

50:名無しの観測者 ID:7iHFW1+Sv

 コックカワサキやめろ

 流石に心配になるわな。スレも勢い落ちて来たし

 

 

54:名無しの観測者 ID:CZSdEv2Rt

 というか、話題がもう残ってない

 大体イッチの報告ありきじゃん

 

 

 

59:一般エロゲ竿役忍者 ID:20sNB2kmn2 

 ただいま

 

 

61:名無しの観測者 ID:EoeutM4PD

 >>59

 はいただいま

 

 ……ん!?

 

 

62:名無しの観測者 ID:oPtWnpjQs

 >>59

 (゚д゚)

 

 

67:名無しの観測者 ID:a26t1p082

 >>59

 イッチ生きとったんかワレェ!

 

 

72:名無しの観測者 ID:RbUcGfMT1

 >>59

 ファッ!?

 逝ったかと思ったよ……

 

 

75:名無しの観測者 ID:dDWNTclR3

 とんでもねえ、待ってたんだ

 

 

77:一般エロゲ竿役忍者 ID:20sNB2kmn2

 色々報告したいことは沢山あるけど、今ちょい戦闘中

 

 相手はスバル

 

 

81:名無しの観測者 ID:gPCjoMkwI

 >>77

 イッチ逃げて超逃げて!

 

 

86:名無しの観測者 ID:+iuNRmZ5N

 コレマケバトルジャネ?(ガイアセイバー恐怖症)

 

 

89:名無しの観測者 ID:tBPkAUOUs

 >>86

 ガイアセイバーの話はやめろ

 

 やめろ(迫真)

 

 

93:名無しの観測者 ID:9GxTH7yzJ

 勝てるの次の城攻めだったよーな……

 

 

96:一般エロゲ竿役忍者 ID:20sNB2kmn2

 いや城はまだ

 でもなんか勝てそうなんですけど……大丈夫なんですかね?

 

 【眼前で頽れるスバルの画像】

 

 

100:名無しの観測者 ID:G2ZDLHv+v

 えっ

 

 

101:名無しの観測者 ID:qxyS31Ats

 なんで?(殺意)

 

 ハルカとスバルの百合シーンが見られないじゃねえかよぉ!?

 

 

103:名無しの観測者 ID:6WoY1NtBp

 急に覚醒したとか?

 

 

108:名無しの観測者 ID:BZn2nkcm1

 あぁ、テレレレーしちゃったか……

 

 

113:一般エロゲ竿役忍者 ID:20sNB2kmn2

 私にも分からん(鬼畜博士)

 

 マジで無我夢中でやってたら押し勝ってた

 なんだよ……わけわかんねえよ

 

 

 

114:名無しの観測者 ID:6VSr2n98W

 突然強化されたり、天井から強化アイテムが落ちてきたり、チベットから郵送で強化アイテムが送られたりするのなんて平成あるあるなんだよなぁ……

 

 

 

119:名無しの観測者 ID:EAGv1JsCv

 >>114

 あるあるあ……ねーよ!

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 最初はシノビブレードを引き抜かないまま、ひたすら殴りつけるだけだった。

 女性に拳を叩き込むのは普段なら大丈夫か、と躊躇いもするがここで尻込みすれば前回の戦闘のようにビビり散らかして同じ失態を繰り返すのは目に見えていたからだ。

 だからひたすら拳を放つ。

 

「あぁぁぁッ!!!」

 

「くっ……この男……戦い方が滅茶苦茶だッ!」

 

 シノビは吠えながら間髪入れず放ち続ける拳は最初こそスバルは得物で弾き防ぎ続けていたが、徐々にその防御はほつれてゆき、肩に、胴に、その一撃が入っていく。

 一見子供の喧嘩のように見えるその連撃だが、質が悪いことに力があった。

 

 先日の戦闘において力も技量もスバルが凌駕していた。それはスバル当人も自覚しており最初こそ、飛んで火にいる夏の虫と鼻で笑っていた。

 しかし、様子がおかしかった。防いでいたはずの得物が弾かれ始めまるでエンジンがかかっていくかの如く拳が重くなっていく。

 

 一心不乱に放たれる一撃たちに規則性はまるでなくただただ殴りつけることだけを目的にスバルの体を襲うのだ。

 

「ずぉりゃああああっ!」

 

 力一杯に込めた拳は最早防御のていを成せなくなったスバルの顔面にさく裂し、10m先まできりもみしながら飛んでいく。

 脳が酷く揺れ、空中で姿勢を戻し着地したものの、ゆらりと頽れる。

 

「はぁ……はぁ……やった……?」

 

 息遣いも、攻撃も、あらゆるものが出鱈目だ。

 出鱈目であるが故に、スバルを出し抜けたのだろう。最後の一撃を叩き込んだシノビの仮面の下で真太郎は己の手を見る。

 

「やれた……?」

 

 何故スバルを出し抜けているのか、それは分からない。

 けれども現実、パワーだけならば今のスバルを凌駕していた。何故だ、その問いは誰もこの世ならざる者たちに問いかけても答えはない。

 

「つけあがるなよ……小僧!」

 

 とはいえ、拳を一発叩き込んだだけでスバルが沈むはずがなかった。右腕をシノビ目掛けて突き出した瞬間、指先が、腕が、まるで木の枝のように分かれ伸びて襲い来る。

 その様はまるで触手だ。これに貫かれでもすれば終わりだ。避けようにも後ろにはゲニンを撃破し終えてこれまでの蓄積ダメージで満身創痍のハルカとタカマルがいる。

 

 避ければ、あの二人に危害が及ぶ。もっと後ろには意識のない女の子の姿。

 逃げれば死、受け止めれば死。それを理解していたスバルはほくそ笑む。

 

――あぁ、そうかよ。

 

 ただでは転ばない、その点においてシノビの力など関係ない。

 戦い慣れしているのはスバルの方なのだ。攻撃を受けている時に位置をしれっと調整させていたことに気づけなかったのは真太郎の落ち度だ。

 

――だったら……受けて立つ!

 

「うおああああああああああああああああッ!」

 

 もうここまで来れば体がぶち抜かれようが、構うものか。だが、後ろの人間はやらせない。いずれ来るであろう痛みを本能が訴えかける。このまま貫かれればお前はハチの巣だ、と。

 これまで受けた痛みを凌駕するであろうそれを振り切る。

 ベルトの手裏剣状のバックル部分を勢いよく回転させ、右足に力を集中させる。

 

 

 すると右足から紫色の炎が浮かび上がり、迫り来る触手たちの先端を見据えた次の瞬間、床を踏み抜くように蹴った。

 

「やけになったか! 深紫の忍び!」

 

 無数の触手たちは当然逆に向かってきたシノビを貫こうと右足を避けてシノビの装甲を突く。装甲からとめどなく火花が散り、装甲の下で真太郎の内臓が悲鳴を上げる。

 このままでは装甲を貫通して予想通りハチの巣だ。

 

――ならばッ!

 

 しかし――シノビが上体を捻った瞬間、スバルは眼を見開いた。それは何故か――徐々にシノビの体から風が舞い始める、ぐるぐると、その周囲を。

 その風が形を成したのは間もなくしてのことだった。紫色のエネルギーを帯びた風がシノビの体を回転させ、ドリルのような回転をさせながら、襲い来る触手を切り飛ばしながら、スバルに向かう。

 当然完全に防ぎきれている訳ではない。ダメージを忍術で防御力を上げ、ある程度弾いているだけだ。

 

 

 

 電ドリルキックかスピニングダンスか。そんなことは今この瞬間において真太郎にとっては重要なことではなかった。

 触手たちの攻撃でシノビの蹴りが徐々に勢いを落としていく。スバルに直撃するのが先か、撃墜されてなぶり殺しにされるのが先か。

 

「落ちろ! 半端もの!」

 

 自身の危険を察知したのか、スバルの表情に焦りが見える。

 けれどもそれに付け込んでやろうという余裕は真太郎にはなかった。

 

 ただ、蹴り抜け。

 ヤツよりも、疾く。それを念じながら、全身の痛みを乗り越えるだけだ。

 

「落ちて――たまるっかあああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」

 

 気づけば口の中から血の味がしていた。

 シノビの装甲はまだ貫かれていないことから、外部からの衝撃で内臓のどこかが多少やられたのだろう。死んでからのことは――何も考えていなかった。

 

 

 

 

 ここから先の事は斉藤真太郎は覚えていない。限界を超えたせいで意識がどこかに行っていたに違いない。

 ちゃんと一撃が入ったのか、それとも途中で撃墜されたのか。その答えは蹴りを放った右足が知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に真太郎が記憶しているのは茫然としていたハルカの顔と、タカマルのちょっと複雑そうな顔で出されたサムズアップだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 その頃、Wとルリー・ジョーはその戦いの場を庭に移していた。

 戦いの光景を上弦衆の忍びたちが固唾を呑んで見守る中、Wの連続回し蹴りがルリー・ジョーを吹っ飛ばす。

 スバルはシノビたちに任せ、ゲニンとルリー・ジョーの対処はWが回った形となる。

 

 木の葉を巻き上げながら地面を転がるルリー・ジョーはゆらりと立ち上がりながらジョーの方が状況を口にする。

 

「ゲニンを短時間で10体撃滅せしめるとは……思ったより強敵のようだ、ルリー」

 

 まるで片手間であった。事実上弦衆の忍びたちが目撃した光景は、迫り来るゲニンをカウンター気味に蹴り飛ばし、ナイフのように鋭い手刀がゲニンの体を引き裂く。

 一撃こそ体に傷をいれたものの、即座に投げ飛ばされてジ・エンドだ。

 

 最早ゲニン程度では相手にならないと判断したルリー・ジョーはゲニンをけしかけることを諦めたようだ。

 仮面ライダーWなる存在は、ここでただ観戦している忍びたちの反応を見るに、上弦衆の味方であるかどうかも不明、まるで通り魔のように現れたそれは上弦衆を盾にして嬲り殺しに出来る保証もない。

 

「うぉら!」

 

 夜風に乗るように飛び掛かるWは再び飛びまわし蹴りを放つ。その瞬間を見たルリー・ジョーは目を光らせる。

 

「――ならば!」

 

 その回し蹴りは操り人形の形をした主ことルリーの爪が受けとめる。カウンター気味に放った爪はWの体を切り裂き派手に火花を散らして、今度はWの方が地面を転がる。

 ノロイ党の怪忍は、案山子などでは決してない。Wの攻撃を見切ることも難しくはない。

 

「野郎……!」

 

 悪態をつきながら起き上がり、体勢を立て直そうと左手首をスナップしようとしたその時――

 

「どうした翔太郎!?」

 

 Wのもう一つの人格、フィリップが声を上げる。その言葉の意味を指し示すがごとく左手首が右へ左へと動く。まるで糸で操られた人形のように。

 

「手が……動かねえ」

 

「アハハハハハハハハハハハハハ! 貴方の体は糸で繋がれた。――まるで人形のようにね! 貴方の体はこれでわたしたちのもの! Wとか言ったわね、その醜い姿を左右半身に分割にして引き裂いてあげるわ!」

 

「……こ……の……野郎」

 

 Wの左腕が頭頂部から股まで伸びる中心部のラインに手を掛ける。ルリー・ジョーの狙いはその言葉の通りWを物理的に引き裂くことだった。

 が――右半身は別に動いていた。

 

「君は『糸』、と言ったね?」

 

「何……?」

 

 糸で操られたにも関わらず、右半身だけ何故無事なのかルリー・ジョーには訳が分からなかった。事実、あの糸は対象を操るもの、1本さえ繋がっていれば全身が操られ、意のままに相手を動かすことが出来るはずだった。

 

【STAG】

 

 右半身は、何事もなかったかのように携帯電話の形をしたガジェットにUSBメモリのようなものを差し込むとクワガタムシの形へと姿を変え、ルリー・ジョーに襲い掛かりあちこちをツノで突き、時には切り裂き始め――ぷつり、と音を立てて何かが切れた。

 

「い、糸がッ!?」

 

 想定外の妨害にジョーが驚愕の声を上げる、まさかWが式神まがいのガジェットを所有しているなどと思いもしなかったのだろう。

 

「悪りぃ、助かったぜ……ったく照井を操ったアイツを思い出すぜ」

 

「パペティアーだね。まったく二人で一つの怪人で、ガイアメモリとは異なる能力で対象を操る糸……彼らへの興味は尽きないが、決着をつけよう、翔太郎」

 

「あぁ」

 

 糸を断ち切りルリー・ジョーを振り切った機械仕掛けのクワガタムシを手中に収め、ベルトのW型のバックル刺さっていた黒のUSBメモリを引き抜く。

 そして右腰に備えられたスロットに叩き込み、スイッチを叩く。

 

【JOKER MAXIMUMDRIVE!】

 

 ごう、と音を立てたのが始まりだった。

 渦巻くように木の葉を、枝を、土を攫い、竜巻となりWの体を夜空に押し上げる。月を背にしたWは深紅の複眼を鋭く輝かせ、そして――ルリー・ジョー目掛けて落雷し始めた。

 

「「ジョーカーエクストリーム! ハァッ!!」」

 

 ドロップキックの要領で落ちていくWの姿がスライドするかのように二つに分かたれ、そのまま落ちていく。なんだそれは、なんで二つに割れた、見ていた全ての上弦衆の忍びたちは思ったに違いない。

 先に突き刺さったのは左側の半身の蹴りだった。次に追従するように右半身が元に戻ると同時にルリー・ジョーの身に炸裂。

 

 ジョーカーエクストリームと呼ばれた必殺のキックを受けた怪人はそのまま地面にその身を叩きつけられ小さなクレーターを作って倒れこんだ。

 爆発四散せずに無事にいられたのは怪忍ならではか、ゆらりと立ち上がりながらルリーが忌々し気に舌打ちをした。

 

「ちっ、この下衆がッ! ……これ以上こいつの相手をしてはやられるわ……スバルも撤退したようだし、私たちも戻りましょう」

 

「はい、ルリー」

 

 孤立無援で徹底抗戦する馬鹿はいない。

 ここでW相手に無策で抵抗しても再びジョーカーエクストリームを叩き込まれて今度こそ爆発四散だ、それを悟っていたジョーの進言通り、どこからか吹き上がる黒い瘴気に呑まれるかのように消えていく。

 

 それを追う手立てはWにはなかった。

 完全にノロイ党の残滓が跡形もなく消え去った所で、Wの姿が風に攫われるかのように砕け散り、人の姿を現していく。

 

 その姿は黒いスーツに黒い帽子、黒い革靴。帽子から覗かせ、上下右左とランダムに跳ねた後ろ髪は人の子の持つそれであった。後ろ姿だけではあるが人間の男のもつものだと確信が取れる。

 ある忍びは思った、松田優作に憧れた若者のようである、と。まるで背伸びでもしているようなその出立ちに忍びたちはその素顔が何なのか捉えるべく目を凝らす。

 

「逃げちまったか……」

 

 男が独りごちて、振り向きその素顔を晒すよりも先に――

 

 

 

 

 光となって、消えた。

 

 

 





Q:元主人公がどうこうってどういうこと?
A:読んで字の通りと思われる。仮面ライダーという異物の出現と真太郎が力を受け入れてしまって世界の均衡がバグっているのが現状。シンケンジャーの世界をディケイド組が半ジャックしてしまった時に近いかもしれない

Q:虚無僧の目的は? あいつ何言ってんのか抽象的過ぎて分からん
A:端的に言ってしまえば仮面ライダーの世界を作ること。わざわざなんでそんなもん作ろうとしたのかは現在不明。

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