【ライダー】負けたら陵辱される変身ヒロインものエロゲーの世界の竿役モブに憑依した挙句、忍者の仮面ライダーになっていた【助けて!】   作:ヌオー来訪者

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 皆様、お久しぶりです。
 連載が止まっている間に、シノビの続編が出たり、ギーツが完結したり、555の20thやってたり色々ありましたね。


 引っ込んでいた間にちょっと色々調整して新章のスタートです。
 で、EpisodeFinalとか銘打ってますが平成キメたお兄様方なら色々お察しがつくことでしょう。つまり打ち切りじゃないのです。
 この話、結構胸糞シーンがあるので気を付けてくださいませ。


Season2
01 Episode Final 01


 

「ヌンジャ!」

 

 街が死ぬ。昔の自分ならそんな詩的で気取ったこと、ハーフボイルドじゃなきゃ言わねえよと思っていた事だろう。

 

「ヌンジャ!」

 

 だがーー折れた電柱。捲れ上がったアスファルト。穴だらけの壁。それを当然のもののように肩で風を切る忍者のような形をした魑魅魍魎たち。地面に転がる赤い亡骸を踏み越えて闊歩している。

 今目の前で繰り広げられている光景はそんな表現を地で行くほどの――

 

「ヌンジャ!」

 

 

 

 

 

 地獄だった。

 

 

 

 

 

 

    01

 

 

 

 

 

 間に合わないのは既に覚悟はしていた。

 人の営みがあったはずの町中を深紫色の忍び――仮面ライダーシノビが一人歩く。

 全身が悲鳴を上げているのは度重なる戦闘故か。言う事を聞かない身体を宥め、鞭打ちながら町を荒らした魑魅魍魎たちににじり寄る。

 忍者刀、シノビブレードを虚空から引き抜くとそれに反応した忍者型の魑魅魍魎――ゲニンが10体ほど。

 

 一斉に襲い掛かった。

 

「ヌンジャ!」

 

 慣れたことだ。これでも()()()()()()()()

 一番槍で飛び掛かった1体をカウンターの要領でその右腕を切り飛ばす。そして蹴り剥がしたら次のゲニンを切り飛ばす。

 真正面からの攻撃が無意味と悟ったゲニンらは一度距離を取り一斉に飛び道具であるクナイを投げつけるとそれらすべてを一閃で弾き飛ばした。

 

 

 ちゃりんちゃりん、と雨のように地面に落ちて虚しく響くクナイたち。

 その中心でシノビが一人ゲニンらを睨みつける。

 

 ああ、この行為は無意味だ。

 この戦闘で勝利しても失ったものは取り戻せない。明日を生きる人々の希望とて。

 

「くそが……」

 

 火遁の拳で殴り焼いても。

 風遁の脚で蹴り貫いても。

 取り戻せはしない。仲間たちの命も、誇りすら。

 

「くそったれがぁ!」

 

 ただ一人。シノビ――斉藤真太郎の慟哭が木霊するだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 遠くない未来。

 どこかの国。

 優勢と思われていた上弦衆は敗北を重ねていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 すべてを打ち倒した跡、シノビが失ったものたちを弔うように一人佇んでいた。

 血を払うように空を一振りし、鞘に納める。

 

「あーあ、勝っちまった。もう手遅れだってのにな」

「滅茶苦茶になった生活が戻る訳じゃないってのによ」

「大体、皆苦しんでいるのは上弦衆のせいじゃないの」

 

 どこからか石すら飛んでくる。かつん、と装甲を傷つけることすらも叶わない弱弱しい石ころから憎悪と憎しみがひしひしと感じられる。

 誰が投げたのか、それは分からない。けれども犯人を捜す気も斉藤真太郎にはなかった。

 

「でもよ。もう一人のくノ一――ハルカだっけ? あいつは負けちまうからよ」

「今日の夜には困らないってこった!」

 

 誰かの下衆な話に呼応するように家電量販店の出入口前に展示されていたテレビ番組が再放送から急に特番へと切り替わった。

 

『うっ……うぅ……』

 

 最初に映ったもの。それは見知った顔が地面を這っていた。

 鷹守ハルカ。本来この世界を守るはずだったヒロインたる存在。そう、虚無僧が言っていた。かつてはシノビと肩を並べて世界に恐怖と混乱をばら撒くノロイ党と戦っていたが最早見る影もない。

 

 攻撃でズタズタにされたスーツ。折れたクナイ。

 最早戦う力が残されていないのは明白だった。周囲には映画で蹴散らされるような戦闘員レベルの強さしかないはずのゲニンだけ。ゲニンに『また』敗北したのだ。

 

『閃忍ハルカ、今日も敗北だ! いやー残念でしたね、ハルカさん』

 

 ゲニンが跳梁跋扈する中でレポーターが慣れたように倒れたハルカに走り寄り、薄ら笑いで声をかける。

 

『何かテレビの向こうの皆さんにいう事は?』

 

『みっ、皆さん……すみませんでした。今日も勝つことが出来なくて……本当に申し訳ありません』

 

『で? 他にも言う事あるでしょ?』

 

 かつては謎のWヒーローの片割れだのやんややんやと囃し立てていたのにも関わらず今となっては侮蔑、嘲笑の対象だ。小馬鹿にしたような物言いでマイクをぐい、とハルカの頬に突きつける。

 

『んっ……今夜も……皆さんへの謝罪奉仕を公開放送いたしますので……ご希望の方は〇×放送局までお越しください……』

 

 奉仕というのは――まぁそういう事だ。

 だが場所は割れているならこちらから邪魔をすることが出来る。だがこの方針を是とした者たちがいる――それは。

 

『今回、被害に遭われた方を優先に、抽選で私が奉仕させていただきます……』

 

『はい、よく言えました。それでは皆さん、今日の謝罪放送をお楽しみに!』

 

 

 

 

 

「チッ」

 

 これまで守ってきた人間に後ろから撃たれるような真似を今この瞬間され続けている。

 そしてこれまで自分たちをサポートしてきた者たちは――

 

「動くな!」

「シノビの力を私物化し、上弦衆に反目しこちらの妨害を繰り返す抜け忍(テロリスト)、斉藤真太郎! お前を拘束する!」

 

「……上弦衆か。いや――強硬派、というべきか」

 

 最早彼らは見る影もない。

 アキラもスズモリもいなくなってしまった。いるのは手段を択ばずハルカらを苦しめる抜け殻――ただそれだけ。

 ハルカにああさせているのは今の上弦衆だ。そして斉藤真太郎は既に上弦衆から抜けている。

 

「お前たちの物でもないだろう、強硬派。俺は――お前たちに捕まるわけにはいかない」

 

 おもむろに取り出した煙玉を地面に叩きつける。

 常人ならざる力を彼らは持っていたとしても所詮人間の延長線上でしかない。それゆえにシノビの機動力は彼らを撒くのにはうってつけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハルカやタカマルと別れたのはいつのことだったか。

 もう覚えてはいない。それくらい昔のことだ。バイクに乗りながら放送局に向かいながら在りし日を思い返す。

 あの日。

 あと少し。あと少しと言った所でノロイ党を追い込んだ。そのはずだった。

 

 だが突如、これまで倒してきた敵たちが唐突によみがえった。

 しかも再生怪人にあるまじき力をもって。戦い始めた頃より圧倒的に強くなっているはずのハルカやシノビですら苦戦するほどの力でこれまでにない物量をもって反攻に転じた。

 これまでの戦いが無意味だとあざ笑うような絶望的な状況だった。

 

 その結果、疲弊が積み重なったハルカは敗退を繰り返し、それを拾うだけの余裕もシノビも無く。だがノロイ党は一気に上弦衆を滅ぼそうとはしなかった。

 

 真綿で首を絞めるように少しずつ、少しずつ。

 

 

 当然敗退を繰り返せば世間は上弦衆に対する風当たりが強くなるわけだ。

 

『弱い』

『なぜ勝てない』

 

 この程度ならば申し訳ないとしか言いようがないが極端なパターンは『人々が苦しんでいるのは全て上弦衆のせい』『ノロイ党はそんな彼らから救うための救世主』とかいう妄言も当たり前のように飛び交っている。

 先ほどのように石を投げられるのは当たり前。ノロイ党に歯向かうと痛い目を見るが上弦衆は反撃もしない。それに味を占めた結果その矛先はハルカとシノビらに向いている訳だ。

 

 一般市民からヘイトを向けられた上弦衆からは派閥争いが生じ、活動資金の確保すら困難となった。

 そして一般市民の『ガス抜き』としてこの一件で発言力を高めた強硬派が提案したのがあの『謝罪奉仕』という奴だ。

 これを公共の電波で流せるのはエロゲ世界ならではなのだろうが、もうノロイ党に荒らされ切った世界にまともなど期待してはならないのだろう。

 

 これに異を唱えた斉藤真太郎はこうして単独行動をしてノロイ党らを一人で狩り続けてお尋ね者となった訳だ。

 

「ヌンジャ! ヌンジャ!」

 

 バイクで走る中でゲニンたちが行く手を塞ぐ。

 謝罪奉仕をそのまま完遂させるつもりか。それがノロイ党の狙いだというのならば。

 

――俺はお前の邪魔をしてやる。

 

 火付けと壊しは得意分野だ。

 

「そこをどけええええええッ!」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

「どうも皆さんこんばんわ!今日も謝罪奉仕の時間がやってまいりました! 今日も上弦閃忍のハルカさんが、ノロイ党の被害に遭っているみなさんにハートとボディでお詫びしちゃいます!」

 

「今回の謝罪奉仕は市内の『学生だったけどノロイ党のせいでメチャクチャ』さん、21歳さんからいただいたリクエストですね。あははこの人も恨みつらみがあるみたいですねえ。そうですねー、『学生だったけど以下略』さんリクエスト採用されましたので、少しは溜飲を下げていただけたらと思います。それでは、ハルカさんの登場です!」

 

 ビビッドピンクのネオンが光るスタジオに女司会者が楽し気に台本を読み上げる。

 このスタジオは元々人気バラエティ番組のスタジオとして使われていたが今となっては出演者も減り、もっぱらこの見世物小屋のような撮影スタジオと化している。

 そんな中、裏から拘束台がコロコロとローラーを転がしながらスタジオの中心に向かっていく。その上には四肢を拘束されたハルカが目を伏せていた。

 その姿は最早正義のヒロインとは程遠いほど目を覆いたくなるようなものだった。

 

 これから始まるのは、敗北の後慣例となった番組だ。

 21時、異常としか言いようのない光景がお茶の間に届けられる。

 誰がこんなことを是としたのか、許したのか。それは誰にも分からない。だが確かなのは『望まれていた』こと。

 

「まずは先頭の方からお相手していただいて、あとの方々が……といった具合ですね。ではハルカさん懺悔の言葉をどうぞ!」

 

「みっ……みなさん……ハルカは今日もノロイに敗北してしまいました。皆さんにご迷惑をかけてしまい……すみません。この次は絶対に勝ちますので……本日はお詫びの代わりに、ハルカの身体で……皆さんにご奉仕させてください」

 

 これまた半笑いの司会がマイクを雑につきつけ、ハルカは腹の奥から絞り出すようにしてその誇りの欠片もない言葉を紡ぐ。すると司会が大笑いし、それにつられて観客席の幸運なギャラリーたちもゲラゲラ笑い始める。

 

「はい。いつもながらのハルカさんのお詫びでした。口だけならなんとでも言えますがノロイ党に勝利する日は果たして来るのでしょうか!? それでは謝罪奉仕スタートです!」

 

 司会の合図に呼応して全裸の男たちがわらわらとハルカの周囲に群がり始める。さぁ、いつものようにショーをして上弦衆の資金源となるのだ。

 上弦衆の悲願たるノロイ党に敗北して、負のループに陥りながら。

 

 これが一生続くのだろう。

 終わりの見えない戦いで誇りも穢され、守ろうとした市民たちに後ろ指をさされて。こんな世界――こんな時代、一体何の――

 

 黒々とした感情がハルカの胸の奥で渦巻き始める。

 その時――世界が光った。

 

 

「放送事故の時間だ」

 

 何者か分からない男の声がしたと思えば、先ほどのハルカたちに群がっていた者たちの短い悲鳴。

 光で焼け付いた視界が元に戻った時に、スタジオに残っていたものは――

 

 

 突然の闖入者に困惑、混乱している司会とギャラリー、そして全裸の男たち。乱雑に破壊された無人の拘束台とカメラだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま……間に合った……」

 

 スタジオからどれだけ離れただろう。

 半裸状態のハルカを抱えて、夜のビルの上を飛び移り続けやっとこさ落ち着いた所でシノビはハルカを降ろしへたり込んだ。

 

 スタジオに居た連中がノロイだったら全員叩き切っていた所だが、彼らは瘴気でやられているとはいえ人間だ。手を出すわけにはいかない。

 

「志藤さん!?」「斉藤です」

 

 懐かしいやり取りをしてから変身解除した真太郎は着ていたロングコートを半裸状態のハルカに放り投げる。冬の夜空は世界のように冷たかった。かといって今の自分よりひどい状態のハルカを無視してロングコートを着ているわけにもいかなかった。

 今着ているヒートテックを信じろ。

 

「どうして……助けたんですか?」

 

「俺はもう上弦衆じゃないしな。あちらさんの方針に付き合ってられなかった。このやり方で連中に勝てるとは思えないし」

 

 ノロイ党は負の感情を糧とする。

 ハルカが負ければ上弦衆の資金は貯まるだろうが、当然それに呼応してノロイ党も力を増す。世界がおかしくなったのもこの度重なる敗北が原因だ。

 ……こんな負のループに何の意味がある。

 

「でも……わたしのせいで貴方はテロリストなんて後ろ指さされて。自分を大事にしてください!」

 

 かちん。

 真太郎の脳内でナニカが切れた。一体どの口が言っているのか。

 自分を大事にしていないのはどっちなんだ。

 

「その言葉そっくりそのままお前に返すよ。大体俺、別に英雄! とかヒーロー! とか言われて欲しくてライダーやってるんじゃないし」

 

 まぁ勿論飯を食うだけの給料はこれまであったし貰ってはいたが。

 だがもうそれもないのでかなりジリ貧を強いられている。陰の協力者が居なかったら既に野垂死にしていただろう。

 

「でも……私が咎を受ければ」

 

「そのシーンがDVD化して国内外に拡散。その売り上げを上弦衆や閂市が受け取る。まぁそれなりのお金にはなるだろうさ。でも……金でどうにかなっていたらあの最後だったはずの戦いで問題なく勝てたろ」

 

 金で済む問題なら出資者や協力者が腐るほどいた以前の時点でどうにかなっていた。今更強化されたノロイ相手に当時とよくて同じ、それ以下の資金でどうしようというのか。

 未来は――見えない。

 

 ある仲間は倒れ、ある仲間は去った。

 前まではもっと戦える人間たちがいた。だが今はもう戦える者は既にこの二人しか残っていない。

 

「っし。戦部んとこ、戻ろっか」

 

 それでも諦めはしない。折れたりしない。

 一生懸命作った笑顔で真太郎は立ち上がる。冷たい夜空の風が着ていたヒートテックを貫通しその身を震わせてもなお、笑顔は作る。

 

「…………はい」

 

 だが対するハルカのその顔は晴れず。

 この二人に共通して言えることはただ一つ。見えない明日にただ迷い続けるだけである。

 

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