【ライダー】負けたら陵辱される変身ヒロインものエロゲーの世界の竿役モブに憑依した挙句、忍者の仮面ライダーになっていた【助けて!】 作:ヌオー来訪者
間に合ったと言えば間に合ったと言えるが、間に合っていないと言えば間に合っていないと言える。
背後のナリカははっきり言って公衆の面前にお出しできないほどに霰もない姿だった。
そんなナリカの前の壁となってシノビは目の前の『敵』を一瞥する。
中坊の女の子相手に大の大人がセクハラコール、このあと多分エロゲだから嬲るつもりだったのだろう。
舌打ちしながらシノビがギロリと睨みつけただけで、たじろぐふんどし一丁の男たち。
とっととその寺から去れと言わんばかりに、ガンを飛ばす。
「拙僧の説法を邪魔するとは……許せん、許せんのう!」
気炎を上げるふんばり入道が大きく拳を振り翳す。体格はシノビの一回り大きく、肉付きの良いメタボリックな肉体から放たれる拳にシノビはその手にしたシノビブレードで受け止めた。
じん、とシノビの腕に痺れが走る。
衝撃波が床に溜まった埃を吹き飛ばす。相変わらずの馬鹿力だ。生身ならマトモに受けてしまえばバラバラだ。
「何ッ!」
しかし、それでもシノビにその一撃を防がれたことに目を見開かせる。
そして次にシノビが地面を蹴り、ふんばり入道の背後に回った時にはどちゃっと音を立てて何かが落ちた。
木の幹のように太く、柘榴のような赤を咲かせたふんばり入道の片腕。
自らの体の一部が失われた事に気が付いた時にはその失った先を押さえながらふんばり入道は、吠えた。
「拙僧の腕がァァァァァ!」
追い討ちをかけに回し蹴りを叩き込み、その巨体を岩のように転がす。
慌ててふんばり入道が呪文を唱えるとゲニンたちが虚無から這い出るように現れ、シノビに殺到する。
「そこをどけ……!」
風遁の応用で風を纏わせた手刀で薙ぎ払う。
ゲニンの身体がある者は真っ二つ、ある者は明後日の方向へと消し飛んでいく。
粗方消し飛ばしたところでさぁ、次は本体のふんばり入道だ。
シノビの目がふんばり入道の方に行くと、その前に信者たちがいく手を塞ぐようにして立っていた。
「皆! 入道様をお守りするんだ!」
「「「「応ッッッ!!!」」」」
また例によって例の如くあの復活のダンスでもやるつもりか。
小物を先に黙らせないと本体が無限に復活し続けるなど新手のデスタムーアか何かだ。
とはいえシノビの力では彼らを黙らせるには過剰過ぎる。
「ふんばーり!」
「あそれふんばーり!」
「ふんばーり!」
「ふんばーり!」「ふんばーり!」
ふんどし姿の男たちが身を低くして排泄物を放り出すような姿勢から天に這い出るような動きを繰り返す。
するとふんばり入道がゆらりと重力を無視した動きで立ち上がり、失われた腕がまるで倍速再生された草木の成長の如く生え変わる。
もりもりと肉の芽が生えてにょきにょきと手の形へと変えていく。
おおよそ人間の出来るものではないその現象にシノビは「う」と短く声をあげた。
「おお、衆生たちの祈りが、願いが、拙僧を呼び覚ますッ……皆の応援でふんばり入道はぁぁぁぁぁぁぁッ! 復ッ活したあああああああああッ!」
ナリカの力を借りようにも今の彼女を頼るわけにはいかない。だが、ここで急がなければ同じく襲われた『あの男』を助ける事はできない。
「ちっ……汚ねえフェニックスが……」
小さく毒づいたつもりだが、ふんばり入道には聞こえていたらしい。
信者たちをかき分けるようにして前に出るとふんばり入道は鼻を鳴らした。
「汚い? ふん、それはお主が非自然的であるからそう見えるだけだ。
「「「「「おおおおおおおおおおおおお!」」」」」
──ドリカムに謝れや
どこからか取り出した棍棒を振るうとシノビはそれをシノビブレードで受ける。だが、先程の拳とは比較にならない程の衝撃がシノビを襲う。
刀身から骨へ伝う、振動。
カチカチと強烈な衝撃を受けたシノビブレードの切先が震える。
この生臭坊主がフェニックス形式なら永遠に死と再生を繰り返すことを余儀なくされる太陽に放り込んでやればいいのだろうが、生憎こちらにそんな手は無い。
「貴様のように殺すだけで弱者を救えぬ者に、拙僧は負けはしないッ!」
だが、ここで引き下がってやるつもりはない。
片隅で酷い姿にされた少女を見る。──冗談じゃない。
「何が……弱者だ!」
鍔迫り合いで開いた片手でその入道のど出っ腹に掌底1発。ふんばり入道の身体が大きく揺れると、切先を首元に突きつけた。
「迫害だのなんだの言って他人苦しめておいて……! 何が弱者だ!」
人の生活を脅かしておいて、目の前の女の子を陵辱しようとして。
縦一文字に振り下ろした一撃がふんばり入道の黒い法衣を派手に傷をつける。
「ぬぅぉう!」
そして蹴りを叩き込み、寺の外に叩き出した。
がらんがらんと木片と、割れた戸と一緒に庭まで転がったふんばり入道に、シノビは同じく庭に躍り出る。
そして右腕を地面に向けて突き出し、左手でその腕を添えた。
ごう、と音を立ててその右手から炎が吹き上がる。
「はぁぁぁぁぁ……」
目の前には人間はいない。
遠慮はしない。右手の熱が最高点に達した時、シノビは地面を蹴っていた。
「はぁっ!」
フレイム忍POWの応用による炎の拳。シノビを迎撃しようと棍棒を振るうもシノビのその素早さの前には意味をなさなかった。
それがふんばり入道のどでっ腹に深々と炸裂した。
「馬鹿……な」
焼けるふんばり入道の身体がけたたましく小爆発を起こしながら法衣が燃える。
あの悪臭が誘爆しているのか。
「だが拙僧は……一人ではない! 同門の同志がいるッ!」
またあのふんばりダンスで復活でもするのか。
自らに纏わりつく炎の中でふんばり入道が妖しく微笑んでいる。
あの信者たちを始末しなければ復活するわけだ。
「ちっ……デスタムーアかお前は!」
ふんばり入道は仲間を呼ぶ──
「ん?」
だが、庭は酷く静かだった。
「はっ──」
ふんばり入道が慌てて向けた視線の先には屍のように倒れた男たち。
彼らを踏み越えるように一人の男が立っている。
──あの男は。
ふんばり入道の暴挙を阻止する時に置いて行ったあの入信希望の男だ。かなりの自衛能力はあるのは目の当たりにしていたが、まさかここまでとはとシノビの仮面の下、真太郎は唖然とする。
──あの男、信者を片っ端からダウンさせたのか。
懐から扇子を取り出し、ふんばり入道にその先を向ける。
「お前は信者の力で何度でも復活する。そう言ったな? なら全員ぶちのめしておけば2度と蘇らないってコトだろ?」
「な……にィ?」
ふんばり入道の表情がみるみるうちに歪んでいく。ピキピキと額には青筋が浮き立つ。
入信希望の人間にここまでいいようにされれば誰だって怒りたくもなる。ドクン、とふんばり入道の全身に走る血管という血管が脈打つ。
このまま怒りの力か何かでパワーアップされては面倒だと。今はあの便所妖怪を始末するのが先決だ。
「終幕の時間だ。いざ、参らん……!」
【必殺 忍POW!】
無意識が口走らせたその言葉と共にベルトの手裏剣を風車のように回転させる。そして自らの衝動の赴くがままに印を結ぶ。
そして掬い上げるように右手を一閃させると竜巻がふんばり入道の身体を巻き込み、空高くまで跳ね上げた。
あとは落ちるだけ。
重力に従って落ちていく怪人の前にシノビの姿が忽然と現れる。
敵同様落ちながら『力』を纏ったその脚でシノビは回し蹴りを連続で叩き込む。
一撃、二撃、三撃、四撃、五撃。最後に地面に叩き込むと、空中でそれを見下ろしていたシノビが落下の勢いのまま拳を放った。
「ブフォッ!」
綺麗に鳩尾に炸裂したところでふんばり入道の口から血と吐瀉物混じりの唾が吐き出される。
そしてそれを意にも介さず背を向け、離れていくシノビにふんばり入道は
むくりと立ち上がった。
「げっ、こいつまだ動けるの!?」
まさかここまでタコ殴りにされてなおも動けるとはナリカも思わなかったのか理解に苦しむ声を上げる。
ゲームなら食いしばりとかド根性とか底力、ガッツの類でも付いているようなしぶとさだ。
「まだだ……まだ終わっておらぬぞ。ふんばれ拙僧、ふんばれふんばれ……」
「いい加減早く倒れなさいよ歩く環境汚染!」
悲鳴と懇願の入り混じったナリカの叫びとは裏腹にふんばり入道は腹に力を込め、ナニカをひり出すような格好を取る。そして──
ぷすん、と間の抜けた音がした。ふんばり入道の尻から出た音だった。
ゆらり、とその巨体が大きく揺らぐ。
「ぬおっ……踏ん張り切れなんだ……」
哀れ、ふんばり入道は爆発四散。
某監督の如き大袈裟なナパームはいつか見た春映画の如く。恐らく奴の屁が引火したのだろう。
思ったより大きな爆発にシノビの背中はビクッと跳ね上がった。
「あ、危なかった」
信者と寺から離れたところで爆発したから良かったものの、奴の体臭と無数の人間の排泄物で充満した室内で倒していたら大惨事だった。
大爆発した跡を二度見してからホッと胸を撫で下ろす。
「やっと死んだわね……」
長かった。
小さくなっていく炎を前にナリカが呆れ半分で溢す。
まさかまたあの章ボスみたいな城で復活するんじゃあるまいな、嫌な未来を幻視したシノビの仮面の下で真太郎は頬を軽く引き攣らせる。
今回はメンタルも体力も擦り減った。後始末は上弦衆に任せてこの場を退散しよう。
シノビはあの男の方を向く。今回はあの男の援護のお陰で勝てた、お礼の一つ二つ……否、やっぱり百くらいは言いたい。
男は半笑いでこちらを見ていた。なにわろてんねん。
その笑いの意味を理解するのはすぐだった。
「ハッ、まさかお前も俺と同じ物持ってるなんてな」
「……は?」
同じ物。
何のことか理解するほど真太郎は聡くはなかった。その答えは男がジャケットの懐から出す事で導かれる。
それは──瓢箪。
「この世界の王サマにでもなる前に、今のうちに潰しておくか」
明確な敵意の籠った言葉にシノビは構えを取る。
こいつも……
大蛇丸の前例がある以上、その辺の怪忍とは訳が違う。
ノロイの一味か。いや、先程明確にふんばり入道の邪魔をしていた。
第三勢力? そんな馬鹿な。これ以上事態をややこしくしないでくれ。
懇願にも似た真太郎の祈りも虚しく、男は瓢箪の栓を抜き逆さにすると中から無数の蟲が飛び出す。そして腰の周りをぐるぐる飛びながら群れをなすと、そのままシノビの持つベルトに酷似……いや、そっくりそのままのモノへと姿を変えた。
そして手元にはシノビとは違う形状の手裏剣型プレートデバイス。
「あんた……何なんだ!」
「覚えてねえなら教えてやるよ。お前の『敵』だ。変身」
【踏んだり、蹴ったり、ハッタリ! 仮面ライダーハッタ~リ!】
シノビやオロチと同じだった。
プレートデバイスをベルトに装着して回転させる。そして背中には巨大な蟲のカラクリが現れ、それが彼の体に鎧として纏わりつく。
仮面ライダーハッタリ。そう、奴は言った。そう、奴は──
「ここでお前の瓢箪は砕いておく。取り返しのつかない事になる前に、な!」
得物である忍者刀、ハッタリブレードをまるでバトンのようにクルクル回転させてからシノビに一瞬で肉薄。
そして横一文字に閃かせた。