【ライダー】負けたら陵辱される変身ヒロインものエロゲーの世界の竿役モブに憑依した挙句、忍者の仮面ライダーになっていた【助けて!】 作:ヌオー来訪者
予想外でもあり、ここまで読んでくださったことに感謝の思いが尽きません
これからもお時間あれば拙作にお付き合いいただければ幸いです。
「ノロイ党の前に散発的に現れる謎の存在、彼は一体何者なのか……か」
新聞の一面に載っていたのはデカデカと業岡一全を仕留めた深紫の戦士の写真と長々とした文章だった。
青年、戦部鷹丸……タカマルが新聞を広げたまま渋い顔をしながら口を開いた。
「佐藤さん、一体あいつ何者なんスかね」
「……佐藤じゃなくて斉藤。俺に聞かれてもなんとも」
椅子で座って新聞を読む傍ら上弦衆の一人、斉藤真太郎がタカマルの呼び間違いを真顔で訂正しながら壁にもたれたまま立っていた。
立場こそ真太郎の方が下だが、同じ上弦衆の新入り同士。分からないことがあるのは同じこと。
出会ったばかりの頃タカマル自身が変に畏まられるのが苦手だったのもあり、普通に接してくれ。と、そう出会ったばかりの頃の真太郎がやたら畏まっていたので頭領命令を投げつけた。
で、割と波長が合うのかすぐ打ち解けた。
加えてモンハン買いに行ったら普通にゲーム屋でバッタリ遭遇して時々他の上弦衆たちで集まって、モンスターの理不尽めいた当たり判定に悪態吐きながらマルチで遊んでいる。
悪かったらこんな風に駄弁ってなんかいない。
「俺の見立てだと悪い奴って感じはないんだけどな」
事実、ハルカの話によるとゲニンを殴り倒し怪忍を叩きのめしてからハルカを物陰に隠してスタコラサッサしたという。
加えて裸を見た途端物凄い声で謝っていたとか。
ここまで言われて悪い奴だと断言出来たらそれはそれでびっくりだ。
しかし隣の真太郎は少し考え込んでいた。
「それはどうだろうか。もしかしたら油断した隙に……って可能性もあるかもしれない」
指摘としては悪辣としか言えない返しにタカマルは苦笑いした。
仕事柄やはり疑うことから始めるのは職業病みたいなものだろう。タカマル自身はあまり好きな思考ではないが。
「あはは……中々怖い事言うな……でもそれだったらハルカさんには悪いけど……チャンスはあったはずなんだ。それをみすみす……」
自らチャンスを手放して次を待つ。
たしかにそういう考えは無いわけではない。しかし今回の場合あまりにも非合理的でもあった。
すると、真太郎は何か遠いものを見るかのようにつぶやいた。
「でも、アレは正義の味方というにはあまりにもエゴイスティックな動きだった。感情任せのような、八つ当たりをしているようにも思える」
「というと?」
「ガキが背伸びして戦闘のプロごっこしながらやった喧嘩殺法」
「うわ、ボロクソ言うなぁ……」
どう言う訳か、深紫の忍びに対してやたら辛辣なのが真太郎だ。……親でも殺されたのだろうか。
戦術アドバイザーである黒鉄アキラもまた似た意見であることを思い出す。流石に真太郎ほどでないにせよ、アキラも否定的な方であった。
「能力に頼った動き、そうアキラさんも言っていた」
回顧するようにタカマルは呟く。
あの深紫の忍びは自ら主張するように人間か、元人間である可能性が高い。
「でも上弦衆にあんな装備は存在しない。あったら何かしらの形で事前にお披露目か告知があるはずだけどなぁ」
虎の子をぎりぎりまで運用方法も存在も明かさず、いきなり実戦投入なんてアニメでもない限りあり得ない。
加えてタカマルは上弦衆の現頭領。新参とはいえ隠すことは能わないはず。
上弦衆の技術力は最先端をいく。
そのことを考えるとあの忍びは異常と言ってもいい。まるで神様か何かが一般の食卓に突然現れてちゃぶ台をひっくり返しにきたかのような。
そんな出鱈目な存在だ。
無論、数百年前にそれに近い血車党だとか化身忍者なる存在はいたらしいが。文献も少なく眉唾物だ。
二人黙り込む。
考えてもしょうがないと思ったタカマルは新聞紙を畳む。そもそも上弦衆が得られない情報を新聞が得られるはずがないのだ。
忍びのことはもう考えるのはやめた。それに一番気にするべきは──
「ハルカさん大丈夫かな」
今この二人がいる場所は閂市から離れた城南大学附属の病院の待合室だ。
ノロイ党が現時点で、上弦衆が施した封印のせいで閂市から出られない。その為ちゃんとしたメディカルチェックはこう言った離れた場所で確実かつ安全に行うようにしている。
業岡一全の事件については口封じと上弦衆の簡易的な記憶処理でどうにかあの痴態については誤魔化すことが出来たが、ハルカ自身が負った心の傷と負けたと言う事実は無かったことにはならない。
そしてサポートすると言ったのに結果的に彼女をあんな目に遭わせてしまったのは自分の失態でもある。
気にしないでください。とハルカは言った。
自分が未熟なだけだ、とも。
そんなことはない。
自分がもっと彼女に力を与えられていれば。もっと彼女の目となって状況を見渡す力を持っていれば。と悔やんでも悔やみきれない。
あの業岡一全との戦いからしばらく経ったが、ノロイ党の戦闘員や怪忍の出現は止まることを知らない。
あれ以降ハルカ自身そこまでダメージはないが、蓄積する疲労、メンタル面でのダメージ蓄積は無くなったりはしない。
こうした定期的なチェックは欠かせない。
「いつも大丈夫かって聞いても大丈夫ですよ。鍛えてますから、なんて言うんだ」
あの晒し上げされた時だってそこそこ堪えていただろうに気丈に振る舞い続けている。弱音の一つくらい吐いてくれたっていいのに。
「……戦部君も無理しない程度で。頭領倒れたら洒落にならんよ」
真太郎はそう心配してはくれるがタカマル自身はもう少し無理をするつもりだった。
これ以上ハルカに辛い思いはさせられない。他の上弦衆の仲間たちにも。
深紫の忍びが仲間になってくれれば、負担は大きく減るだろうがアキラや真太郎の言う通り宛にするのは危ないだろう。
すると、白衣を羽織った紫髪の女性が現れる。医師……のように見えるが胸元が開いており明らかに場違いな雰囲気を醸し出していた。
この女性こそが上弦衆の戦術アドバイザーである黒鉄アキラだ。
「ハルカについては体調面での問題はない。後は……」
メンタルだけだ、と言わんばかりにアキラがタカマルに目配せする。
そうだ。今自分がしっかりしないとハルカはついてこない。真太郎だって、上弦衆の仲間たちだって。
アキラの後ろから検診衣姿のハルカが現れる。
「ご心配おかけしました。タカマル様」
そう柔らかい笑みを浮かべる。その笑顔の仮面の下でどんな思いをしてきたのか、計りかねるものがある。
そんな彼女の手を取る。
「帰ろう、ハルカさん。ナリカがご飯用意してくれてるからさ」
「……はいっ」
家までは少し遠いのでアキラが車で送る形となる。護衛役の真太郎……噂だとブラフ扱いされており真の護衛の主力は裏で控えているらしいが、真太郎の方を向くと何故か何処か遠くを見ているような、そんな気がした。
◆◆◆◆◆◆
「ヌンジャ! ヌンジャ!」
「よう、スットコドッコイの皆さんよ」
例によって例の如く。
ゲニンたちがわらわらと突如として夜の街に現れる。
そして理不尽に人が死ぬ。この街ではよくあることだ。
散々現れ続けた面々に飽き飽きしながらも頭巾を被り素顔を隠した忍者装束の男が、彼らのいく手を、阻むように躍り出る。
その男は斉藤真太郎。シノビであり、ノロイを打ち砕こうとする者の一人。
そして懐から銀色の瓢箪を取り出し、栓を抜く。
そして地面に溢すように傾けると水が落ち、彼の腹部に纏わり付きベルトの形を成す。
シノビドライバーだ。そして手元には手裏剣の形をした鍵、メンキョカイデンプレートが現れた。
「今更だけどこれ以上お前たちの好きにはさせない」
どうしてこの世界に自分がいるのかはまだ分からない。未だ答えを知る術もない。
けれども信じることにする。この
ある者は言った。
もし、世界が滅びたがっているならどうしてシノビヒョウタンがある?
なぜ、その力がそこにある?
きっとただの偶然なんかじゃない、と。
真太郎は叫ぶ。
所詮暴力装置の執行者の域を出ないだろう。
幼い頃ヒーローに夢見ていた。弱い人々を守りたい、なんて。
けれども転生前から歳を食うごとにどうしようもない現実に打ちのめされて、ヒーローなぞどこにもいないと知り、学生時代クソみたいな上級生にブン殴られもしたし、社会人になってもパワハラ上司にメンタルは滅茶苦茶にされもした。
なんなら繁華街で酔っ払いに絡まれてイチャモンつけられた挙句5年ぶりに人に殴られた。
ヒーローとは程遠い大人になって生きてきた。まるで主人公のように高い営業成績を上げる同僚たちを横目で見ながら──
だからこのシノビヒョウタンも最初こそ驚いたしテンションも上がりはしたが戦いに使う気には最初はなれなかった。
もうその世界にはヒーローがいるのだから。自分がいる意味なんてないはずだ、と。
けれどもそれを上回る理不尽を見てしまった。
他人事で済むはずがない。
この力、きっと本当なら正しい使い手がいる。でも使わずにはいられない。
何もしなかったら後味が悪いから。
「この街で瞬間瞬間必死に生きている一人の人間として。そして深紫の忍びとやらとして、お前らの言う恐怖やら絶望とやらを台無しにしてやる……俺はお前達の邪魔をしてやる!」
真太郎は吠える。遠吠えのように、必死に威嚇する犬のように。
メンキョカイデンプレートをシノビドライバーにセットし、勢いよくバックル中心にある手裏剣を回した。
するとバックルから巻物が飛び出る。そして真太郎の背後をくるくると回り始める。
その傍ら、後ろから紫色の巨大な機械仕掛けのガマガエル・クロガネオオガマが高速で組み立てられ口から無数のパーツを吐き出す。
それはシノビの鎧であり、真太郎の体に次々と取り付いていき、最後に巻物がマフラーへと変わりシノビの首に巻き付くことでたった数秒で真太郎を戦う者の姿へと変えた。
「ヌンジャ!?」
【誰じゃ? 俺じゃ? 忍者! シノービ、見参! 】
深紫の忍び、シノビへと。
襲いくるゲニンをすぐさま一体、拳で殴り倒す。
迫る太刀をくぐり抜け、太刀を持った腕を捕まえて頭突きを叩き込み怯んだゲニンを別のゲニンに投げつける。
接近戦では勝ち目がないと見たか、ゲニンは一斉に距離をとり手裏剣を投げつける。
流石にシノビブレードで弾くことは困難な数に慌てて飛び避けた所で、ゲニンは着地を狙って再び手裏剣を投げつける。
──こいつ、学習しているのか!?
先読みしたような手裏剣にシノビは舌打ちする。
被弾覚悟で、目を瞑ったその次の瞬間──
シノビ目掛けて飛んできたゲニンの手裏剣は全てあらぬ方向に飛んでいった。
「悪鬼彷徨う現の闇を払うは月影──我、上弦なり──。想破上弦衆が閃忍、ハルカ! 見参!」
鷹守ハルカ。またの名を、閃忍ハルカ。彼女もまた、ノロイを打ち砕こうとする者の一人だ。
ビルの上から見栄を切ってから、飛び降り様にクナイを投げつける。
急所に直撃をもらったゲニンが次々と倒れていく。その狙いは正確無比。
先の戦いを経てさらに強さを手に入れているのが真太郎の素人目でも分かるほどだった。
「……」
「忍びさんには恩も何も返せてませんから。それに、タカマルさ……頭領から貴方へ
「…………」
タカマルが眩しく思えた。そうまでして信じようとするその真っ直ぐさはどこからくるのやら。
シノビは否定も肯定もしなかった。残ったゲニンに向き直りシノビブレードを構える。
ハルカもこれ以上何かを言おうとはしなかった。大きなクナイを構えてゲニンを見据える。
ゲニンの群れの中に一際大きなゲニンのような何かがいた。
背中には大剣。剣とは言ったが最早鈍器の類だ。
「ヌゥンジャァ……」
その鳴き声も野太く、威圧感はこれまでの比ではない。
先に躍り出たのはシノビだった。
道中にいたゲニンの群れを片手間にブレードで真っ二つにし全て処理してから、奥で最後に残った大型ゲニンに飛びかかる。
するとそのシノビの動きを読んでいたかのようにその背中の得物を一閃させた。
ごうっ、と先端がシノビの装甲を掠めた。同時にシノビの体が木の葉のように飛ばされる。
業岡一全ほどの剣圧はないにせよ脅威であることには違いない。
突風に流されていると、第二波と言わんばかりにハルカが隙だらけの大型ゲニンにクナイで斬撃を加える。
完全にスピードで翻弄し切っており、前を見れば後ろに、右を見れば左に、左を見れば右にと死角を狙って切り付ける。
最早風そのものを相手にしてるに等しい状態で大型ゲニンに反撃の隙など残されてはいなかった。
その隙に突風で吹っ飛ばされていたシノビがシノビブレードを投げ捨てバックルの手裏剣を回転させた。
【フィニッシュ・忍POW!】
拳を固めると、徐々にその拳から紫色の風を帯びその拳で勢いよく大型ゲニンのどでっ腹に叩き込んだ。
いわゆるライダーパンチだ。
「ヌゥンジャァッ!?」
大技を食らったことで大きく怯んだ所でハルカがクナイを投げつけ、大型ゲニンの足元に数発突き刺す。
そして印を結ぶ。
「穿・四門五月雨ッ!」
すると地面に刺さったクナイを中心に、世界が白く染まる。そして雷の雨が──降った。
◆◆◆◆◆
「ゲニンの殲滅を確認。忍務、完了です。しかし深紫の忍びは……」
ゲニンが消え去った街は再び静寂を取り戻していた。
しかし、シノビの姿も共に消え去っており結局彼が何者なのかわからずじまいだ。
一人残されたハルカはタカマルに念話で報告すると、タカマルは首を横に振った。
『またノロイが出て来ればまた会えるさ。それに言いたいことはハルカさんのお陰で伝えられたからさ』
タカマル自身、本当なら直接伝えたかった。礼の言葉も、自らの願いも。
そして知りたいことはたくさんあった。何がノロイを倒すための原動力になっているのか、その強さはどこから来るのか、なんて。
いずれもなし得なかったが、いずれまた会える。そんな確信があった。これが今生の別れではないのだ。
『今日はこの話はお終いっ! ハルカさん。お疲れ様!』
「はいっ!」
何はともあれハルカを労うと、ハルカは花が咲いたような笑顔でタカマルに応えた。
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